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第44回総合科学技術会議議事要旨

 


(開催要領)

1.開催日時:2005年3月29日(火)17:45〜18:45

2.場所:総理官邸4階大会議室

3.出席議員

 議長 小泉 純一郎 内閣総理大臣
 議員
棚橋 泰文 科学技術政策担当大臣
 同
麻生 太郎 総務大臣(代理 山本 公一 総務副大臣)
 同
谷垣 禎一 財務大臣(代理 上田 勇 財務副大臣)
 同
中山 成彬 文部科学大臣
 同
中川 昭一 経済産業大臣
 同
阿部 博之  
 同
薬師寺泰蔵  
 同
岸本 忠三  
 同
柘植 綾夫  
 同
黒田 玲子  
 同
松本 和子  
 同
吉野 浩行  
 同
黒川 清  
  (臨時)    
 同
島村 宜伸 農林水産大臣
 同
小池百合子 環境大臣



(議事次第)

1.開会

2.議事

(1)「国の研究開発評価に関する大綱的指針」のフォローアップ結果及び大綱的指針の見直し等について
(2)平成17年度科学技術振興調整費による緊急研究開発等の指定について
(3)H−IIAロケットの打上げに係るこれまでの取組について
(4)環境保護と経済発展の両立を図るうえでの科学技術の役割について〜地球温暖化対策技術〜
(5)最近の科学技術の動向


3.閉会



(配付資料)

資料1−1 「国の研究開発評価に関する大綱的指針」のフォローアップ結果及び大綱的指針の見直し等について[概要](PDF)
資料1−2 「国の研究開発評価に関する大綱的指針」のフォローアップ結果及び大綱的指針の見直し等について(案)(PDF)
資料2 平成17年度科学技術振興調整費による緊急研究開発等の指定について(PDF)
資料3 H−IIAロケットの打上げに係るこれまでの取組について((1)(PDF:343KB)(2)(PDF:320KB)(3)(PDF:392KB)(4)(PDF:225KB)(5)(PDF:305KB))
資料4 環境保護と経済発展の両立を図るうえでの科学技術の役割について〜地球温暖化対策技術〜(PDF:428KB)
資料5 最近の科学技術の動向(PDF:279KB)
資料6 第43回総合科学技術会議議事録(案)(PDF)



(会議概要)

1.議事概要

(1)「国の研究開発評価に関する大綱的指針」のフォローアップ結果及び大綱的指針の見直し等について

「国の研究開発評価に関する大綱的指針」のフォローアップ結果及び大綱的指針の見直し等について、資料1−1に基づき、柘植議員から説明。
資料1−2については、原案通り決定し、小泉総理及び関係大臣に意見具申した。
本議題に関する議員の意見は以下のとおり。

【中山議員】
研究者の挑戦を励ます評価というのは極めて重要な課題であると考えており、文部科学省でも文部科学省における研究及び開発に関する評価指針というものを平成14年6月に策定した。
その中で、研究者を励まし、優れた研究開発を積極的に見出し、伸ばし、育てることを評価の重要な意義として位置づけているところである。
大学等については評価に対する意識は高まりつつあるが、取り組みは必ずしも十分とは言い難いとのことで、しっかりとした評価を行うためには、評価に当たる人材、時間、経費というコストがかかることも十分、考えながら、世界水準の信頼できるシステムを構築していかなければならない。
こうした評価システムの改革を含めて今、文部科学省の審議会で第3期科学技術基本計画に向けた重要政策に係る審議を精力的に進めているので、次回の会議で是非、報告したいと考えている。


【阿部議員】
この評価で本当に問われていることは、実は極めて独創的で、かつ無名の科学者のすばらしいアイデアなり研究をどうやってピックアップしていくかということで、システムは大変大切だが、同時にそういう意識を持って評価システムを育成していく必要があるということを強調させていただきたい。


【黒川議員】
学術会議では、科学者コミュニティということで2年前に科学者の不正行為についての提言を出している。
自分たちで律しなくてはいけないわけで、そうしないと長期的には社会の信用を失うので、どういうことをしなくてはいけないか、どういうことがあるのかということを書いた。
各学会にも報告して出すようにしているが、更に今度は行動規範というものをやらなければいけないのではないかという話はしている。
長期的には、科学者たちがどういう責任を社会に対して持つかという意識が非常に大事だろうと思っている。


