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第39回総合科学技術会議議事要旨

 


(開催要領)

1.開催日時:2004年9月9日(金)16:30〜17:26

2.場所:総理官邸4階大会議室

3.出席議員

   議長 小泉 純一郎 内閣総理大臣
   議員 細田 博之 内閣官房長官
 同
茂木 敏充 科学技術政策担当大臣
 同
麻生 太郎 総務大臣
 同
谷垣 禎一 財務大臣
 同
河村 建夫 文部科学大臣
 同
中川 昭一 経済産業大臣(代理 坂本剛二 経済産業副大臣)
 同
阿部 博之  
 同
大山 昌伸  
 同
薬師寺泰蔵  
 同
岸本 忠三  
 同
松本 和子  
 同
吉野 浩行  
 同
黒川 清  
  (臨時)    
 同
亀井 善之 農林水産大臣
 同
井上 喜一 防災担当大臣



(議事次第)

1.開会

2.議事

(1)我が国における宇宙開発利用の基本戦略
(2)平成17年度科学技術関係予算改革の取組みについて


3.閉会



(配付資料)

(配付資料)
資料1−1 我が国における宇宙開発利用の基本戦略
資料1−2 我が国における宇宙開発利用の基本戦略(案)
資料2−1 平成17年度科学技術関係予算改革の取組状況について
資料2−2 科学技術連携施策群の創設・推進について(案)
資料2−3 科学技術連携施策群のテーマについて(イメージ)((1)(2))
資料2−4 競争的研究資金の平成17年度概算要求の状況
資料2−5 競争的研究資金の制度改革と資金拡充の取組状況について
資料3 第38回総合科学技術会議議事録(案)



(会議概要)

1.議事概要

(1)我が国における宇宙開発利用の基本戦略

「我が国における宇宙開発利用の基本戦略」を、資料1−1基づき、大山議員から説明。
資料1−2の「我が国における宇宙開発利用の基本戦略(案)」ついては、原案どおり決定し、総合科学技術会議から小泉総理及び関係大臣に対し、意見具申することとした。
関係大臣においては、この意見具申に沿って、政府と民間の適切な役割分担の下に、我が国の宇宙開発が効率的に進められるようお願いした。
 本議題に関する議員の意見は以下のとおり。
 

【河村議員】
我が国の宇宙開発利用全般について、今後10年程度を見通した基本戦略が決定し、宇宙開発を主管する文部科学省として感謝する。
今回の基本戦略に沿って、しっかりとした宇宙開発を進めていきたい。
特に、H−IIAロケットを改めて我が国の基幹ロケットとして位置付けたことは非常に重いことであり、昨年の人工衛星やロケットに係る失敗の教訓を生かして、H−IIAロケット打ち上げ再開に向けて万全の対策をしたい。
特に直接の原因と推定された固体ロケットブースタのところは、宇宙航空研究開発機構において、ノズルの部分の設計変更を行うことになっており、これから数回地上の実証実験を行い、具体的な設計を確定するところである。
宇宙開発は信頼性の確保が必要であり、信頼性向上に向けた対策をより強化しなければならない。
着実な成果を挙げて国民の期待に応えるべく最大の努力が必要だと思う。
有人宇宙飛行についても、長期的な視野でという指摘、重く受け止めたい。



【黒川議員】
まず、今の宇宙利用部会の話と、それから昨日、一昨日は宇宙ステーションのワークショップに、カナダ、ヨーロッパ、ロシア、それからアメリカ、NASDAが参加したが、これは84年のレーガン大統領からやっているが、20年経っても完成しない。
ところが、アポロは10年でやったという周りの状況が違うわけだが、日本はどうするかが1つある。
それから、日本の衛星については、環境衛星等のすばらしいのがたくさんあるので、この間の部会でも発言したが、衛星を上げる技術ですね。
今、中国がやっているが、アジアの国をパートナーとしてどんどん呼んだらどうか。
それから、データのアジアの人の研究者をどんどん呼び込んで、データを一緒に共有することで、アジアの拠点づくり、リーダーシップを発揮する政策も大事だと話した。
そんな場面があると大きな成果が出ると思う。


