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第73回総合科学技術会議議事要旨


(開催要領)

1.開催日時:2008年1月30日(水)18:00〜18:30

2.場所:総理官邸4階大会議室

3.出席議員

 議長 福田 康夫 内閣総理大臣
 議員 町村 信孝 内閣官房長官
 同 岸田 文雄 科学技術政策担当大臣
 同 増田 寛也 総務大臣
 同 額賀福志郎 財務大臣(代理 森山財務副大臣)
 同 渡海紀三朗 文部科学大臣
 同 甘利  明 経済産業大臣
 同 相澤 益男  
 同 薬師寺泰蔵  
 同 本庶 佑  
 同 奥村 直樹  
 同 郷  通子  
 同 榊原 定征  
 同 石倉 洋子  
(臨時)    
議員
若林 正俊 農林水産大臣

(議事次第)

1.開会

2.議事

(1) 2008年の科学技術政策の重要課題
(2) 平成20年度科学技術関係予算案の概要
(3) 最近の科学技術の動向「民生部門における革新的なエネルギー利用による温暖化対策技術−超高効率ヒートポンプ−」

3.閉会


(配付資料)
資料1   2008年の科学技術政策の重要課題(PDF)
資料2   平成20年度科学技術関係予算案の概要(PDF)
資料3   最近の科学技術の動向
「民生部門における革新的なエネルギー利用による温暖化対策技術−超高効率ヒートポンプ−」(PDF)
資料4   第72回総合科学技術会議議事録(案)(PDF)

* 議事概要中の資料はPDFファイルです。


(会議概要)

1.議事概要

(1)2008年の科学技術政策の重要課題

 「2008年の科学技術政策の重要課題」について資料1(PDF)に基づき、相澤議員から説明。  本議題に関する議員の意見は以下のとおり。


【本庶議員】
 総理から御指示いただきました革新的技術創造戦略というのは非常に重要なことだが、これは大きく2つの面があり、1つは研究開発、もう一つは社会還元の面がある。第一の面においては、iPSのように本当に革新的なものを次々に生み出していくということから始まるわけだが、これは10年に一度のようなことで、米国といえどもIT革命の後、次の種を模索してバイオ等々の新しい芽を生み出すべく大規模な投資を続けているという状況。我が国も根気強く、持続的な投資で大きな芽を育てることが重要。
 もちろん、生まれた種をいかにうまく育てるか、我々ももっと工夫していかなければならない。
 第二には、製品として社会に出るときも非常に重要。ここでも国を含めた社会全体として工夫していかなければいけないことが多々あると思っている。例えば製品の社会受容性をどうやって高めるか、規制をどうやって排除するか、過失責任、環境対策等々があり、また過当競争によってせっかく育てた技術を食いつぶしてしまうということも我が国の企業に見られること。
 このような2つの面を総合科学技術会議と経済財政諮問会議とが協調して戦略を立案していくということは非常に重要なこと。


【奥村議員】
 今の本庶議員のお話と関係するが、特に国費研究を社会に還元していくという点について一言申し上げたい。
 一年間民間から来て議員を務めさせていただき感じていることは、もちろん国費の研究は極めて厳格に運営されているわけだが、裏を返すと社会の変化に対する対応力にやや欠ける。当初に厳格に目標設定し、運営している間に社会は変化しており、企業はそれに柔軟に対応できるが、そのあたりのスピード感を上げるような運営も総理の御指示の戦略の中に盛り込めたらと考えている。


【郷議員】
 私は、子供の理科離れの問題について、非常に急いでやらなければいけないと思うが、今大学院の修士課程は2年間だが、研究に対する意欲がある人で、しかも子供に教えることが好き、それから科学をよくわかっているという人に2年間の中で1年は教習実習、インターンシップを現場でやっていただく、そういうプログラムを大学が優秀な学生さんを一本釣りというか、そういう形で教育をすると。そういう教育をしてできた教員、スーパーサイエンスティーチャーと呼んだらどうかと思うが、理科の専科教員として小・中・高校で特別待遇で採用していただくと。これは非常に優れた人、本当は研究者になっていただきたいような方を残念だけれども、教員の方が大事だという考え方もあると私は思うので、そういうプログラムをやって、教員をつくれた大学には教育の評価で高く評価するというようなことで、また御本人には授業料を払わなくてもいいというような形でインセンティブをつけることで、優秀な教員をとにかく今すぐにつくることが大事ではないかと御提案させていただく。


