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第67回総合科学技術会議議事要旨


(開催要領)

1.開催日時:2007年5月18日(金)17:30〜18:30

2.場所:総理官邸4階大会議室

3.出席議員

 議長 安倍 晋三 内閣総理大臣
 議員 高市 早苗 科学技術政策担当大臣(イノベーション担当大臣)
 同 菅  義偉 総務大臣(代理 田村 憲久 総務副大臣)
 同 尾身 幸次 財務大臣(代理 富田 茂之 財務副大臣)
 同 伊吹 文明 文部科学大臣
 同 甘利  明 経済産業大臣 (代理 渡辺 博道 経済産業副大臣)
 同 相澤 益男  
 同 薬師寺 泰蔵  
 同 本庶 佑  
 同 奥村 直樹  
 同 庄山 悦彦  
 同 原山 優子  
 同 郷  通子  
 同 金澤 一郎  

(議事次第)

1.開会

2.議事

(1) イノベーション創出加速に向けた技術革新ロードマップ
(2) 知的財産戦略について
(3) 最近の科学技術の動向「世界へ貢献する日本の技術−日本が誇る水利用技術を例に−」
(4) その他

3.閉会

(配付資料)
資料1−1   イノベーション創出加速に向けた技術革新戦略ロードマップ(1)(PDF)(2)(PDF:443KB)
資料1−2   イノベーション創出加速に向けた技術革新戦略ロードマップ(PDF)
(1)(PDF)
(2)(PDF:331KB)(3)(PDF:268KB)(4)(PDF)
資料2−1   知的財産戦略について(案)(PDF)
資料2−2   知的財産戦略について(案)(PDF)
資料3   最近の科学技術の動向「世界へ貢献する日本の技術−日本が誇る水利用技術を例に−」(PDF:422KB)
資料4   平成19年度科学技術振興調整費の審査経緯及び結果概要について(PDF)
資料5   第66回総合科学技術会議議事録(案)(PDF)

* 議事概要中の資料はPDFファイルです。

(会議概要)

1.議事概要

(1)イノベーション創出加速に向けた技術革新戦略ロードマップ

 「イノベーション創出加速に向けた技術革新戦略ロードマップ」について、資料1−1(1)資料1−1(2)に基づき、奥村議員から説明。

 本議題に関する議員の意見は以下のとおり。


【相澤議員】
 本日、技術革新戦略ロードマップという形で提示させていただいたが、これはあくまでも戦略のロードマップであり、重要なことはこれをどう実現するかということの政策的な展開であると考えている。
 一方で、イノベーション創出が世界の主要国で本格的に始まっているという状況かと思われる。こういった意味でも国際的視野に立って日本の国際的優位性を持った迅速な政策展開が重要である。
 総理が既に重点施策として打ち出されているが、これら一連のものを一挙に推進するときではないか。
 総合科学技術会議として有識者ペーパーにこれまでも明確に打ち出しているが、本日2つの柱を強調させていただきたい。1つは、「若者への思い切った投資」であり、もう1つは「科学技術外交」。
 先ほどの戦略ロードマップが出たところで、これをだれが実現するのかということ。当然、若者へ期待をしなければならないと考える。若者への投資はそう簡単に効果が現れてこないが、絶対に当たり外れがないものだと確信している。
 そこで、最も即効的なところでは、例えば大学院の博士課程の学生を国際的リーダーシップを発揮できるように卓越した人材として育て上げる。それから、若手の研究者、こういうところへの重点的な投資、これをぜひ敢行していただければと思う。


