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第35回総合科学技術会議議事要旨

 


(開催要領)

1.開催日時:2004年3月24日(水)17:28〜18:20

2.場所:総理官邸2階小ホール

3.出席議員

   議長 小泉 純一郎 内閣総理大臣
   議員 福田 康夫 内閣官房長官
 同
茂木 敏充 科学技術政策担当大臣
 同
麻生 太郎 総務大臣
 同
谷垣 禎一 財務大臣
 同
河村 建夫 文部科学大臣
 同
中川 昭一 経済産業大臣
 同
阿部 博之  
 同
大山 昌伸  
 同
薬師寺泰蔵  
 同
岸本 忠三  
 同
黒田玲子  
 同
松本和子  
 同
吉野浩行  
 同
黒川 清 日本学術会議会長
  (臨時)    
   議員 坂口 力 厚生労働大臣
 同
亀井 善之 農林水産大臣
 同
小池 百合子 環境大臣
 同
小野 清子 国家公安委員会委員長
 同
井上 喜一 防災担当大臣



(議事次第)

1.開会

2.議事

(1)平成17年度の重点化の方向性について
(2)今後の地球観測に関する取り組みの基本的について(中間取りまとめ)
(3)科学技術振興調整費について
(4)安心・安全な社会を構築するための科学技術について

3.閉会



(配付資料)

(配付資料)
資料1 平成17年度の重点化の方向性について(PDF)
参考資料1 新産業創造戦略(中間報告)(PDF)
参考資料2 少子高齢社会における科学技術政策の考え方(PDF)
資料2−1 我が国の地球観測の進め方について(PDF)
資料2−2 今後の地球観測に関する取り組みの基本について中間取りまとめ(案)(PDF)
資料3−1 平成15年度科学技術振興調整費による緊急研究開発等の追加指定について(PDF)
資料3−2 平成15年度科学技術振興調整費による緊急研究開発等の追加指定の一部変更について(PDF)
資料3−3 科学技術振興調整費による「高病原性鳥インフルエンザ対策に関する緊急調査研究」の
現在までの主要な成果について(PDF)
資料4 安心・安全な社会を構築するための科学技術について(PDF)
資料5 第34回総合科学技術会議議事録(案)(PDF)



(会議概要)

1.議事概要

(1)平成17年度の重点化の方向性について

 茂木議員と有識者議員を中心として、取りまとめた「平成17年度の重点化の方向性について」を、資料1(PDF)に基づき、阿部議員から説明。
 また、本件に関連して、「新産業創造戦略(中間報告)」について、参考資料1(PDF)に基づき、中川議員から説明。
 また、「少子高齢社会における科学技術政策の考え方」について、資料2(PDF)に基づき、坂口臨時議員から説明。
 今後は、「平成17年度の科学技術に関する資源配分の方針」の作成に向け、更に検討を進め、次回の総合科学技術会議でその素案を示すとともに、各省において平成17年度に重点化すべきと考えている事項について各大臣から御説明をいただき、議論を行うこととした。
 本議題に関する議員の意見は以下のとおり。
 

【麻生議員】
1点目、国際競争力の強化について、ユビキタスは避けて通れないと思う。
 モバイル、IPv6、情報家電といろいろあるが、光ファイバーを含め日本の強みの分野については国際社会で巻き返しの絶好のネタだと思うので、この点は是非と思っている。
 2点目、ITによる安全・安心は非常に大事である。
 これが進めば進むほど信頼とか安全は大事となる。
 今、電子タグなどが出てきているが、BSEなどは、あと10年もすれば昔はこんなことで話題になったんだという話になると思う。
 電子タグなどがあれば後を追えるので、電子タグも安心・安全につながる話でもあり、高齢化社会に向けてロボットなどもタグの関係で出てくると思う。
 最後にもう一点、災害で去年、出光のタンクの話、栃木県のブリジストンのタイヤの工場の火災の話、それから十勝沖地震といろいろあったが、この国は地震国として災害は避けて通れない。
 災害対策の研究開発は大事だと思う。




