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第55回総合科学技術会議議事要旨



(開催要領)

1.開催日時:2006年5月23日(火)17:33〜18:27

2.場所:総理官邸4階大会議室

3.出席議員

 
 議長 小泉 純一郎 内閣総理大臣
 議員 安倍 晋三 内閣官房長官
 同
松田 岩夫 科学技術政策担当大臣
 同
竹中 平蔵 総務大臣(代理 菅 義偉 総務副大臣)
 同
谷垣 禎一 財務大臣
 同
小坂 憲次 文部科学大臣
 同
二階 俊博 経済産業大臣(代理 西野 あきら 経済産業副大臣)
 同
阿部 博之  
 同
薬師寺 泰蔵  
 同
岸本 忠三  
 同
柘植 綾夫  
 同
黒田 玲子  
 同
庄山 悦彦  
 同
原山 優子  
 同
黒川 清  
  (臨時)    
 同
中川 昭一 農林水産大臣(代理 三浦 一水 農林水産副大臣)
 同
猪口 邦子 少子化・男女共同参画担当大臣


(議事次第)

1.開会

2.議事
(1)イノベーション創出総合戦略について
(2)知的財産戦略について(案)について
(3)大学等における政府資金を原資とする研究開発から生じた知的財産権についての研究ライセンスに関する指針(案)について
(4)平成17年度科学技術の振興に関する年次報告(案)について
(5)最近の科学技術の動向
(6)その他

3.閉会

(配付資料)
資料1−1   イノベーション創出総合戦略(PDF)
資料1−2   イノベーション創出総合戦略(PDF)
参考資料1   世界トップレベルの研究拠点の例(PDF)
参考資料2   「先端融合イノベーション創出拠点の形成」採択課題一覧(PDF)
資料2−1   知的財産戦略について(案)(概要版)(PDF)
資料2−2   知的財産戦略について(案)(PDF)
資料3−1   大学等における政府資金を原資とする研究開発から生じた知的財産権についての
研究ライセンスに関する指針(案)(概要版)(PDF)
資料3−2   大学等における政府資金を原資とする研究開発から生じた知的財産権についての
研究ライセンスに関する指針(案)(PDF)
資料4−1   平成17年度科学技術の振興に関する年次報告 (案)未来社会に向けた挑戦−少子高齢社会における科学技術の役割−
資料4−2   平成17年度科学技術の振興に関する年次報告(案)(平成18年版科学技術白書)−概要−
資料4−3   平成17年度科学技術の振興に関する年次報告(案)
資料5   最近の科学技術の動向−情報通信技術−
未来社会に向けた挑戦−少子高齢社会における次世代ロボット技術の役割−(PDF:424KB)
資料6   平成18年度科学技術振興調整費の審査経緯及び結果概要について(PDF:200KB)
資料7   第54回総合科学技術会議議事録(案)(PDF)



(会議概要)

1.議事概要

(1)イノベーション創出総合戦略について

 先月の本会議で今月報告することとなっていた「世界最高水準の本格的研究拠点創り」と「イノベーション創出能力の抜本的強化」について、研究拠点創りをイノベーション創出総合戦略に含めて有識者議員がとりまとめ、資料1−1(PDF)に基づき阿部議員から説明。
本日の議論を踏まえ、次回の総合科学技術会議において決定する予定。
 本議題に関する議員の意見及び意見交換は以下のとおり。



【黒田議員】
 今、イノベーション創出総合戦略の概要ということで、いろいろなファクター、時期的なこと、ベンチャー企業、制度改革、人材育成などで重要だということが述べられた。特に私が強調したいのは、やはりその源泉である基礎研究である。
スタンフォード大学のBIO−X(バイオ・エックス)が世界トップレベルの研究拠点の例として挙げられている。この設立の時期に私は偶然スタンフォードを訪ねたが、なぜBIO−Xかときくと、Xは何が生まれるかわからないからXなんだ、そこに集まっている優秀な研究者が切磋琢磨して何かを出してくるけれども、これをつくってほしいということは言えない、だからXなんだということを言われた。
 それが端的に表しているように、やはり出口の方から、このためにこの基礎研究をやりなさいということはできなくて、基礎研究の入り口から製品の出口へ一方向に矢印は向いている。その矢印をどうやって伸ばしていくかということが重要だし、その源をしっかりしていくということが重要だろうと思っている。
 だから、世界に通じる研究拠点をつくらなければいけないということと、それから出口につなげていくための目利きの人材を養成していくという、この2つが大変重要ではないかと思っているので、その部分を特に進めていきたいと考えている。