(2)平成17年度科学技術振興調整費による緊急研究開発等の指定について

平成17年度科学技術振興調整費による緊急研究開発等については、棚橋大臣から、資料2(PDF)のとおり緊急研究開発等の指定を行ったことを報告。





(3)H−IIAロケットの打上げに係るこれまでの取組について

2月26日に種子島から打ち上げられたH−IIAロケットの成功に関わるこれまでの取り組みについて、資料3((1)(PDF:343KB)(2)(PDF:320KB)(3)(PDF:392KB)(4)(PDF:225KB)(5)(PDF:305KB))に基づき、中山文部科学大臣から報告。





(4)環境保護と経済発展の両立を図るうえでの科学技術の役割について〜地球温暖化対策技術〜

環境保護と経済発展の両立を図るうえでの科学技術の役割について、資料4(PDF)に基づき、薬師寺議員から説明。
本議題に関する議員の意見は以下のとおり。

【岸本議員】
40億年前に地球上に生物ができた。
最初の生物はCO2を使ってO2、酸素を出すという生物で、その酸素ができてきたことによって酸素を使う生物ができてきた。
それから40億年間、CO2を使う生物と、酸素を使ってCO2を出す生物とはバランスを持ってきたわけである。
ところが、20世紀のこの100年の間に人間は化石燃料を使うということを覚えた。
その結果、CO2のバランスが崩れてきた。
世界のエネルギーの消費量というのは10の20乗ジュールだそうである。
世界じゅうの植物がつくり出している光合成のCO2を使ってO2を出してしているエネルギーは10の21乗と10倍ある。
ちなみに、地表に太陽からくるエネルギーは10の24乗と、その1,000倍ある。
そのように考えると今、使っているよりも10倍たくさん光合成のエネルギーはあるわけである。
したがって、いかに光合成の仕組みを強めるか、あるいは植物を増やすかということを考えたら、相当の部分が解決する可能性がある。
光合成のサイクルというのは非常に複雑だが、それは科学が全部明らかにした。
そこに3つの非常に重要なその速度を規定する酵素があります。
例えば、ある種の藻は一つの酵素の活性が非常に強いが、そういうふうにしてその酵素に例えば突然変異を入れて、そしてそれを植物の中へ入れ込むとか、そういう植物をつくるとかすると、非常に高頻度にCO2を吸収してくれる。
そこへもう一つプラスして、水がほとんどないような場所で生える植物をつくる。
そうすると、例えばサハラ砂漠を全部緑にする。
それが非常に強いCO2を使う活性を持っているというふうなことになると、ほとんど問題なくCO2は解決するのではないかという次の100年の夢も生まれてくる。
それは科学の進歩だと思うが、経済発展をするとCO2が増えていくというのは仕方ないことで、それをいかに吸収するかというところで、植物の地球上の生命の力を利用するということは一つの方法だと思う。
多分、科学技術はそういう方向へ向かってCO2の増加をゼロにする、つくる方と吸収する方の総和ををゼロに持っていくということが一つのこれからの方向ではないかと思っている。


【柘植議員】
環境と経済の両立の課題に対して、2点ほどプラスの視点を強調したい。
1点目は、資料の7ページで、アジアのCO2を廃止するような推移においてわかるように、地球温暖化防止はいかにアジアの排出削減に日本が貢献するかということが重要である。
どのくらいの削減が必要かというと、このグラフの右の方の、これから50年、100年の話であるが、大体排出量は今から4倍から5倍に増えるだろうということが予測されている。
したがって、温暖化防止のためにCO2の排出量を何十%削減といった改良レベルの技術では焼け石に水だ。
2分の1、4分の1に削減するという革命的な技術イノベーションが必要で、かつそれの全アジアへの普及策が不可欠だ。
これを科学技術の大きな定量的な目標として置かなければならない。
このアジアへの日本の貢献は経済の発展にも貢献するということは言うまでもない。
第2点目は、1ページ目の資料で、環境と経済の両立にはエネルギーの安定供給、エネルギーの安全保障の視点がこれに加えて必要であるということは十分御案内だと思う。
今後20年でアジアのエネルギー需要は約2倍にふくれ上がると予測されている。
これに石油とか天然ガスの供給が追いつかなくなる状況に対して関連技術を備えねばならない。
言い換えると、石油等のエネルギー安定供給問題は新たな環境破壊の加速をもたらす大きな要因になり得る可能性が高い。
堺屋太一さんの小説にある“油断”の危険性がアジア全体に今後高まるということ、これに対して技術を備えねばならない。
すなわち、1ページで書いていますように、環境と経済の両立にはエネルギーも視野に入れた環境と経済、そしてエネルギーのいわゆる3Eの両立の視点が必要だ。
このための科学技術振興と、アジア外交を入れた国策の両輪推進が必須であるということを再認識する必要がある。


