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第45回総合科学技術会議議事要旨

 


(開催要領)

1.開催日時:2005年4月25日(月)17:30〜18:30

2.場所:総理官邸4階大会議室

3.出席議員

     議長 小泉 純一郎 内閣総理大臣
 議員
細田 博之 内閣官房長官
 同
棚橋 泰文 科学技術政策担当大臣
 同
麻生 太郎 総務大臣
 同
谷垣 禎一 財務大臣(代理 上田 勇 財務副大臣)
 同
中山 成彬 文部科学大臣
 同
中川 昭一 経済産業大臣(代理 小此木 八郎 経済産業副大臣)
 同
阿部 博之  
 同
薬師寺泰蔵  
 同
岸本 忠三  
 同
柘植 綾夫  
 同
黒田 玲子  
 同
松本 和子  
 同
吉野 浩行  
    (臨時)    
 同
島村 宜伸 農林水産大臣
 同
小池百合子 環境大臣
 同
小池百合子 沖縄及び北方対策担当大臣



(議事次第)

1.開会

2.議事
(1)第3期科学技術基本計画に向けた検討状況について
(2)平成18年度科学技術関係予算の改革と充実・強化について
(3)最近の科学技術の動向について

3.閉会

 

(配付資料)
資料1 第3期科学技術基本計画に向けた検討状況について(PDF:441KB)
資料2 平成18年度科学技術関係予算の改革と充実・強化について(PDF)
資料3−1 麻生議員提出資料((1)(PDF:209KB)(2)(PDF:500KB))
資料3−2 中山議員提出資料((1)(PDF)(2)(3)(PDF:478KB))
資料3−3 中川議員提出資料(PDF:344KB)
資料3−4 資料(厚生労働省)(PDF:428KB)
資料3−5 島村臨時議員提出資料(PDF)
資料3−6 資料(国土交通省)(PDF:479KB)
資料3−7 小池臨時議員提出資料(PDF)
資料3−8 小池臨時議員提出資料(PDF)
資料4 最近の科学技術の動向(PDF:221KB)
資料4(参考) ゴミゼロ社会への挑戦-環境の世紀の知と技術2004-
資料5 第44回総合科学技術会議議事録(案)(PDF)



(会議概要)

1.議事概要

(1)第3期科学技術基本計画に向けた検討状況について

第3期科学技術基本政策の検討状況について、資料1(PDF:441KB)に基づき、阿部議員から説明。
本日の御議論も踏まえ、引き続き、基本政策専門調査会において検討を更に深めていくこととした。
本議題に関する議員の意見は以下のとおり。

【岸本議員】
先週、私はアジア太平洋州免疫学会の基調講演のために中国の杭州市に行ってきた。
こういうときだからこそキャンセルしてはいけないと思って出席したが、印象的だったことは約九百人の参加者の大部分が中国の若手の研究者だが、朝8時から始まる会議に大きな会場が満員になる。
それで非常な熱気を感じた。
ちょうど30年前、私がアメリカから帰ってきて、日本の免疫学会に参加したときのような感じだった。
それから、アメリカから帰ってきた若手の教授や助教授の発表も、現在アメリカやヨーロッパで研究をしている中国の研究者がやってきて講演するのも、非常に程度の高いものだった。
日本では、最近学会に出席してそういう熱気があまり感じられなくなった。
5年、10年先には免疫学でも日本は負けるのではないかというふうな感じもした。
何がそう変わったのか。
成熟社会においてそうなっていくのは不可避なのか。
アメリカが活力を持つのは常に移民が流入するからなのか。
それなら日本は外国人をどんどん入れていく必要があるのか。
超成熟社会であるヨーロッパがなぜ活力を持ち続けられるのか。
そういったことをこれから十分解析して、次の基本計画の中に生かして、これからどうするかを計画していかなければならないのではないかと思う。


