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第46回総合科学技術会議議事要旨

 


(開催要領)

1.開催日時:2005年5月31日(火)17:30〜18:30

2.場所:総理官邸4階大会議室

3.出席議員

 
     議長 小泉 純一郎 内閣総理大臣
 議員
細田 博之 内閣官房長官
 同
棚橋 泰文 科学技術政策担当大臣
 同
麻生 太郎 総務大臣
 同
谷垣 禎一 財務大臣
 同
中山 成彬 文部科学大臣
 同
中川 昭一 経済産業大臣(代理 保坂 三蔵 経済産業副大臣)
 同
阿部 博之  
 同
薬師寺泰蔵  
 同
岸本 忠三  
 同
柘植 綾夫  
 同
黒田 玲子  
 同
松本 和子  
 同
吉野 浩行  
 同
黒川 清  
    (臨時)    
 同
尾辻 秀久 厚生労働大臣
 同
島村 宜伸 農林水産大臣



(議事次第)

1.開会

2.議事
(1)第3期科学技術基本計画に向けた検討状況について
(2)平成18年度の科学技術に関する予算、人材等の資源配分の方針(案)について
(3)大学等における知的財産戦略について
(4)平成16年度科学技術の振興に関する年次報告(案)について

3.閉会

 

(配付資料)
資料1−1 科学技術基本政策策定の基本方針(試案の概要)((1)(PDF:488KB)(2)(PDF:428KB)(3)(PDF:465KB))
資料1−2 科学技術基本政策策定の基本方針(会長試案)[第7回基本政策専門調査会(H17.5.25)配布資料](PDF)
資料1−3 科学技術基本政策策定の基本方針(会長試案)-別紙資料集-[第7回基本政策専門調査会(17.5.25)配布資料]((1)(PDF:248KB)(2)(PDF:463KB)(3)(PDF)(4)(5)(PDF:367KB))
資料2−1 平成18年度の科学技術に関する予算、人材等の資源配分の方針(案)【概要】(PDF)
資料2−2 平成18年度の科学技術に関する予算、人材等の資源配分の方針(案(PDF))
参考資料 麻生議員提出資料(PDF:488KB)
参考資料 中川議員提出資料(PDF)
参考資料 尾辻臨時議員提出資料(PDF)
資料3−1 大学等における知的財産戦略について〜大学等発知的財産権の積極的活用と知的財産関連人材の戦略的育成・確保〜(概要版)(PDF)
資料3−2 知的財産戦略について-大学等発知的財産権の積極的活用と知的財産関連人材の戦略的育成・確保を目指して-(案)(PDF)((1)(PDF)(2)(PDF)(3)(PDF)(4)(PDF)(5)(PDF)(6)(PDF)(7)(PDF:353KB)(8)(PDF:227KB)(9)(PDF)(10)(PDF)(11)(PDF:209KB)(12)(PDF:275KB)(13)(PDF:412KB)(14)(PDF:242KB)(15)(PDF)(16)(PDF)(17)(PDF)(18)(PDF))
資料4−1 平成16年度科学技術の振興に関する年次報告 我が国の科学技術の力 -科学技術基本法10年とこれからの日本-
資料4−2 平成16年度科学技術の振興に関する年次報告(案)-概要-
資料4−3 平成16年度科学技術の振興に関する年次報告(案)
資料5 平成17年度の科学技術振興調整費の配分の基本的考え方(科学技術連携施策群の効果的・効率的な推進について)(PDF)
資料6 第45回総合科学技術会議議事録(案)(PDF)



(会議概要)

1.議事概要

(1)第3期科学技術基本計画に向けた検討状況について

第3期科学技術基本政策の検討状況について、資料1−1((1)(PDF:488KB)(2)(PDF:428KB)(3)(PDF:465KB))に基づき、阿部議員から説明。
本日の御議論も踏まえ、引き続き、基本政策専門調査会において検討を更に深め、次回の総合科学技術会議では中間取りまとめを報告する予定。
本議題に関する議員の意見は以下のとおり。


