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第51回総合科学技術会議議事要旨



(開催要領)

1.開催日時:2005年12月27日(火)14:00〜15:00

2.場所:総理官邸4階大会議室

3.出席議員

 
 議長 小泉 純一郎 内閣総理大臣
 議員 安倍 晋三 内閣官房長官
 同
松田 岩夫 科学技術政策担当大臣
 同
竹中 平蔵 総務大臣(代理 菅 義偉 総務副大臣)
 同
谷垣 禎一 財務大臣
 同
小坂 憲次 文部科学大臣
 同
二階 俊博 経済産業大臣
 同
阿部 博之  
 同
薬師寺 泰蔵  
 同
岸本 忠三  
 同
柘植 綾夫  
 同
黒田 玲子  
 同
松本 和子  
 同
吉野 浩行  
 同
黒川 清  
  (臨時)    
 同
猪口 邦子 少子化・男女共同参画担当大臣


(議事次第)

1.開会

2.議事
(1)第3期科学技術基本計画(平成18〜22年度)について −諮問第5号「科学技術に関する基本政策について」に対する答申−
(2)平成18年度科学技術関係予算案について
(3)科学技術振興調整費について
(4)その他

3.閉会



(配付資料)
資料1−1   諮問第5号「科学技術に関する基本政策について」 に対する答申(案)(PDF:296KB)
資料1−2   科学技術基本政策答申(案)について(PDF)
資料1−3   基本政策専門調査会での検討経過(PDF)
資料2−1   平成18年度科学技術関係予算案について(PDF)
資料2−2   優先順位付けを実施した科学技術関係施策の平成18年度予算案について(PDF)
資料2−3   平成18年度予算案における科学技術関係予算への優先順位付けの反映について(PDF)
資料3   平成18年度の科学技術振興調整費の配分の基本的考え方(PDF)
資料4   ヒトES細胞樹立計画及び使用計画の確認について(PDF)
資料5   第50回総合科学技術会議議事録(案)(PDF)



(会議概要)

1.議事概要

(1)第3期科学技術基本計画(平成18〜22年度)について −諮問第5号「科学技術に関する基本政策について」に対する答申−

 基本政策専門調査会においてとりまとめられた、科学技術基本政策の最終的な答申案について、 資料1−2(PDF)に基づき阿部議員から報告。
 資料1−1(PDF)の答申案については、『諮問第5号「科学技術に関する基本政策について」に対する答申』として決定し、総合科学技術会議から内閣総理大臣に対して答申することとした。
 本議題に関する議員の意見は以下のとおり。


【薬師寺議員】
 すべての予算が削減される中、社会保障費はともかく、科学技術振興費が増額され、第3期基本計画の5年間の投資目標も決めていただいた。総合科学技術会議の司令塔としての役割を後押ししてくれるということで大変感謝する。我々はそのような中で国民への責任を明らかにし、緊張感を持って第3期を進めていきたい。
なお、研究費の配分等に関しては、研究者の間にはまだ不満や意見があることは十分承知しており、そのような声にも耳を傾け、意見を拝聴しながら、第3期では制度改革も含めてさらなる改革を進めていきたい。


【岸本議員】
 前回の本会議で総理が、「科学技術は明日への投資である」と言われたことの具体化、具現化がこの25兆円という数字である。特に若い研究者に対する大きな励ましになるし、国の外に対しても日本の科学技術はこれからもっと進むであろうという期待と、非常に強い競争相手になるという恐れといった、非常に大きなインパクトを与えていると思う。
 しかし、一方ではこの25兆円という総額に対して、この基本計画の中に国家基幹技術という言葉が入っている。それに対して金目のものを何とかそこへ押し込んでいこうという動きが現在でもあることも事実である。それをいかに厳正な評価の下に、数を少なく絞り込んでいくかということが我々に課せられたこれから数か月間の非常に重要な責務である。そこが緩むと、第3期の基本計画の精神である「モノから人へ」という基本が失われることにもなる。最も重要なことは国家基幹技術で、そこへ大きなものを入れ込もうとすることをいかに我々が評価し、選択していくか、絞り込んでいくかということである。


