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第36回総合科学技術会議議事要旨

 


(開催要領)

1.開催日時:2004年4月27日(火)17:30〜18:32

2.場所:総理官邸4階大会議室

3.出席議員

   議長 小泉 純一郎 内閣総理大臣
   議員 福田 康夫 内閣官房長官
 同
茂木 敏充 科学技術政策担当大臣
 同
麻生 太郎 総務大臣
 同
河村 建夫 文部科学大臣
 同
中川 昭一 経済産業大臣
 同
阿部 博之  
 同
大山 昌伸  
 同
薬師寺泰蔵  
 同
岸本 忠三  
 同
黒田玲子  
 同
松本和子  
 同
吉野浩行  
  (臨時)    
   議員 坂口 力 厚生労働大臣
 同
亀井 善之 農林水産大臣



(議事次第)

1.開会

2.議事

(1)平成17年度の科学技術分野の資源配分方針と重点項目について
(2)地球観測サミットの結果について

3.閉会



(配付資料)

(配付資料)
資料1−1 平成17年度の科学技術に関する予算、人材等の資源配分の方針(案)[概要](PDF)
資料1−2 平成17年度の科学技術に関する予算、人材等の資源配分の方針(案)(PDF)
資料2−1 麻生議員提出資料(PDF)
資料2−2 中川議員提出資料(PDF)
資料2−3 坂口臨時議員提出資料(PDF)
資料2−4 資料(国土交通省)(PDF)
資料2−5 河村議員提出資料(PDF)
 河村議員提出資料(参考資料)(PDF)
資料2−6 亀井臨時議員提出資料(PDF)
資料2−7 資料(環境省)(PDF)
資料3−1 地球観測サミットの結果について(PDF)
資料3−2 世界最高速のスーパーコンピュータ 地球シミュレータ(PDF)
資料4 第35回総合科学技術会議議事録(案)(PDF)



(会議概要)

1.議事概要

(1)平成17年度の科学技術分野の資源配分方針と重点項目について

 茂木議員と有識者議員を中心として、取りまとめた「平成17年度の科学技術に関する予算、人材等の資源配分の方針(案)」を、資料1−1(PDF)資料1−2(PDF)に基づき、阿部議員から説明。
 また、各省における平成17年度の科学技術分野の重点項目について、資料2−1(PDF)に基づき麻生議員から説明。資料2−2(PDF)に基づき中川議員から説明。資料2−3(PDF)に基づき坂口臨時議員から説明。
資料2−5(PDF)に基づき河村議員から説明。
資料2−6(PDF)に基づき亀井臨時議員から説明。
 なお、国土交通省の資料2−4(PDF)、環境省の資料2−7(PDF)は配付のみ。
本日の各大臣からご説明のあった重点項目及び意見等を踏まえ、引き続き私と有識者議員を中心にして、更に検討を深め、次回の総合科学技術会議で平成17年度の科学技術に関する資源配分方針を決定することとした。
 本議題に関する議員の意見は以下のとおり。
 

【薬師寺議員】
中川大臣の新産業戦略は非常に重要だが、その中で一番重要なのは、技術革新を日本はどんどん進めていかなければいけない。
 技術革新は、私の持説だが、植木の接ぎ木みたいなもので、植木があると全然違ものを接ぎ木する、これぐらいの独創的な発想が必要である。
 液晶の世界でも最近は印刷会社がフィルム等に貢献しており、フィルムの液晶も印刷会社がつくっている。
 いわゆるメインストリームの幹の横に接ぎ木をつくるぐらいの施策を頑張っていただきたい。



【岸本議員】
坂口大臣、河村大臣、亀井大臣から感染症の話があったが、科学技術予算、あるいは施策は、省庁の壁を越えて統合することが、最も選択と集中、効率化には重要だと思うが、その点で、感染症が最初のスタートのモデルとしては、非常にいいのではないかと思う。
アメリカでは、例えば、NIHにおいてはライフ、バイオの研究に対するファンディングは全部1つに統合してやっている。
 私はBT戦略会議のときに、そういう仕組みをつくるように言ったが、早急に検討するとなっている。
 もしそういう方向に向かって進むと、総合科学技術会議ももう少し司令塔としての役割を果たせると思う。