【河村議員】
1点目は、総額24兆円の第2期科学技術基本計画が17年度に最終年度となるわけですが、数値目標の実現が厳しい状況であり、最大限の努力が必要である。
 2点目は、基礎研究の重要性である。
 小柴先生、田中耕一氏の例のように、基礎研究の成果は人類共通の知的財産であるとともに長期的に大きな経済効果をもたらす。
 これに引き続き力を注ぐことが重要である。
 第3点は、大学改革の視点で、国立大学等の法人化が4月から実施される。
 今後、研究開発型独立行政法人も含め、これらの法人が自主性を生かしながら競争的環境下において積極的活動が進められるように、法人の運営費交付金の十分な確保と競争的資金の抜本的拡充が必要である。
 4点目は、重点4分野や融合領域への取り組みとともに、研究開発基盤の整備、知的財産戦略、産学官連携の強化が重要になってくる。
 5点目は、人材の問題。
 人間力向上のための取り組みの一環として、科学技術系人材について小学校から大学、大学院、社会人に至る人材育成に一層努力していかなければならない。
 最後に、国家戦略として推進すべき重要技術の開発の在り方として、宇宙開発や核融合など、国の技術力、経済力の源泉となる革新的技術について、国益や広義の安全保障の視点も含め推進方策を検討することが極めて重要である。


【亀井臨時議員】
国際競争力を確保する科学技術活動、あるいは安心・安全な生活を実現する科学技術活動の推進は大変重要である。
 特に農業、食品産業においても国際競争力の強化が求められており、農業の構造改革を進めるとともに研究開発の面でも外国に負けない農産物を生産する技術開発を目指していきたい。
 また、鳥インフルエンザ問題を始め食の安全・安心に関する研究にも力を入れていきたい。


【吉野議員】
民の視点から、国の科学技術予算についてコメントする。
 私は自動車にいるが、自動車の技術も大変換をしていく時代になりつつあり、電気自動車、ハイブリッド、燃料電池、あるいは衝突を事前に防止する自動ブレーキの技術開発が大変盛んに行われている。
日本大手3社の研究開発費は、1兆5,000億である。
3年前は1兆円で、1.5倍に増やしている。
これは研究開発の減税のインセンティブなども追い風になっている。
我々は今、前門の虎、後門の狼、要するに先進国と中国の追い上げの中でどうやって勝ち抜いていくかを最大限に注目している。
 今、競争力を高めることがどうしても必要ということで長年頑張っており、例を挙げると、チェコに総理にお共したアシモは歩けるまで10年かかった。
 去年の暮れ、自社開発のジェットエンジンの飛行機を飛ばしたが、これをスタートしたのは1986年で、やはり十数年かかった。
 燃料電池は、本当にこれはものになるかまだわからないが、長い間やっていると非常に進歩する。
零下20度までOKになり、コンパクトで高出力のものが自社開発できた。桃栗3年ではないが、時間は必要で、是非とも予算の強化と長い目でみた温かい御支援をお願いしたい。


【谷垣議員】
 重点化の方向は大変結構な方向だと思うが、更に役所間の縦割りの弊害を乗り越えて連携をしていく御努力をお願いしたい。
 予算については重点的に科学技術に付けているつもりである。
表を見ると2001年までだが、2年、3年、4年はGDP比0.81か82くらいであり、先進国並みの水準を確保する目標はある意味では達成されつつあると思う。
そうなると、質の問題になってくると思う。
それで、きちんと中間評価、事後評価をやって、次に生かすべきだということは一般論としては言われているが、もう少し何か具体的に打ち出していく必要があるのではないか。
 それから、ビッグプロジェクトとか長期間かかるものは、国の研究開発の評価に関する大綱的指針をつくっているが、あれを受けて中間的評価をきちんとすることを義務付け、概算要求前に実施し、評価に際しては客観性を保つために他分野の専門家も交えて議論をすればどうかと思う。



【阿部議員】
大臣からそう言っていただくと非常にありがたい。
0.82のところだけは我々の試算の方が低く推定をしており0.72くらいなので、0.82くらいになることはありがたいと思う。
 先進国の水準の低い方には少なくとも達しましたので、今後どうやっていくかは今言われた方向でやっていくのが私もいいと思う。


【茂木議員】
  より具体的な分野の打ち出しについては、今週、有識者議員の先生方と議論したところであり、今後更に内容を詰めていきたい。



(2)今後の地球観測に関する取り組みの基本的について(中間取りまとめ)

環境研究開発推進プロジェクトチームにおいて調査・検討し、中間取りまとめを行った。
「今後の地球観測に関する取り組みの基本的について」を、資料2−1(PDF)資料2−2(PDF)に基づき、薬師寺議員から説明。
資料2−2(PDF)の「今後の地球観測に関する取り組みの基本について中間取りまとめ(案)」ついては、原案どおり決定し、総合科学技術会議から小泉総理及び関係大臣に対し意見具申することとした。
関係大臣においては、この意見具申に沿って国内の統合的な地球観測のシステムの構築、国際連携・協力の推進に向けて協力いただくようお願いした。
 また、今後は具体的な各論の検討を進め、年内を目途に最終取りまとめを行うこととした。
 本議題に関する議員の意見は以下のとおり。