【庄山議員】
 産業界の立場から私どもの例で恐縮だが、今、私どもの会社には博士号を取得した現役の社員とOBの約2,000名から成る集まりがある。この集まりの名前は「返仁会(へんじんかい)」と言う。もともとは変な人という字であったが、変な人の会ではだんだんメンバーが増えてくると、外部でも会合がやりにくいということで、孟子の言葉からとって現在の「返仁」という字にした。
 始まったのは1952年で相当古い歴史があり、現在1,200名の現役会員がいる。私は残念ながらその会員ではないが、この中で約500名が大学で博士課程を取って入ってきており、会社に入ってから博士号を取得した者は約700名いる。そして、その中にフェローと呼ばれる研究者が5人おり、これがいろいろな意味で今、外部でも活躍している。
 従来はどちらかというと企業の中で人を育てるということが多かったが、このような時代になってきて、産官学をうまく活用して人材育成をしないとなかなか難しくなってきたというような思いである。
今日の議員ペーパーで提示した、世界トップレベルの研究拠点についても産業界から是非参加させてほしいと思っているし、産学官が連携する融合的な拠点の強化にも積極的に取り組んでいきたいと思っている。それから、技術系教育(MOT)やサービス分野のイノベーションを起こすような人材育成、インターンシップの充実など、本日提言した人材育成施策を実のあるものにしていきたいと思っている。
 また、先日、ハードディスクを例にして説明したが、やはり切れ目のない政府資金供給が非常に重要である。例えば文科省あるいは経産省でやったプロジェクトについて、実際に成果を利用するユーザー府省へのつなぎというところをしつこくやっていくことが大事なのではないかと思っている。是非その辺のところを各府省によろしくお願いしたいと思っている。


【原山議員】
 イノベーションの押さえどころということを何点か述べさせていただく。
 種をまくという視点からいくと、やはり世界中から人を吸引するという研究拠点もそこでは非常に大事である。しかしながら、種さえまけば自動的に革新的な技術というものが何年か後に世の中に浸透していくかというとそういうわけではなくて、そのためにはさまざまな仕掛けが必要だということである。
 また、既に発芽期に入っている技術システムは数多くある。しかしながら、市場にまで達成していないということがある。そこで、やはりそのような技術と市場とのすり合わせということは非常に重要になってくる。
 どうしたらいいかというと、実践の場というのはやはり地域であって、中でもベンチャー企業の役割は非常に大きいと思われる。そういう意味から、地域イノベーションの強化、またベンチャー企業の強化というのは非常に肝心な点となる。それから、イノベーション戦略というものを展開するに当たっていろいろと手を打つわけであるが、この打った手ということをモニタリングしていく必要がある。そのためには、イノベーションを定量的に、または定性的に観測していくことが重要であるが、そのツールというのはなかなか日本ではまだ育っていない。世界的にもそうであるが、そういう意味でこういうツールをつくるということも必要だと思われる。
 また、最後になるが、先ほどの話しともかなり重複するが、個々の政策というものを推進するだけではなくて総合的な力というものを発揮するためには科学技術の世界だけではなくて経済政策等、他の政策とのすり合わせというものが必要になる。その辺のところも十分視野に置いた上でもってこの施策に取り組んでいくべきだと思っている。