【石倉議員】
 「2008年の科学技術政策の重要課題」の中に「グローバル」という言葉がたくさん書いてあるが、私は全体を世界という視点から見ることが非常に重要だと思う。この間ダボスに行っていただいておわかりいただけたと思うが、「グローバル化」は前提条件である。その状況の下、サブプライム問題など世界に波及するスピードが非常に早く、先が必ずしも見えない不確定要素が多い中でどうやって進んでいくかが世界の課題。また、政府と企業とNGOの連携によっていかに地球レベルの課題を解決していくか。実際の連携活動が非常に大きな関心事。そうなるといかに、組織や地域、国にとらわれずオープンシステムにして、外と広く協働するか、いろいろな経験を持った人が官民NGOなどの分野を超えて活動していくかが重要。組織内、地域内、国内で足を引っ張り合ったり、争ったりする「内戦」ではなく、「外の世界」と協働し、競争することが大事だと思う。
 また、この間総理がスピーチなさったときも、日本のリーダーとして、世界全体としての考え方と日本が行ってきた具体的な実績、その2つをセットでお話になったことが評価された大きな理由だと思う。中間的、中途半端な抽象論ではなく、ビジョンと具体的活動の両方を話された。ただ言っているだけではなくて、実際にやってきた、だから本当にやりそうだと思われたからだと私は思う。
 特に、今年は洞爺湖サミットなど、外交上大きなイベントがあって、日本が世界に対して大きな役割を果たすことができる。こういう機会とタイミングは余りないので、この際日本が誇りにできる技術など、しっかり説明する、具体的な活動指針を示し、実行していくことが非常に重要だと思う。


【増田議員】
 昨年の暮れ、この場で御指摘いただいた点の御報告だが、国立大学への地方公共団体からの寄附の問題。再三御指摘いただいた。例の再建法の関係だが、運用を大幅に緩和をする旨、12月28日に各自治体に通知をした。施設への無償貸与はこれにより、ほとんどのケースで可能になると思う。それから残っている土地等の無償譲渡だが、これは再建令の改正が必要になる。今法制局の方に申し込んでおり、年度内に確実に政令改正をする。そうすると無償譲渡もできるようになる。だから、もっと大幅に国立大学と自治体とでの共同研究等が進むであろう。
 去年の暮れに通知したところ1月になってからすぐに、もう6件ほど相談が来たと言っているが、とにかくスピード感を持ってこちらもやるので、ぜひいい研究のネタを地方公共団体でやっていただきたいと思う。


【甘利議員】
 ただいま本年重点的に取り組むべき課題を提示いただいたが、この場での議論を深みのあるものにするためにも年間を通じた道筋を明らかにし、各省等での積極的検討を促していくことが肝要。
 それから、革新的技術創造戦略の展開についてだが、先日私もiPS細胞の山中先生と意見交換をしたが、各省連携した研究開発の重要性、これはとても大事である。アメリカは即3,000億予算取って大統領が負けるなといい始めた。日本も関係省庁が連携し、すぐ予算を統合してスピード感を持ってやっていくことがとても大事だと思う。
 それから並行して、関連する特許を周辺特許も含めて国内外で戦略的に押さえていくということなど、早い段階での出口に向けた取り組みも極めて重要。
 これらの広範的な視点も踏まえた上で、新たな経済成長戦略と連携した革新的技術創造戦略を早急に取りまとめていくことが重要。
 また、2050年までに世界の温室効果ガス半減を達成するためには、従来の技術の延長線上ではなく、もちろんこれも大事だが、国際的な連携も視野に入れた環境エネルギー技術革新計画の策定が不可欠であり、私としても重点的に取り組むべき20の革新的技術、先ほど来例示されていたが、これをまとめ、年度内に「Cool Earth−エネルギー革新技術計画」を策定する予定であり、これらも踏まえて幅広く検討を深めていただきたい。