【黒田議員】
基礎研究のところで、モニタリングも重要だが、技術開発には実は長い、そして現在も続いている地道な基礎研究の結果が技術開発につながっているのであって、モニタリングだけが基礎研究ではないということも強調させていただきたい。
それから、私は化学者なのでグリーン・サステーナブル・ケミストリーということを御紹介させていただきたい。
95年にクリントン大統領がザ・プレジデンシャル・グリーン・ケミストリー・チャンレジ計画というものを発表してグリーン・ケミストリーというものが非常に広がったが、一方、企業の方はブルントランドのサステーナブル・ディベロップメントということでサステーナブル・ケミストリーということを提唱していた。
これを日本が両方を統一してグリーン・サステーナブル・ケミストリー、GSCというものを始めているのだが、これはまさに小泉総理大臣がおっしゃっている「環境保護と経済発展の両立」に向けた化学、この場合はケミストリーだが、そういうものであろうと考えている。
それで、国際会議を日本でもやったが、経済産業大臣賞、環境大臣賞、文部科学省大臣賞という3つの賞を設けており私は選考委員をやっているのですが、結構いいものが出てきている。
例えばCO2に関係してもポリカーボネイトをつくるときに毒性のホスゲンを使わないで副産物として出てきたCO2を全部製品に取入れる。
そういう製造方法を開発しているところがあるとか、それからオゾン層を破壊しない新しいフッ素化合物をつくるとか、いろいろそういう地道な研究を企業や大学がやっているということである。
つまり、何か問題があったときにすぐ化学が環境を悪くしたということではなくて、こういう地味な研究もやっているんだということを国民全体にもっと理解していただき、国民全体の「環境保護と経済発展の両立」に向けた運動に持っていきたいと思っている。


【松本議員】
環境問題が私たちに課する制約は、むしろ新たな技術や産業を生み出すための原動力、あるいは私たちに与えられたチャンスであるととらえ、世界に先駆けて新技術の開発に取り組むべきと考えている。
地球環境問題は世界各国が共通に直面している問題であり、そうした問題に対する解決策を官民挙げて研究開発により生み出すことは、我が国の産業の強化のみならず、アカデミアを含むすべての科学技術関連機関の研究意欲を高め、研究開発の競争力強化の源泉ともなることであると思う。
一例を挙げると、我が国の太陽電池の生産量普及率は世界で非常に高い。
トップレベルにあるということである。
このように、環境技術の太陽電池以外のさまざまな分野で、このような新しい環境技術を実現することに今後取り組むべきと考えている。