【黒川議員】
 最初に科学技術による創造的破壊、これがイノベーションだと書いてある。しかし、科学技術は物を壊さない。人である。結局イノベーションの創造的破壊をするのはマインドである。創造的なマインドを持った人をつくるのが大事で、それが今度の「モノから人へ」ということになっていると思う。
 さて、そこで去年の6月、多分1年前だと思うが、企業にしても、ここに書いてある白川先生にしろ、野依先生にしろ、「新規発見」は40年前の話である。それがこれだけ世の中を変えている。振り返って見れば時代を変えているのは常にその時代の変人であるということを申し上げたと思う。その時代にはあいつはクレージーだと思われてもやるのが大事だということを言ったが、やはり時代の変人を大事にするというのが大事であり、そういうことになると今の黒田先生のX(エックス)もそうだが、将来の人材を育てていく日本の大学が余りにも鎖国だということを、12月にも、2月にも、この会議で私は申し上げた。
 世界においては、大学院ではなくて学部を開放していかに優秀な人をつくり出し、政治家をつくり、ビジネスマンをつくり、それによって世界からやる気のある人を集めたいというのがリーディングユニバーシティである。日本ではアジア・太平洋大学、大分にしかないという話をしましたが、トップレベルの大学であっても当然研究者ばかりつくるわけではないが、大学というのは政治的に中立であるし、どんどんそれを開放することによって世界の若者が日本の大学に行きたいと思うと日本の若者も外を向き出す。これがやはり大学の使命だろうと思う。
 そういうことから言うと、私は日本の大学は「知の鎖国」であると言っておるので、大学の大相撲化をしろということを2月にも申し上げたし、4月にも総理にも申し上げた。大相撲では次の白鵬がなると4人続けて外国人が横綱である。それによって何が起こっているかというと、相撲によって皆、日本が好きになっている。日本の文化、在り方、それがやはりすごく大事だということである。その割に日本の大学が好きだという人が増えないのは大学が鎖国をしているからである。そういうことを言っているので、是非それをやってほしい。イノベーションはそこで出てくるわけである。
 その次に、前回私は欠席したが、沖縄の大学院もそういうミッションを持っているわけである。それで、実は私も関わっているので、外国に行くと、あれをウェブサイトで見て、いつできるのか、若い人を送りたいと聞いてくる人がたくさんいる。来たいと言う人はたくさんいる。あなたも関わっているのだから是非紹介してくれと言っている。開所式で、総理から是非強いメッセージをいただきたいということを言っているので、是非よろしくお願いしたい。
 そういうことから言うと、私の言いたいことは1つ、グローバル時代の日本の科学技術立国であれば大学を開放して、つまり「サイエンス、アズ、フォーリン・ポリシー」というフィロソフィが大事だと最近文部省の方にも書きましたけれども、是非そういうことは物をつくり、イノベーティブなマインド、人をつくる。そこに投資をするということが一番大事だと思う


【薬師寺議員】
 私はイノベーションという言葉は少子化で労働力が減少しても科学技術を使って我が国は経済力を維持、発展させる。そういうような国の決意を表す言葉だと考えている。
 それで、資料1−2の有識者ペーパーであるが、それぞれの戦略は漢詩の起承転結のようにつくられている。
 まず「起こす戦略」であるが、これは世界的な研究拠点を起こす戦略である。世界的というのは日本から見て世界になろうというのではなくて、世界から見て世界的な研究拠点だということである。そのためには日本のシステムのように頑張る人も頑張らない人も給料は同じではインセンティブは何もない。これからは実績を上げる研究者にはインセンティブを与えて、能力主義による研究責任と報酬というように我々は書いているし、それには年俸制の導入や競争的資金からの人件費の支給など、制度にメスを入れる必要があると思う。
 2番目が「承ける戦略」であるが、これは科学に裏打ちされた産学融合拠点とか、地方の地域の知の拠点、そのような大学と地方公共団体、企業が連携をして、大学に少しすり寄って大学というものを見直そうという戦略である。
 3番目が「転ずる戦略」であるが、これは現在議論されつつある「経済成長戦略大綱」のように、国と民が一体になってイノベーションを引っ張るということである。引っ張るためにはやはり制度が重要で、制度が引っ張る。それから調達とか、イノベーションというのは科学者だけがやるのではなくて制度が引っ張っていく。こういうようなことが重要だと思う。
 最後は「結び」であるが、この中にあるように将来の成長は我々ではなくてこれからの子どもたちが支えていくわけであるから、その子どもたちが科学に興味を持って支えていくような戦略をやっていかなければいけないと思う。