【柘植議員】
 大変中身の濃い計画ができたと思う。特に科学技術予算を国力の強化に対する投資と明確に位置付け、国民に新しい価値を提供する、いわゆるイノベーション創出をコミットした。これは、科学技術の行政政策として画期的と言っていいと思う。
これからの重要課題は、このイノベーション能力をいかに強化するかである。ざっと数えたら、この基本計画に38か所にイノベーションという言葉が盛り込んである。非常に心強いと思うと同時に、何としてでもこの投資にこたえるイノベーションの実現に注力したいと思う。
 そのためには、やはり我が国を科学技術の経営力とあえて言うが、科学技術経営力の一層の強化の改革が必要である。我が国のイノベーション能力の強化において一番効果がある強化策だと私が考えるのは、文部科学省が中核を担う基礎研究活動を、経済産業省や総務省などのいわゆる研究成果の実用化を担う行政活動、これをそれぞれ太いパイプで結び付ける。この改革にある。
 具体的には、2つの観点からこのパイプの構築がある。1つのパイプは、これまでの第1期、第2期の基礎研究成果をこれから5年から10年の間で社会的、経済的な価値にまで結び付ける。こういうハイプの強化である。第2のパイプは、これからの第3期の計画で始める基礎研究の入り口を、10年から15年先のイノベーション実現という出口の道筋に結び付けるパイプの構築である。
 以上、関係府省の協力、参加を得て、科学技術投資の入口と出口を結ぶ、いわばイノベーションのパイプラインをできるだけ多くつくる。この構造改革を総合科学技術会議が主導して実現していきたいと思う。


【黒田議員】
 前回、この会議で、「国民が将来にわたって誇りと自信を持っていくためには、科学技術が経済を牽引していく必要がある、それから、我国は科学技術が経済を牽引する科学技術創造立国を目指すのであって、科学技術を通して国際貢献をする、決して後ろ向きでないことを、第3期の基本計画を通して世界に宣言したい」ということを述べさせていただいた。その願いが叶い、皆様の御尽力で立派な第3期の科学技術基本計画に向けた答申ができたこと、そして投資目標も25兆円を明示することができたことは大変ありがたく思っている。
 ただ、この情勢でこういうことができたということを末端の現場にいる人がしっかりと把握することが重要であり、システム改革を行いながら、それに応えていかなければいけないと考えている。
 また、女性研究者に対しての数値目標が設定されたということは前進であると思っている。これをきっかけに優れた女性の人材登用、あるいは育成が加速されることを願っている。
 もう一点は、10年くらい前から市民と科学技術の現場をつなぐサイエンスインタープリターの重要性というものを提唱しているが、社会と国民に支持される科学技術が一つの柱になったということをうれしく思う。
 最後にもう一つ、何回も申し上げているが、成果を上げると言うとどうしても目に見える応用的なもの、それから短期に上がる成果というものを考えがちだが、本当に国を牽引していく力強い日本発の技術とか産業というものは、長期的で多様な学術研究なしには生まれないということを申し上げたい。


【松本議員】
 第3期においては、研究開発目標の選択と絞り込みがより一層行われる予定だが、絞り込みに当たっては、国内の識者等の意見を十分伺って検討することが必要だが、それとともに海外の関連分野の動向を十分把握するということが非常に重要だと思う。一例を挙げると、現在これからの重要分野の一つに医学や生命科学分野における分子イメージングという分野が挙がっている。このイメージングというのは、細胞を観察したり、それから人間や動物の組織を顕微鏡で観察するなどの方法によって薬の開発をより一層効果的に進める、あるいは病気の診断を正確に行うということで、恐らく7、8年から10年先には非常に大きな社会的、経済的影響力のある分野に育つものと考えられている。
 この分野ではどういう方法でイメージングを行うかというと、いろいろな方法が基本的にはあるわけだが、現在日本はかなりPETという手法が言われている。PETというのはポジトロン・トモグラフィという人間の断層写真を見る方法である。これと同じように、人間の断層写真を見るもう一つの方法にMRI、核磁気共鳴を利用する方法が現在既に実用的になっている。
 日本は今の様子を見ていると、相当PETということに力点が置かれているが、米国などを見るとMRIを飛躍的に高感度化するというようなことを相当に大きな目標にしており、こういう将来非常に産業上あるいは社会生活、人間の健康にとって波及効果の大きい分野についての絞り込みということは、やはり海外の動向を十分調査してから行うということが非常に重要になると思うので、絞り込みは確かに必要だが、それと同時にもしかすると多様性を持った方がいいという計画の立て方もある場合があるということで、是非十分に御検討いただきたいと思う。