【黒田議員】
 2点申し上げます。
 1点目は、鳥インフルエンザとかSARSの脅威だが、これから学ぶべきことの1つは、予算というのは緊急で付けることができるが、学問や人材の育成は促成栽培できないことである。
最先端の分野ではないといって、地道な学問がおろそかにならないようにしなければいけない。
 ブレークスルーを起こす技術が求められているが、基礎研究は10年、20年の歳月を必要とすることがあることもよく知られている。
そこで、競争的資金の一層の拡充とともに、大学改革の推進を踏まえつつ国立大学の運営交付金や私学助成などの教育研究基盤を支える経費の充実も必須、つまり両方、デュアルサポーティングシステムが重要であるので強調させていただく。
第2番目は、各省のほとんどの大臣から共通して安心・安全な生活の実現というのが盛り込まれていた。
 一歩下がって考えると、安心と安全は必ずしも同じではないと思う。
 我々はとても安全と思えないことに安心したり、逆に結構安全だと思えることにも安心できないと感じることがある。
この世の中に100 %安全なものはないし、すべてのものには多かれ少なかれ、リスクとベネフィットがあることを理解しなければいけない。
 科学技術が最先端になればなるほど、一般国民は理解ができないので一層不安になる。
 そこで、安心・安全な生活のための科学技術予算といっても、その成果が国民に受け入れられなくては意味がないので、科学技術最先端を進めると同時に、国民への説明責任、それから国民からの意見も聞かせていただき、双方向性のコミュニケーション、それから科学に関心を持ち、科学的ものの考え方ができる市民社会の育成といった、科学技術の活動を支える基盤の充実にも、是非省庁を越えて協力、推進していただきたい。


【松本議員】
 材料に関連して申し上げる。
 これまでの重点4分野の中で取り上げられているナノテク材料の分野で、材料に関して強調されるのは、先端的な性質を持った新しい物質、例えばカーボンナノチューブとか光触媒が非常に強調されている。
 確かに重要だが、それと同時にこれからの社会、20年、30年先まで考えると、環境に悪い影響を与えない材料がこれから大事になってくる。
確かに、環境絡みの材料は、環境負荷の少ない製造技術とか、製造プロセス等に関しては、環境という視点が強くうたわれているが、これを更に進めて、これからの時代は新しい材料につくるに当たっては、使用後に処理が楽であるか。
 あるいは、処理に関してエネルギーを使わないとか、CO2 が出ないとか、リサイクルの過程までを考慮して新しい材料、新しい物質を開発しなければいけない。
 そこまで進めて考えないと、環境問題は解決しない。
 いよいよ心配が増すおそれがあるので、大学と産業界とが手を取り合って開発体制を強化していかなければいけないと思う。


【吉野議員】
 2点申し上げる。
 1点目は、私どものビジネスに最も近い経済産業省のプレゼンテーションについてだが、将来有望な産業の分野として、提示された5分野ないし7分野には違和感はない。
 ただし、私どもが感じるのは、この分野は既に民でもかなり活発に動いている分野であり、官と民が役割を分担しながら全体としてうまく進めることに配慮していただきたい。
具体的には、例えば、燃料電池、活発に開発をやっているが、水素はハンドリングしにくい物質であり、私どもは走行距離を伸ばすためにタンクを高圧にしていくことをやっている。
 非常に気になるのは、どういう試験法でどういう評価基準ならこの水素を取り扱うシステムは安全なのかが、難しい問題であり、官に相当力を発揮していただきたい分野なので、民が何をやろうとしているのかをよく理解した上で、民とラップしないよう官のとりまとめをお願いしたい。
2点目は、農水関係について、今日大変感銘を受けたのは、これからは攻めると、つまり輸出競争力を持てる農産品を開発していくのは、今までとは相当違ったスタンスであり、期待している。



【茂木議員】
 具体化している分野での、官と民の役割分担というのは、大変重要なポイントであると思う。


【阿部議員】
 財政大変厳しい中、各大臣は、予算、人材等の計画に大変なご苦労をされていると思うが、科学技術は、各国ともしのぎを削っており、是非とも更にめり張りを付けつつ強化していただきたい。
特に麻生大臣からは、戦略的重点化は不十分ではないかという話を今日で3回いただいたが、今の予算システムの中で、私どもも頑張っていくが、めり張りを付け、強化するのは各省の判断によるところが極めて大きいので、是非よろしくお願いしたい。
 私どもも頑張ります。