【柘植議員】
私から3点。
1点目は、今回の基本方針の新機軸は、科学と技術の振興政策によってどのような国をつくるかということの6つの国づくり政策目標を設定することである。
これは第2期にはなかった大変重要な基本方針と考える。
これによって、重点投資すべき科学と技術の領域の絞り込みと成果目標の設定の重点化が大幅に向上する。
更に、研究現場のモラル向上においても大きな改善点があると同時に、社会・国民から支持されて成果を社会に還元する科学技術の観点からも、その効果が大きいと確信している。
2点目は、これからの第3期計画の具体的な策定においては、新機軸を最大限に生かして、第2期の重点4分野のさらなる重点領域の絞り込みと同時に、その他4分野のエネルギー、製造技術、社会基盤、そして宇宙利用技術等のフロンティア分野で、新産業創造など21世紀の国づくりに必須な領域に絞って重点投資を行うということが肝要だと考える。
このような視点で、第3期の具体化においては、この6つの国づくりの政策目標に結び付くロードマップの明確化の下で重要技術領域のさらなる絞り込みと投資の充実を図れば、科学技術の投資が世界市場で、勝つ技術イノベーションを引き起こし、ひいては21世紀ビジョン実現を通して財政再建に貢献できると確信する。
最後に3点目だが、第3期の基本方針として、資金投入目標のみならず成果目標も基本にするということを明確化し、経済財政諮問会議と連携して計画の具体化に注力したい。

【黒田議員】
第2期の基本計画から引き続いた3つの理念があるが、それを6つの政策目標としたということで国民に非常にわかりやすいものになっているのではないかと思う。
これらすべてを達成するには、もう一つ別の軸から見ていかなくてはいけなくて、それが阿部議員が説明された人材の養成であったり、システム改革であったり、社会と科学技術の良好な関係の構築であろうと考えている。
その中でも特に人材養成について触れてみたいと思うが、実は先週ベルギーで行われたEUの科学財団、ESFの若手向けの大きなグラントの審査にEU以外で1人行ってきた。
7月にも面接のためにブリュッセルに行くが、これは国籍を問わずにトップの若手研究者がEUの研究機関で行うというもので、審査基準が少し参考になるのではないかと思い紹介したいと思う。
3つあって、1つが5点満点で全部で15点満点ということになる。
それで、1つ目というのは応募者の資質ということで、世界一流のリーダーとなるポテンシャルがあるか、過去の業績とか経歴。
2つ目は提案されているプロジェクトがどのくらい独創的で、またどのくらい実現の可能性があるか。
EUの研究の競争力を高めるポテンシャルがあるかということ。
3つ目は、実は受け入れ先の研究機関の質である。
その分野の研究で世界的に優れた研究機関なのか。
その研究者と研究プロジェクトを受け入れることができるかということで、たとえアイデアがよくても、優秀な申請者であっても、研究機関がよくなければグラントが取れないということになっている。
機関というのは個人がつくり出す、構成していくものであり、「モノから人へ 機関から個人へ」の政策対象の転換ということが一つの大きな流れになっていて、それは非常に遠い見方ではいいと思うが、優れた個人が集まった研究機関というものがこれからますます重要になっていくだろう。
特に研究人材のグローバルな競争が顕著になっていくときには、世界クラスのCOEが必要ではないかと考えている。
それから大学、大学院での教育機能の重要さ、それから文化としての科学は、短期間の費用対効果で図ることができないということも忘れないで、この政策を進めていきたいと考えてる。