【岸本議員】
 世界トップレベルの研究拠点として、私が知っているハーバード大学の免疫プログラムを紹介してみたいと思う。
 世界中からだれでも知っているトップレベルの免疫学者数十人を教授として集めている。彼らは皆ハワード・ヒューズの財団であるとか、NIHから何百万ドルという研究費を取っている。そうすると、平均として約60%が間接経費として別に財団やNIHからハーバード大学に入り、ハーバード大学は非常にそういう優秀な人を集めることによって潤うことになる。彼らのほとんどは数十万ドルという給料を得ているが、それも全部大きな競争的な研究資金、財団やNIHからくる研究資金から支払われている。だから、ハーバード大学は別に何も払うわけではない。したがって、バーバード大学は研究の拠点、場所を与えるというだけである。
 しかしながら、研究者にとってみればハーバード大学の免疫の教授に招かれるということは非常なプレステージであって、それによってそういう研究費を取ることにも非常に有利に働くし、世界中から優秀な大学院生やポストドクを集めることができる。大学院生にはトレーニンググラントによって何万ドルかの必ず生活できる給料が払われる。1学年で10人くらいしか大学院生も採らない。そういうふうな仕組みで、ポジティブなフィードバックでどんどん発展していく。
 日本のCOEというものを見てみますと、全部教授の給料は先ほど薬師寺先生が指摘したように、できる人もできない人も、やっている人もやっていない人も同じ運営費交付金で全員横並びである。ハーバードのようなシステムを導入しようということで、今回世界的トップレベルの研究拠点をつくろう。競争的研究資金でできる人にはたくさんお金を取ってもらう、あるいは大学へ間接経費をもらうというふうな仕組み、そういうシステムが幾つかできてくると日本の大学も少しずつ横穴が空いていくのではないか。そういう拠点をつくろうというのが、今回ここに提案されている世界トップレベルの研究拠点をつくろうということになる。



【柘植議員】
 産業界の経験から、経済成長戦略大綱実現に貢献する科学技術のイノベーション能力の強化について一言申し上げる。
 かなめは、大学と研究型の独立法人を中核とする基礎研究活動と応用研究及び産業側の製品開発研究とを縦と横に結合するいわゆる知の創造のパイプラインのネットワーク、こういうネットワークマネジメントを強化することであると思う。
 経済成長戦略大綱では、イノベーションハイウェイ構想と言われているが、まさにハイウェイのインタージャンクションの強化である。現状、それぞれの段階ごとに研究成果は論文となり、それなりにきちんと評価はされているが、研究の上流が基礎、下流側はイノベーションであるが、これを縦と横に結ぶインターフェイス、受け渡しができているのかという面で、研究企画時の事前チェックあるいは事後評価がまだまだ弱い。この知というか、価値の創造活動の受け渡し機能を強化する施策を意識的に取れば、科学技術投資がイノベーション創出にもっと結び付いて、ひいては国の歳入増加に貢献をする。
 具体的には一例として昨年から始めている府省連携施策群の活動において、イノベーションの創出の機能の強化を目指して、現状の横の連携に加えて研究の上流側と下流側の縦の連携の面から一層充実、強化することが考えられる。そして、資源配分の面からこれをきちんとやっている課題に対して重点投資をする。これは、基本計画における戦略重点科学技術群や、重要な研究開発課題群に拡大すると一層効果が上がると思う。
 同時に、この府省連携の研究開発活動を分野ごとに一気通貫で指揮する機能の強化が必要と考える。現在、資金配分機関ごとに独立して配置しているプログラムディレクターやオフィサーの基礎から応用までの統合と指揮機能の強化をすべきと考える。