【庄山議員】
 2点申し上げたい。1つは、主要国における政府の科学技術関係予算の推移を見ると、2000年を1としたときの2005年の伸びが韓国と中国では約2倍、米、英、独、仏の欧米各国は約1.5倍になっている。我が国も努力いただいているが、常にこの国際動向も考えることが大切だと思っている。
 今回提案させていただいたイノベーション創出加速に向けた技術革新戦略ロードマップでは、基礎研究の促進を含め、実現を加速するには国際競争に負けない国としての支援が必要だ。
 それから、もう1つは人材の多様性。例えば私どもの会社で言うと、大学の学部修士、博士の卒業生のほかに、高等専門学校とか高等学校とかあるいは中学生の卒業生などを毎年社会人として迎えている。中学を卒業した社員にはその後3年間寮生活をして一般知識や専門知識を勉強させ、社内の専門学校でものづくり技能の大切さや心構え、チームワークを教えている。彼らは若者を対象とした技能五輪で活躍してくれる人材に育つ。
 また、高等専門学校の卒業生も高い専門性と知識を兼ね備えた大変貴重な人材であり、国としても一層の充実に向けた配慮がいるのではないか。
 また、地域の特色に応じた連携も一助というふうに思う。
 このようにそれぞれの特徴を生かして力を発揮できる多様性を育むような環境づくりが大切。


【本庶議員】
 イノベーションは今各方面から注目されているが、特効薬がない。何をやったらイノベーションが出てくるかということは誰にもわからない。基本的には基礎研究をしっかりやることが重要。
 例えば、今日非常に注目をあびている金属ガラス、それから超小型ハイ容量ハードディスク、これはいろいろなところで取り上げられているが、東北大学で科学研究費でスタートしたのはもう25年から30年前。その間、幸いにしてこういうプロジェクトはいろいろな国の支援があり、現在数千億あるいは場合によっては兆ぐらいのマーケットになる形で非常に順調に発展している。
 しかし、その基礎研究で出た芽をいかに継続的に伸ばしていけるかというシステムが重要ではないかと思う。単にお金をつぎ込めばいいということではなく、そういう研究資金でのきちんとした継続性のあるプランが重要。
 それから、第2はやはり若い人が元気が出るような制度改革、若い人が自分の独創性を生かすためにいかに早く自立してやっていけるのか、そういったこと。それからやはり最終的に社会還元をするべきである、あるいはしたいという研究者マインドが出る意識改革、こういうことを地道にやっていくことが重要ではないか。
 

【原山議員】
 安倍総理が昨年9月に「美しい国、日本」という目指す姿を打ち出され、それを受けた形で「イノベーション25」の中間とりまとめにおいて目指すべき社会像が示された。その中で次のステップというのは具体的に何をするかということ。ここに今回発表した技術革新戦略ロードマップが登場した。基礎研究や分野別の研究開発の重要性は皆さん承知の話ですが、さらに一歩踏み込んだときに問われるのが、誰が実践するかという話。社会還元加速プロジェクト、例えばプロジェクトを推進する主体は誰かということになる。
 イノベーションは個々の人や組織のアクション等の集合体だけではなく、さまざまな場面でいろいろな化学反応や連鎖反応が起こることによって、その結果として何か社会変革が起こるというわけ。そこには仕掛け人が必要になってくる。その仕掛け人は誰かということになる。
 そこで、財源の手当は非常に重要なことだが、それだけでは十分ではなく、予算化すればいいということではない。既に前回の本会議でもお話しさせていただいたが、キーとなるのは実践の場、実験の場となる地方自治体だと思う。ところが、そこは中央政府が言ったことをするという体質が残っている。まずはその体質を変えていかなければならないというのが1つの話。地方自治体自身も提案能力、実践能力を蓄えることが重要だと思う。
 それは、大学もしかりであり、大学自身もこのように提案能力とか実践能力が問われてくるわけであり、そこをいかに強化していくことが大学の大きな宿題だと思う。


【郷議員】
 今、大学の話が出たので、大学教育はイノベーションを生み出す裾野をつくるところであると言っていいと思います。今、大学への進学率は約50%に達している。遠くからで見えにくいかと思うが、日本の地図だが、黄色く塗ってある県は、女性の場合だが、50%以上の進学率があるところ。非常に低い進学率の県は緑色で塗っている。それと比較して、収入、所得、一人当たりの所得の高い都道府県をピンクで塗っている。逆に低い県を青で塗っている。
 見ていただくと、進学率が高いところは収入が高い。そして、進学率が低いところは収入も低いということは一目瞭然だと思う。
 明治維新のときには地方にすぐれた人材がいっぱいいた。東京近辺、それから近畿地方に集中してくると、大学が地方から減ってくる傾向がますます助長されていく。知識基盤を支える質の高い大学をしっかりと支えていくことが地方でも求められている。