【小池臨時議員】
 地球観測は当然、極めて重要だと考えているが、2点ほど加えたい。
1点目は、観測をする際に衛星に乗せるわけだが、残念ながら観測衛星の確実さの確保が何よりも必要である。
 2点目は、各国との連携で、環境省ではアジア・太平洋地域での途上国とともに地球観測に関しての能力開発を推進しているので、一層の連携を持って取り組みたい。


【河村議員】
地球観測サミットは4月25日に東京で行われる。
 これは、エビアン・サミットでの小泉総理の御提唱によって行われ、多数の閣僚級出席者を得て、全地球を対象とする地球観測の実施計画の枠組みを構築するものである。
 今回は、私が議長を務め、総理にも出席をお願いしているが、関係閣僚または議員の皆さんには、このサミットの意義を理解いただき、成果が得られるようにご協力賜りたい。


【茂木議員】
衛星打上げの確実性の確保については、H2Aロケット1については残念ながら失敗があったが、今後は技術面だけではなく責任体制の問題、それから宇宙利用開発全体における基幹ロケットの位置付けに関する議論を十分行った上で、再開に向けての準備を文部科学省等と連携しながら進めたい。




(3)科学技術振興調整費について

 鳥インフルエンザ問題について、平成15年度科学技術振興調整費による緊急研究開発等の追加指定を資料3−1(PDF)資料3−2(PDF)に基づき、茂木議員から説明。
 これまでの主要な研究成果についても、資料3−3(PDF)に基づき、茂木議員から説明。
 また、今後の科学技術振興調整費の取扱いについては、総合科学技術会議の開催を待たず、科学技術政策担当大臣が有識者議員、文部科学大臣及び関係大臣の意見を聞いて配分方針などの作成等を行い、直後の総合科学技術会議に報告することとした。




(4)安心・安全な社会を構築するための科学技術について

 「安心・安全な社会を構築するための科学技術について」を、資料4(PDF)に基づき、薬師寺議員から説明。
 今後は、安心・安全な社会を構築可能とする具体的な科学技術政策の立案に向けて、更に検討を進め、年内を目途に取りまとめを行うこととした。
 本議題に関する議員の意見は以下のとおり。


【小野臨時議員】
昨年12月に犯罪対策閣僚会議で策定された、犯罪に強い社会の実現のための行動計画でも、安全・安心な社会の構築に資する科学技術の強化がうたわれており、警察でも総合科学技術会議その他の機会を通じて第3期科学技術基本計画の充実に向けて貢献をしていく所存である。
 基本計画の策定に当たっては、現行の基本理念である安心・安全で質の高い生活のできる国を大いに発展させ、犯罪、テロ対策等も含めた幅広い観点からの検討をお願いする。



【麻生議員】
ITの話になると非常に幅広くなるが、逆にもっと幅を広げて、例えば今、障害をお持ちの方が、北海道ならば北海道のその地域にあるウェブを使って活動している。
 クリックすれば全部つながっているが、引っ越し、もしくは結婚し、東京に来たらその機械を使えない。
 全部つながるよう、ウェブを横で使えるようにしようということが今、始まっているが、これがユニバーサルにできていく。
 環境も含め、道路、橋、鉄道、すべて1台のもので使えるようにすることが大事だと思う。
 そこで、このところは少なくともユニバーサルにだれでも参加できるところ、例えば飛行場にしても障害の有無に関わらず、だれでも行ける。
 そういうことのための公共工事や技術が重要。
 私どもは安心・安全というと何となくセキュリティというのではなく、総合科学技術会議ですから、だれでも安心して参加できるという安心・安全といった視点も入れていただきたい。




【亀井臨時議員】
安心・安全な社会を構築するための科学技術は、危機管理の対応策として、私ども鳥インフルエンザ、BSE等の問題に取り組んでいるが、極めて重要である。
 また、鳥インフルエンザについては、更に情報の収集、分析、感染経路の解明に努力をしていきたい。



【大山議員】
さまざまな脅威というのは、一端事が起こった場合は経済的にも社会的にも計り知れない国民的な損失を引き起こすと思う。
したがって、まだ表面化していないさまざまな脅威を積極的に可視化して、国民コンセンサスの下でトップダウンによる先手必勝体制づくりが必要である。
 今後起こり得る各種の脅威を迎え撃つ技術の先鋭化がこれに当たると思うが、こういった体制づくりがいま求められている。
例えば、2002年度のコンピュータウイルスによる被害額想定だが、ある統計によると4,400億円くらいに及んでおり、是非こういった取り組みが必要だと思う。