【吉野議員】
 未来への投資ということで、投資規模が約25兆円と決定されたことに関し、敬意を表したい。これで科学技術創造立国へのモーメンタムが続くことになったと思う。
 このコミットメントを、日本全国でなるべく多くの人とシェアをして、科学技術を盛り上げていくことにつなげていきたい。


【黒川議員】
この間も話したが、どんな企業も、どんなつらいときでも投資を減らすと必ずだめになる。しかし、それには条件があって、その時にはリサーチデベロップメントのところの再編成、人を変えるとかいろいろなことをしない限りはその投資は無駄になるということは申し上げたとおりである。
 結果として、これだけ増額になったというのは大変すばらしいことだと思うが、学の立場から言うとちょっと問題が残っていると思う。才能ある子どもの個性、能力の伸長とか、イノベーションの創出、大学の活性化、競争力の強化、世界の科学技術をリードする大学の形成とかいろいろ書いてあるが、本当にできるかというところにかかっていると思う。
 それは、世界的に今、大競争の時代だと言って人材を世界的にどんどん引っ張ろうというのがそれぞれの国の一流大学の責務だと思って猛烈な競争になっている。今年の日本の10月19日の「ニューズウィーク」にも出ているが、世界じゅうの若い高校生、将来を担う人材をどうやって集めるかということに非常に苦労をしている。MITもハーバードもそうだが、しかし日本でそういうことをやっているかというと、していない。  つまり、大学院という方向が決まった人ではなくて、リーディングユニバーシティはいかに優秀な高校生を世界じゅうから集めるかが重要である。世界のリーディングユニバーシティは本当に国際村化している。
 先日総理も行かれたそうだが、大分にある立命館に行ってきた。それで、私のクラスは250人だったが、8割は日本人ではなかった。すばらしかった。アメリカで講義をしているような気になったが、別府の人にも聞いたが、いい影響が多くて悪い影響は全然感じられないと町でも言っていた。ちょうど総理が3週間くらい前に来られましたよと言っていたが、ああいう小さなキャンパスではなくてリーディングユニバーシティは学部の3分の1は国際化しろというのが私の主張であり、独法になった大学でできないはずはない。それによってアジアからもたくさんの学生が来て、それをステップにして世界に出ていこうという人が出てくれば、日本の次の世代もどんどん引っ張られて世界に出て行く。これが世界の人脈、次の世代をつくるということで、日本の安全保障の根幹であり、国の姿としては是非それをやってもらいたい。
 つまり、今でも日本の大学は鎖国のままではないのかという話をこの間、大分キャンパスは400年前の出島と同じで、ここだけだという話をしたが、そのくらいのことを是非考えてもらいたい。大学の方はそういう責務があると思っているので、これをどうやって政策に反映させるかということで、実は学術会議が4月に「科学技術政策の要諦」というものを出したが、それも総理にはお正月に時間があれば読んでいただければと思うので、そういうことも趣旨として書いてあるのでよろしくお願いしたい。


【阿部議員】
 前回、構造改革について申し上げたので、今日は科学技術の社会受容について若干申し上げさせていただきたい。
 これは非常に多面的であり、国がやらなければいけないところ、あるいは学術会議、黒川先生のところのようなアカデミーのレベルでやるべきところ、あるいは大学、研究所、企業レベル、更には研究者レベル、いろいろなレベルの課題がある。そこでは、例えば薬師寺議員が非常に努力された生命倫理などの問題のように、世論を二分するような課題に対してどうやってルールをつくっていくか。また、各種の不正防止策、それから実験データの捏造のような研究者の倫理問題というようなものがあるわけだが、そういうものに対して第3期の計画の中で、特に国がどういうリーダーシップをとって戦略を立てていくかということと、具体的な施策をきちんと議論をして提示していくということがまず問われているのではないかと思うので、いろいろ努力をさせていただきたい。


