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第38回総合科学技術会議議事要旨

 


(開催要領)

1.開催日時:2004年7月23日(金)14:31〜15:37

2.場所:総理官邸4階大会議室

3.出席議員

   議長 小泉 純一郎 内閣総理大臣
   議員 細田 博之 内閣官房長官
 同
茂木 敏充 科学技術政策担当大臣
 同
麻生 太郎 総務大臣(代理 山口 俊一 総務副大臣)
 同
谷垣 禎一 財務大臣
 同
河村 建夫 文部科学大臣
 同
中川 昭一 経済産業大臣
 同
阿部 博之  
 同
大山 昌伸  
 同
薬師寺泰蔵  
 同
岸本 忠三  
 同
黒田 玲子  
 同
吉野 浩行  
 同
黒川 清  
  (臨時)    
 同
坂口 力 厚生労働大臣
 同
亀井 善之 農林水産大臣
 同
井上 喜一 防災担当大臣



(議事次第)

1.開会

2.議事

(1)平成17年度科学技術関係予算の改革について
(2)ヒト胚の取扱いに関する基本的考え方について
(3)科学技術関係人材の育成と活用について

3.閉会



(配付資料)

(配付資料)
資料1−1 平成17年度科学技術関係予算の改革について(PDF)
資料1−2 平成17年度科学技術関係予算の改革について(案)(PDF)
資料2−1 ヒト胚の取扱いに関する基本的考え方について(PDF)
資料2−2  ヒト胚の取扱いに関する基本的考え方について(案)
表紙(PDF)
目次(PDF)本文(PDF)
資料2−3 ヒト胚の取扱いに関する基本的考え方について(案)
添付資料(目次(PDF)(1)(PDF)
資料2−4 ヒト胚の取扱いに関する基本的考え方について(案)
参考資料目次(PDF)(1)(PDF)(2)(PDF)(3)(PDF)
(4)(PDF)(5)(PDF)(6)(PDF)
資料3−1 科学技術関係人材の育成と活用について(概要版)(PDF)
資料3−2 科学技術関係人材の育成と活用について[案](PDF)
資料4 第37回総合科学技術会議議事録(案)(PDF)



(会議概要)

1.議事概要

(1)平成17年度科学技術関係予算の改革について

茂木議員と有識者議員を中心として検討した「平成17年度科学技術関係予算の改革について」を、資料1−1(PDF)に基づき、阿部議員から説明。
資料1−2(PDF)の「平成17年度科学技術関係予算の改革について(案)」ついては、原案どおり決定した。
関係大臣においては、本決定に沿い、科学技術関係予算の改革実現に向けた協力をお願いした。
 本議題に関する議員の意見は以下のとおり。
 

【河村議員】
いよいよ第2期基本計画の最終目標のところにきた。 目標達成を24兆円と見るか、22兆円と見るかはあるが、相当な努力が要るので、政府一丸となって取り組み体制をつくっていく必要がある。
競争的資金の拡充について特に強調しているが、科学技術関係予算全体は5月26日のこの会議で決定した資源配分方針に則り、引き続き政府投資を一層充実していかなければならない。
 一方、科学技術活動の持続的発展のためには、基盤的な経費の確保も必要である。
また、様々な課題への資源配分がバランスよく行われなければならない。
資源配分方針の中にもうたっているが、競争的資金の拡充と併せて独立行政法人とや国立大学法人の運営費交付金のような基盤的経費、基礎研究的も含まれるが、これは両方、相持たなければいけないと思う。
競争的資金の拡充については、競争的な研究環境をつくっていかなければならないので、具体化する意味で、私としても全力で取り組む課題だと思う。
特に17年度の更なる拡充だが、これは第3期基本計画も視野に入れつつ、競争的資金の原点というか、競争的な研究環境の形成に資する制度はどういう要件なのかという基本的問題についても検討する必要があると思う。
競争的資金の更なる拡充の考え方の中に、今、文部科学省はいろいろ取り組んでいるが、今後どう取り組んでいくかは、競争的資金とは一体何かということをもう一度検討する必要があると思っており、総合科学技術会議において検討を特に要請したいと思っている。



