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第34回総合科学技術会議議事要旨

 


(開催要領)

1.開催日時:2004年1月29日(木)17:15〜18:00

2.場所:総理官邸4階大会議室

3.出席議員

   議長 小泉 純一郎 内閣総理大臣
   議員 福田 康夫 内閣官房長官
 同
茂木 敏充 科学技術政策担当大臣
 同
麻生 太郎 総務大臣
 同
谷垣 禎一 財務大臣
 同
河村 建夫 文部科学大臣
 同
中川 昭一 経済産業大臣
 同
阿部 博之  
 同
大山 昌伸  
 同
薬師寺泰蔵  
 同
岸本 忠三  
 同
黒田玲子  
 同
吉野浩行  
 同
黒川 清 日本学術会議会長
  (臨時)    
   議員 坂口 力 厚生労働大臣
 同
亀井 善之 農林水産大臣
 同
小池 百合子 環境大臣



(議事次第)

1.開会

2.議事

(1)高病原性インフルエンザ等人獣共通感染症問題について
(2)宇宙開発利用専門調査会の検討状況と今後の進め方について
(3)平成16年度の科学技術関係施策について

3.閉会



(配付資料)

(配付資料)
資料1−1 高病原性鳥インフルエンザ等人獣共通感染症問題について−感染症の危機管理について−(PDF)
資料1−2 平成15年度科学技術振興調整費による緊急研究開発等の指定について(案)(PDF)
資料1−3 感染症対策の現状と課題(PDF)
資料1−4 高病原性鳥インフルエンザについて(PDF)
資料2 宇宙開発利用専門調査会の検討状況と今後の進め方について(PDF)
資料3 平成16年度の科学技術関係施策について(PDF)
資料4 第33回総合科学技術会議議事録(案)(PDF)



(会議概要)

1.議事概要

(1)高病原性インフルエンザ等人獣共通感染症問題について

 「高病原性鳥インフルエンザ等人獣共通感染症問題について」について、資料1−1(PDF)資料1−2(PDF)に基づき、岸本議員から説明。
 また、厚生労働省提出の資料1−3(PDF)を坂口臨時議員から説明。
 農林水産省提出の資料1−4(PDF)を亀井臨時議員から説明。
    感染症対策の充実・強化に向け、総合科学技術会議としても、緊急対策のフォローアップ、国際連携、人材育成の各問題を含め、引き続き検討していくこととした。
 また、資料1−2については、原案のとおり決定。
 高病原性鳥インフルエンザの問題の早期解決に向け、関係大臣には引き続き連携して取り組んでいくこととした。
 本議題に関する議員の意見は以下のとおり。
 

【薬師寺議員】
調整費で緊急研究をこれまでいろいろなケースでやってきたが、これからは緊急研究もただ先生方にお渡しするだけではなく、それぞれ国内でいろいろな研究所がやっている中で緊急研究を位置付けて、その後フォローアップはどうなっているかきちんとしていかなければいけない。
 国際的なグローバリゼーションについては、鳥がグローバルであるので、その意味でアジアの連携と、それからWHO、そういうところと今回は十分連携するようになっているが、緊急研究を外に出すときにも国際的な連携と国内的な連携をきちんと位置付けてやっていく必要がある。
 世界に対する日本の貢献という意味でも重要だと思う。



【黒田議員】
こういう感染症研究はいわゆる脚光を浴びている分野ではないが、実は最先端に結び付いたり、安心・安全に関わってくる。
予算はすぐに付けることができるが、人材はすぐ育たない。
幾ら予算を付けてもその道のトップの研究者、あるいはトップをささえる研究者がいないと予算は有効に使われない。
脚光を浴びているときや分野に予算が集中するが、地道な学問の芽をつぶさず研究者を育てることも忘れないでいただきたい。


【河村議員】
人材をどう育てるかという問題だが、これは動物から人へ感染するという時代のため、医学系だけでなく獣医学部との連携も非常に必要になってくると考えており、もう少し力点を置いた人材育成を考えなければならない。
この会議での検討もふまえ、関係省庁とも連携をとって人材育成、それから必要な施策をしっかり実施していきたい。


【岸本議員】
世界的にも、アメリカでも感染症の研究者は少ない。
でも、アメリカは金の力で他の国から引き抜いている。感染症の研究費を倍増している。


【黒田議員】
 省庁の枠を超えてお願いしたい。


【小池臨時議員】
私どもは渡り鳥のルートの解明に当たる予定だが、韓国とはいつも連携をして、渡り鳥の保護のための会議を持っているので、それらをフルに生かしてルートの解明に努めていきたい。