【猪口臨時議員】
 男女共同参画担当大臣として一言申し上げる。皆様がそれほど注目しないところで、私としては高く評価したいところがある。それは、女性研究者など、多様な個々人の能力を引き出せるよう、根本的な対応の取組が今回の答申には盛り込まれていることである。17ページなどに、「女性研究者の活躍促進」という独立した項目としてまとめていただいたことを大変感謝している。
 このこととの関係において、男女共同参画大臣として一言、松本和子議員にお祝い申し上げたいと思う。日本では女性の活躍はまだまだ限られているが、来年1月から議員は化学会の国際的な連合体であるIUPACの副会長に、そしてその2年後には女性として世界で初めて会長に御就任されることは日本の名誉である。どれほど科学を目指したい女子学生たちの励みになるか、担当大臣として一言お伝えする。
 そして、本日閣議決定された第2次男女共同参画基本計画との関係においても、女性の研究と出産・育児等の両立支援、男性も含めてだが、そして、女性研究者の積極的な登用促進、女子の理工系進路選択の支援など、この第3期の科学技術基本計画との連携を図りながら、担当大臣としてしっかりと進めてまいりたい。


【小坂議員】
 科学技術政策の実行部隊を抱える文部科学省としては、松田大臣を通じて谷垣財務大臣にお話をさせていただいたが、総理の方針をしっかり踏まえて谷垣財務大臣に御理解を賜り25兆円という明確な政府研究開発投資目標額が出ましたことは、この方向性をはっきりさせる面で、それぞれの議員の皆さんからお話があったように、私どもにとって大変ありがたいことですばらしいことだと思っている。
 実際の運用に当たり、この投資を有効に、優れた成果に結び付けるべく、今後とも科学技術システムの改革を一層進めてまいりたい。また、ただいま議員それぞれの方から賜りました意見は大変刺激になる点がたくさんあった。そういった中で、私も各現場を視察する中で自信を深めてきた。今日の日本がライフサイエンスにおいても、あるいはこれからの先端融合分野における研究拠点の確立についても、自信を持って進めば必ず達成できると願っているので、なお一層の御指導を賜りたいと考えている。取り分けリーディングユニバーシティにおける外人比率を高めて、世界の優れた知能が日本に集結する。これは大学院大学だけではなく、リーディングユニバーシティでもそういうことが起こるような動きを活性化しよう。この御提案は肝に銘じておきたいと思っているし、松本議員のお話も私に非常に腑に落ちるところがあり、これからまた努力をしたいと思っている。
 まずもってとりあえず決意表明をさせていただいて、すばらしい答申をいただきましたことに感謝申し上げる。


【二階議員】
 経済産業省は、国際競争力の強化と地域産業、中小企業の活性化の2つを軸とした新成長戦略の策定の作業を始めているところである。中でも、国際競争力の強化のためには、科学技術の果たす役割は極めて重要と認識している。このため、第3期科学技術基本計画を着実に実行することが極めて重要である。特に、国際競争力の源となる分野ごとに研究開発投資の重点化を図る分野別推進戦略をしっかりと策定することが今後重要である。
 私は、新成長戦略については、第1に次世代の基幹産業の育成、第2に各省連携による航空機等の国際競争力強化、第3に中小企業のモノ作り基盤の整備などを極めて重要視しており、現在これを事務的に整理しているところである。
 また、エネルギーについては、安定供給の確保の視点から「新・国家エネルギー戦略」づくりを検討しているところである。こうした取組について、今回の分野別推進戦略に是非反映させたいと考えているので、今後具体的な内容についてお示しすることにしたい。


【谷垣議員】
 先ほどからお話があるように、第3期の基本計画の政府研究開発投資の総額の規模は松田大臣とも協議の上、約25兆円とさせていただいたところ。これは、松田大臣との間で、魅力ある日本をつくっていくために研究開発投資は極めて重要であるということで合意に至ったわけだが、それと同時に政府研究開発投資が真に活きた投資となって今後具体的な成果につながっていくような仕組みを更にきちんとしていくことが大事だという点についても松田大臣と合意を見たところであり、第3期においては官民の連携強化ということももちろん大事だが、とにかく改革に従来以上に積極的に取り組んでいくことが必要だという点で合意を見たわけである。
 先ほど来、ここの議員の先生方からもいろいろなアイデアあるいは強い意欲が示されているが、第3期においては総合科学技術会議のより強いリーダーシップの下で、科学技術関係者にこういう改革に更に積極的に取り組んでいただいて、グローバル化の流れの中でこの政府研究開発投資が魅力ある日本をつくっていく原動力となることを心から期待している。