【亀井議員】
科学技術連携施策群の創設は、これまでもバイオマスの推進、あるいは鳥インフルエンザの対応等、関係府省と連携により進めており、関係府省間の重複排除・連携強化、この観点から大変有意義であると思う。
 今後とも関係府省との連携を密にしたい。
 競争的研究資金については、これまでも積極的に拡充に努めてきたが、これら農林水産分野の競争的研究資金は、競争倍率も非常に高く関係者からも高く評価されている。
 平成17年度においても、こうしたニーズに応えるために、競争的研究資金の一層の拡充に向け努力したい。


【山口総務副大臣】
 連携施策群の推進、競争的研究資金の拡充などは、大変すばらしいと思う。
 ただ、SABCについて、「C」を削るのはよくある話だが、「S」に集中的にすることがなかなかできていないので、重要課題への重点的な投資をしっかり実現することが大事だと思う。
 そのためにも、重点投資を実現するための予算の裏付けにつながるスキーム、これがないことが非常に大きいと思っており、何とか明確にする必要があるのではないか。
 例えば、資料にもあるが、連携施策群の実施に関しては科学技術振興調整費をより積極的に活用して欲しい。
 競争的研究資金については、各省における拡充への取り組みは、これも実現するための仕組みをより明確にする必要があると感じるので、具体的なスキームを、茂木担当大臣のリーダーシップのもとに早期に確立できるようお願いしたい。



【谷垣議員】
  科学技術予算については、これまで傾斜的というか、量的にも拡充してきており、質的な向上という点についても、総合科学技術会議等で工夫をしてきたわけだが、今の財政事情を考えると、もちろん聖域というわけにはいかないので、これからは、量的な拡大から、一層の効率化とか、質的な拡充に、だんだん軸足が移ってこざるを得ないと思う。
 そう考えると、重複排除の徹底とか、連携の強化が大事だという指摘は、極めて大事な課題だと思うので、提案のように、科学技術連携施策群は、極めて意義のある提言だと思うので、こういう中で改善されていくことを期待する。
 我々も予算編成の過程で総合科学技術会議と緊密に連携をとり、メリハリを付けていきたい。
 競争的研究資金だが、配分のあり方の見直し等によって、その効果をどうやったら最大限に発揮できるか制度面からの検討が不可避だと思う。
 それから、150 %という数値目標を掲げているが、査定する当局としては、まだ、具体的な予算要求のない中で、いきなり150 とはいかないので、一つ一つ要求内容を吟味し、また議論を行い、結果としてどうなるかだと思うので、あらかじめ150 %を、すぐ「そうだね」とはいかない。


【坂口臨時議員】
  阿部議員が先ほど示した総論は、全く私もそのとおりだと思っており、賛成したい。
 ただ、競争的研究資金については、既に平成16年で、厚生労働省では31%競争的な資金になっているが、平成12年に比較すると9%しか増えていない。
 なぜならば、感染研究所や、がんセンターなどの予算もすべて、科学技術関係経費に入り、がんセンターや、感染研究所などに、学者先生をきちんと置くことも経費に入る。
 その経費を競争的にするのは難しい側面があることを、理解して欲しい。
 しかし、総論として、競争的な分野を増やさなければならないのは、そのとおりだと思うで、そのようにしたいと思う。



【岸本議員】
 前回の本会議で述べたが、我が国の科学技術予算は、この5年間でGDP比にして先進国並みになってきた。
 しかし、競争的研究資金というカテゴリーで見ると、わずか全体の約1割にしか過ぎない。
 これは欧米諸国の30%と比べると、はるかに少ない額である。
 日本の科学技術を支える最も重要なところは大学である。
 大学に更に競争的な研究環境を醸成するのは非常に重要である。
 先ほど文部科学大臣が言われたように、確かに基盤的に大学を支える運営費交付金と競争的研究資金のバランスが非常に大事である。
 しかし、運営費交付金の一部を競争的研究資金に回したから大学の教育環境が損なわれるかという議論があるが私はそう思いません。
 例えば、アメリカの例を見ると、有名な大学のほとんどの大学院教育はトレーニンググラントによって支えられている。
 強大なトレーニンググラントによって大学院学生は給料をもらうし、そういういいところへは、優秀な大学院学生が集まるという仕組みになっており、それは競争的研究資金である。
 したがって、一概に、競争的研究資金を増やしたから教育環境が損なわれることはないので、大学にもそのことを考えなければいけない。
 そこで、資料では、聖域なく、国立大学法人も含めてという言葉になっており、独立行政法人等の「等」の中には、国立大学法人も含まれる解釈でやっていきたい。



