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第50回総合科学技術会議議事要旨



(開催要領)

1.開催日時:2005年11月28日(月)17:30〜18:30

2.場所:総理官邸4階大会議室

3.出席議員

 
 議長 小泉 純一郎 内閣総理大臣
 議員 安倍 晋三 内閣官房長官
 同
松田 岩夫 科学技術政策担当大臣
 同
竹中 平蔵 総務大臣(代理 山崎 力 総務副大臣)
 同
谷垣 禎一 財務大臣
 同
小坂 憲次 文部科学大臣
 同
二階 俊博 経済産業大臣
 同
阿部 博之  
 同
薬師寺 泰蔵  
 同
岸本 忠三  
 同
柘植 綾夫  
 同
黒田 玲子  
 同
松本 和子  
 同
吉野 浩行  
 同
黒川 清  
  (臨時)    
 同
猪口 邦子 少子化・男女共同参画担当大臣


(議事次第)

1.開会

2.議事
(1) 第3期科学技術基本計画(平成18〜22年度)に向けた検討状況について
  −科学技術基本政策答申(案)について−
(2) 国家的に重要な研究開発の評価について
(3) 平成18年度科学技術関係予算の編成に向けて
(4) 最近の科学技術の動向
(5) その他

3.閉会



(配付資料)
資料1−1   科学技術基本政策答申(案)について(PDF)
資料1−2   「科学技術に関する基本政策について」に対する答申(案)(PDF:287KB)
資料1−3   第15回 総合科学技術会議 基本政策専門調査会「政府研究開発投資目標について」論点資料(PDF)
資料2−1   平成17年度に総合科学技術会議が実施する国家的に重要な研究開発の評価
大規模新規研究開発の事前評価(案)の概要(PDF)
資料2−2   平成17年度における大規模新規研究開発の事前評価について(PDF)
資料2−3   総合科学技術会議が実施する国家的に重要な研究開発の評価
「最先端・高性能汎用スーパーコンピュータの開発利用」について(案)(PDF)
資料2−4   総合科学技術会議が実施する国家的に重要な研究開発の評価
「X線自由電子レーザーの開発・共用」について(案)(PDF)
資料2−5   総合科学技術会議が実施する国家的に重要な研究開発の評価
「戦略的基盤技術高度化支援事業」について(案)(PDF)
資料3−1   平成18年度科学技術関係予算の編成に向けて(PDF:293KB)
資料3−2   平成18年度科学技術関係予算の編成に向けて(案)(PDF)
資料4   最近の科学技術の動向 電気をためる技術:キャパシタによる蓄電
(1)(PDF:308KB)(2)(PDF:322KB)
資料5−1   平成17年度科学技術振興調整費による緊急研究開発等の指定について(PDF)
資料5−2   平成17年度科学技術振興調整費による緊急研究開発等の指定について(PDF)
資料6   第49回総合科学技術会議議事録(案)(PDF)



(会議概要)

1.議事概要

(1)第3期科学技術基本計画に向けた検討状況について

 基本政策専門調査会において科学技術基本政策答申(案)を概ねとりまとめたため、その答申(案)について、 資料1−1(PDF)に基づき阿部議員から報告。
 本議題に関する議員の意見は以下のとおり。