(2)平成18年度科学技術関係予算案について

 12月24日の閣議で決定された平成18年度政府予算案における科学技術関係予算の速報値の概要を、資料2−1(PDF) に基づき岸本議員から報告。
 本議題に関する議員の意見は以下のとおり。


【小坂議員】
 大変厳しい財政状況の中だが、科学技術振興費をしっかり増やしていただくことができた。科学技術の振興に十分な配慮がなされた予算であったために、第3期の初年度としては大変よいスタートが切れると感謝している。
 また、我が国のライフサイエンスの研究は、いわゆる入り口である基礎研究、例えばゲノム、RNA、たんぱく質、これらの研究から、出口であるところの医療等、例えば鳥インフルエンザ、あるいはSARS等の感染症まで、スーパーコンピュータなどを駆使して国際的に高い成果を出しているわけだが、来年度より新しく始める最先端・高性能汎用スーパーコンピュータ、35億円新規に認めていただいたが、我が国がライフサイエンスの研究の発展を更に強力に牽引するものとして大変有効であると思っている。研究者の皆さんも大変熱い思いを持って取り組んでおり、戦略的推進の必要性を実感しているところである。
 現場に伺っても、先ほどのお話のように、選択と集中ということをしっかりやっていきたいということはもちろんだが、同時に人のやらない方式にチャレンジするということもやはりこの分野では必要なことだと思う。世界と同じ方式ばかりをやっていてはいけない。たまには違う方式を、これは日本が今までも既にやってきたところであり、それを更に発展させていきたいと思っている。
 DNAをプリントして本にして出すなどということを理化学研究所が世界に先駆けてやったことによって、この分野の研究の世界的な交流を促進させたという意味でも非常に大きな成果だと思っている。こういったものを今後とも出せるように、しっかり私どもも支援をし、指導をしていきたい。


【谷垣議員】
 平成18年度予算案における科学技術振興費は極めて厳しい財政事情の中での編成作業であったが、今もお話があったように、我が国の発展基盤となる科学技術の振興を図るという観点から、社会保障関係費以外の主要経費は軒並みマイナスとなる中で、対前年度1.1%増、1兆3,312億円、これは主要経費中で最大の伸びである。
 それから、先ほど岸本先生からもお話があったが、総合科学技術会議のSABCも踏まえて科学技術振興費の中でもメリハリづけを強化しており、宇宙関係費予算対前年36億円増、あるいは次世代スーパーコンピュータ新規35億円等、国として責任を持って投資すべき大規模研究開発プロジェクトに重点的に配分したところである。
 それから、代表的な競争的資金である科研費についても増額、これは対前年プラス0.8%であるが、こういったことで基礎研究分野に関しても目配りをすることができたのではないかと思っている。
 このように、18年度の科学技術振興費については量的、質的にも拡充を図ったところであるが、先ほども申し上げたように、これが活きた投資となるための取り組みを進めていただくことを重ねてお願いしたい。
 いずれにせよ、18年度科学技術予算の編成に当たっては、総理の強力なリーダーシップと関係各大臣、それから総合科学技術会議議員の大変な御協力をいただいたことに、この場を借りて心から御礼申し上げる。


【薬師寺議員】
 実は、18年度の予算を我々が考えるときに非常に大変であった。なぜならば、基本計画が道半ばの中で来年度のいわゆる科学技術のSABCを決めなければいけなかった。二重の苦労があった。
 しかしながら、でき上がってみると財務省が非常に協力してくれたということで、この基本政策の第3章以下、非常に重要な予算に関係するような部分に関してはまだでき上がっていなかったわけだが、それを、きちんとこれを読んでいただき、いわゆる復活折衝に関しても松田大臣を始めよくやっていただき、いわゆる政策が最後では一緒になった予算になっていると思う。本当に感謝している。




(3)科学技術振興調整費について

 「平成18年度の科学技術振興調整費の配分の基本的考え方」について、科学技術政策担当大臣が有識者議員、文部科学大臣および関係大臣の意見を聞いた上で、資料3のとおり決定したことについて、松田大臣から報告。
 また、この基本的考え方に沿って早速新規課題の公募を行うために、文部科学省が作成した公募要領について科学技術政策担当大臣と有識者議員が確認したことについて、松田大臣から報告。
 さらに、文部科学省が実施した17年度課題の評価結果等についても同様に確認したことについて、松田大臣から報告。