【金澤議員】
 イノベーションの実現のために、基礎研究、分野別、社会還元は大変大事だと思う。1つだけ妙なことを申し上げる。
 5つ掲げた日本の姿とは必ずしも直結しないようなものがポンと出てきたときに、それを十分受ける柔軟性を持ったものがどこかに欲しいなという気がしている。突然明日、例えば人工肝臓が完成したという話が飛び込んでくるかもしれない。そういうときに受けられるような柔軟性がどこかにあるといいなと思っている。


【薬師寺議員】
 5つの社会に向けてイノベーションを加速をするというロードマップをつくれという総理の御指示があったため、総合科学技術会議としてもそれをきちんとつくり上げたということだと思う。我々も第3期基本計画をつくり、分野別推進戦略をつくり、そしてそれを実際に動かすときには一体どういうようなエンジンが必要かということをずっと悩んでいた。総理の「イノベーション25」の中で我々はようやくイノベーションの鋭角的なメニューをつくることができた。それが我々のロードマップをつくるということに対する使命であったと思う。


【奥村議員】
 一つだけ補足をさせていただく。先ほど御説明申し上げました社会還元プロジェクトは、第3期の基本姿勢として、いの一番に挙げられている社会・国民に指示され、成果を還元する科学技術ということにまさに沿っているもの。国民に還元するということがポイントであり、国民にわかる形で還元するということの道筋を今回御提案させていただいた。


【伊吹議員】
 改正教育基本法を受け、今日、初等中等教育に関する教育関係三法が衆議院を通った。その際、質疑を通じて国会議員、与野党を通じた国会議員から発言があり、それを参考に御意見を申し上げたい。
 今日、有識者の議員の先生方が出してくださったこのペーパーは極めてバランスがとれていて常識的な話だろうと思う。イノベーションは経済成長、技術革新戦略のために不可欠なものだが、それを担う人の育成確保が最重要な問題で、決め手はやはり人。人をどういうふうにつくっていくかというのがやはり幼児期から始まって、大学院までの教育の積み上げの中にある。いい先生に巡り会ったので科学の道に進みたいとか、こういう興味があるというそういう人を育てる先生を確保しなければならない。
 したがって、昨今当面の産業化とか経済成長に役立つものに国家資源を投入した方がいいのだという風潮があるが、それだけに目が向くと初等中等教育や大学の基礎研究が軽視され、長い目で見ると現在の人材をキリギリス的に使って応用研究にお金を入れる結果、人材が枯渇したときに一体どうなるかという問題はよく考えていただきたいと思う。
 高等教育の分野でも研究者の人件費に充当される大学の基礎的な経費である運営交付金を削減して、当面の競争的資金だけに目がいくということは極めて危険な流れだろうと思う。
 それから、研究開発独立行政法人についても触れていただいているが、ここにも提案されているように、最後の決め手は人なので、研究開発独立行政法人の人件費を同じようにどんどん削減していくというやり方はいい人が集まらないと思う。
 それからもう1つは、経営努力を促すためには独立行政法人の場合は、会計年度の制度を少し弾力的に運用させてやらないと、研究の計画性その他の問題が起こる。
 そういうことを重視してやっていただきたい。


【田村総務副大臣】
 前回、社会還元加速プロジェクトに関して災害情報通信システムについての総務省の取組を話させていただいたが、今回お話があった技術革新戦略ロードマップの中にある、安全で効率的な道路交通システム、ITSについても総務省において研究開発をはじめとした施策を行っている。自動車や通行人等の周囲の情報を走行している自動車に伝えていく、高速で走っているもの同士がその情報を伝え合うということに関して研究を進める中において、例えば衝突を回避したり、出会い頭の事故を回避しようという試みを研究している。これに関して実証実験にも入っていきたいと思っている。
 いずれにしても、電波の世界の話なので、どうITSの電波を確保していくかということが重要。先般大臣が海外外遊で記者会見もしたが、アナログテレビをデジタル化していく中で空いてくる周波帯の一部、715メガヘルツから725メガヘルツをITSに使っていきたいということで今検討をしている次第。
 ITSはもちろん我が省だけではできない話であり、警察庁や、経済産業省、国土交通省とも協力をし、民間も含めたオールジャパンで、ITS推進協議会等々を活用しながら実用化に向かって研究していきたいと思う。