【吉野議員】
 投資目標についてコメントさせて頂く。
 日本の生き延びる道が科学技術創造立国というのは、非常に的確な選択肢だと確信している。国として多くの課題があるだろうが、国の将来を切り開く、また富を生む唯一の方策である科学技術振興は、SABCで言うとSだと思っている。
 したがって、どれだけ力を入れるのか、何らかの考え方とか、ガイドラインが当然必要である。国の経済規模はGDPが代表すると思うが、投資目標は、緩やかにGDPにリンクしたものが妥当ではないかと思っている。日本は近年、他国並みのレベルになったが、他国は今後増強を指向しており、日本もその方向でなければ競争力を弱めることになる。
 日本は、民が活発で、官民合算では他国よりも抜きん出ているという議論があり、したがって官は控え目でもよいのではという意見があるが、それぞれ役割分担が異なるので妥当ではない。
 また、以前にも述べたが、グローバルに競争する日本企業の研究開発の仕向け地というのはどんどん変化している。海外専用に生産・販売するものを日本で開発するというケースが年々増えてきていて、例えば私どもホンダでは売上の8割は海外であり、研究開発費の国内外の区分は、国内専用がほぼ3割である。それから海外で生産し販売するという海外専用がほぼ3割である。残りの4割が両用である。一部海外でも開発はしているが、知財の確保という観点から、研究開発費用は全額日本サイドの負担としている。ロイヤルティー収入等はあるが、日本のGDPへ寄与する研究開発というのは約5割前後だと考えている。したがって、見かけの民の数字というのは割引く必要があると考えている。
 日本の自動車産業全体というのは、内外生産比率は台数ベースで、今年、海外が国内を上回る。日本は、経済全体が成熟、海外は成長であり、企業はアウェーでの競争に力を注いでいくという構図は今後も続くトレンドだと思う。
 企業の研究開発費というのは、売上を支え、売上を伸ばすエンジンであり、対売上比率が1つの管理指標になる。国の場合、より基礎的、長期的になるだろうが、対GDP比で着実な投入を期待する。


【黒川議員】
 国を見ても、企業を見ても、どんな苦しいときでもR&D、科学技術の投資を避けたところは10年、20年したら必ず衰弱している。
 企業もそうだが、投資したときには何をすべきかというと、R&Dの人間を構造改革しない限り、これは絶対に無駄な投資になる。
 では、何をしたらいいかということだが、今、世界中のキャンパスがグローバルな競争になっており大競争時代というが、日本の大学で開国している大学はあるのか。つまり、今、世界のトップの大学は、世界中の優秀な高校生、大学生、先生を呼ぶために必死の努力で開放しており、一流大学のキャンパスは、学部から国際村化している。そこを大きなターゲットにすべきであり、まず国立大学は、学部の3分の1は国際学生に開放するべきであり、それが日本の国の信用を築くことになる。勿論、途上国の人たちには、奨学金を投資すべきだと思う。
 そうすることにより、日本の将来を担う学生の心理が変わる、気持ちが変わる、先生たちの目標が変わる。その人たちは多くが外国のいい大学に行くので、日本の大学はこういう人をつくってくるのかと信頼されるようになることが一番大事だと思う。
 したがって、キャンパスを鎖国ではなく開国をしようと。それをしてこそ、初めてこの投資が生きてくる。100 年前の日本をつくった福沢諭吉も、北里柴三郎も、野口英世も、皆若いときにたくさんの外の人を見たということが大きなきっかけになっていると思う。


【薬師寺議員】
 投資目標を云々する前に、第3期では何を改革するのかを明らかにする必要がある。一言で言うと、第3期計画は、第2期計画の良いところを踏襲し、悪いところを改革するということが言える。
 第2期計画の良いところは、重点4分野、その他の4分野を決め、予算の拡散化を阻止したことであり、これは踏襲する。
 それから第2期計画の悪いところ、つまり欠陥が2つある。一つは、各省の予算が重点4分野に集中して、その他の分野が空洞化したことである。もう一つは、科学者中心の政策であったがゆえに、特定の科学者集団への巨額な研究費が流れ、いわゆるじゃぶじゃぶ問題を起こしたということである。
 これらの2つの欠陥をただすために、第3期計画では、3つの改革を不退転の決意でやりたいと思う。
 第1の改革は、科学者中心の政策から国民中心の政策に重心を移すこと。つまり、国民が安全を確保してほしいとか、高度医療を提供してほしいと要求しているわけで、科学者はそれに応える政策をやる。
 第2の改革は、それぞれの分野を一括して考えるのではなくて、例えば環境分野では、その分野の中にまで入って、戦略的にどこを増やすのか、どこを減らすのか、減らすという議論が今まで全然なかったわけであり、そこを総合科学技術会議は厳選して行う。その理由は、国民の安全に資するものかどうかという基準で行う。それから、国民の経済不安を解消するかどうかということで選ぶ。それから、国の総合安全保障に寄与するものかどうかで選ぶ。
 最後の第3の改革は、これは重要だが、さまざまな抵抗勢力がある。それでは総合科学技術会議のリーダーシップはなかなか取れない。今回はリーダーシップを取る。どういう抵抗勢力かというと、科学技術を第2の公共投資にしよう、モノに投資をしてくれというのがいるわけである。それを排し、モノから人へ重点を移す。それから、改革もせずに交付金を減らすなという抵抗勢力がある。そういうものを排して、国際レベルの大学と個性ある大学を中心に我々は大学改革を進める。
 最後に、科学のことは科学者に任せろという、いわゆる科学原理主義を唱える人たちがいる。そういう人たちを排し、国民主体の科学技術にしたい。これが第3期の基本的な姿勢である。