【吉野議員】
薬師寺議員のプレゼンの中に、産業あるいは運輸ということが出てきたが、それに関連して自動車に取り組んでいる者として少しコメントをさせていただく。
まず、自動車単体の燃費の改善というのは、たしか1998年に2010年を目標にする燃費基準が制定され、それに伴って税の優遇措置なども付加されたので、その結果、大変、今、勢いがついて、例えば毎年新車が生産されるが、新しく生産される新車の平均燃費はこの8年間で20%改善している。
しかし、それは全体が例えば7,500万台という車がストックとしてあって、年に600万台ぐらいの新車が出てくるわけだから、十何年かかって全部入れ替わっていくので、やはりかなり長い時間がかかるということであるが、タイミングをとらえて技術開発と関連する政策がリンクしていけば、自動車というのは比較的うまくいった事例だと私は思う。
今後も、軽量化とか、ハイブリット化とか、燃料とか、あるいは交通システムの変革といったことが取り組まれて、燃費20%以上のアップした車がこれからどんどん市場に投入されていくから、まだ効果は出てと私は思う。
ちなみに、アメリカは一定の燃費基準というものはあるが、インセンティブのメカニズムがない。
非常に悪い燃費の車には罰金を課すという政策があり、この制度では前を切り開く力がないで、今までの日本のやり方というのは非常にいいやり方だったと思うが、皆、努力してやったものだからだんだん財源が足りなくなった。
それで、優遇幅を少なくしていくというようなことが、行われているが、是非ともインセンティブドリブンという政策をやっていただければと思う。
それから、1つ変な話題を提供するが、皆さんがお使いの公用車というのは比較的大型の乗用車で、燃料タンクの容量というのは大体80リットルぐらいだと思う。
ガソリンの比重というのは、0.75近辺であり、重量で言うと60キログラムのガソリンを持っている。
それを全部、使い切ったときにどれぐらいのCO2が出るとお思いか。
今日は、何億トンという言葉がしょっちゅう出てきて、なかなかぴんとこない。
実は、60キログラムの燃料を使い切ると約200キログラムのCO2が出てくる。
3倍以上である。
それはガソリンの成分がCとHでできていて、ほぼ分子数が1・1くらいになる。
C6H6というベンゼンで代表されるように、CとHで合計すると13になる。
そのCが酸素を取り込んでO2になるから、44になる。
したがって、60キログラムのガソリンを全部使うと200キログラムのCO2を出すということになる。
これはどんな使い方をしても出る。
燃費を改善するとか、使い方を工夫するというのは、その距離がどれだけ伸びるかということであって、必ず出る。
これは相当な量だということだが、石油燃料を使う以上、宿命だと思う。
その宿命感から逃れるために、総理にも2年ちょっと前に乗っていただいた燃料電池の開発を鋭意やっているので、簡単に口頭で現在の状況を御報告すると、あのときから発電部分のスタックと呼ばれている部分はサイズが半分、重量が半分になった。
それから、零下20度までは使えるようになった。
それから、スタックの構造が、将来生産したら生産性が上がるような構造になった。
したがって、大ざっぱに言うと、この3年ぐらいで4倍から5倍ぐらいの進化があったと言えると思う。
それから、これから先どうなるのかということについては、今後数年間でやはり数倍の進化があると思う。
したがって、合計6年ぐらいで20倍から25倍の進化があると思う。
しかし、本当に実用化するためには、私は100倍と言ったが、更に数倍の進化が必要で、その進化の方が難しいだろうと思う。
それがどういうことになりそうなのかというのは、まだわからない。
しかし、最大のチャレンジは多分この発電部分の膜の材料だとか、触媒の材料だとか、そういうケミカルの部分の発明だろうと思う。
したがって、今やっているフィールドテストとか、そういうものは続ける必要があるが、その部分に重点を置いて研究に注力していけば、100倍というのは、あと20倍ぐらいですけれども、実現していくのではないかと思っている。


【黒川議員】
先ほど100年後の水の高さ、温度があったが、振り返ってみると、正確な数はないが、イエス・キリストが生まれたころ、2000年前は地球上の人口は1億だった。
今の日本より少ない。
1000年かかって2億になった。
それから400年かかって大体4億になった。
倍になるのに1000年かかって400年かかって、次の8億になるのは恐らく300年後で、ちょうど100年前に16億になってる。
だから、倍々ゲームがどんどん短くなっているだけの話で、この100年で4倍になった。
64億である。
そこに一番の問題がある。
だけど、私たちの常識はどこからくるかというと、何百年という歴史とか、文化とか、家族という常識が、周りの世の中がすっかり変わってしまっているのに常識だと思っているところに問題があることは確かである。
この間の「もったいない」というのはそうである。
今みたいな生活は50年前はほとんどしていないわけだから、そのぐらい猛烈に早く変わっているということである。
それから、生まれた子どもがどのぐらい生きるかというのは、ローマ帝国の2000年前で、25歳である。
ほとんどの子どもは5歳以下でどんどん死ぬから、ようやく25歳である。
それが、ようやく100年前に日本とかヨーロッパで40歳から44歳、20年稼ぐのに2000年かかっている。
この100年で80歳になってしまったから、それは世の中の常識が変わるのは当たり前である。
100年前に初めてアインシュタインがああいう発見をした。
エネルギー、原子力の素になるような話があって、100年後に日本の発電の30%は原子力である。
ちょうど100年前は日露戦争。
あのときの軍艦は石炭だった。
それが常識だったわけである。
だから今、考えていること自身が非常に異常な世界にいるというのを当たり前だと思っているのが、私たちの文化と価値観と実際の周りの社会の変化が余りにもずれているということは確かなのである。
ライト兄弟が初めて10秒間飛んだのは100年前で、100年でこんなに変わったのは何なのかということをもう少し考えないと、100年後というのはあるんだけれども、100年前はこんなものだったと。
そうすると、やはりもったいないとか、家族とか、自分たちの価値観なんてそんなに変わるわけはないので、この便利、便利、何でもぽい捨てというのが当たり前という価値観を少し変えていくというのがすごく大事だと思う。
そういう話の国家ビジョンを、学術会議が今週の終わりか来週早々に政策の基本、ミッション、それから時間軸というような話を出そうと思っているので、そのときはよろしくお願いする。