【柘植議員】
6ページの「(課題4)社会ニーズに応える人材の育成」について意見を申し上げたい。
この6ページの一番上、ピンク字で書かれました2点の現状認識。
1点目が、「イノベーション創出のために必要な人材の育成が不十分」。
2点目は、「日本の製造業を支えてきたものづくり人材の育成と確保が不十分」。
この2点は、総理がいつも訴えている21世紀の国創りにとりまして、極めて深刻な現状認識と受け止めねばならないと考る。
これに対して、最下段にまとめた、左側が大学の人材育成の強化。
右側が社会人技術者の能力開発への施策。
これは大変重要で、今年度の政策においても、相当力を入れられているということがわかるが、課題は今年度の施策の継続だけで十分なのか。
勿論、数年では効果は出ないが、このまま5年続けていくことで十分なのかというところを実態に即して見極める必要がある。
この着眼点は、ここに書いてあるものづくり強化の伝承、それから、現場の匠の世界だけではなくて、やはりこの10年間、科学技術基本計画で重点分野で進めて切り開いてきた先端的な科学技術革新を実際の産業に、国力に結び付ける総合技術力と、それを支える人材育成をしているかということが要だと考える。
この6ページの中段の調査の結果、我々が認識せねばならないことは、重点四分野の成果を国創りのイノベーションにまで結び付ける人材育成において、このままではだめなのではないかという警鐘であると私は考える。
別な言い方をすると、せっかくの科学技術振興投資が国創りにまで結び付かない恐れがあるという危機感を私たちは持たねばならないと考える。
総合科学技術会議においては、第3期に向けて再度この点の点検をして、必要な強化を図る必要があると考える。


【黒田議員】
それでは、私は7ページ、8ページ、9ページに関係したことで意見を述べさせていただく。
科学技術関係の人材には、科学技術のフロンティアを推し進めるというすぐれた研究者・技術者、それから科学的なものの考え方ができる一般の市民、そしてその両者をつなぐ科学のインタープリターという3つのカテゴリーがあって、そのどれもが重要だと考えている。
今世紀になって、個人レベルでいくと、例えば手術を受けるのかとか予防接種を受けるのかという問題。
それから、もっと地域社会、地球規模でいくと、資源とかエネルギーとかといった非常に大きなレベルで、科学技術が進歩したゆえに、一層複雑になった問題に個人が判断をしていかなくてはいけない、そういう局面が増えてきている。
また、この8ページの最後の下のところに、「国民による科学技術政策への一層の参画は必要か?」という問題に国民の70%が参画は必要だと言っていて、全くそうなんだが、ただ一方で、この統計が示すように大変に基礎的な概念の理解度が低い。
例えば、放射能で汚染された牛乳を沸騰させると安全になるというような基礎的な知識がないとか、それから、科学技術に対する関心が若年層ほど低いという状況で意見を求められても、正しい判断ができるか、情緒に流されてしまうことがないか、大変に心配である。
科学には必ず光と影の部分があるが、その一方だけを不必要に強調したり、不安を感じたりすることも困るということで、その両者をつなぐ双方向性のインタープリターというものが重要であろうと考えている。
第3期科学技術基本計画においては、この辺も力を入れていけたらと考えている。


【松本議員】
私は、4ページのところの「(課題2)世界を先導する研究者の育成、若手研究者が能力発揮できる研究環境整備」というページについて述べさせていただきます。
特に、左上の「若手研究者の能力に対する評価(1355名の研究者アンケート結果)」というアンケート結果で、赤字で書いてある「(不足している)課題設定能力、創造性」ということが私自身非常に気になっていて、先ほど岸本先生が中国で、中国の若者に非常に高い熱気を感じたと言われましたが、私も何度か中国に行って、中国の大学生あるいは若手研究者というのは非常に日本の大学生に比べると学習意欲が高いということをひしひしと感じている。
そういう、勉強ができることをまず幸せに感じるかどうかということが問題になりますが、さらにそのレベルからスタートして、いろいろな科学技術に対する探究心とか、知識を知りたいと思うような強い気持ちを若い人に是非持ってほしいと思います。
それと同時に、ドクターを取った直後、将来の人生について、この4ページの右下に書いてありますが、テニュアトラック制度の構築ということで、これは若いうちになるべく自分の責任で、自分のアイデアで研究をしてもらって、そのうち意欲と能力のある人に任期のない職に就いてもらうと。
ドクターを取った最初の2〜3年は任期付の職に就いて、自分の責任で研究をしてもらい、その後、適切な人は任期のないパーマネントの職に就くという、いわゆるテニュアトラック制度というものを是非日本で広く普及させて、若い人が自分の責任で生きていかなくてはいけないということを感じていただきたいと思います。