【阿部議員】
  文部科学大臣はじめ、競争的研究費に関連するシステム改革が必要だという提言をいただいた。
 全くそのとおりで、総合科学技術会議としても、これまで競争的資金改革に関することをここで決めて、今進めている段階だが、国立大学が法人化されたので、環境が変わっている面もあるので、これは引き続きやっていく必要があると思うので、今後とも検討しろという依頼についてはそのとおりだと思うので、検討していくべきだと考えている。


【薬師寺議員】
 河村大臣と谷垣大臣が述べたように、制度そのものをきちんと整備するのは、本当に重要だと思う。
 競争的資金といっても26種類ぐらいあり、ばらばらなところがあるので、そのことは我々も責任をもってやらなければいけない。
 大学の話は、競争的資金の6割が大学、特に国立大学が受益者であり、国立大学はちょうど独立行政法人になったところにメッセージを与えて、日本は大学が競争的にならない限り強くならない。
 こういうメッセージで、その意味で「等」の中に大学が入っていることを我々は強く認識している。


【大山議員】
  今なぜ、予算の改革かというのは、先の本会議で指摘された事項に加え、第2期科学基本計画がスタート以来4年目を迎えている。
 既に後半戦に入ったという認識をもっていて、まさしく実効と結果を問われるステージにあると思う。
 これまでの累計投資16兆6,000 億強をいかに生かすかという視点と、現下の大変厳しい財政状況の中で、予算の効率的・効果的運用と成果をいかに上げるかという視点で、本日提案をした改革は、ぜひ必要だと思う。
 もう一つは競争的資金の倍増だが、競争力強化に資する競争的研究開発環境の整備拡充の必要性は、私どもと各省庁の認識が一致すると理解している。
 ただ、こういった分野の改革は、資金枠の拡大、それから制度改革の両面で諸外国に比べて大変遅れているので、今後はいろんな制度上の制約を越えてお互いに力を合わせて実をとっていく。
 こういったベクトル転換が必要である。
 そういう意味で、今日提案した「聖域なき見直し」を含め、改革に取り組むべきだと思う。



【河村議員】
 岸本先生、薬師寺先生から競争的資金の拡充、これは大学、特に文科省予算が大半を占めているので、もっと伸ばすことが必要だと思う。
 ただ、国立大学が競争的資金をうんと増やすことが必要だという指摘で、それは運営費交付金等々を削って、そっちから回すべきだという指摘があった。
 これについては、私も考えたが、これを検討するのはやぶさかでないが、4月に非公務員化して大改革をやってきたばかりで、国立大学法人が、独立行政法人という名前を付けずに、国立大学法人という名前にあえてしたのは、行政の教育、極めて教育的観点から言うと、別途の法人でなければならないという考え方、そして運営費交付金は、まさに教育研究の基盤であって、これまでやってきたことを継承することが一つの大きな課題であり、競争的資金の拡充については、私どもの計画では第2期基本計画の目標達成、これは成長率からいくと22兆円ぐらいになる。
 あと7兆か6兆足りない。
 これをどう確保するかは、予算的にも大変だが、その中で競争的資金の拡充はかなりできると思う。
 今、国立大学も運営費交付金は1%の効率化をかけられており、東京大学と京都大学の1%を足したら、一つの地方大学がつぶれるぐらいの効率化を現実にやっている。
 しかし、その中にもいろいろな科学技術関係経費等々、運営費交付金の中に科学技術絡みもあるので、精査しながら、できるだけ努力をする方向は間違いない。
 第2期基本計画の中で、いかに増やすかを期待している部分があることも理解して欲しい。


【小泉議長(内閣総理大臣)】
 競争的研究資金の改革・拡充は大事だと言われており、そのとおりだが、今回、初めて科学技術関係予算、全部重複排除・連携強化するのだから、その中でできないか。
 全体3兆6,000 億円の中で倍増するといっても1兆円もない。
 目標達成に向けて工夫できないか。
 そのぐらい思い切ったことやってもいいだろう。
 各省が嫌がることをやるのだから、この際思い切ってやったらどうか。
 できないことをやるんだから。
 それは各省と連携して、この会議で今言った意見をどうやって実現に持っていくか。
 今までやらなかったことをやるのだからできるんじゃないか。
 それを含めて研究して欲しい。
 どうやって実行に移すか。
 倍予算があるのだから。
 今まで半分しかできなかった。
 今度は倍の見直しできる。
 皆さんに権限を与える。
 言い出したからにはやっていただきたい。