【黒川議員】
 人材もそうだが、やはり現地に普段から行っていることが大事で、例えばJICA、ODAでマレーシアのデング熱と、マラリアの遺伝子解析も3年間やってテクノロジートランスファーしたし、私はタイのJICAのエイズも5年やったが、行ってみるとハーバードプロジェクトとかいろいろなものが入っている。
JICAは人材ではすごく貢献したので評価されているが、人材の育成で現場にどんどん行って育てるということもすごく大事である。


【小泉議長(内閣総理大臣)】
 インフルエンザが79年ぶりというのは、感染は大正時代か。
それで、人にうつって死んだのか。


【岸本議員】
 スペイン風邪も鳥由来といわれていますが、1918年に数千万人。
あれは第1次世界大戦とちょうど重なっている。


【小泉議長(内閣総理大臣)】
 鳥インフルエンザじゃないのか。


【岸本議員】
 それも最初は全部水鳥からうつってくる。
ウイルスは水鳥、アヒルとか渡り鳥には何の病原性もない。
それが豚に入って、そして人間に入って、そこで組み換わる。


【小泉議長(内閣総理大臣)】
 何千人死んだのか。
すごく亡くなっているな。


【岸本議員】
 今度も、人から人への方に替わったらそういうふうになる。
しかし、今は薬が少しできている。




(2)宇宙開発利用専門調査会の検討状況と今後の進め方について

「宇宙開発利用専門調査会の検討状況と今後の進め方について」は、資料2(PDF)に基づき、大山議員から説明。
宇宙開発利用専門調査会では、我が国の宇宙開発をいかなる方向に進めるべきか、その重点化と戦略化に向けて検討を進め、一昨年、平成14年6月の「今後の宇宙開発利用に関する取り組みの基本」の見直しを含め、本年夏を目途に指針を取りまとめていくこととした。
 本議題に関する議員の意見は以下のとおり。


【薬師寺議員】
 ロケットはドイツのナチスのV2から始まり、アメリカのロケットは現在は非常に優秀だが、音はレッドストーンと言ってそのままV2ロケットをつくり始め、ソビエトも皆そうですから、この図の各回のロケットはV2号から分岐している。
 我が国は民生用のロケットの中で科学技術を位置付けている。
中国の有人打上げにやや動揺するが、国家として中国はやや近代途上の国ですから国威発揚が非常に重要である。
我が国はレーダー技術やセンサー技術が強いわけですから、あまり影響を受けないよう、日本の民生技術の強さをしっかりとした方策が必要だと思う。


【河村議員】
H−IIAロケット6号機が失敗し、環境観測技術衛星「みどりII」も運用断念ということを非常に厳しく受け止めており、JAXAが原因究明に努めている。
 H−IIAロケット6号機対策本部を直ちに設置し、宇宙開発委員会において現在徹底的な原因究明をしている。
特に事故原因とその対策の取りまとめに当たっては、開発体制や開発の進め方など、技術面以外のことも意識しながら、予断を持たず徹底した調査審議を進めている。
 宇宙開発は非常に広く、未来の子どもたちにも夢のある開発であり、我が国の存立基盤の一翼を担うという意識を持っている。
日本には日本独自のやり方があるので、自立性を維持しながら研究開発を着実に推進することが大事だと思う。
 宇宙開発では、信頼を早く取り戻したい思いでいっぱいだが、この失敗にひるまずチャレンジ精神を持って挑戦しなければいけないと思っているので、総合科学技術会議でも格別の御支援、御鞭撻をいただきたい。


【中川議員】
この件で御発言しようと思ったが、河村大臣から現在究明中ということで、現在進行形なので言おうと思ったことは言わないが、できるだけ早く、いつごろを目途にするのか聞いた上で、また発言したいと思う。
この問題は我々も非常に大きな問題として関心を持っており、社会的にもいろいろな意味で影響があるので、きちんとした究明が出た段階でもう一度この場でこの議論をさせていただきたい。


【河村議員】
ほぼ目途はつけているが、フィリピン沖に落下したものがあり、その探索を今やっており、これを待って最終的な方針を出したい。
原因究明で何をどうすればいいのか、基本的な設計の問題なのかどうかというところに今きているので、それを見極めたいと思っている。


【小池臨時議員】
地球環境の監視のセンサーを付けており、我々はタクシーのお客とすれば、乗せていただくタクシーの信頼性は重要になってくるので、できるだけ早く事故の原因究明をお願いしたい。
各国での競争の中で、大きな観点で考えなければいけないということはよくわかっているが、よろしくお願いしたい。