【吉野議員】
私は、人材と社会の両方に関係する日本の風土について一言申し上げたい。
日本は、世界でもぬきんでて完璧主義というか、完全無欠主義だと思う。
それは高い品質を生む長所でもあり、そしてオペレーションでは大変大事なことだが、未知へのチャレンジでは活力とかバイタリティーをそぐという要素があると思う。
昔から失敗は成功のもとというふうに言われているし、先ほど阿部先生からホームランという言葉が出たが、三振を認めないとやはりだめだ私は思う。
私どもの創業者が99%の失敗、1%の成功ということをしょっちゅう言っていて、したがって、私どもでは時に失敗プロジェクトを表彰する。
実際、失敗から多く学ぶことも事実である。
また、私の理解ではノーベル賞を受けられた白川先生と田中さんは失敗が大発見のきっかけだったということも聞いていて、社内でもそれを引用して、失敗の勧めをやっている。
少なくとも、失敗の許容というのを若い人に認めてあげて、敗者復活の機会をたくさん設けてあげるということが必要ではないかと思う。
その点、私はよく知らないが、官の方がリジットではないかと思う。
マスコミもちょっと過敏であるというふうに思うので、日本でカルチャーを変えていくようなことをやった方がいいと私は思う。


【薬師寺議員】
阿部先生の資料の8ページに、例の世論調査の表が出ているが、私はここに出ていないもので、国民の80%は科学技術というのは非常に高く期待しているが、物質的な豊かさは勿論重要だけれども、心の豊かさみたいなものが科学技術で何も応えていないと。
やはりこれに応える必要があるのではないかと思う。
いろんな言い方ができると思うが、例えば高校とか中学で数学オリンピックとか、スーパーサイエンススクールで理科がよくできる、そういう子どもたちを入学試験で一律に受けさせて落としていくというのは、やはり社会としては心の豊かさよりもこんな社会は嫌になるというような気持ちがあると思う。
やはり、できる子たちを伸ばすようなシステムをつくり上げていかなければいけないんだというふうに思います。


【阿部議員】
私も、8ページについて若干申し上げたいと思うが、今日、黒川議員が欠席なので多少関わることを言うと、科学技術が進むに従って、やはり科学技術に対して不安を持つというケースがどんどん増えてくると思う。
学者なり研究者の世界を見てみると、それをやっている人は大体推進派が多い。
ちょっと離れた人には疑問を持つ人がいる。
あるいはうんと離れている学者にも批判的な人が少なくない。
そうすると、市民レベルから見ますとどれを信用していいかわからなくなる。
そこに、アメリカですと、イギリスもそうですが、アカデミーの役割があって、少し広い視点からこうだというメッセージを出してくる。
特に、国民の世論を大きく分けるような難しい具体的なテーマについてそういう役割を、これから学術会議を中心に科学者コミュニティーが広い立場でどんどんメッセージを出してもらうことが、やはり国民理解にとって一つの必要な部分ではないかと思っている。
黒川先生ともよくそういう話をしているので、一言付け加えさせていただいた。


【中山議員】
多くの議員の方々から、中国等の例を出され、本当にこのままでは大変だという話があった。
まさに私もそういう危機意識を持って人材育成ということには取り組まなければならないと考えている。
特に2007年から人口減少社会を迎えるわけで、科学技術創造立国を目指す上で、それを支える人材の質と量の確保が極めて重要であると認識しているところである。
先般、科学技術・学術審議会で、第3期科学技術基本計画に向けて重要政策をとりまとめたが、これを受けて、私としても今後の科学技術振興について戦略性を持って進めることが重要であると考えており、その第1が人材育成だと考えている。
具体的な取組みとしては、例えば、理数好きの子どもをいかに増やしていくべきかということであると思うわけで、先ほどの御説明で、若い人ほど余り科学技術に関して関心がないということだったが、こういうことでは本当にいけないと思った。
そういう意味では、手前味噌になるかもしれないが、文部省と科学技術庁が一緒になったということで、理数系の教育については力を入れやすくなっているのではないかと思う。
その上に立ちまして頑張る子どもを応援する教育、そしてもっともっとチャレンジ精神を持った子どもたちを多く輩出するような教育を進めていきたいと考えている。
また、大学院の教育研究機能の抜本的な強化ということ。
更に、先ほど御指摘にもあったが、若手研究者が自立して、競争的環境の中で活躍する仕組みを導入したい。
そして若いうちに一度は外の組織を経験する、言わば「外の釜の飯を食う」といった経験を評価して採用することも進めていきたいと思っている。
また、女性とか外国人研究者について、各機関が自主的な数値目標を設定して採用するといったことも考えようと思っている。
以上のように、小学生から第一線の研究者まで、連続性と総合性を持って人材育成の施策を展開することが必要であると考えており、このことについては、第3期の基本計画に取り入れて、是非具体化していきたいと考えている。