【薬師寺議員】
 ロケット、衛星を含め大きなお金を使うので、国民への理解と、それから海外への貢献が重要だと思う。
本文中にも11ページから12ページにかけて、地球環境サミットの中でも示した国際的な協力が重要であることを、前回のレポートに比べ強調している。
それから、安全保障に関しては、情報収集衛星があるが、打ち上げ能力をきちんと持つということが重要な点であるので強調したい。



【麻生議員】
  今、薬師寺先生が言ったところと一部重複するが、確実に打ち上げ技術ができることを望まない国も近くにいる。
その点は別の意味での安全保障も考えないといけない。
みんながやさしく見守って、よくやったとほめてくれる国は少ない。
そこだけはよく頭に入れておいて欲しい。


【大山議員】
  その点は、「安全保障・危機管理の分野における取組み」という本文中にも、配慮して記載してある。





(2)平成17年度科学技術関係予算改革の取組みについて

 「平成17年度科学技術関係予算改革の取組状況について」を、資料2−1基づき、阿部議員から説明。
「科学技術連携施策群の創設・推進について」は、資料2−2、資料2−3((1)(2))に基づき、大山議員から説明。
 資料2−2の「科学技術連携施策群の創設・推進について(案)」については、原案どおり決定した。
 また、「競争的研究資金の改革と拡充」については、資料2−4に基づき、岸本議員から説明。
 本議題に関する議員の意見は以下のとおり。

 

【河村議員】
  ユビキタスネットワークも次世代ロボットもバイオマスも、国家的に、社会的に非常に重要な科学技術プロジェクトである。
 指摘のように各省庁にまたがるものも多いので、関係府省緊密な連携の下で、そして政府が総合力を発揮しながら取り組むことが大事だと思う。
 そういう意味で、総合科学技術にイニシャティブを取ることはとても有意義なことだと思う。
テーマについては、これらがまさに科学技術連携施策群にふさわしいと思うし、今後施策群に含む適切な施策を選定して、それをコーディネートする体制の整備が進むことを期待する。
また、科学技術振興調整費活用の問題だが、これも単に施策群の中で欠落した部分だけを取り出すのではなく、各府省間の効果的な連携が可能で、将来にも発展可能性の高い課題を選定してもらいたい。



【坂本経済産業副大臣】
 連携施策群で選定されたテーマは、先般、当省で策定した新産業創造戦略において戦略分野とされたものが活かされており歓迎である。
 当省としても、関係省庁と協力して連携施策群の推進に積極的に貢献していきたい。
具体的には、現在、当省で現在策定を進めている技術戦略マップに基づく施策展開において、関係省庁と連携を図り、連携施策群を推進していく中で、ロボットや燃料電池、あるいはユビキタス等について、具体的な成果を上げていきたい。


【谷垣議員】
  前回の会議でも言ったが、今まで量的な拡充はかなり意図してやってきたが、聖域というわけにはいかないので、今の財政事情を考えると、どうしても効率化、質的向上に重点を置かざるを得ない。
来年度予算は、そういう角度から臨みたいが、SABCについては、引き続き私たちも頭に置いてやりたい。
 件数については相当メリハリを付けてSABCでやっていただいていると思うが、私どもが金額面で試算すると、SとAで9割近くになる。
したがって、SとAをもう少し絞り、B、Cとのバランスを取っていただきたい。
 私どももメリハリ付けをやっていきたい。
それから、連携施策群には大変期待しており、不必要な重複排除、連携強化を是非お願いしたい。
 私どもも十分参考にして予算策定に当たりたい。