【松本議員】
私も、人材の育成について述べさせていただく。
第3期の計画では、人材の育成が重要項目の一つとして取り上げられている。
産業界などの社会のニーズに対応した人材の育成を図るとともに、新分野や未踏の分野を切り開き、世界でリーダーとして活躍する研究人材を育成することが今後の日本の国際的リーダーシップ及び経済的基盤構築のために重要である。
若手育成のために、これまでにも若手研究者向けの研究資金制度など、若手の独立を促進する制度を設けたが、実際は過去の大学の講座制等が尾を引いており、若手の独立が必ずしも実態として進んでいない。
若手に研究資金と独立のチャンスを与え、国立大学のみならず公的研究機関や公立、私立大学も含めた広い研究機関で研究を展開し、人の流動性を図ることが若手の育成には必要である。
研究者のみならず、大学院の学生も含めて日本全体の教育研究機関における流動性をもっと上げることにより、大学院学生に雰囲気や惰性に流れずに自分の個性に合った研究分野を考える機会を与え、また若手研究者には新分野を形成するためのより真剣な努力を促すことができると思う。
資金を付ければ動くという考えでは十分ではなく、これからは研究教育機関における運営努力と、各個人の教育研究に対する高い抱負の醸成を呼び掛けることが必要だと思う。

【吉野議員】
私からは、民の研究開発の動向をインプットさせていただいて第3期に触れたいと思う。
科学技術白書によりますと、日本の科学技術の研究開発の官と民の比率は20対80となっていて、世界の平均的な30対70より民が多い。
特にフランスは40対60というふうに官が多いが、この理由は国防関係が日本は少ないということ、それから民がかなり活発であるということと言われている。
それからもう一つ、民の方は景気に変動されやすいとも言われている。
ある集計によると、研究開発費のランキングの上位を占める企業の中から自動車3社と電気9社を取ると、年額およそ4兆5,000億のレベルであろう。
それで、3月に締めた昨年度は前年比7.5%増であったし、今期の計画はこの12社でやはり3.5%の増ということでプラス基調にある。
それは大変いいことなのだが、最近グローバル化の影響として内容に大きな変化が水面下で進行していると私は認識している。
それは、世界各地の異なる市場ニーズに対応するため、例えば自動車で言うとヨーロッパはディーゼルブームがすごい。
アメリカは非乗用車ブームがすごい。
そういう対応をするためと、各国の通商課題への対応も含めて、海外で生産し、海外で販売するというものがどんどん増えている。
しかし、その開発はほとんど日本でやるという形になっている。
開発もやや海外に移りつつありが、いずれの場合にも知的財産の観点から日本が開発を引き受ける、負担するということは変わらないと思う。
したがって、当然ロイヤリティ等は取るのだが、開発の成果が日本のGDPに付いてくるということはどんどん少なくなってきつつある。
したがって、日本ベースだけで勘定すると民の開発効率は低下しているという指摘を受けることもある。
いずれにしても、海外向けの比率というのは業種や企業によって変わるし、あるいは仕分けとか把握というのも非常に難しいのだが、例えば私どもの場合は約50%が海外向けである。
ちなみに、海外向けの売上げは80%である。
そういうことから言うと、今後とも日本よりも海外のマーケットの方が成長が当然大きいわけで、この傾向は続くだろうと思う。
したがって、民の実質的な負担は先ほど言いましたように80と言われているが、実際には日本に対してそれよりも少ない。
つまり、サッカーで言いますと民はアウェイで戦うことに資源投入を傾斜していくということになる。
したがって、是非、官はホームの方をお願いしたい。