【渡海議員】
 今回取り上げていただいたテーマは、いずれも非常に大事だと思っている。
 革新的技術創造戦略だが、日本が非常に強い分野をより強くしていくことが非常に大事だと思っている。どういう分野というのは先生方よく御存知であると思うが、そういったことをよく考えていただきたい。
 それから、次に環境エネルギー技術革新計画、甘利大臣からも御発言があったが、従来から意外と省庁連携がとれていないという思いを持っており、そういったところで、ぜひ総合科学技術会議が力を発揮していただき、我が方は基礎研究が非常に多いわけだが、いろいろな省庁からデータも集めていただいて、議論をいただきたい。
 それからもう一点、黒川先生いらっしゃいますが、日本はカーボントレードの話をどうも余りしていない気がする。これは直接的に技術ということにならないかもしれないが、そういったことも取り組もうとしていただきたい。
 いずれにいたしても、我々は研究人材の育成、それから基盤といったものをしっかりつくっていくことを今後ともしっかりやっていきたいと思うし、郷議員には本当に貴重な提言をいただきありがとうございました。
 我々も人材を育てることは大事だと思っておるので、ぜひきっちりと検討させていただきたい。


【森山財務副大臣】
 議題1に関連をして申し上げる。科学技術予算については、厳しい財政事情の中であり、多くの経費がマイナスとなっている中でも着実に拡充を図っているところ。特に、総理が力を入れている環境エネルギー分野の研究開発や画期的な成果が期待されているiPS細胞研究などの政策課題について、重点的な投資を行っている。他方、こうした研究開発への投資に見合う成果が十分に得られているのか、国民に説明責任を果たしていくことが一層重要となっていくと考えている。
 こうした観点から有識者議員ペーパーの最終ページにある研究開発マネジメントの改革に財務省としては特に関心を持っている。
 研究開発に対する財政支出の投資効果を的確に検証していくための具体的な方法を御提示いただくようにお願いを申し上げたい。



【若林議員】
 今地球的な問題として食料の問題、環境の問題、エネルギーの問題が共通の大きな課題として浮かび上がってきている。農林水産省関連の技術改革の部分についてはゲノム研究などのイノベーションを先導するという意味で力を入れてきているが、やはりこれからの展開として食料の自給力を強化する、食の安全と消費者の信頼を確保する、また地球規模の環境問題への対応を図る、そういう角度で研究開発を強力に推進していかなければならないと思う。
 具体的には、木質系、セルロースから食料と競合しない形のエタノールの生産、かなり研究分野は進んでいるが、これを実用化するためには、もうちょっと力を入れないと実用化していかない。日本は森林国とも言われているので、森林資源を有効に活用する観点からすれば、各地域においてそういう研究成果が利用できれば地域活性化にもつながり、地域の人の目に見える形でいろいろなエネルギーをそこから取り出すことで技術革新の状況がよく理解してもらえると思う。期待も大きくなっているので、そちらに力を入れていきたい。

(2)平成20年度科学技術関係予算案の概要

 「平成20年度科学技術関係予算案の概要」について資料2(PDF)に基づき、岸田議員から報告。

(3)最近の科学技術の動向

 「民生部門における革新的なエネルギー利用による温暖化対策技術−超高効率ヒートポンプ−」について、資料3(PDF)に基づき、薬師寺議員より説明。

 

2.福田議長(内閣総理大臣)しめくくり発言


【福田議長(内閣総理大臣)】
 このたび、榊原先生、石倉先生に御参加いただき、お礼申し上げる。日本の科学技術政策の推進に大いに御貢献いただきたい。
 先日の施政方針演説の中で示したが、国際競争が激化している中で、他国の追随を許さない技術の実現がこれからの日本の成長には不可欠である。そのために、このような革新的な技術の創出に国を挙げて取り組むとことが重要だと思うので、総合科学技術と経済財政諮問会議が連携して革新的技術創造戦略について検討を進め、春ぐらいを目途に方向性を出していただきたい。
 今年は洞爺湖サミットが7月にある。我が国の科学技術に対する取り組みを世界に発信するいい場所なので、そういう観点から、皆様方に御議論いただきたい。我が国は幸いにして大変優れた技術をたくさん持っている。特に温室効果ガスの削減に向けて、省エネなどで非常に優れた技術を持っているので、総合科学技術会議において環境エネルギー技術の革新計画を御議論いただき、こういう面からの日本の取り組みを世界にアピールしていただきたい。

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