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第31回総合科学技術会議議事要旨

 


(開催要領)

1.開催日時:2003年9月4日(木)15:00〜16:00

2.場所:総理官邸3階南会議室

3.出席議員

   
   議長 小泉 純一郎 内閣総理大臣
   議員 福田 康夫 内閣官房長官
 同
細田 博之 科学技術政策担当大臣
 同
片山 虎之助 総務大臣(代理 加藤 紀文 総務副大臣)
 同
塩川 正十郎 財務大臣(代理 小林 興起 財務副大臣)
 同
遠山 敦子 文部科学大臣
 同
平沼 赳夫 経済産業大臣(代理 西川 太一郎 経済産業副大臣)
 同
黒川 清 日本学術会議会長
 同
阿部 博之  
 同
井村 裕夫  
 同
大山 昌伸  
 同
松本 和子  
 同
薬師寺泰蔵  
 同
吉野 浩行  
  (臨時)    
   議員 亀井 善之 農林水産大臣(代理 北村 直人 農林水産副大臣)
 同
石破 茂 防衛庁長官(代理 赤城 徳彦 防衛庁副長官)



(議事次第)

1.開会

2.議事

(1)平成16年度科学技術関係予算の編成に向けた取組みについて
(2)ヒト胚の取扱いについて
   −国際的な動向と我が国における検討状況−
(3)科学技術創造立国の実現に向けて
−科学技術分野における構造改革の成果と進捗状況−
(4)その他

3.閉会



(配付資料)

資料1 平成16年度科学技術関係予算の編成に向けた取組みについて(PDF)
資料2−1−1 ヒト胚の取扱いについて−国際的な動向と我が国における検討状況−(PDF)
資料2−1−2 「ヒト胚の生命の萌芽としての取扱いの在り方」に関するヒアリング結果(PDF)
資料2−2 ヒトES細胞の樹立計画及び使用計画の確認について(報告)(PDF)
資料3−1 科学技術創造立国の実現に向けて−科学技術分野における構造改革の成果と進捗状況−[概要](PDF)
資料3−2 科学技術創造立国の実現に向けて−科学技術分野における構造改革の成果と進捗状況−(PDF)
資料3−3  −参考資料−(PDF)
資料4 宇宙開発利用専門調査会の今後の進め方について(PDF)
資料5 第30回総合科学技術会議議事録(案)(PDF)



(会議概要)

1.議事概要

(1)平成16年度科学技術関係予算の編成に向けた取組みについて

 「平成16年度予算編成に向けた取り組みについて」を、資料1(PDF)に基づき、阿部議員から説明。
 平成16年度科学技術関係予算の編成に向け、SABCの優先順位付けを行うとともに、独立行政法人、国立大学法人等については、主要業務に対する見解をとりまとめていくこととした。
 本議題に関する議員の意見は以下のとおり。

【西川経済産業副大臣】
  私ども現下の科学技術政策に関する課題は、2つと考えており、1つは中長期を見据えて将来の技術の種をまくことである。
 2つ目は、即効性のある研究開発を通じて、経済の足元を固めることである。
予算要求のメリハリを付けたつもりだが、優先順位付け等の作業を行うに当たり、現下の政策課題を十分踏まえた上で、しっかりと進めていただきたい。
また、来年度からは科学技術関係の多くの予算が研究開発の実効性を高める観点から、運営費交付金となるわけです。これら交付金については、事前に使途を特定せず、法人の自主性を尊重するという制度の趣旨に鑑み、国立大学法人も含めたすべての法人を評価する方針を是非堅持していただきたい。
 