【黒川議員】
やはり人材は大事だが、第1期の政策ができたのは10年前の95年だったが、95年はどんな年だったかというと、1月に神戸大震災。
それから、3月にオウム。
これは教育の崩壊という象徴的なことである。
神戸も技術でかなり手抜きがあったということがわかってしまった。
秋から何があったかというと住専である。
そういう話があって、あのときは都銀の大手が全部あった。
それが、次の年に東京と三菱が合併してから今は一切ない。
あっという間に10年がたった。
そのとき20歳だった人は30歳になっている。
この10年でどのぐらい大学が変わったかということを私どもはかなり言っているわけで、そういう意味では大学も自発的にどこまでやれるかということは大事だと思いう。
私は科学新聞の先週と今週に出しましたけれども、今のサッカーと同じで、やはりグローバル化になっているときにはシステムも大事だけれども、一人ひとりがセリエAなどでやりながらワールドカップというイベントでは日本で戦うというような人がいかに出てくるかというのがすごく大事な問題だと思う。
それが一つの価値観を生む。
それが白川先生も野依先生も時代の変人が10年、20年、30年先にすごく流れを変えるという話だと思う。
そういう話をして、出るくいをつぶしてはならないというのがこの間、出させていただいた科学技術政策の要諦に書いた。
あっという間に10年がたった。
ついでに、95年はもう一つ、野茂が行った年である。
10年したらどれだけ変わったかというと、日本のプロ野球は視聴率がだめになって、実力者がだんだんいなくなってくる。
それで、1リーグ制になるのではないかという話も、野茂が1人行ったことによって皆グローバル化で外を見ているからこそ、今メジャーで16人仕事をしている。
あっという間に10年がたつというのは科学でも言えるだろうと思うので、そのような人が出ることが日本の元気、国の信頼、そしてよそからも日本はこういう人をつくるんだという話が出てくるんだと思う。

【薬師寺議員】
第3期の計画は、当然のことながら小泉総理の下でつくる5年先の日本を定める計画である。
そのために、科学技術プログラムというのはやはり構造改革をともかく中心に置いていく。
くれぐれも要求されたものを付けるということではならないと思う。
国民に対する説明能力がものすごく重要で、国民の税金を使うわけですから、5年の間にどれだけ国民の税金を使って、そして5年の間に経済を進め、環境を保全し、安全な社会をつくるためにどうやって科学技術が実現するかということを明確に国民に示す。
そういうような基本計画にするべきだと考える。

【岸本議員】
5月の経済財政諮問会議の活性化のための政策転換というペーパーの中に、「モノから人へ 機関補助から個人補助へ」というフレーズがある。
これが、私は第3期の科学技術基本計画の方向性を示している言葉であろうと思う。
科学技術はやはり人である。
決して大きな機械や設備を並べるだけで達成できるものではないと思っている。
それを端的に表しているのが、「モノより人へ」という言葉であろう。
もう一つは、この前、中国の話もしたが、能力と意欲を持った若い人をいかに燃え上がらせるか。
そのために重要なことを端的に表している言葉が機関補助から個人補助への転換という言葉であろうと思う。
もちろん大学の基本的な基盤を支えるということは、これは人を育てる上でもっとも基本的なことである。
そういう観点から、大学へ与えられる基盤的な経費、運営費交付金と個人に与えられる競争的研究資金とのバランスをどういうふうに取るかということを考えていくのも第3期に非常に重要な問題であろうと思う。

【阿部議員】
米国においては国の経済力も含めての競争力と安全保障は、科学技術と教育だという認識が徹底している。
その考え方がヨーロッパにいき、中国、韓国に浸透してきて、まさに今、大競争時代に入っているのだが、特に中国、韓国の追い上げというのはすごい。
韓国は多分20か30の大学はすべて今、英語で授業をするという方向に動いているし、中国の人材育成教育についての大学の実力向上にはまさに目を見張るものがある。
日本の大学改革は随分お陰様で進んだが、やはりまだ内向きのような気がしている。
よほど頑張っていかなければいけない。
これも第3期の一つの大きいポイントではないかと思っている。

【中山議員】
各議員の意見はもっともなことばかりだと思う。
会長の試案につきましては、前回私が言った意見とも基本的に整合していて、おおむねいい方向にまとめられたのではないかと考えている。
2つ申し上げたいのだが、1つは政策目標と政府研究開発投資額の目標はいわば車の両輪で、共に重要であると考えている。
ただし、政策目標を明示して、社会・国民への貢献を明確化するということに関しては、科学とイノベーションの源泉である自由な発想、先ほど時代の変人と言っていたが、そういった方々の研究を軽視することにつながらないように十分配慮する必要があるのではないかと思う。
また、2つ目だが、国家の重要基幹技術、競争的環境の醸成、人材養成、基盤整備などの重要な課題については、今後十分に議論を尽くしていただきたいと考えている。
ここでは、競争的資金については岸本議員からもあったが、基盤的経費をしっかり確保した上で拡充すること、それから国立大学等の施設整備は、私が政務次官をしていた15年くらい前だが、そのころに比べますと随分よくなったと思うが、やはりそういう世界的な人材の競争とか、そういうことを考えるとまだ不十分な面もあるので、是非重点的、計画的に進めて、世界一流の人材の育成と先端研究を推進する基盤を強化することが必要であるということを強調しておきたい。