【河村議員】
 今、落下物から信号を発しているが、2月いっぱいくらいで途絶える。
それまでにやらないといけないので、急いでやっている。

【大山議員】
今お話のとおり緊急課題が目白押しであり、関係部門と連携し空白期間のミニマイズに努めてまいりたい。




(3)平成16年度の科学技術関係施策について

 「平成16年度の科学技術関係施策について」を、資料3(PDF)に基づき、阿部議員から説明。
 平成16年度予算では、重点4分野に対するシフト、めり張りのある資源配分が実現されつつあるが、平成17年度が第2期の最終年度であるため、更に科学技術関係予算の充実・重点化、システム改革に取り組んでいくこととした。


【麻生議員】
重点4分野の予算額の3年間での伸びは約1,000億である。
 2兆900億のうち約1,000億、伸び率で計算すれば5%前後だと思う。
 他が減っており、それに比べれば伸びていることは確かだが、忘れて困るのは、予算額を見ればこの幅しか増えておらず、重点でめり張りというのは一応評価できるところであって、めり張りのついていない予算かと言われれば、3年間で36%ぐらいが40%になったというところなのではないか。




【阿部議員】
更に各省の御協力を得て増やしていく努力をしなければいけない。
 ただ、13年度は基本計画の1年目で、ゼロ年から比べてどれぐらい伸びているかのデータがない。
ゼロ年は重点4分野がなかったので、推定はできるが、全体としては16年度まで20%ぐらい、あるいは伸びているかという略算もあるが、それは必ずしも正確な値ではない。
4分野全体なので、情報だけになるとまた限られるが、そういう状況であり、更に努力をしなければいけない。




【谷垣議員】
その他4分野が割と伸びている幾つかの要因があり、社会基盤が10.7%伸びているのは防衛研究所で次期哨戒機、次期輸送機、この試作品製作のための経費増が約250億で相当占めている。
 その他4分野の中に大陸棚に関する調査費が104億円入っており、これがかなりのウエートを今年度の場合占める。
これを除くと、その他4分野の伸びはマイナス1%ぐらいである。
エネルギーが伸びているのは独立行政法人の発足に伴って事業の整備といった技術的な要因が入っているので、その他4分野について、今年は膨らんでいる要因がある。




【坂口臨時議員】
私の方のライフ全体に対する評価も話していただいており評価しているが、研究はいろいろあり、多少我田引水になるので言いにくいが、疾病に対する研究は、新しいことが表面に出るわけではないので、評価がされにくい傾向があり、疾病に対する評価は低いグループにほとんど入っている。
 疾病の中にも、今までと同じようなことを続けているのは、私もだめだと思うが、がんの研究とか、新しい疾病とか、どうしても取り組まなければならないのもあるので、今後少し御配慮をいただきたい。




【麻生議員】
鳥のインフルエンザに限らず、自民党の政調会にいるときにやった調査では、国民の最大の関心事は経済、景気かと思ったら、ほとんど最大90何%は不安、いわゆる治安、安心、安全が断トツに高い。女性の方は特に高いと考える。
この種のものも環境、ライフとかは、かなり安全、安心に関わってくる部分で、非常に先進的とはいえ、一番肝心なところは多分そういうところにつながってくると思う。
 第32回総合科学技術会議で、水と空気と2流体を同時に噴射するノズルを使うと水の使用量が4分の1に減る、それから、消火に寄与しない無駄な水量は10分の1に減るとお話しして、消防・防災ロボットの研究開発の2億円をはじめ、研究費が付いたので、先日、立川にある東京消防庁に消防庁と現場視察に行ったが、救助資器材にセンサーを付けて、猛毒ガスの発生を調べ、右は入っちゃいかぬとか、栃木県の黒磯のタイヤ工場火災で中に入っていて活動をした消火ロボットなど、そういったものも安全・安心につながるので、消防庁側も非常に感謝していた。




【河村議員】
今日の新聞に出ていたが、経団連の政策評価で、自由民主党の政策の中でAAが付いたのは科学技術だけだった点については、この総合科学技術会議のイニシアチブのおかげだと思う。
 ただ、第1期の17兆円は一応目標を達したが、第2期計画の24兆円はこれから4年目に向かうが、達成はきつく、これから皆さん相当思い切って伸ばしていかなければならないので、競争的資金も含めて、更なる総合科学技術会議の強力なイニシアチブをお願いしたい。






2.議長(内閣総理大臣)しめくくり発言

 どうもありがとうございました。
感染症問題、更には宇宙開発をどう進めるべきか。
この点は非常に重要であり今後ともよろしくお願いしたい。
 また、科学技術予算は増えているが、SABC、まだまだめり張りのつけ方があるのではないかという御指摘をよく踏まえ、今までの評価と今後の重点分野をどう振り向けていくか、この点もよく現実を見ながら重点分野としてのやり方も検討し、実際の予算に反映できるようにお願いしたい。

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