【遠山議員】
 私から3点申し上げたい。
 科学技術創造立国の実現を目指し、平成16年度の概算要求において、私としては次の点に重点を置いた。
1つ目は、基礎研究や重点4分野などをより重点的に推進する。
2つ目は、科学技術研究費補助金の民間研究者への開放など、競争的資金の改革と拡充を行う。
3つ目は、大学発ベンチャーの創出、育成支援など、産学官連携の推進と、地域におけるクラスターの創成・促進である。
さらに、新しく来年度については、1つ目は若手研究者の自立支援といった科学技術人材の総合的な育成。
 それから、先端計測分析技術・機器について、研究開発を通じた研究基盤の整備をしたい。
 また、安全・安心な社会に資する科学技術の強化をしたい。
2つ目は、予算の編成に向けた総合科学技術会議のSABCの順位付けに当たり、対象となる幅広く多様な分野にわたり、かつ高度に専門的な議論を重ねてまとめられてきたものであることを、十分御理解の上、臨んでいただきたい。
3つ目は、独立行政法人等の運営費交付金で実施する事業に関する見解をまとめるに当たり、法人の自律的、自発的運営を尊重して、各法人の特性に配慮をお願いしたい。特に大学、大学共同利用については、国立大学法人法案の国会における審議の際、自主的・自律的な運営を確保すべきとの厳しいやりとりがあった。総合科学技術会議におかれては、この点を十分踏まえていただくよう強くお願いしたい。

【北村農林水産副大臣】
 我が農林水産省として、1つ目は、ゲノムの研究成果を活用して、例えば杉の花粉症の症状を緩和する効果のある米品種の開発、これは2007年には実用化していきたい。
 あるいは、ケナフ等を利用したカドミウムに汚染された土壌の浄化技術の実用化を進めてまいりたい。
しかし、こうした技術は国民の皆さんに理解をいただかなければならないので、国民の皆さんによく理解していただけるようなことを同時に進めてまいりたい。
2つ目は、例えば澱粉粕や藁などの生物由来の有機性資源、これをエネルギー源やプラスチックの原料として、多段的で総合的に利用できる地域循環システムの構築のために、これを実用化あるいは産業化させていきたい。
3つ目は、政策群の取り組みとして、現場により近い農政局を通じて、地域の専門家や経験による技術を果敢に取り入れ、そういう技術に対して支援をしたり、あるいは農政局が全面に出てそういうことを支援していきたい。
これらを通じて食の安全や安心の確保、地域経済の活性化に全力を挙げて努めてまいりたい。



(2)ヒト胚の取扱いについて−国際的な動向と我が国における検討状況−

「ヒト胚の取り扱いについて」を、資料2−1−1(PDF)に基づき、井村議員から説明。本件については、生命倫理専門調査会で更に調査検討を進め、パブリックコメント等により広く意見も聞いた上で、年内を目途にとりまとめていくこととした。 また、「ヒトES細胞の樹立計画及び使用計画の確認について」を、資料2−2(PDF)に基づき、遠山議員から報告があった。  本議題に関する議員の意見は以下のとおり。

【黒川議員】
 国際的にこういう技術が進むと、生命は何かという宗教的な背景の違いがあり、西洋科学の背景にはキリスト教という一神教がある。
 技術をどう法制化するかについては、生命の扱いについての法体系があるかというと、ないところと、あるところもある。
 あるところも、もともと法律ではなくて宗教的な価値観で、1つの神様からという話では問題もあり、日本は技術だけでは難しいところがある。
生殖医療はどうなるの、人工受精はどうなるの、人工流産はどうなるのかという話があり、アメリカでも今のところ、人工流産については反対・賛成と、常に運動がある。
 法体系も全体を見て進めないと難しいと思う。

【松本議員】
 受精胚を用いる、あるいは、クローン胚を用いる研究というのは、今後医学への大きな貢献が予想されるので、受精胚やクローン胚を研究目的で作成、あるいは利用することは禁止できず、今後ある程度、利用することは避けられないと思う。
 今後厳重な管理や届出の下に行うべきだと思う。
現在、外国からES細胞等の提供を受けている事実があることを考えると、国による宗教観や倫理観の違いはあるが、外国と歩調を合わせることも国として考える必要があると思う。

【吉野議員】
  私は全くの門外漢だが、井村先生のお話を聞いていると、日本でも大変多様な価値観、倫理観があると聞いており、世界では更に多様だと思う。
一方、科学技術はますます進歩し、その技術が拡散し、一般の人が使えることになるのも必然だと思う。
 従って、途上国まで考えると、人類全体としてのコンセンサスは無理で、とんでもないことが起きる可能性が十分あると思う。
人類の英知の限界が試される項目ではないかと思うが、議論がもう少し欲しいのは、今、入口の論議が非常に多い。日本が幾つかの選択肢を選んだときに、世界はもう動いていってしまう。従って、各々の場合に、日本と世界はどうなっていくかの議論をもう少し、この分野の専門家以外も含めて議論をして、洞察することも必要だと思う。