【保坂経済産業副大臣】
政策目標を掲げて出口指向の取り組みを明確に位置付けられたことを高く評価している。
そこで、目標の実現に向けて新産業の創造、ものづくり、環境と経済の両立のために必要となる、いわゆる科学技術戦略を第3期計画の中で明確に位置付けることが必要ではないかと考えている。
具体的に言うと、研究分野による重点化とは別の視点、例えば、新産業の創造という出口に向かって共通のシナリオを描きつつも、その下に4分野のみならずエネルギー、製造技術、物づくりまでを含めて、いわゆる必要となる研究開発を融合した総合的な取り組みを進めることが適当ではないかと考えている。
なお、当省においては本年3月に技術戦略マップを策定しているので、参照して欲しい。

【麻生議員】
吉野先生のお話だが、この間、国連大学の学長に会ったときに、日本の失業率は幾つですかと聞くから、4.4になります。
ドイツはと言ったら11.幾つで、景気が悪いですかと言ったら、「はぁ…」と言う。
「はぁ…」というのはどういう意味ですかと言ったら、同じ話をしていた。
ドイツは猛烈な勢いで金が入ってくるが仕事は全部東ドイツから、更に東に行ってポーランドだ、ルーマニアだ、ハンガリーに行ってしまった。
仕事がなくなって失業率はどんどん高くなる。
しかし、金は全部こちらに入ってくる。
景気がいいかと言われれば非常に答えにくいということでこの間、学長の話として出ていたが、これは資料のつくり方として従来の資料、GDPだ、GNPだというのは何を起点にするか。
昔ならばこれは経企庁の仕事だろうけれども、これは資料のつくり方としては何をもって何と言うのか、ものすごく難しいというのがそのときの話題だったが、今は現実に日本でもそうなっている。

【吉野議員】
ただ、日本の場合は余り空洞化というのはなくて、海外で日本勢がのしていっているという傾向の方が強い。

【吉野議員】
先ほど時間の問題が出たが、私どもがやっている非常にポピュラーなカーナビとエアバッグというのは時間がどれぐらいかかったかを見てみた。
共に20年から30年である。
今のように普及して1兆円近い規模のビジネスになっているが、1つは20年、1つは30年ということである。

【小泉議長(内閣総理大臣)】
自動車電話から携帯電話になったのは何年くらいなのか。

【吉野議員】
これは早い。

【麻生議員】
5年もかからなかったのではないか。

【吉野議員】
しかし、自動車電話は走りは大分昔だが、許可になって使い始めてからは10年もかかっていない。

【黒川議員】
その95年の前の94年にネットスケープというブラウザーが出たん。
それであっという間にインターネットに皆アクセスするようになって、次の年にウインドウズ95が出た。
そのくらい早い。
その前はコンピュータはだれも使えないという時代だったから、10年でこんなに変わってしまったのである。




(2)平成18年度科学技術に関する予算、人材等の資源配分の方針(案)について

「平成18年度科学技術に関する予算、人材等の資源配分の方針」の棚橋大臣と有識者議員の案について、資料2−1(PDF)に基づき、岸本議員から説明。
平成18年度は第3期科学技術基本計画の初年度であり、基本政策の中間取りまとめの議論を踏まえて平成18年度の資源配分方針を策定する。
本議題に関する議員の意見は以下のとおり。