【阿部議員】
 日本の大学は変人を嫌う。なぜ嫌うかというと、教授会のような合議体をシステムでかき回すからである。
 変人は常に人と違ったビヘービアをすることが多いわけであるが、優れた研究、独創的な研究をする可能性もある。教授会システムは全体民主主義から随分今、変わってきつつあるが、研究科長とか、学部長とか、一部の何人かの人に任せるということをもっと徹底していかないといけないと思う。それと同時に、これは変人に限らず大学の先生は雑用が多過ぎる。あんなに雑用ばかりしていたら研究、教育の時間がないのは目に見えていて、日本の大学はますますだめになる。少なくとも政府は雑用を増やす方向の施策はやるべきでないと思うが、大学の方も、大体変人に限らず教授というのは事務的なことが不得意であるが、それをやらせたり、あるいは好んでやる人がいるところに問題があるわけであって、そういうシステムも大分変わりつつあると思うが、是非我々としても改革に応援をしていきたいと思う。


【三浦農林水産副大臣】
 今年の4月に食料・農業・農村政策推進本部で、21世紀新農政2006を決めていただいた。新食品や新素材の市場規模を今後5年間で3倍超にするという意欲的な計画である。この目標達成のためにも、ゲノム研究の推進などにより、イノベーションを創出していくことが必要だと感じている。
 本日提案されたイノベーション創出総合戦略の中にある地域イノベーションの強化やバイオテクノロジー等の新技術に対する国民理解の向上は非常に重要であると考えている。私どもも、この戦略を十分踏まえて政策を展開したいと考えている。


【西野経済産業副大臣】
 今日の資料1−2の2ページ目で、地域イノベーションの強化という問題について、この会議で取り上げていただいておりますことを大変心強く思う。是非盛り上げていただきたいと思う。
 実は、これは地域自治体と、中央の産業界と、それから地方の大学の文字どおり産学官が一体になった取り組みが大変大事であるということである。今日は一例を挙げたいが、総理も3年前に東大阪の山本光学という会社に行かれたと思う。実は今日、実物を持ってきた。  このくもらない技術は特許を取っているが、実は地域の大学との連携の中で取り組んでいるものである。しかも、水をはじくということで非常にすばらしい。これは、今年の2月の大会で高橋大斗選手が使っている。
 それからもう一つある。これは、2年前のオリンピックで野口みずきさんが使って優勝したものである。眼鏡を逆様にかけていたが、それは上下に動かないということで彼女がそうしたのだと思う。実は走っているときに光が入るとやはり走りにくいということもあり、そういう点を防護するために非常にうまくできているようである。ただし、これは限定品であって、これが欲しいという方がいらっしゃるが、多くは今つくっていない。
要は、こういう地域の大学との発想でつくられたものが、総理も御存じのように中小企業で250人しかいない会社ですけれども、見事に今日では世界的に売れている。今日では魚釣りなどにかえってこれがいいということで多く利用されているようである。  こういうふうなことで、是非こういう点は松田大臣と今日の有識者の先生方と相対されて、このイノベーション創出総合戦略の中にしっかりと取り組んでいくべきだと思っている。


【小坂議員】
 大学院に対する御意見も非常にたくさんあり、その辺につきまして、すべて有識者お一人お一人の御意見が胸に落ちるもので、そしてまた非常に内心じくじたるものがあるような、刺激されるようなものが多かった。
 イノベーションを結実させるためというお話の中で、私も痛感をいたしているのは、選択と集中によるハイウェイをつくるとして、そのインターチェンジをどこにつくって、基礎研究である一般道路のどこから高速道路に上がっていくかということ。それから同時に、このイノベーションを結実させるための中小企業を始めとした企業に対して、どこから一般道路をつなげていくか。高速道路の計画はしたけれども、一般道路の整備なくして高速道路の利用はできないのであって、乗るところと、今度は降りてから先の一般道路の計画というものをどういうふうにして見通していくか、それの受け渡しが重要だということを先ほど御指摘いただいた。それには十分に注意をして、関係省庁との連携を図ってまいりたいと考えている。
 いずれにしても、世界トップレベルの研究拠点について、できるだけ早く実現できるように努力させていただきたいと思っている。