【細田議員】
 肝硬変になっても、生体肝移植により驚くほどよみがえる方がいるが、生体肝移植をすると拒絶反応が起こる場合もある。
ところが、ES細胞を用いると、例えば肝硬変が治癒し、また、パーキンソン病、糖尿病、心筋梗塞、心筋症、動脈硬化、肝硬変、人工透析、骨髄損傷等、合計すると大体100 万人ぐらい病気の方が治癒する可能性がある。
 だから、前向きに考えると、そういう方の命を救い、長生きをして健康に過ごすことができるという面がある。
それに対して、マイナス面、あるいは倫理の問題がある。問題をどこで割り切るかが非常に問われている。

【遠山議員】
医学上の研究開発に大変資するという面と、倫理上の面と、そのバランスをどう取るかという大変難しい問題だと認識している。
今、進めている生命倫理専門調査会で、是非とも更に、倫理的観点から重要事項について専門的な議論をしていただき、その上で、広く国民の理解を得た上で進めるべきものと考える。
 なかなか右、左と言いにくい現状である。

【西川経済産業副大臣】
  この間、大阪の産総研のティッシュエンジリアリングセンターへ人工骨の増殖の視察に行ってきました。
11歳の骨のがんにかかった少年の足を人工のセラミックでは直せない。しかし、その人の細胞を3週間で増殖させ、それを埋めたら完治した。これを産業にしたらすばらしいと思う。


【井村議員】
 自分の体にも幹細胞、幹の細胞がある。
 それを割とうまく使って骨ができる。
 ところが、例えば、脳から幹細胞を取り出すことはできないので、ES細胞を使わざるを得ない。

【細田議員】
年内を目途に取りまとめていきたい。
また、これは法案に絡んでくるので、臓器移植のときのように、あるいは各国会議員それぞれの政治的な心情によって、投票するしないという問題が来年に起こってくる可能性がある。

【井村議員】
  クローンの人間をつくるのは、ほとんどが反対である。
 それはやっていいという意見もあるが、大部分は反対で、これ以外のところについても、やはり人間の生の始まりにどこまで手を入れていいかという考え方が非常に違う。
一方では、医学応用で非常に大きなメリットがある。
 産業応用の可能性もある。
そういう中で、どこまでが認められる範囲かを決めることに世界中は苦慮している状況である。

【小泉議長(内閣総理大臣)】
 人間の領域を超えているかもしれない。



(3)科学技術創造立国の実現に向けて−科学技術分野における構造改革の成果と進捗状況−

「科学技術創造立国の実現に向けて」を、資料3−1(PDF)資料3−2(PDF)に基づき井村議員、大山議員、薬師寺議員から説明。 科学技術システム改革を今後とも更に強力に進め、科学技術創造立国の実現を図っていくこととし、関係大臣には、引き続き御協力していただくこととした。 本議題に関する議員の意見は以下のとおり。