【麻生議員】
吉野先生のお話ですけれども、やはり失敗を認める社会は、一番難しいところなんではないですかね。
役人なんて無謬性で構築された世界ですから、役人上がりはそうですよ。
完璧を目指しますから、だからおかしなことになってしまうんです。
この間、慶応病院の偉い先生に聞いたら、今世紀、当時の20世紀最大の薬の発明は、何だか御存じですかと言うから、ペニシリンでしょうと言ったら、それは1番ですと。
2番はと言ったら、バイアグラですと。
共通点は何か御存じですかと言うから、両方とも手抜きからできたものですと。
あれはほうっておいたらカビが生えてできたという。


【小泉議長(内閣総理大臣)】
ペニシリンもそうですか。


【麻生議員】
ペニシリンもそうです。
バイアグラも心臓病の薬であって、別の目的ではなかったんです。
年を取った女性は返すけれども、男性は返さないということから発見しただけのことですから。
両方とも手抜きなんです。
バイアグラという薬は心臓病の薬だったんです。


【岸本議員】
心臓の薬として開発していたら、男性が元気になってくるから。


【小泉議長(内閣総理大臣)】
だけど、心臓病の人は使ってはいけないんでしょう。


【麻生議員】
血管拡張剤ですから。


【島村臨時議員】
相乗効果でもう一つの薬とダブってしまうと怖いんです。


【麻生議員】
それが基だったわけです。


【小泉議長(内閣総理大臣)】
最近、サリドマイドで禁止されたものが、別の病気に効くと言うことですね。


【岸本議員】
そうです。
血液のがんに効くんですね。


【小泉議長(内閣総理大臣)】
ほかのものではだめだけれども、別のものであるんですね。


【吉野議員】
天才イチローだって6割は失敗ですからね。


【小泉議長(内閣総理大臣)】
3割打者が一流打者で、2回三振でも、1本ヒット打てば一流なんですね。


【薬師寺議員】
日本ではなかなかリターンマッチをやらないので、リターンマッチをやるようにしないと、一発で全部決めてしまうというのはよくないですね。


【麻生議員】
上に本田さんみたいな社長がいるところは、やはり面白かったわけですよ。
私はそう思いますね。


【吉野議員】
失敗を恐れずチャレンジできる、また敗者復活もできる、そういう仕組みが必要ですね。


【黒田議員】
むしろ、一度失敗するのが勲章になるというのがアメリカの考え方ですからね。


【小泉議長(内閣総理大臣)】
失敗がない人生ってつまらないじゃないですか。


【島村臨時議員】
畑村先生の『失敗学のすすめ』、あれは面白い本でしたね。
ベストセラーになりました。


【小泉議長(内閣総理大臣)】
薬師寺先生がおっしゃることもわかりますが、できる子を伸ばすって、言うは易しですよ。
幼稚園のときから入学試験、入学試験で、親が必死になって、口では簡単だけれども、実際それはどうやるんですか。


【薬師寺議員】
それはやはり今のスーパー・サイエンス・ハイスクールなんかは、中山大臣の前ですけれども、名門校を充てているんですけれども、いろんなところにスーパー・サイエンス・ハイスクールをつくって、そういう中ですごくよくできた子を大学の中に吸収するようにやればいいと思うんです。
そのときには、やはり内申書とか成績表をちゃんと見て、外国でもやはりそういうような一種のコンクールみたいなものできた人間は大学院に入れていこうと、そういうふうに今、日本の大学はなってないわけです、入学試験で全部入りますから。