【大山議員】
 まず、中川大臣について、戦略産業群を出口とした研究開発の重点化を述べられた。
 先ほどから出ている、強いものをより強く、また成果を確実にするといった視点で大変重要だと思う。
一方、こういった政策を進めるに当たっては、関連する技術や産業に関して、常に諸外国との比較競争優位を明確にして取り組むことが大事だと思うので、こういった視点への注力も併せてお願いしたい。
次は、麻生大臣について、情報通信分野における我が国の競争優位戦略として、ユビキタスネットワーク社会に軸足を置くというお話をされたが、同じく強いものをより強くするといった視点で、大変重要だと思う。
一方、この分野では、技術の覇権争が世界規模で激化している。基盤技術の先鋭化とともに、技術のデファクト化や世界標準獲得に向けた戦略的な取り組み強化が重要であり、こういった視点への注力をお願いしたい。



【中川議員】
 薬師寺先生が言われたように、我々が目指している技術革新は、2、3年でキャッチアップされるものではなく、20年、30年は先端を走れるものをつくり続けるというものである。
80年代にアメリカの経済が停滞したときに出されたヤングレポートは、20年、10年前に世界のトップだった米産業の多くが競争力を失った危機感を背景に、米産業の競争力の強化のために出されたものであった。
 我々はもう一度これを勉強し直し、日本版ヤングレポートとして新産業創造戦略を考えている。
 ここでは、例えば異業種のインテグレートや大企業と中小企業のインテグレート、学際の共同研究、これは大学間だけではなく、高等専門学校とか、工業学校とかを含むが、そういうレベルまで含めた学際的なインテグレート、さらには、官民の協力などのあらゆるソースをミックスした特別の秘伝のタレのようなものを、20年、30年をタームにして作っていくということを基本にしている。
ただ、1つ重要な条件は、知的財産権を盗まれないことである。
 先ほどの農水大臣の遺伝子組換え特許技術の話があったが、大いに頑張ってほしいが、同時に守るべき権利なり財産は守るということを並行してやらないといけない。
 いずれにしても、独創的な接ぎ木を目指して頑張っていきたい。



【茂木議員】
 ヤングレポートは、アメリカが1980年に自動車の生産で日本に抜かれて、相当な危機感を持ってつくり出して、84年にまとめたもの。


【麻生議員】
 黒田先生から安心と言われたが、国民の世論調査をすると、3年前から国民の最大の関心事は安心、治安、安全である。
安いといって食べたら、それは化学薬品が入っていたとか、そういったことに関心が高く、各省庁そういうのを見ればそういったものに傾斜すると思うので、ユビキタス等の技術が発展し、この国は安心で、高齢者や要介護者にとっても住みやすい、高齢化しているが活力ある、そういった国を考える場合に、私どもはe−Japanの次にu−Japanと、私どもとして一生懸命になり、2010年までにはユビキタス社会として、世界最先端となるべく取り組んでいきたい。
 今、言われたように産学官でうまくやり、学と産と重なって、コンピートする部分も必要だが、ハーモナイズ、一緒に協調することも必要で、基本的な基準とかスタンダードは、きちんと国で行い、企業でもやることはやっていくという、吉野先生の話はそういうことだと思うので、よく情報を交換しながらやっていかなければいけないと思う。



【小泉議長(内閣総理大臣)】
 技術を大事にしろという話が出たが、ものづくり大学はどうなっているのか。
 ものづくり大学があるのに、そういうのをやってないのか。


【中川議員】
 ものづくり大学は、地域にあるが、他方、企業内学校も結構優秀な技術を持っているし、高等専門学校では、ロボットコンテストなども行われている。
 ものづくり大学を含めて、いろんな資源が日本にはまだ多く眠っている感じがする。