【岸本議員】
 「人は城、人は石垣」というのは武田信玄の有名な言葉だが、どの分野でも人は大切である。しかし、科学技術の分野はどれだけ優秀な突出した人がいるかということによって、ほとんどすべてが決まると思う。
 若い優秀な頭脳が、科学技術の分野に入って行こうというインセンティブは何によって生まれるか、一番大きなことは、国がどれだけ科学技術に力を入れているのかということがはっきりと態度として見えることだと思う。
 それは、科学技術基本計画の中に、小泉内閣はこれほどのお金をかけますということを明示することではないかなと思う。
 それは、国の外に対しても同じことであって、日本の国は、これほど科学技術を重視している、これほど進めようとしているということを示すことも、また重要なことだと思う。
 もし、この科学技術基本計画に投入目標が何もなかったとしたら、それは「世界人類皆兄弟」といっているような空念仏みたいなインパクトのないものになるのではないかと、私は思う。勿論、徹底的な科学技術のシステム改革、構造改革を行うということが前提である。


【柘植議員】
 産業での技術・経営の経験から2点、総理及び各大臣の御理解をいただきたい。
 1点目は、国家としての科学技術経営の在り方である。国家財政の聖域なき建て直し議論、これは科学技術予算も聖域であってはならないのは当然である。しかしながら、コスト、産業側ではときどき出銭というが、出銭削減の徹底追及と国の歳入源としての新産業を生み出す金の卵と、これは科学技術への投資、これと混同してはならないと考える。これは、企業の財政建て直しにおいても、苦しいときには折々これを忘れて、結果的に事業体質と国際競争力の弱体化をもたらした苦い経験がある。技術革新によってのみ可能である、世界大競争に勝てるイノベーションの創出、新産業の創出によって歳入増加を図るとの明確な政策の下に、国としての先行投資の堅持が不可欠である。同時に、科学技術の歳出は国民に知と国力の拡大再生産を生み出す投資であると、これを国民に、それから産業にコミットメントする大切さを再確認せねばならないと考える。ここに単年度の予算、審議の原則と両立させた第3期の基本計画中での総投資計画の旗印の設定、それからそれの国民への説明の必要性が明確になると考える。
 2点目は、吉野議員の発言にあったように、基本計画期間中の総投資額の考え方である。御存じのとおり、国と国との激しい競争において、主要国における科学技術関係予算、対GDP比から見ると、日本の現状0.79%はまだ強化が必要である。人と知力以外の資源貧乏国の我が国としては、対GDP比1%を目安とした投資の早期実現と、これから5年の総投資額の明示が必要である。
 一方、経済財政部門からも指摘のあるように、科学技術投資を社会的価値、経済的価値に具現化する、いわゆるイノベーション能力。我々のイノベーション能力の現状はまだまだ未熟と言わざるを得ない。この認識の下で、投資の条件として、イノベーション能力強化の構造改革を第3期の計画の最重要経営課題として掲げた。議員の私も、国の科学技術経営のイノベーション能力強化に注力する。特に第3期の計画では、長期的な人材育成投資を充実するとともに、過去10年間の第1期、第2期計画における投資成果の中で、これから5年、10年の間にイノベーション創出に結び付く、ポテンシャルを持つ成果を対象に、特に集中投資すべきであると考える。