【吉野議員】
  今回の連携施策群は非常にいい着眼点だと思う。
 企業でR&Dをやってきた経験から一言コメントしたい。
まず、連携については、私どもはR&DのD、デベロップメントは、営業とか生産も参加するビジネスプランの実行と定義づけ、エンジンとか車を設計し、販売まで至るチームとか組織にある技術統合行為を私どもはDと言っている。
それから、リサーチのRは、未知のものや技術を新しく生み出す、個人またはチームによる技術開拓行為と位置付け、私どもの場合はヘッドカウントベースで、Dが4分の3、Rが4分の1という状況である。
当然、Rは着眼とか発想が勝負で、原理が成立することの証明をする。
 Dは、当然コストバリューとか、品質とか、信頼性を詰めるが、往々にしてRをやっている連中と、Dをやっている連中は仲が悪い。
RでいけるものをDへ持っていくと、余りにもピンポイントでものにならないことが多い。
 この打開策は、Rのある段階でDの部隊も投入するとか、コミュニケーションを取らせることだが、これは政府の場合でのイメージとしては、Rは文科省が多く、Dは経産省が多いので、Rの途中でDも入っていくとか、情報をお互いに交換するとか、そういうダイナミックなマネージメントができれば、成果が生みやすいので、それが理想だと思う。
 重複については。
 発想とか着眼が勝負のR分野については、例えば、燃料電池がここにもテーマとして上がっているが、水素とか酸素が反応するところの膜の材料とか新しい触媒の探索は、複数の違ったアプローチが思わぬ成果を生むことがあるので、紋切り形の排除でなく、異質のものが競争する中で生まれることも、途中のマネージメントとして配慮すべきである。


【麻生議員】
 オリンピックは2週間前まで湧いていたが、日本はメダル37個、うち30個は4つの種目だ。4つの種目は、柔道、器械体操、レスリング、水泳であるが、共通するのは、いずれもナショナル・トレーニング・センターで訓練された種目である。
 ここが一番肝心なところだ。
 そういう意味で、金をうまくかけたら、成果がでる。
 スポーツでもはっきりしていることなので、よろしくお願いしたい。


【茂木議員】
  SABC付けは、今月、来月で行うが、件数だけでなく金額のバランスも踏まえて作業を進めたい。
R&Dの連携に関しては、そういった視点を重視しながらやっていきたい。


【河村議員】
競争的資金を抜本的に拡充する方向で提案している。
 具体的には、科学研究費補助金を始めとする主要な競争的資金については、引き続き制度改革をやって大幅な増額を要求をしている。
それから、21世紀COEプログラムは、公募を行って、また外部専門家による審査を経て、競争的に配分される資金である。
 競争的な研究環境の形成に資するものと考えており、本来競争的資金として位置付けられるものと考えている。
 更に、既存の事業の見直し・廃止・縮小をやった上で、新規の競争的資金を要求して、競争的資金全体として大幅に拡充を行うということで、お願いしているところである。


【薬師寺議員】
  競争的資金はいろんな種類があり、経済財政諮問会議の政策群の中に入っているように、制度改革が前提にならなければいけない。
 それから、学問も研究領域もがダイナミックに変わってくるので、余り方向を決めてしまうと、時代の流れに遅れてしまうので、長期的には制度改革、構造改革を競争的資金の中でもきちんとやっていただきたい。



【亀井議員】
  私ども農水省は、競争的研究資金については、本年度は公募開始を早めるなど、すべての制度において、昨年度より課題の決定、交付時期の早期化、あるいは年度間繰越などの改善を図っている。
 また、17年度概算要求では、食の安全・安心、これに関する研究のための重点枠の設定など既存制度の拡充や、食料産業等については、新技術を短 時間で実用化する制度の創設の点で、重点的に拡充を図っている。
 予算案決定については、政府全体としての目標達成ができるよう頑張りたい。


【坂本経済産業副大臣】
  経済産業省は、412 億円の予算を競争的研究資金として概算要求している。
 競争的研究資金拡充の目的は、競争原理が働きにくい大学等の研究開発の質の向上を図るため、研究者個人や大学などの研究機関相互の競争を促進させることにあると理解している。
経済産業省の研究開発は、民間企業を対象とする実用化開発を中心とするものであるが、近年産学連携の必要性が高まっており、大学にも積極的に参加して頂くことが有用との考えから、大学発事業創出実用化研究開発等の事業を新たに追加した。
 これにより、競争的研究への大学の参画が促進されることを期待する。