【阿部議員】
今まで話があったように、科学技術の進歩によって省エネはものすごく進んで、家の中も、自動車もそうだが、ということはCO2がどんどん削減の方向にいっているわけだが、全体としては増えている。
では、省エネはどうでもいいということではなくて、今後とも進めなければいけないが、同時にCO2をどうしてやるかということで、岸本議員が言われたような植物をつくる。
吸収植物とどんどん遺伝子組換えその他でやっていこうというアイデアもあるし、それからCO2をそのまま地下に隔離していこうというアイデアもあるが、多分、現時点では不十分で、どうしたらいいかということだろうと思う。
その1つは今、黒川議員が言われたように、ライフスタイルをどうするかということが非常に大きいと思う。
もう一つは、エネルギーの選択ではないかと思う。
私が強調したいと思うのは、エネルギーとしては再生可能エネルギー、原子力など、中長期的に見て我が国がどのようなエネルギーをどのような割合で選択していくかということがものすごく重要だと思う。
もちろん、そのエネルギーに多様性があって構わないが、中長期目標を明確にしていくことは、CO2削減はもとより経済発展についても直接、大きい目標を与えるということになると思うので、これは科学技術として頑張らなければいけない面と、もっと多面的な面もあるが、国として何とかしていくべきではないかと考えている。


【薬師寺議員】
国の中でやることが即、社会、世界に対して貢献するんだという認識が非常に重要だと思う。


【中川議員】
経済産業省としては、経済の発展と環境への取り組みを両立すべく新産業創造戦略に基づき、環境エネルギー機器・サービス分野を重点7分野の1つとして推進している。
環境と経済の両立のためには、まずコストダウンが重要。
例えば太陽電池の発電コストは過去10年間で5分の1になっており、2010年までに更に掛ける2分の1、計10分の1のコストダウンを目指している。
また、不可能を可能にすることも重要。
例えば燃料電池については、将棋の歩ぐらいの大きさで持ち運びのできるものを、実験段階だが開発している。
また、廃熱を使って発電したり、逆に電気を流すことで冷却をするという、全く正反対の効果を起こすことも技術的に可能。
それからもう一つ重要であるのは、やはり生活の向上、生活の質を下げないということである。
例えば有機ELや調光ガラスの活用により、生活の利便性を確保しながら省エネにも貢献していくといったことは、まさに科学技術によって達成されることである。
日本が自画自賛していいと思うのは、世界の中で一番、省エネが進んでいるにも係わらず、更に現在進行形で省エネ技術開発の手を緩めていないということであり、これは誇ると同時に日本にとって非常に大事なことだと思う。
スピードをダウンすることなく、今の状況に甘んじることなく、更に努力していくことが大事であり、総理のリーダーシップの下で成果を挙げて、また議員の方々の御指導をいただきながら取り組んでいきたい。


【小池臨時議員】
先日、G8のエネルギー環境大臣会合がロンドンで開かれたので行ってきた。
今年は愛・地球博の年だが、第1回の万博がロンドンで1851年に開かれて、それが産業の博覧会、つまり産業革命の成果を示す博覧会として開かれた。
それで、今度はイギリスがG8でホスト国となって気候変動をテーマにした。
私は低炭素社会の構築ということで一言、発言をしたが、ブレア首相のスピーチを聞いていると、EUは既に産業革命から今世紀まで2℃以内の対策をとっていくとのことで明確に数字を挙げている。
これは非常に科学的なベースに基づいた数値を入れ込んでいるということで、サイエンティストの皆様からこういった御提唱をいただけるということは大変参考になる。
また、京都議定書については2008年からと言うが、先程の100年、200年の話を聞いていると、明日か明後日のように思え、とても急がなければならないと感じます。
それからやはり今世紀はどのようにするか、エネルギーの種類はどのようにするかといったような、中長期的な我が国の国家的なエネルギー、そして環境政策というものをしっかりつくっていかなければならないということを今、お話を伺っていて改めて思ったわけである。
財源がないということであれば、環境税というものもあるので、ひとつよろしくお願いする。