【茂木議員】
今、総理が述べたように、昨年まではSABC付けが3兆6,000 億の半分ぐらいだった。
 それから「聖域なく」ということで、独法等も含めすべてを見るので、そこの中からしっかり資源を捻出して重要な分野に予算が配分できるようにしていきたい。
 議論を整理すると、昨年のSABC付けでも、各府省の施策で重複している案件が見られ、この重複排除はどうしても必要だと考える。
 また近年、例えばポストゲノム研究、ユビキタスネットワークなど、省庁にまたがる案件が増えており、各府省が連携して施策を推進していく必要が高まっている。
 これらのことから、「科学技術連携施策群」を創設して改革をしっかり推進し、この連携施策群に入る個別の施策は、昨年のようにSABCを付けるだけでなく、施策群全体としての重み付けも考えていきたい。
 それから、連携施策群を効果的に進めるために総合科学技術会議のイニシアティブのもとで科学技術振興調整費を柔軟に活用することが必要と考える。
 競争的資金についても、様々な御意見があったが、この5年の期間での倍増目標が設定されている。
 これまでの4年間を見ると、2割増というレベルであり、各府省研究予算の中で優先的確保という点でまだまだ改善の余地がある。
 各府省のこれまでの実績でも、それぞれの事情があるものの、ばらつきがあるのが事実である。
 こうした状況を踏まえ、17年度の各府省予算において、従来の予算増加の伸びのベクトルを変えて、競争的資金への優先的確保を行い、目標の早期達成を図るには、谷垣大臣からは、今の段階でコミットするのは難しいとの意見もありましたが、17年度予算において、各府省が大幅な増額を図っていくいただくことが必要である。


【谷垣議員】
 それは「ありましたが」ではなく、要求もない段階であらかじめ目標を決めるのは困る。
 あくまでも要求があって、それをどう査定するかということでないと予算査定ができない。

【茂木議員】
 有識者議員の間では、12年度比150 %以上を目標としないと達成できないと考えており、是非協力していただきたい。

【茂木議員】
  先程決定した改革をしっかり実現するには、各省の予算配分上の特段の努力に加え、様々な面での制度改革も不可欠だと考える。
 ここで、幾つかの省に対して述べたい。
 財務省に関しては、競争的研究資金の配分機関となる独立行政法人について、他の独立法人と同様、業務運営の効率化に努めることは言うまでもないが、事業費総額を相当程度拡充する必要があるので、他の法人と一律的に扱わないよう、谷垣大臣を中心にぜひ検討して欲しい。
 SABC付けの結果、競争的資金化が適切と指摘された予算については、それを実現し、またC評価とされた課題については、大幅に予算を削減すると同時に、その分競争的研究資金に振り分けて欲しい。
 文部科学省については、目標達成に向け、競争的資金の最大シェアを持っており、予算の思い切った伸びが不可欠である。
 具体的には、河村大臣のリーダーシップの下で、国立大学法人の運営費交付金の一部を競争的研究資金として活用できないか、再度踏み込んで検討して欲しい。
 また、例えば21世紀COEプログラムなど既存の予算についても、必要な制度改革により、競争的研究資金化が図れないか積極的に検討して欲しい。
 経済産業省については、研究開発予算全体の中で競争的研究資金のシェアはもともと低く、総合科学技術会議からも改善を指摘している。
 したがって、平成12年度比150%の水準を大幅に超えた増額をお願いする。
 また、平成16年度の経済産業省の競争的研究資金は58億円であるが、その増額のみならず、他の予算についても制度改革を含め競争的研究資金化を図るべく鋭意検討して欲しい。
 厚生労働省については、研究予算の中で競争的資金の割合は、約3割とかなり高い水準にあることは認識している。
 一方、この2年間予算額が減少しており、17年度はこの傾向を逆転させる高い伸びをお願いする。
 今お願いした省庁以外についても一層のご尽力をお願いする。これらの取り組みにより、重複排除・連携強化を進め、真に重要な分野へ予算を重点的に配分した一層メリハリの効いた平成17年度の科学技術関係予算を実現するとともに、競争的研究資金を抜本的に拡充することを通じ、科学技術創造立国の実現に向けて創造的な研究開発活動の推進をお願いする。