【尾辻臨時議員】
今、方針で示されている社会・国民に支持され、成果を還元する科学技術という基本的な考え方については、厚生労働省としても大変重要と考えている。
そこで、具体的な例として1枚紙の資料を配っているが、厚生労働省が進めているがん対策について今日は説明する。
我が国は、この四半世紀にわたりがんが死亡原因の第1位を占めていて、年間30万人もの方が亡くなられているし、またがんで苦しんでいる方々というのは約130万人にも達している。
こうした中で、厚生労働省としては一丸となってがん対策を進めなければならないと考え、私自らが本部長となってがん対策推進本部を先般設置をした。
発症予防、検診治療、緩和ケアなど、病状に応じたがん対策全般について部局横断的な検討を行い、がんを克服するという理想の実現に向けて取り組むこととしている。
このように標準的な治療法の確立やその均てん化を進めますと共に、新たな治療法や画期的な創薬の開発など、科学技術研究の成果の活用を図ることにより、成果の国民への還元を図ろうとしているところである。
更に、国民に科学技術の成果が直結する分野として、免疫・アレルギー分野や新興再興感染症等、ライフサイエンスの主要な研究について資源配分方針に取り上げられているということは大変喜ばしいことだと考えている。

【麻生議員】
情報通信分野に関して言うと、現在間違いなく国民の最大の関心事は安心と安全。
ほとんどの世論調査はこれがトップに挙がっているので、これに対してはこの情報通信技術、電子タグなどというものを用いて登下校の子どもの安全確保とか、大規模災害時に負傷者の情報を送るときに活用するなど、情報通信技術を活用した安全と安心という社会環境の実現という分野に是非重点的に取り組んでいきたいと思っている。
消防の防災分野については阪神・淡路以来の話かもしれないが、この間の尼崎の事故にしても、このところの飛行機の話にしても、何となく安心・安全への信頼というものが揺らいでいる。
この安心・安全というものの確立というのはこの国に投資する海外の人たちにとっても、あの国は安全だとか安心だというのはものすごく大きなインセンティブになると私どもは思っている。
そこで、このビジョンとして一応示しており、安心・安全のための具体例として幾つか書いてあるが、科学技術の高度化というのを非常に望んでおるということは確かだと思う。
ハイパー消防服というものとか、救助ロボットなどいうのは一回見ていただくと面白いと思う。
これは最前線でいわゆる国民を守るために頑張っている分野で、これは他の分野にもずっといろいろ応用できることだろうと思っているので、この面に関して是非私どもとしては精力的にやっていきたいと思っている。

【中山議員】
今回の方針案では科学技術関係人材の養成とか、あるいは研究者の自由な発想に基づく多様な研究の推進を重視していて、長期的な視点に立った資源配分方針として評価したいと思っている。
また、スーパーコンピュータとか宇宙輸送システム、あるいは原子力などの国家基幹技術については、今後とも検討を深めつつ、重要施策として位置付けられるものと理解している。
ただし、意見として2点述べさせていただきたいと思うが、まず1つは大学を始めとする研究機関はそれぞれ特性があるので、機関から個人へと政策対象を転換させるという考え方に関しましては今後もっと丁寧な議論が必要ではないかと考えている。
また、2つ目は先ほど言った施設整備の重要性である。
世界一流の人材を育てる、あるいは集めるという点から考えると、やはり大学等の施設も一流を目指すべきではないか。
施設の老朽化を放置することなく、継続的かつ計画的に施設整備をしていく必要があるのではないかと考えている。
なお、優先順位付け、いわゆるSABCを始めとします予算の改革と充実強化に向けた取り組みについては、ここにあるが、独立行政法人等の科学技術関係活動の把握・所見取りまとめという新たな試みが開始されることもあるので、各法人の特性も踏まえつつ、従来にも増して効果的、効率的な実施をお願いしたいと思っている。

【島村臨時議員】
農林水産分野では基礎から応用まで幅広い研究開発を行っているところだが、特に今後、攻めの農政を展開していくためには、消費者や生産現場の需要に直結した新技術の開発を一層推進していくことが必要だと思う。
18年度の科学技術関係施策の優先順位付けに当たって、こうした政策的にも重要な課題を解決する技術開発の有効性を十分に勘案していただきたいと思う。