【黒田議員】
 クリントン大統領が、2001年の年頭教書で、「科学技術は米国の経済成長の原動力であると、今日の経済を牽引する技術の多くは1960〜1970年代における政府投資によってもたらされた」という言葉がある。
 ノーベル賞を授与された白川先生、野依先生も出発は地道な学術研究で、2010年に6兆円の売上が予測されている垂直型の磁気記録装置にしても、70年代からの大学における研究に端を発している。つまり、30〜40年かかって産業として国の経済を潤すようになるのである。日本は、特許数では他国に負けないが、基本特許が余りない。知に根差した国となるためには、基本特許が必要である。そのためには、大学発のイノベーションがかぎとなるし、システム改革が必要ということになる。
 資源小国、人口減少と高齢化が進行していく日本が繁栄するためには、日本発の学問とか産業が必須である。残念ながら国民は科学技術に関心が低くて、あこがれとなるのはイチローとかスポーツ選手が大半になってしまう。国民が二流国という意識を持ったり、刹那的な富とか快適さとかを求めないで、将来にわたって誇りと自信を持っていくためには、クリントンの言葉にあるように、科学技術の知が経済を牽引していくという力強さが必要だと思う。ハングリー精神でないといけない。それと同時に、萎縮した心からは真に創造的なひらめきは生まれない。
 日本は、科学技術が経済を牽引する科学技術創造立国を目指すのであり、科学技術を通して国際貢献をするのであり、決して後ろ向きの国ではないことを第3期科学技術基本計画を通して世界に宣言していきたいと考えている。


【松本議員】
 政府の研究開発投資に関しては、日本がGDP当たり1%に達していない先進国中唯一の国であるという事実があり、今後もやはり政府投資を増加させることが大事である。それが大学、国研及びその他の研究機関の基盤の充実を図ることになると考えているし、また外国の日本に対する評価を高めるということに関しても重要なことと考えている。
 第3期基本計画では、より一層の研究開発目標の絞り込みと、評価の仕組みを確立することが重要で、研究開発費を増加させるとともに、目標を絞り込み、評価の仕組みを一層充実させるということにより、無駄のない研究開発、研究基盤がつくられるのである。開発目標の絞り込みについては、諸外国の動向を参考にすることも必要だが、我が国が得意とする分野を更に発展させ、日本の重点分野とする視点が世界の中で、日本の独自性や先端性を認識してもらい、日本の優位性を育てるために重要と考えている。
 私は化学を専門としているので、化学を例に話をすると、化学はノーベル賞学者が日本から多数出ており、また半導体、炭素繊維といいましてゴルフのクラブとか、最近では、自動車とか航空機などにも炭素繊維を使い出して、軽いということと強度があるということ、それからゴルフクラブなんかは弾性があるということも重要な性質になっているが、炭素繊維あるいは液晶、燃料電池など、日本の産業がリードしている化学関係の分野が多数ある。
 工業出荷額でいうと、化学産業は自動車産業に次いで2位だが、原料から製品までにどれだけ価値が上がったかを示す付加価値高についていうと、化学産業はダントツで1位というデータが出ている。ただ、残念なことに、製品の数が非常に多いために、一般の人にはっきりとこれだという形で化学のイメージが湧きにくいという点があり残念に思っている。
 化学の先端研究にはナノテクに関係するものや、グリーンケミストリー、グリーンテクノロジーなどのように、環境化学に関係するもの、また製薬やドラッグデリバリーのようにライフサイエンスに関連するものなど広い分野に関係があり、多くの重点分野に関係している。私は、化学は日本が得意とする1つの分野と考えているので、これを是非皆様に誇りとしていただきたいと思うし、これからも一層育てていただきたいと思っている。


【阿部議員】
 若者を中心とした科学技術離れについて、意見を申し上げさせていただく。
 これは、先進国共通にみんな苦労しているところであり、EUも非常に努力をしている。イギリスは大変な努力をしたために、科学技術の好きな子どもたちが増えてきたと言っているが、職業に就くときには、また科学技術離れをしていると。
 そういうことで、これは政府の責任でもあるということで、それに対しても非常に大きい努力を払いつつある。我が国は、まだまだここが足りないので、第3期を機会に、更にこれに注力をしていくべきである。