【小泉議長(内閣総理大臣)】
  科学技術予算は、厳しい予算状況の中で、小泉内閣でも重点的に取り組んでいる大事な予算である。
 先ほど私の、全部各省の科学技術関係予算をこの会議で検討して欲しいというのも、今までにないことであり、現在決められた改革方針の内容、そして茂木大臣の要請の趣旨を踏まえ、この際、より一層日本がこれからの環境保護と経済発展の両立の鍵を握るのは科学技術だという姿を、皆さんの努力、協力で示して欲しい。



(2)ヒト胚の取扱いに関する基本的考え方について

ヒト胚の取扱いの問題について、生命倫理専門調査会で最終報告書を取りまとめたので、資料2−1(PDF)に基づき、薬師寺議員から説明。
資料2−2(表紙(PDF)目次(PDF)本文(PDF))の「ヒト胚の取扱いに関する基本的考え方(案)」ついては、原案どおり決定し、小泉総理及び関係大臣に意見具申した。
関係大臣においては、この意見具申に沿って、ヒト胚の適切な取扱いのための制度的枠組の整備等が進むよう、ご尽力をお願いした。
 本議題に関する議員の意見は以下のとおり。

 

【河村議員】
  ヒト胚の研究利用は再生医療をはじめとする医科学上の可能性に道を開くものと言われており、難病患者等からの期待は非常に大きいと思う。
 一方、人の生命の萌芽を操作するので、人の尊厳にかかる。
 この点で生命倫理上の重要な問題も含んでいるので、社会的にも大きな課題になってきている。
 こういう重要な問題を踏まえ、総合科学技術会議生命倫理専門調査会で精力的に審議を行ってきた。
 そして一定の方向性を示す最終報告書を取りまとめたこと、これは薬師寺会長、委員の努力は大変なものがあったと心から敬意を表する。
 内容に関しても、再生医療等に関する研究実施に向けて、大きな前進があったと思っており、高く評価する。
 今後、私どもは、総合科学技術会議の意見具申の内容に沿って生命倫理上の問題も十分配慮しなければならないので、厚生労働省はじめとする関係府省と連携をし、ガイドラインの整備等具体的な枠組みの整備や措置を講じていかなければならない。
 今後とも頑張っていくので、よろしくお願いしたい。


【細田議員】
 ヒト胚の取扱いについては、非常にすばらしい報告書を、しかも長期にわたる議論をまとめていただいてよかったが、マスコミ等の取り上げ方も興味本位的なものもあるし、中国で胎児細胞の移植を行ったとの報道があったり、いろんなことが起こるので、より国民の皆様方に理解をしてもらえるわかりやすい形で、解説というか、普及を図って欲しい。
 また、これから国際的な動きも予想され、種々の調整が必要になると思うので、臨機応変に色々な対応ができることも大事だと思う。


【茂木議員】
  難しい問題なので、マスコミも含めてきちんと国民にわかる形で説明しなければならない。
 官房長官の発言に沿ってやりたいと考えている。




(3)科学技術関係人材の育成と活用について

昨年末の中間的な論点整理の報告以降、検討を更に進め、最終報告書を取りまとめたので、資料3−1(PDF)に基づき、阿部議員から説明。
資料3−2(PDF)の「科学技術関係人材の育成と活用について(案)」ついては、原案どおり決定し、小泉総理及び関係大臣に意見具申した。
関係大臣においては、この意見具申に沿って、世界最高水準の科学技術関係人材の育成・確保の実現に向けた協力をお願いした。
 本議題に関する議員の意見は以下のとおり。


 

【河村議員】
  文部科学省はこの問題に大きくかかわるので、科学技術創造立国の実現には、これに対する人材をどうのように養成するかが最大の課題となる。
この問題について広い観点から議論いただき、これに則り、これから具体的にと考えている。
 特に社会と科学技術の関わり合いは、非常に深くなっているので、研究者と技術者と研究支援者が、適材、適量になる一方、研究者ばかりでもだめ、技術者だけでもだめで、そういう点でそれぞれの方々が活躍できる場をつくっていく。
 特に今、子どもたちや青少年の理科、理数離れが言われているが、この子たちにいかに科学技術に対する関心を持たせるかを、科学的になぜというか、「不思議に思う心」、「科学する力」、これをどうやって育んでいくかにもっと力を入れていかなければと思う。
 7月16日に科学技術・学術審議会から第3次提言を発表したが、これに具体的な施策を盛り込んでおり、このことは、私どもとしても、まさに初等中等教育から大学院まで一貫して政策をとっていくことである。
 これからも科学技術関係人材専門調査会、それから科学技術・学術審議会、ここで今まで検討しているので、これを着実にやっていくしかないと思う。
スーパーサイエンスハイスクールなどは、もっともっと全国的に展開していいと思っており、総合科学技術会議の先生方には、いろいろ御教示いただきたい。