【渡辺経済産業副大臣】
 前回提言された科学技術外交についてまず一言申し上げたい。
 今回のOECD閣僚理事会において甘利大臣は、環境・省エネ技術やものづくり技術などをテコとして、環境重視、人間重視の社会システムへの変革を目指すエコイノベーションについて、OECD各国とともに推進していきたい旨提唱したところ、多くの参加国から賛同を得、議長総括にも盛り込まれたところである。今後とも国際的な機会を通じて我が国の先進的な取組を国際的に発信していきたい。
 次に、先ほどの報告のうち社会還元加速プロジェクトに関して、経済産業省としては先月研究開発とその成果が社会に出ていく道筋を示した「技術戦略マップ2007」を策定公表した。これは総合科学技術会議のロードマップに沿って、25の分野で1,500を越える個別技術にブレークダウンしたものであり、これを産学官の関係者に広く共有をしてもらうことにより、産学官連携や異分野融合を強化していくこととなる。
 また、研究開発独法の強化については、先ほど報告のとおり一定の前進が見られたところであり、心から感謝を申し上げたい。
 引き続き残された課題、例えば研究開発にふさわしい契約形態のあり方といった問題についても検討していただければと思う。

(2)知的財産戦略について

 知的財産戦略について、知的財産戦略専門調査会でとりまとめた意見具申案を、資料2−1に基づき、相澤議員から説明。
 資料2−2の「知的財産戦略について(案)−大学等の知的財産活動の推進を中心に−」については、原案どおり決定し、総合科学技術会議から内閣総理大臣及び関係大臣に対し意見具申することとした。

(4)その他

 高市大臣より、平成19年度科学技術振興調整費の新規採択課題について、総合科学技術会議で決定した「配分の基本的考え方」に沿ったものであることを確認した旨及び、科学技術外交に関する関係省庁連絡会議の第1回会合を来週23日に開催する旨報告。

(3)最近の科学技術の動向

 「世界へ貢献する日本の技術−日本が誇る水利用技術を例に−」について、資料3に基づき、薬師寺議員より説明。

2.「安倍議長(内閣総理大臣)しめくくり発言」

 「イノベーション25」の中間とりまとめ以降、総合科学技術会議には3月の基本的考え方、4月の科学技術外交、そして今月の技術革新戦略ロードマップと、「イノベーション25」の最終とりまとめに向けて真摯に御検討いただいている。ぜひ活かしていきたい。
 6月にドイツでサミットがある予定だが、ここでのテーマは気候変動、環境問題、そしてアフリカの問題とイノベーションになっている。メルケル首相は理科系の首相ということで、首脳同士で議論したいと言っており、私もここで皆様から伺った耳学問で対抗していきたいと思っている。
 「イノベーション25」は、国内よりもむしろ世界的に注目されていると思う。海外へ行ったときにも、「イノベーション25」に対する興味が大変高いと思った次第。
 また、社会還元プロジェクトを進めていくが、国民の皆様にとって、イノベーションによって自分たちの生活がどういい方向に変わっていくかということが実感できることが大切だろうと思う。
 また、ロードマップの将来のあるべき姿として5つの姿を示していただいているが、科学技術が進歩していくと自分にとって不都合な状況になっていくのではないかという心配は、確かに庶民レベルではある。自分の人生にとってプラスになっていく、世界にとってもこんなにいい世界になっていくんだということをわかりやすく明示していただいたことは大変よかったと思っている。
 また、今日は水の技術についてデモンストレーションしていただいた。特に水は、先ほど示していただいたように、11億人が世界で困っているということである。先般私が訪問した湾岸諸国も石油は出るけれども水はなく、いかに海水淡水化を進めていくかということに大変力を入れているようであった。そういう分野においても日本が行うことができる、協力することができる分野は大きなものがあり、日本の技術協力について高い評価がされ期待もあると思う。
 そういう意味においても、今後とも日本がどういう貢献をしていくことができるかということについても積極的な御議論をいただきたい。
内閣府  科学技術政策・イノベーション担当
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