【松本議員】
  競争的資金は、5年目にして倍増目標が達成されそうだが、競争的資金の内容については、十分に認識されていない面がある。
 組織改革等についても、これは競争的な原理が働くべきことを十分に認識し、それとともに、今後一層優れたプロジェクトの計画、あるいは個人のアイデアに対する競争的資金と、両方の競争的原理で拡充していただきたい。
 もう一つは、大学の教員をしていて感じることだが、文科省の科研費等で、選択と集中、あるいは重点4分野とプラス4分野ということが大きく言われているが、過去数年言われたために、そういう分野に集中的に研究費の配分が行われ、研究者も増える一方、全体としては、重点分野に非常に突出しており、それを支えるすそ野の部分が十分でない。
 非常に幅が狭くなってピークが立っており、横から風が吹くと揺らぐかもしれない。
 それよりも、一番大事なのは10年後、20年後に、今のような構造だと、裾野から立ってくることが予想されるものが立ちにくくなる。
 これは将来の基礎研究及び基礎を10年かって大きく育てる視点が、十分でないと感じる。
 各省庁では、競争的資金を公募等するときに、一般の研究者に十分精神がわかるように裾野も重要であることを伝えていただきたい。
 あなたは、もしかして自分はこの分野には関係ないと思っているかもしれないが、そういう分野でさえも将来重要になる技術が、あなたの技術で新しく生み出せるのではないか。
 そういう考え方を世間に広めたいと思うし、研究費の採択の際に広い裾野を確保することを是非心がけて欲しい。


【細田議員】
  松本議員が言ったことは大変大事である。
 せっかく概算要求では倍増なのだから、岸本議員が言ったように、綿菓子のように大きく見えたが、食べてみたら何もなくなってしまったのでは困る。
 せめてマシュマロ程度にして、ちゃんと実現するように、財務大臣にもお願いしたい。



【谷垣議員】
7月の議論を受けて、この要求段階では大幅な増額の姿であるが、予算の仕上りの姿は、一つひとつ精査して吟味させていただかなければいけない。
 その際の視点は、制度改革への取り組みをやっていただいているかという点や、他の科学技術予算の分野で、スクラップ・アンド・ビルドに取り組んでいただいているかという点を見ながら精査をするということだと思う。


【茂木議員】
  綿菓子とマシュマロの違いはよく分かりませんが、7月23日からこの1か月半で関係府省に御尽力いただき、競争的資金の改革と拡充をしていただいたことに感謝する。
 第2期基本計画の目標達成に向けては、今後も一層の取り組みが必要である。
例えば、新たに、21世紀COE等を組み入れることに関して、単なる看板の架け替えでは意味がないので、各府省から新規登録のあった予算が、本当に競争的研究資金に該当するかどうか、改めて相談させていただきたい。
それから、SABCの優先順位付けについては、それが予算査定にしっかり反映されることが重要であり、S評価のものは思い切って重点的に配分し、C評価のものは大胆に削減することで、競争的資金の確保にも貢献できると考えている。
 この点は、財政当局にも十分配慮いただきたい。
競争的資金の総額は6,000 億を超えたが、各府省の予算総額は決まっており、最終的には予算査定に向けて厳しい攻防があると思う。
 そこで、第3点目は最終的に、十分な資金が手当されるためには、今回各府省から登録のなかった予算、例えば、独立行政法人や国立大学の運営費交付金についても、競争的研究資金への活用が可能かどうか、場合によっては検討が必要になると考えている。
これも念頭に置いて、各大臣においては、引き続き指導力を発揮していただきたい。
 今後のプロセスで、更に詳細な調整も必要だが、特に以上の3点にいてよろしくお願いしたい。





3.議長(内閣総理大臣)しめくくり発言

  今年は総額4兆円、すべてチェックするので、SABCの優先順位付けは極めて大事だが、重複排除、重点化を図っていただきたい。
今回、改革の新たな取り組みとして、連携施策群の推進はしっかりと行っていただきたい。
更に、岸本先生が言ったように、競争的研究資金について、約6000億円を積み上げていただいたが、綿菓子、マシュマロはともかく、重複排除、連携強化により、予算案の仕上りベースにおいても競争的研究資金の十分な確保が図られるように、各省の協力をお願いしたい。
宇宙開発利用の基本戦略は、宇宙開発利用に係る基本的考え方に関する報告書が、多くの関係者の努力により、とりまとめられたことに感謝する。
フロンティアとしての宇宙の開発利用への挑戦、国際社会における我が国の地位を高めることにも大きく貢献すると思う。
 関係大臣には、今後とも引き続き必要な努力をお願いしたい。
内閣府  科学技術政策・イノベーション担当
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