【保坂経済産業副大臣】
先ほど岸本議員から説明があった資源配分方針にも、新産業創造戦略の記述がある。
これは、我が省としても昨年の5月に発表した新産業創造戦略だが、これを更に政策面で進化させた新産業創造戦略2005をただいま検討している。
なお、基本的な考え方について、中川大臣の提言ということで1枚紙があるので、参照いただきたい。
その中で、より戦略的に研究開発を推進するという観点から、その成果を日本の強みであるものづくりに結び付けなければならないと考えている。
そこで、燃料電池やロボット、情報家電等のいわゆる戦略分野を支える高度の部材あるいは基盤産業、所謂サポーティング・インダストリーの支援や、ものづくりを支える、先ほどからも出ている人材育成に重点的に施策を講じていきたいと考えて、新しいN2005というものを検討していることを報告する。

【谷垣議員】
私どもは予算をつくるに当たって科学技術を今までも重視してきたつもりだが、何分にも厳しい財政事情で、一層の重点化というか、効率化というか、そういうものを引き続き進めてもらわなければいけないと思っている。
そういう観点から、この資源配分の方針をまとめてもらったことを大変私どもは評価し、敬意を表したいと思っている。
特に6番目のところで、去年も言ったが、いわゆるSABC、これはSやAを絞ってB、Cとのバランスを取るということをやってきてもらったが、更にこういう重点化を進めてもらいたいということが1つである。
それから、科学技術連携施策群を更に徹底的にやってもらい、重複などを排除してもらうということを私どもは期待している。
それから、研究開発の評価の徹底というのもそのとおりだと思う。
それで、これはよいという評価と同時に、むしろこういうものはやめるべきではないかとか、こういうものはもう少し抑制していこうという辺りも徹底してやっていただけたらと思っていて、そういう形で総合科学技術会議が重点化、効率化して向上につなげていただくことを期待している。



(3)大学等における知的財産戦略について

大学等における知的財産権の積極的活用のあり方などについて、資料3−1(PDF)に基づき、阿部議員から説明。
資料3−2((1)(PDF)(2)(PDF)(3)(PDF)(4)(PDF)(5)(PDF)(6)(PDF)(7)(PDF:353KB)(8)(PDF:227KB)(9)(PDF)(10)(PDF)(11)(PDF:209KB)(12)(PDF:275KB)(13)(PDF:412KB)(14)(PDF:242KB)(15)(PDF)(16)(PDF)(17)(PDF)(18)(PDF))の「知的財産戦略について(案)」については、原案通り決定し、総合科学技術会議から意見具申することとした。
本議題に関する議員の意見は以下のとおり。


【阿部議員】
地域産業の活性化でありますが、実は八戸工業大学がホタテの貝殻の抗菌機能に着目をいたしまして事業展開をやっております。

【小泉議長(内閣総理大臣)】
ホタテの貝は抗菌作用があるんですか。

【阿部議員】
はい。
粉にしまして。

【小泉議長(内閣総理大臣)】
昔、子どものころにニワトリを飼っていて、アワビの貝を鳥小屋につり下げるとイタチの防止になると言われてやりましたが、あれは迷信ですか。

【薬師寺議員】
光っているからイタチが怖がるんでしょうね。

【阿部議員】
これはすごく売れておりまして。

【小泉議長(内閣総理大臣)】
世界ではそういう研究をやっていないんですか。

【阿部議員】
これは国際特許を取っています。

【小泉議長(内閣総理大臣)】
カニの甲羅もどこかで何かありましたね。
これもバイオテクノロジーなんですかね。

【阿部議員】
いずれにしても非常にいいものがあるんですけれども、まだ数が少ないですから何とかそれを増やしていきたいということです。

【棚橋議員】
天才とは目に見えないものから何かを見出すのではなくて、目に見えているけれどもだれも意義を見出せなかったところから物事をつくり出すということですね。

【薬師寺議員】
地方の大学を活性化するためにはちょっと押してあげないと、八戸工大みたいなものは非常に頑張っているんですけれども、そういうものをどんどん増やしていくような努力を我々はしなければいけないと思います。