【小泉議長(内閣総理大臣)】
できない人は振り落とすということですか。


【薬師寺議員】
できない人は、例えば、音楽とか、さまざまな中で、それも入れていけばいいわけです。


【吉野議員】
スポーツの世界はうまくやっているんです。


【麻生議員】
野球で落ちこぼれたものはサッカーに行くと、みんなそうですよ、私らの世界でも。


【麻生議員】
オリンピックという頂点がありますからね。
総理、例えば、ユダヤ人の子どもの育て方と、日本人の子供の育て方はちょうど逆。
これはユダヤ人で在日の人は必ず言うんですけれども、数学ができる子は、お前は数学ができるから国語はおやめと、意味がないからと言って数学だけをやると。
お前は音楽の才能があるから、もう高校の勉強はおやめと言って、ジュリアーノ音楽院に行きなさいと。
お前は両方ともないけど、体育はすごいと、スイスへ行って傭兵になれば、もうきちんと、絶対同じ職業で同じ国にさせないんですね。
全部ばらばらにしている。
もしくは、何かあったら全部そこに頼って行けるようにばらばらにする。
ちょうど日本人の発想と逆なんです。
話していると、非常に面白いですけれども、割り切ってあれができるところがすごい知恵なんだと思います。


【小泉議長(内閣総理大臣)】
そういう割り切り方はなかなか難しいですね。


【麻生議員】
日本という国ではなかなか難しいですね。


【島村臨時議員】
それと逆に、最近は基礎体力をまるっきり放置しているでしょう。
やはり子どもの遊び一つから、かくれんぼうも、縄とびも、石投げもないんですね。
こういう基本からまず全然変わってしまっているんです。
子どもが5人集まって何やって遊んでいるかといったら、みんなテレビゲームを別々にやっているんです。
一緒に遊んでないんです。
集団教育の意味合いもない、基礎体力もない。
もう一つは、親のしつけが最低、これは統計に全部出ているんですが、日本はしつけは最低なんです。
これは社会を暗くする一番の基本だと思います。
それらも大事ですね。


【中山議員】
岸本議員が言われましたけれども、中国は本当にそうだと思う。
日本みたいなこういう満ち足りた国で、なおかつ向上心、何かやる気を持たせるのにどうしたらいいかということは非常に大事だと思うので、スポーツもいろいろ大事ですけれども、やはり中国の留学生が日本に来て言うのは、日本では勉強のできる子はいじめられますねと。
中国では尊敬されますと言うんです。
ここが全然違うと思うので、やはりスポーツも何でもいいです。
やはり勉強ができる子はそれなりに一生懸命応援しないと、科学技術産業は特に問題ではないかと思います。




(2)平成18年度科学技術関係予算の改革と充実・強化について

資料2(PDF)に基づき、岸本議員から平成18年度科学技術予算の改革と充実・強化について説明。
また、各省で現在検討中である平成18年度の科学技術分野の重点項目について、資料3−1(1)(PDF:209KB)(2)(PDF:500KB)に基づき麻生議員から説明。
資料3−2(1)(PDF)(2)(3)(PDF:478KB)に基づき中山議員から説明。
資料3−3に基づき小此木経済産業副大臣から説明。
資料3−5に基づき島村臨時議員から説明。
資料3−7に基づき小池臨時議員から説明。
資料3−8に基づき小池臨時議員から説明。
なお、厚生労働省の資料3−4、国土交通省の資料3−6は配付のみ。
今後は6月にとりまとめる予定の平成18年度の予算、人材等の資源配分の方針の策定に向け、更に検討を進めていくこととした。
また、次回の総合科学技術会議では、その案を示す予定。
本議題に関する議員の意見は以下のとおり。