【小泉議長(内閣総理大臣)】
 麻生さんが話したフランスの鉄鋼で日本人が、ものづくりで、大学を出てない、名人というか職人ですごかった話はどうか。


【麻生議員】
 タタというインド最大のコングロマリットがあるが、冷圧延の機械をフランスに発注した。
 できた、動かした、ばたっと止まる、おかしいじゃないかと言ったら、うちはつくるまで約束したので、オペレーションは契約に入ってないと、大体フランス人と付き合ったことがない人はこれでみんなだまされるが、頭にきたタタはその技術を日本で動かしてくれ言った。
 それを受けたのが、新日本製鉄、八幡製鉄所で、送った技術屋はたった2人、いずれも大学を出てない、かなり年配の方で、持っていった道具は両方ともすりごぎみたいな鉄棒が2本、それを聞いて現場に行った。
 大勢の沈黙の中で流してくれと言ったら流れて来た、止まった、「いつもここか」と、その人が発言した言葉はそれだけだそうだ。
 いつもここかと言ったら、そうだと、そこだと言ったら、相方を呼んで「よっちゃん、7番、8番」といって、「7番じゃろう」と言って、いきなりそのすりこぎでたたいたら、するすると流れてきて、えらい騒ぎで喜んだそうだ。
 鉄の技術屋さんには当たり前の話で、たたき上げの技術屋には当たり前だという話だが、それだけで新日鐵は何億円の技術指導力料をもらった。
 これは本当の話である。
 これは新日鐵の副社長になられた方の話だが、さっきのマイスターの話とつながるのだが、陰で見えない日本の技術を支えているのはそういう人たちなのではないかと、たまたま昨日総理に申し上げたという話である。


【吉野議員】
 かつて日本は技能オリンピックで世界を席巻した。
 ところが、バブル期あたりから、またずっと低下して、韓国などにやられたが、最近また日本が元気になって復活してきた。
 コンテストなどをうまく活用するのは、基盤技術を強めるのにいい手段だと思う。


【小泉議長(内閣総理大臣)】
 ここに自動車と書いてあるが、精米機の虫とかガラスとかゴミをはじく、あれでバンパーを使っている。
 バンパーが一番自動車事故を起こすわけでしょう。
 バンパーにペンキが付いている。


【吉野議員】
再生するときに困る。


【小泉議長(内閣総理大臣)】
 その再生に困るから、精米機でゴミや虫やガラス破片をはじく技術が、バンパーの塗料をはじいて、もとのものだけ残し、リサイクルできる。
 精米機の技術が自動車会社のバンパーのリサイクル技術に使われて、世界の90%以上のシェアを持っている。
 広島の会社だが、ホンダも使っているのか。

【吉野議員】
多分使っている。

【小泉議長(内閣総理大臣)】
もうとんでもない、考えられないような技術を別の分野に使うのだね。



(2)地球観測サミットの結果について

 4月25日に開催された第2回の地球観測サミットについて、議長を務めた河村議員から、この結果について、資料3−1(PDF)に基づき説明。
また、本件に関連して、世界最高速のコンピュータである「地球シミュレータ」について、資料3−2(PDF)に基づき、薬師寺議員から紹介。
 本議題に関する議員の意見は以下のとおり。
 

【茂木議員】
 地球シミュレータは、これまではできない、大変高精度なシミュレーション能力を生かした地球の温暖化の将来予測を始め、それ以外にも安心・安全な社会など、さまざまな分野への応用が可能であり、積極的に進めたいと思う。
 一方、この分野は国際競争も激しくなっており、日本が国際的な優位を維持し、更に伸ばすことができるよう、積極的に取り組みを進めたい。


【小泉議長(内閣総理大臣)】
これが地球シミュレータに関係あるのか。


【薬師寺議員】
 それ1つだけで、大体スーパーコンピュータを2,000万円ぐらいで売ることができる。
 他にいろいろ付くが、それが心臓部で、5,120個入っている。


【小泉議長(内閣総理大臣)】
この中に。


【薬師寺議員】
 それと同じものが5,120個、地球シミュレータに入っている。
 ものすごい計算力を持っている。


【小泉議長(内閣総理大臣)】
我々の頭では計算できないな。




3.議長(内閣総理大臣)しめくくり発言

 今日は本当にありがとうございました。
 勉強になった。皆様には、めり張りのある資源配分方針案を作成していただき、今までの御努力に感謝している。
 この地球シミュレータ、我が国は大変最先端の分野を走っているが、今後とも国際競争力のさらなる強化を戦略的に目指していくことが大事だと思う。
 今後とも国全体としての方針策定について、よろしく御指導・御鞭撻お願いしたい。
内閣府  科学技術政策・イノベーション担当
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