【山本総務副大臣】
私どもは御存じだと思うが、ユビキタスネット社会というものを今、目指している。
私も環境を専門にしてきた人間で、最初にこの話を聞きましたときに、この社会はいわゆる増エネではないかとずっと考えていた。
ところが今、黒川議員がおっしゃったように、ライフスタイルがどんどん変わってくる中でICT社会というものがもう定着をしていくのだろうと思っている。
そういう中で省エネという分野、そしてまた人間の行動、人々の生活の行動そのものが変わっていくためには、やはりこのユビキタスネットワーク社会というものは必要だと今、思っている。
多分、御存じだろうと思うが、今、ITSによる渋滞の解消であるとか、ビルも家庭もセンサーネットワークによる自動照明制御、それからテレワークオンラインショッピング、これはすべて人々の行動を変えていくし、また省エネにつながってくる技術だと思っており、私どもとしてはこれからもいわゆる環境保護と経済の効率活性化という面において、ユビキタスネットワーク社会の技術開発というのは大切なことだなと思っている。
特に、この10年、口はばったい言い方だが、日本の経済を引っ張ってきたのはICTだと私は思っているし、これからも伸びていく分野だと思う。
経済とまさに環境の両立ということには資していくだろうと思っている。


【島村臨時議員】
農林水産分野におきましては二酸化炭素の排出削減に向けておがくずなどの農林系バイオマスをエネルギーやプラスティックに変換する技術など、地球温暖化対策技術の開発を推進しているところである。
先般、閣議決定された「食料・農業・農村基本計画」においてもバイオマスの利活用の推進を重要課題として位置づけているところであり、私は引き続きこのような技術開発を推進し、地球温暖化の防止に貢献していきたいと考えている。


【中山議員】
地球環境問題を解決するためには、先ほどから指摘があったが、やはり画期的な科学技術というものがどうしても必要だろうと思うわけである。
そういう意味では、日本というのは大きな貢献が可能である。
また、そうでなければいけないと考えている。
2つ申し上げると、1つは気候変動研究の推進ということで、小泉総理の提唱された地球観測サミット第3回の会合が今年の2月に行われまして、今後10年間で全地球規模の地球観測システムの構築のための具体的な行動計画が策定されたが、この策定に当たっては宇宙開発技術とか、あるいは海上観測技術、更には地球シミュレーターによる精度の高い温暖化予測を可能とするシミュレーション技術などの総合的なものが必要で、この分野で我が国は世界のトップレベルの技術を有しているので、基幹技術として更に充実させ、また高度化させる、地球の将来のために貢献していくべきだと考えている。
2つ目は、例えば燃料電池、水素製造等、地球温暖化対策の技術の研究開発が必要だと思うが、特に私が今日申し上げたいのは原子力についてである。
我が国の存立にとっても、または地球温暖化という観点からも、原子力研究の推進ということが重要であると思っている。
1つは、やはり長期安定的な供給という面から核燃サイクル技術の確立ということで、もんじゅを中核として研究体制をしっかり取り組んでいきたいと思っており、2つ目は究極のエネルギーと言われますけれども、熱核融合についても、今ITERのことで国内誘致等もめぐっていろいろ議論があるところだが、先ほどから議論にあるように、日本というのはこれまで石炭、石油に依存してきて、ある意味では世界に大変お世話になったので、次なるエネルギーとしてこのITER計画には積極的に取り組んでいくべきではないかと考えている。


(5)最近の科学技術の動向

議題4の「環境保護と経済発展の両立を図るうえでの科学技術の役割について」に関連して、地球温暖化対策技術の事例について、資料5(PDF)に基づき、薬師寺議員から説明。






5.議長(内閣総理大臣)しめくくり発言

省エネを始め、地球温暖化対策では日本は最先端をいっているが、更に走り続けなければならない。
環境保護と経済発展は両立する。
世界の最先端でその鍵を握っているのは科学技術であり、今日の話を聞きまして改めて驚いるが、いい驚きに変える努力をこれからもお願いしたい。

内閣府  科学技術政策・イノベーション担当
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