【谷垣議員】
 イノベーションを創出して、研究開発投資が生きた投資になって、そしてそれが国民や社会に還元されるという方向は私もそのとおりだろうと思う。
 ただ、1期、2期で相当投資をしてきた。そして、3期はやはり2期に比べても財政事情が厳しくなっているということも踏まえると、この戦略の中で補助事業の拡充という量的な面にあえて言及するよりも、この中で触れていただいて大変心強く思っているが、審査体制の強化であるとか、産学連携の推進であるとか、あるいは官民双方を通じた能力主義の徹底、先ほどの大学についてのお話もそういうことかと思うが、一層強化するための取り組みに着目していただいて、是非その方向を進めていただきたいと思っている。
 それから、具体的な論点に関しては、これからまた予算審議の過程等々で私どももいろいろ議論をさせていただかなければならないが、幾つか申し上げると、1つは戦略重点科学技術について施策を集中的に推進する。これはそのとおりだと思うが、集中するためには選択も必要であって、戦略重点科学技術でないようなものなどは基本的に抑制する必要があるのではないか。それから、新技術の利用促進ということも言っていただいているが、その際にやはり公正・透明の確保というようなことにも意を用いていただく必要があるのではないかといったような点を今後とも議論させていただきたいと思っている。


【猪口臨時議員】
 まず女性研究者の出産・育児における勤務環境の改善などを掲げてくださったことを感謝する。
 私は併せて、女子学生が進路を選択するときに科学者になる道があるのだという未来を女の子も考えていいのだと励まされることがとても重要だと思う。今回18年度予算にそのような予算も少し入っている。女性研究者は多分、女子学生が学会で出会う最初の多様性の要素だと思う。そして、多様性がイノベーションの起源と思うので、女子高校生、女子中学生などの初期段階から進路選択において女性研究者へと志せるように工夫していただければと思う。
 せっかくの機会なので一つ統計を紹介したい。中学2年生の男女に、もし理科でよい点数を取ったら先生は喜んでくれると思うかという質問をした調査がある。男子生徒は20%近くが先生はきっとそれを喜んでくれると考える。ところが、女子はそう思う子が6%くらいである。このような進路指導の中からも、女子も理科、数学ができるということを保護者あるいは教師が期待するという雰囲気づくりから、女性研究者の育成も考えていただければと思う。


【小泉議長(内閣総理大臣)】
 海外に開かれたもので学生を増やしたいときに、その方法は端的に言うとどういうことがあるのか。


【黒川議員】
 そこに奨学金をするなり、学部は例えば2割は国際化するというようなポリシーを取るべきである。特に途上国の人たちにはある程度奨学金を出すと、将来にわたって日本が好きになる人が多くなってくる。



(2)知的財産戦略について(案)について
(3)大学等における政府資金を原資とする研究開発から生じた知的財産権についての研究ライセンスに関する指針(案)について

 資料2−1(PDF)及び資料3−1(PDF)に基づき、阿部議員から説明。
資料2−2(PDF)の「知的財産戦略について(案)」及び資料3−2(PDF)の「大学等における政府資金を原資とする研究開発から生じた知的財産権についての研究ライセンスに関する指針(案)」については原案どおり決定し、総合科学技術会議から内閣総理大臣及び関係大臣に対し意見具申することとした。




(4)平成17年度科学技術の振興に関する年次報告(案)について

 資料4−1及び4−2に基づき小坂議員から説明。
 引き続き、閣議決定に向けて取り進めることとなった。




(5)最近の科学技術の動向

 少子高齢社会における次世代ロボット技術の役割について、資料5(PDF)に基づき柘植議員から説明。

 
(6)その他

 平成18年度科学技術振興調整費の新規採択課題について、資料6(PDF)に基づき松田議員から説明。

 

2.議長(内閣総理大臣)しめくくり発言

 いつもいいお話を聞かせていただきましてありがとう。
 経済成長は科学技術なくしてあり得ませんね。最近は医学も、健康も、環境保護も、生活の利便性も、科学技術と密接につながっていますので、連携してしっかりとこの議論を活かしていただきたいと思います。ありがとうございました。

内閣府  科学技術政策・イノベーション担当
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