【麻生議員】
1ページを開いてもらうと、基本的に少子化とかグローバル化とかが進んだため、社会経済の構造が変化しているということなので、政府がやるべきことも変わるということだと思う。
そこで、より豊かで住みよい社会をつくるため、少子高齢化の中でやっていくには、この過去の延長線ではなくて、思い切った重点化が必要なのは確かだと思う。
総務省としては、キーワードは安心と安全、これはICTを活用したもので、高齢化に対応していくというのが基本である。
2ページを開いてもらうと、私ども、例のu−Japanというのをやっているのだが、観点の点が重要なので、これは国際競争力というものに関しましては、今後とも日本は断固リードを保っていかなければいかぬということだと思っている。
2番目は、安心・安全の社会をつくらなければいかぬので、これは大規模災害のときの対応やら、サイバーテロという話は常に通信情報インフラというものを大事にするためには、併せて研究せねばならぬということだと思っている。
3番目は、これは現代、世界最低料金で世界最速と言われているブロードバンドというものを我々は持っているわけだが、これらの技術の進歩で、言語、いわゆる言葉の壁というのを乗り越えて、いろいろな形にどんどん進んでいくようにならないといけないと思っている。
3ページ目を開いてもらうと、いわゆる今よく話題になっているBSEの話にしても、これは食品のトレーサビリティーというものは、基本的には電子タグを活用するなり何なりすると、これはできるわけ、また、高齢者とかいわゆる要介護者という人たちが、ICTを活用するということであって、これは香西先生の言っておられたいわゆる高齢克服、高齢社会、いろいろな表現があるが、ICTの活用による高齢克服ということが、研究の大事なものだと思っている。
4ページ目を開いてもらうと、消防防災ということで、消防防災ロボットの研究開発とか、ハイパー防火服とか、ここに書いてあるが、こういったような局限状態に耐えられる技術というものが求められているのが特徴だと思っているので、今後、この面では、新しいマーケットを生み出すものでもあろうと思うので、こういった面については、続けてやっていかねばならぬと思っている。
最後になったが、先ほど岸本先生からお話があった各大学のお話、いわゆる掌握したところというお話がったが、基本的には私もそうだと思うが、その場合に、先ほどひょうたんからこまみたいな話がいっぱいあるんだという話があるので、そこのところは研究機関が量子情報通信とかいろいろ今までと全然違ったものがぽんと出てきたりする時代なので、そういったものが、お役所に任すと100 点完璧主義になると、あんなものは絶対にできまないので、そういった意味では、是非、そういった分野の目が摘まれないように、というところの配慮が必要かと思う。


【中山議員】
先ほども触れたが、先般、科学技術・学術審議会が取りまとめました第3期の科学技術基本計画の重要政策を踏まえて、第3期基本計画で取るべき「5つの戦略」についてポイントを説明する。
まず第1ページだが、ここに第3期基本計画において、重要と考える5つの戦略の全体像を示している。
第1点目の人材戦略については、最重要の課題であり、私自身、最前線に立って、各位の御協力を得て取り組んでいきたいと考えている。
4ページでは、「基礎研究」戦略及び「イノベーション」戦略について説明する。
ノーベル賞を受賞された野依先生、あるいは光触媒を発見され、昨日、日本国際賞を受賞された藤嶋先生などによる基礎研究の成果が国民生活や産業に大きなインパクトを与えている。
これには長い年月にわたる国の継続的な支援が重要な役割を果たしていることを示していて、世界大競争の中で、日本の競争力を持続的に確保していくためには、こうした日本オリジナルの基礎研究を社会的、経済的な価値へとしっかりつなげていくことが重要であると考える。
5ページの図に示すように左から右側へ、研究開発の上流から下流へ切れ目なく、支援する総合的な施策が重要であると、このように考えている。


【小此木経済産業副大臣】
当省では、昨年5月に、新産業創造戦略を策定しており、技術革新によって新たな製品サービスを生み出していくということに期待をしているが、このためには、人材育成は不可欠の要素であると考えられる。
しかしながら、資料3−3の3項のグラフにあるように、全米科学財団の調査結果よると、我が国は主要国の中では唯一科学技術に懸念を持つ人の方が多い国となっている。
第一の議題の中で先生方からさまざまな議論が出されたが、いかに科学技術に関する関心を高めていくかということを是非具体的に考えるべきである。


【島村臨時議員】
先般3月25日、我が国農業の新たな価値の創造や、食料自給率の向上を目指した「食料・農業・農村基本計画」が閣議決定されたところだが、これを実現するためには、研究開発が大変重要である。
また、本年2月に発効された「京都議定書」に基づく地球温暖化対策の推進にも研究開発の貢献が欠かせないと考えている。
私は、こうした情勢に対応するため、先般、「農林水産研究基本計画」を策定したところであり、今後、この計画に基づいて、効率的、効果的に研究を推進していきたいと考えている。
具体的に言うと、食料自給率の向上や農産物・食品の輸出促進を図るため、加工・外食用に適した農産物の開発や、食品のおいしさや機能性を客観的に評価する技術の開発など、生産現場のニーズに直結した新技術の開発や、消費者ニーズに対応した高品質な農産物・食品の開発を強化していきたいと考えている。
こうした取り組みの推進には、食の安全や信頼の確保が不可欠であることから、国際的にも認められる食品の安全性評価技術や、食品表示に関する新たな偽装防止技術の開発にも取り組んでいきたいと考えている。
更に地球温暖化防止の観点からは、バイオマスエネルギー変換システムの実用化を一層進め、温暖化ガスの排出削減に貢献していくとともに、森林や農耕地における炭素循環モデルの開発にも着手したいと考えている。