【阿部議員】
非常にうまくいけばこれは雇用促進になりますので、先ほど吉野議員が言われた自動車は国際競争力のためには必至であるが、国内の雇用促進はなかなか難しい。
やはり多面的な産業をつくっていかなければいけないと思います。

【小泉議長(内閣総理大臣)】
昔は卵の殻をすりつぶして飲んでいた人がいましたよ。
カルシウムにいいというので、粉薬だと言ってお年寄りが飲んでいた。

【棚橋議員】
今でもお酢に卵を漬けて飲む人がいます。
お酢の中に卵を漬けておくと殻が溶けてそのまま飲むという健康法が確かありました。

【黒川議員】
あれは胃潰瘍ですね。
殻が酸で溶けてくるから。
先人の知恵には真実があるということですね。

【中山議員】
地方の大学の研究成果を市場に出していこうという動きが非常に活発化していますので、この戦略は非常に大事かと思っております。

【島村臨時議員】
今の地方の大学の件ですけれども、やはり機会を設けて刺激を与えてどういうことをやっているのかということがないと、何となくやっているところもあると思います。
大変いい刺激になると思いますので。

【細田議員】
産学官連携推進会議は大分やっていますでしょう。
あれはものすごい皆の刺激になるんですね。
地域産学官会議というものをやると多くの大学の学長が出てきます。
それで、何とかしなければいけないというので。

【阿部議員】
あれは、御案内のように表彰しておりますので、いろいろな地方の大学の産学官連携も含めて総理大臣賞を始め産学の非常にいい事例を表彰しておりまして、総理大臣は画面でだけ御参加いただいています。
本当はおいでいただけるといいんですけれども。

【棚橋議員】
おいでいただければ一番ありがたいのですが、私が代わりにお渡しすることになっております。

【細田議員】
今年はどこですか。

【薬師寺議員】
毎年京都でやっています。

【保坂経済産業副大臣】
結局、大学の研究でものすごい成果が出ましても、当面販路を見つけるのは大学はできないですね。
そこで、我々経済産業省としてはそこまでやろうと、今度新しい制度を設けましたので。

【棚橋議員】
今の産学、特に地方レベルでの産学の連携につきましては大変重要な御指摘だと思いますので、総合科学技術会議としてもこの点について取り組んでまいりたいと思っております。



(その他報告事項)

<平成17年度科学技術振興調整費の新規採択課題について>
平成17年度科学技術振興調整費の新規採択課題に関し、文部科学省で行われた審査結果について総合科学技術会議で決定した配分の基本的考え方に沿ったものであることを棚橋議員と有識者議員で確認したことを、棚橋議員から報告した。

<科学技術連携施策群関係について>
昨年7月に創設・推進を決定した科学技術連携施策群については、棚橋議員と有識者議員の指導の下、内閣府を中心に関係府省の協力を得つつ取り組むことを報告した。
また、そのために活用する科学技術振興調整費については、5月20日に資料5(PDF)のとおり基本的考え方を決定した旨報告した。
今後、具体的に推進する段階で改善すべき点が生ずれば、棚橋議員と有識者議員が対応することを決め、遺漏なきよう対処をすることとし、関係大臣の一層の御協力をお願いした。




2.議長(内閣総理大臣)しめくくり発言

科学技術と言うと高度な知識を要するし、数学にしても物理にしても化学にしても一般の人には能力的にはるかに及ばないから難しいと思っているが、いかに身近に我々が恩恵を受けているか、今日の話のように科学技術というのはいかに国民の生活にとって大事か、わかりやすく説明していただきたい。
今、知的財産戦略本部があるが、知的財産については科学技術との連携は欠かせないと思うので、世界最先端の技術を持っているわけだから、ITもそうだが、よく本部と連携をとってやっていただきたい。


内閣府  科学技術政策・イノベーション担当
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