【猪口臨時議員】
 第3期の基本計画の検討において、まず女性研究者の活躍促進について配慮していただいていることに感謝する。私は7月まで基本政策専門調査会の専門委員を務めており、女性科学者のための発言をしていた経緯もあるが、今日は男女共同参画担当大臣として一言申し上げたい。
 我が国における、研究者に占める女性の割合は11.6%であり、国際的に見て際立って低い状態にある。今日、競争的資金の割合が大きくなっており、例えば3年から5年の任期付の任用や、プロジェクト期間限定の雇用が増える中で、実際には、研究者が育児休業を取りにくい、また、研究組織の長が出産・子育て期に当たる女性研究者の採用や起用を躊躇するということも多く見られるので、どうかこの点特別に御理解いただきたいと思う。
 そして、女性研究者の活躍促進を図ることは、多様性の確保につながる。先ほど薬師寺先生のおっしゃった、国民の視点に立ってという観点からも不可欠である。18年度の概算要求方針においても、科学技術振興調整費について、女性研究者の育成・活躍促進のための環境整備を非常に重点化していただけているようであり、是非、文科省を中心に育児等による研究の中断からの復帰のための支援、そして、女子の理工系の進路選択の支援についても、今後政府予算の編成に向けて考慮していただくようお願いする。
 私が今まとめている、次期の男女共同参画基本計画の中で、科学技術について非常に重点的に位置づけている。第3期科学技術基本計画においても、女性参画のための数値目標の設定や、研究者の育成及び活躍を支援・促進する、活躍できる環境を整備する、このような根本的な対応を重点的に進めていただくようお願いする。


【小坂議員】
 端的に言えば、第2期計画の達成状況を踏まえ、未だ不足しているところを補い、更に伸ばすべきところを伸ばすことが必要であり、また、答申案に示された新たな課題を実施していくことも必要である。例えば、第2期で競争的資金の倍増目標というのがあったが、これも未達成であるし、大学等の老朽施設の再生についても取組みが不足しており、これらを補っていきたい。
 また、産学官パートナーシップにより国立大学等における民間との共同研究が進展し、クラスターの形成により地域イノベーションが起こり、大変活性化してきた。長野県などで、大変うまい成功例も出ている。このようなものを第2期の成果を踏まえて更に伸ばすような資金的な裏付けが必要だと思っている。
 加えて、今お話があった若手、あるいは女性研究者の育成、活躍の促進、特に女性研究者の割合は欧米先進国の中で際だって低く米国の3分の1ということもあり、強化が必要である。
 そして、次世代のスーパーコンピュータ、先ほどお話のあった燃料電池、あるいはX線自由電子レーザー、更にはお隣の中国が力を入れている有人宇宙飛行に対しても、将来これに手がかかっていくようなことを推進する必要があるだろうと思っている。
 御存じの科学衛星「はやぶさ」による小惑星「イトカワ」への着陸成功及び試料採取の実施というのは極めて画期的なことであり、これもこれまでの積み上げによる成果である。こういった分野に更に意欲を増せるように、第3期では少なくとも第2期を上回る政府研究開発投資目標を明確に定めるべきであると考えている。


【二階議員】
 産業競争力の強化のために、あるいは国民生活の質を向上させるために、各先生方からもお話があったとおり、研究開発投資は極めて重要であるという認識を持っている。そこで、国として目指すべき産業の姿、あるいは国民生活の目標に向かって必要な技術開発のテーマを絞って、官民一体となって戦略的かつ効率的に研究開発に取り組む必要があると思っている。
 もう随分以前のことであるが、アメリカの科学者とか、イノベーションに携わる方々とか、色々な方々に総理のお供で伺ったときに、そういう人たちとの討論会に出席したが、「日本はもうここまで力を持って来たのだから、基礎研究にもっと力を注いではいかがか。そのことを世界中が期待しているのだから、もっとやるべきだ。」と言われたことが、いまだに印象に深いが、そういう面でも是非専門の先生方のお知恵を拝借しながら取り組んでいきたいと思っている。
 ロボット等の先端的な取組み、これは私ども経済産業省としても国際競争力を支える中小企業の基盤技術の強化にも大いに役立つところがあるので、これについても懸命に取り組んでいきたいと思っている。
 先程航空機の話が出たが、超高速船等も研究開発されている。すぐ採算に合うか合わないかということだけで物事が判断されるが、もっと広い意味でこれらの開発が、他の科学技術の進歩を誘発する結果を招来することもあるわけで、その点は科学技術担当大臣におかれても、もっと広い意味で、長い目で取り組んでいただきたいということをお願いしたい。