【井村議員より黒田議員のメッセージを紹介】
 黒田議員は現在ブタペストに出張中であるが、2点ほど意見を述べたいというメッセージが届いている。
 要点を述べます。
第1点は、基礎研究の強化である。
 第2期科学技術基本計画でも基礎研究をトップに置いていることは大変ありがたい。
 近代国家において、最も重要な投資は教育と科学技術への投資だと思う。
 これなくして将来の国の繁栄は望めない。
 現在のグローバルな大競争の下では、企業が基礎研究に投資する状況でなくなっている。
 基礎研究を支援できるのは国だけであり、政府のサポートがなければ技術革新は絶えるので、今後も基礎研究の推進に大きな重点を置くべきだと思う。
第2点は、その基礎研究を支援する制度として重要なのが、科学研究費補助金等の競争的資金制度である。
 これを予算的に拡充する一方で、課題採択、予算執行などを的確、公正に行うために制度の改革が不可欠である。
 資源配分機関の設置や、プログラムディレクター、プログラムオフィサーの配置が鍵となる。
 現在、まだ第一歩を踏み出したところだが、大学の現場にいると、周りの教授や優秀な研究者がプログラムディレクター、プログラムオフィサーへの就任要請に対して迷っている声が聞こえる。
 これは就任すると競争的資金への申請ができなくなるとか、大学での教育研究に対する責任があいまいになるとか、仕事とキャリアの関係、報酬が不明であるとか、課題採択作業の中で圧力がかかる心配があるから等である。
 プログラムディレクター、プログラムオフィサーの配置について、現場の状況に合った、柔軟な制度設計、運用をお願いしたい。
こういう意見でございます。
先般、プログラムディレクターに就任した方々と会ったが、やはり同じような悩みを聞いた。
 是非、文部科学大臣を始め、各省の大臣の方々は、こういったプログラムディレクターは、研究者でありながら、一定期間政府の機関の中で仕事をするわけで、柔軟な支援をしていただきたい。
公務員だから、毎日来ないとだめだということではなくて、研究をある程度続けながら、しかもこういった仕事をこなしていくことができるようにしていただきたい。

【小泉議長(内閣総理大臣)】
 公務員だから、研究者でも毎日時間通り来なければならないことになっているのか。

【井村議員】
 手続をすれば、現在、国立大学では一定の時間は、兼業を認められている。来年度から国立大学法人になるから、今後はほとんど問題なくなる。

【小泉議長(内閣総理大臣)】
今まではそうだったのか。時間どおり来なければならないのか。

【井村議員】
そうです。

【小泉議長(内閣総理大臣)】
そんなことをやっていたのか。

【井村議員】
出ていくときに、勤務のスケジュールを変えて、その代わりにここでするという計画をつくって出さないといけない。

【遠山議員】
法的ルールはと言われると、今言われた形になる。

【小泉議長(内閣総理大臣)】
自由に研究させる環境にすればいい。
 そんな時間から時間までいて、やらない人は時間いてもやらないし、やる人はいなくたってやる。
 もっと柔軟に考えなければならない。

【井村議員】
来年になると独立行政法人になり、特に大学は非公務員型ですから、週に2日だけ大学へ来ることも可能で、雇用の条件、勤労の条件を大学と研究者が契約すればいい。

【細田議員】
評価は相当時間がかかるので、井村先生、阿部先生にも、総長を辞めて専門的にやっていただいている。
 科学技術システム改革は、小泉改革の大きな柱なので、今後も強力に進めて科学技術創造立国の実現を図ってまいりたい。





(4)その他

「宇宙開発利用専門調査会の今後の進め方について」を、資料4(PDF)に基づき、大山議員から説明。本件については、国の宇宙研究機関の統合などの状況変化を踏まえまして、多角的に議論していくこととした。 また、7月31日に米国で開催された地球環境サミットについて、遠山文部科学大臣から報告。地球観測システムを国際協力により構築するための計画と枠組みの策定に当たっては、総合科学技術会議と連携を取りながら、積極的に取り組んでいくこととした。 本議題に関する議員の意見は以下のとおり。

【薬師寺議員】
総合科学技術会議も文部科学省、他省と連携を取り、重点分野推進戦略専門調査会の下にある環境研究開発推進プロジェクトチーム中に、新しいワーキンググループをつくり、我が国における地球観測の戦略を総合科学技術会議でも考えていきたいと思います。 是非、ほかの先生方もよろしく御指導いただきたいと思います。



3.議長(内閣総理大臣)しめくくり発言

  来年度予算編成に向けて、削減するものが多いですが、科学技術予算は増やす方ですから、それだけに各府省の縦割を排して、SABC、重点分野を伸ばすよう、よろしくお願いしたい。
それから、先ほど出たヒトクローンの問題は、本当に難しい。
 いろんな意見があると思う。
 よく幅広い意見を聞いて方向づけをしていただきたい。
 我々では、技術的な専門家ではないので、どれがいいのかわからない点が多いので、よく協議して方向づけをよろしくお願いしたい。
内閣府  科学技術政策・イノベーション担当
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