(4)その他

 ヒトES細胞の樹立計画及び使用計画の確認について、資料4に基づき文部科学大臣から報告。


 最後に、今回の総合科学技術会議が最後の出席となる松本議員、吉野議員からご挨拶。

【松本議員】
 私は4年間議員を務めさせていただきました。それ以前は普通の早稲田大学の教授でありましたから、非常に私個人といたしましては貴重な体験をさせていただいたと感謝しております。このお陰で多くの大臣にお知り合いにならせていただきましたし、また非常に優れた議員の先生方に多数お知り合いにならせていただきまして、私としましては本当にこの上ない光栄な経験をさせていただきました。
 この間、小泉首相はずっと首相でいらっしゃいまして、小泉首相の議長の下に一貫して改革という言葉が科学技術の分野にも本当に津々浦々聞こえてくるという思いでおりました。国立大学の改革、それから今度第3期になってその目標の絞り込みですね。そのような、今まで過去30年私は大学教員をしておりましたけれども、その間には考えられなかったような大きな変化が現在起こりつつあるということで、私としてもこれから日本の大学及び研究機関のシステムというのは本当に新しい日本らしい効率的なシステムができてくるのであろうと、大きな期待をしております。
 今後も、是非周囲から支援をさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。


【吉野議員】
 私も4年間、非常勤議員を務めさせて頂きましたが、任期の前半はグローバルな合従連衡の真っ直中にある自動車業界で現役の社長を務めておりましたので、独自性と技術力を持ってグローバルに競争すべきとの視点を私は非常に強く持っておりました。
 その視点から申し上げますと、国立大学の法人化というのは大変重要で正しい方向であります。大学は、日本のこれからの根っこの部分を担当されるわけですから、将来を期待したいと思います。
 話は少し変わりますが、先週、中国の2004年のGDPが16.8%修正され、その結果、中国のGDPは日本のちょうど4割になりました。ちなみに、日本のGDPはアメリカのまたちょうど4割であります。
 先月、私は4、5日間、中国へ行ってまいりましたが、そのときに成長のエネルギーのすさまじさを実感して帰りまして、これから先どうなるんだろうと考えました。例えば、日本のGDP成長率を、人口減少等を考慮して1、2%と仮定し、中国は今まで通り9%成長で伸びていくとしますと、十数年で日本と中国のGDPは同じになります。それから、アメリカが3%成長くらいだとして計算しますと、中国のGDPは、日本と同じになった20年後に、アメリカと一緒になり、全世界のGDPの7割を米中が占める。単純な計算ではそういうことになります。
 三十数年後、私がこの世にいるかはわかりませんが、この総合科学技術会議で私が一つ認識したことは、非常に多くの例で、基礎的な科学が発明、発見されてから実用化されるまでに30年から40年かかっていたということです。したがって、今、既に芽が出始めている技術、例えば私の分野で言いますと燃料電池やロボットの技術は、今後十数年間でもう日本の得意技になっていて、さっきのような、単純な計算通りの結果にはさせない。それから、三十数年先に米中のGDPが同程度の規模になり、一方の日本のGDPが現在の5分の1になる時期には、今、拓かれてくるベーシックな科学が花を開いてきていて、やはり単純な計算通りにはならない。そういった将来への私の期待を表明して、退任のご挨拶に代えたいと思います。どうもありがとうございました。



2.議長(内閣総理大臣)しめくくり発言

 科学技術の重要性は我々も認識しておりますし、だからこそ、ほとんどマイナス予算の中で科学技術の予算がプラスになったわけでありますので、これからも皆さんのお力を借りなければならないと思っています。
 小泉内閣としても、環境保護と経済発展の両立の鍵を握るのが科学技術ということでやってまいりました。どうかこの予算によって成果が出るように、今後とも格段の御指導、御協力をお願いしたいと思います。
 また、松本議員、吉野議員、4年間ありがとうございました。松本議員はこれから国際学術機関の初の女性会長になるわけですから、女性の進出にも、また科学の振興にも、御指導、御協力をいただきたいと思います。吉野議員もこれから自動車業界や燃料電池によるエネルギー戦略など、大変大事な分野ですし、電気自動車など、自動車業界の今後の取り組みというのは科学技術の面においても先端的なものになってきておりますので、そういう点においても御指導いただけると思っていますので、これからもよろしくお願いいたします。

内閣府  科学技術政策・イノベーション担当
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