【谷垣議員】
 科学技術予算が将来の投資であるということは、私も全くそう思っている。ただ、それを総額目標という形で拡充していこうということになると、ほかの分野は投資目標から成果目標というのに大きく移ってきている中で、いわゆる聖域なき改革、あるいは徹底的な歳出改革を図っていくという政府全体の姿勢と矛盾が出てくるんじゃないかという感じがして、私は慎重な検討が必要であると思っている。
 なお、最近アメリカが非常に政府の研究開発投資を拡充する傾向にあると思っているが、そこでも政府研究開発投資の総額目標というような手法は取っていないのではないかと思っている。


【松田議員】
 本日の御議論を踏まえ、答申に向けて更に検討を深めていきたい。また投資目標に関しては、財務大臣を始め、関係各大臣及び有識者議員ともよく相談し、十分ひとつ知恵を絞って、私が責任を持って最終的な意見集約に努めたいと思うので協力して頂きたい。



(2)国家的に重要な研究開発の評価について
(3)平成18年度科学技術関係予算の編成に向けて

 議題2の「国家的に重要な研究開発の評価について」を資料2−1(PDF)に基づき柘植議員から、議題3の「平成18年度科学技術関係予算の編成に向けて」を資料3−1(PDF)に基づき岸本議員から、それぞれ説明。資料2−3(PDF)資料2−4(PDF)資料2−5(PDF)の大規模新規研究開発の評価結果案並びに資料3−2(PDF)の「平成18年度科学技術関係予算の編成に向けて(案)」については原案通り決定し、総合科学技術会議から内閣総理大臣及び関係大臣に対して意見具申することとした。
 本議題に関する議員の意見は以下のとおり。


【谷垣議員】
 18年度予算編成は、17年度に続いて、一般歳出を圧縮するという方針でやっており、科学技術についても相当厳しく見ていかなければいかぬということだと思うが、要は大胆な選択と集中ということだと思っているので、今日お示しいただいた重点事項も踏まえながら、18年度の編成作業を進めていきたいと思う。




(4)最近の科学技術の動向

 キャパシタを使った電気をためる技術について、資料4((1)(PDF:308KB)(2)(PDF:322KB))に基づき阿部議員から説明。



(5)その他

 資料5−1(PDF)の「新型インフルエンザ・ワクチンの生産に関する緊急調査研究」及び資料5−2(PDF)の「アスベストによる健康障害対策に関する緊急調査研究」について、緊急に対応を必要とし国民の関心が高い事案について、科学技術政策担当大臣が有識者議員、文部科学大臣及び関係大臣の意見を聞いた上で、緊急研究開発等の指定を行ったことについて、松田議員から報告した。
 また、平成17年度科学技術振興調整費で行う科学技術連携施策群の研究開発課題に関し、文部科学省で行われた審査結果について、総合科学技術会議で決定した配分の基本的考え方に沿ったものであることを、科学技術政策担当大臣と有識者議員で確認したことについて、松田議員から報告した。





2.議長(内閣総理大臣)しめくくり発言

 科学技術の重要性は皆さん御指摘のとおりであります。予算は削減の一方ですが、科学技術は数少ない重点的に増やしていかなければならない予算です。今までSABCで努力していただきましたが、みんな増やすばかりの要求ですけれども、減らすべきは減らす、増やすべきは増やす、更に今の皆さん方の御意見を集約して、財務大臣とよく折衝していただいて、大事なところを伸ばしてください。明日への投資ですから。

内閣府  科学技術政策・イノベーション担当
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