【小池臨時議員】
まず、環境分野における研究開発について資料3−7の1ページ目にあるとおり、第2科学技術基本計画の重点4分野に環境分野が位置づけられたことで大きく進展が見られたところである。
しかし、図の分野別割合のとおり、もともと環境分野の割合が低いこともあって、全体のシェアとしては、まだ余り高くない。
また、この5年間に地球温暖化を始めとして、環境問題のグローバル化がますます進んでいる。
環境と経済の好循環というテーマは極めて重要になり、その一方で、化学物質問題など、安全・安心にかかる問題は増大するということで、この環境分野における研究開発の課題というのは大変重要となる。
次に、どのように推進していくかということについて、今後の基本的な推進戦略を検討しているところである。
その中で、目指すべき将来像として脱温暖化社会などの持続可能な社会の実現ということを目標に掲げ、環境分野の研究開発において、これから重視していくべきアイテムを4点指摘したいと考えている。
政策的課題に対応した重点領域、成果の一層の社会還元、総合的・統合的アプローチ、そして環境研究を支える、例えば、地球観測など、環境研究を支える基盤の充実整備を図っていきたいと考えている。
最後のページでは、政策目標のロードマップを示している。
目標をそれぞれブレイクダウンして、いつごろまでに何をということで進めていきたいと考えており、こういったロードマップに従って、来年度の予算要求に向けても検討を進めていきたいと考えている。
是非とも御協力をいただきたい。
もう一点、沖縄関係である。
資料3−8をご覧いただきたい。
今日は、先ほどまで黒川先生も一緒だったが、沖縄科学技術大学院大学設立構想についてである。
まさに、先ほど来の(人材育成の)お話は、ある意味でこの沖縄で、全く白紙の中からスタートができるということではないかと思っており、大変意義の大きいものがあると考えている。
沖縄に自然科学系の世界最高水準の国際的な大学院大学を創設するということで、いろいろと関係各位に御努力いただいている。
この構想は、沖縄をアジア太平洋地域の先端的頭脳集積地域として発展させ、また、世界の科学技術の発展に寄与するということを目的としている。
先般、この大学院大学の前身となる独立行政法人(機構)を設立するための法律が整った。
そして、今年の9月の機構設立に向けた準備を進めているところである。
それから、平成18年度に恩納キャンパスの施設整備を本格化させるということで、これからはハードにも取りかかろうというところである。
私がそのキャンパスの施設整備を担当される方に1つだけ申し上げておいたのは、どこか庭のすみっこでいいから、真ん中でもいいが、ノーベル賞を受賞したこの大学院大学の関係者の像が立つような台座を幾つか造っておいてくださいと、そうすれば、この大学院大学が何を目指しているのかが明確になるのではないかということであり、そんなことをやりとりしている。
今いらっしゃらないが、黒川先生にも大変お世話になっているので、改めて感謝を申し上げたいと思う。






(3)最近の科学技術の動向

資料4(PDF)に基づき、資源循環型技術の事例について薬師寺議員から説明。
また、参考に資料4(参考)「ゴミゼロ社会への挑戦-環境の世紀の知と技術2004-」を配布。





5.議長(内閣総理大臣)しめくくり発言

総合科学技術会議、いつもありがとうございます。
皆さんの御指導、御助言によって、予算も増やしておりますけれども、科学技術の振興なくしてこれからの日本の発展もないと思いますので、よろしくお願いします。
先日、日本を初めて訪れたある賓客と会ったんですけれども、日本は自動車とかカメラとか、IT、工業製品がすばらしいと、その話ばかりだと思ったら、会った人会った人、サクラの花と木の話ばかりしている。
面白い国だと言ったけれども、やはり日本は自然が好きですから。
環境保護と経済発展の鍵は科学技術ですから、是非とも今日のお話を基に、更に科学技術の振興に予算の面においても、実際の皆さんの研究の成果においても生かすことができるように、よろしく御指導をお願いしたいと思います。

内閣府  科学技術政策・イノベーション担当
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