【坂口臨時議員】
 人材の育成については、そのとおりと思う。
 外国の優秀な人材をどう日本に来てもらうかも、もう少し考えないといけない。
 例えば独法化されたが、国立病院などは、外国から来てもらうといっても、研修には来てもらっていいが、指導的立場で迎えることは難しいシステムになっている。
 優秀な人材は日本に来てもらえるようにしないといけないと考えており、制度改革も必要だと痛感している。


【中川議員】
  この前、新産業創造戦略を先生方に了承いただいたが、行き着くところは人材、人間力だと思う。
 科学技術関係の人材の育成と活用ということだが、世界最先端の技術者、あるいは科学者と同時に、例えば日本の強い部分である金型製造や、ハンダ付けを担う人材などをどういう位置付けにするかが重要。
 大学の研究者だけではなく、まちの金型、板金塗装といったものも重要であり、両者のバランスが重要。
 また、坂口大臣と逆の話だが、優秀な人材が外国に流出しないようにするということも今後大きなポイントになってくると思うが、その辺はどういう議論があったか教えて欲しい。


【阿部議員】
いずれも非常に大切な意見だが、文科大臣が述べた支援者の問題と、中川大臣が述べた金型、ハンダ付け等のことについては、実は余り詳しくやっていない。
 必要だという認識、意見はあったが、むしろ、そのことは、関係の省で更に詳しくやってもらうことになるかもしれない。
 我々のところでは、大学以上で優れた技術者、優れた研究者に視点を置いて議論してきたので、今、述べられたことは極めて大切だと思い、意見もあったが、深掘りをした議論はしなかった。


【小泉議長(内閣総理大臣)】
 大学を出ないどころか、中学を出てすぐ職人芸というか、伝統技能、これがどんな研究者よりも優れた技術を持つ人がいる。
 勘というか、昔の職人が教えない、親方は教えない、体で覚えろ、見て覚えろと。
 何も言わないが、無駄な努力みたいに見えるが、これが優れた先端的な科学技術にまさるとも劣らない技能を持つ人がいる。
 そういう人たちの人材育成と、先端的技術から見る人材育成、これは何とか連携できないか。
 この間、小柴博士のカミオカンデに行った。
 100 人以上の外国人科学技術者が毎日来ているらしい。
 日本人の研究者と外国人の研究者、これは余り知られてないけど、日本人半分、外国人半分、こういう刺激は、日本に来ないとできないと。
 そういう外国の人材と日本の先端的技術では理解できないすごい技術を持っている職人、伝統技能を持つ人がいる。
 これをどうやって今後育成なり伸ばしていくか、これも大事な課題ではないか。


【茂木議員】
  総理から、伝統技能を持つ人の育成について、先端の科学者とそういった技術又は職能を持っている人のバランスの問題、更に中川大臣からあった国際的な流れ、日本の人材が流出しないように、この専門調査会の中でも海外の動向、米国の対応や、中国のウミガメ政策などいろんな検討をしたが、今日の意見や専門調査会での結論を踏まえ、更に総合科学技術会議として、第3期基本計画の中で、この人材の問題を中心的な課題として取り上げていきたい。




3.議長(内閣総理大臣)しめくくり発言

  今日もまた熱心な議論をありがとう。
 これから17年度予算編成の具体化が始まるが、17年度予算は、科学技術予算すべてこの会議で取扱う、重複を排除する、各省の連携強化を図る、こういう視点から今までにない役割をこの科学技術会議が担うので、皆さんは科学技術予算の司令塔としての役割を発揮できるよう、今後よろしく努力をお願いしたい。
ヒト胚については、私は素人であり、説明いただくと非常に難しいので、私がとやかく言う問題ではないが、大変重要な問題であることはわかる。
 今後も必要な取り組み、将来の医療にも大変重要な分野だと聞いているので、協力をお願いしたい。
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