【黒川議員】
日米のワークショップ安全と安心でアカデミーの参加の重要性と書いているが、米国アカデミーが9月11日のテロの後に報告書、「メイキング・ザ・ネイション・セイファー」を出した。
その委員長のブランスコム博士がこの委員会に来たので、私も一緒に出席して省庁とは別にアカデミー同士の協議を今、始めるという議事録も出ている。
どういうフレームでするかを議論しているところであり、また応援いただきたい。



(報道陣入室)
(顔認証技術のデモンストレーション開始)




【薬師寺議員】
日本の比較優位なところは顔認証、それからバイオメトリックスの部門である。
米国と欧米と非常に競っているが、今、非常に強いところである。
 まず総理がパソコンの中に重要なデータを持っていると仮定し、最初に総理が使っている登録をする。
総理は何かキーを押してください。
総理が持っている重要なデータを、茂木大臣を大変申し訳ありませんが、犯罪者としてそのデータを取ろうとする設定である。
今、総理のデータを盗みたいということで、茂木大臣は総理のパソコンを使ってください。



(警告音鳴る)



【薬師寺議員】
茂木大臣が総理のパソコンのデータを盗もうとする茂木大臣の顔も記録して、後で使います。
これが第1点です。
 次は群衆の中からテロリストを発見するデモである。
再度申し訳ありませんが、茂木大臣にテロリストになっていただく。
茂木大臣の顔は登録している。
ほかの方が今カメラに映っても問題ないが、茂木大臣にカメラが向くとテロリストと認識して警告音が出る。



(警告音鳴る)



【薬師寺議員】
顔認証であり、茂木大臣の顔を登録し、ほかの方はテロリストではないことが判明した。
 次に、茂木大臣が変装をしてテロリストとして入国をしたいということで、今、茂木大臣に変装をしてもらう。



(警告音鳴る)



【薬師寺議員】
これだけ変装をしてもわかる。
 最後のデモであるが、犯罪者が若いときの写真で入国したり、パスポートを取得したりする。
年を経て同じ人かどうかはわからないが、それを認証する。
本人のデータが入っており、一番左が本人で、若いときの写真と同じである。
その次に似ているのが順位の2番の人で、順位3番の人はその次に似ている。
認証の順番に顔写真のデータから本人を当てはめるということである。



【茂木議員】
仕掛けがあると思われるといけないので、少し違う例をお願いします。



【薬師寺議員】
これは総理が入閣したときの写真で、若いときの写真で、総理の最近の写真もデータベースの中に入っている。
たくさんのデータの中から瞬時に入国の犯罪者を見つける。
 そうすると、総理は順位が1番で、順位2番の人はこれをつくった会社の20歳の会社員で、総理のあの写真と非常に似ている。
総理、どうですか。
 このように、顔認証の技術は国境沿いのテロリストをはじいたり、犯罪者の検挙に役に立つことで日本が強い場面である。




【小泉議長(総理大臣)】
変装してもだめだということですね。



【薬師寺議員】
若づくりしてもだめだということです。



【茂木議員】
顔認証はこれからパスポートなどにも使えると思われます。



【薬師寺議員】
今は真っすぐ顔を映しているが、新しい技術で、三次元で角度を変えても本人と認識する技術が進んでいる。
少し横を向いてもわかる。




3.議長(内閣総理大臣)しめくくり発言

 まず、17年度の重点化の方向だが、日本の科学技術がすごいことを広島の視察で改めて認識した。
 精米機が砂、ガラスの破片、虫、どんな小さいものもきれいになったお米に混ぜると余分な異物をはじいていく。
 これを自動車のバンパーに使っているそうだ。
 バンパーに付いている色を全部はじいてリサイクルできる。
 この世界の市場の90%以上をこの中小企業がシェアを持っている。
 こういう科学技術は我々の暮らしにも非常にいい影響を与えている。
 今後とも17年度の重点化については、戦略的に重点化していただきたい。
 それから、安心・安全な社会を構築するための科学技術は、テロの防止にも非常に役立つと思うので、この分野は今後、非常に大事なものだと思う。
 方向づけをお願いしたい。
 更に地球観測に関する点は、サミットでも触れられた課題だが、関係府省一体となって総合的な地球観測システムを推進していきたい。
 国際協力体制の構築にも積極的に取り組んでいただきたい。

内閣府  科学技術政策・イノベーション担当
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