平成10年度は、高齢化問題基礎調査として、小学生・中学生・高校生の児童・生徒を対象に高齢者に対する意識や自分の高齢期の意識を把握する調査を実施しました。その結果概要は以下のとおりです。
調査の概要
1 調査の目的
本格的な高齢社会を目前に控え、国民の一人一人が長生きして良かったと実感できる社会を築き上げていくことが重要な課題となっている。
このため、高齢者と若年世代との交流を促進し、もって高齢者の積極的な社会参加活動を促して活力ある地域社会の形成を目指すためには、対象となる若年世代層の高齢社会に対する意識の把握が必要である。
このことから、「児童・生徒の高齢化問題に関する意識調査」を実施し、高齢者、高齢社会についての児童・生徒の考え方を把握し、今後の高齢社会対策を推進する上での基礎資料とする。
2 調査対象者、調査方法、調査事項等
- (1)調査対象者
- 小学校5年(976人)、中学校2年(963人)、高等学校2年(1,045人)の児童・生徒、計2,984人
- (2)調査対象者の選定方法
- 「福祉教育推進事業(厚生省)」において指定された、小学校、中学校、高等学校のボランティア協力校について、(社福)全国社会福祉協議会の協力を得て、都道府県・指定都市社会福祉協議会から推薦のあったボランティア協力校の児童・生徒を調査対象者とした。
- (3)調査方法
- 各調査対象校において調査票の配布、回収を実施。
- (4)調査事項
-
ア.祖父母との接触頻度
イ.祖父母との同居意向
ウ.高齢者の年齢イメージ
エ.高齢期に大切なもの
オ.高齢者との交流経験
カ.高齢者との交流経験による意識の変化
キ.高齢者との交流への参加意識
ク.参加したい高齢者との交流の内容
ケ.高齢者との交流の阻害要因
コ.高齢者との交流を促進するための必要条件
サ.ボランティア活動の社会的評価についての意識
シ.家族の介護方法に関する意識
ス.高齢社会に関する見聞き
セ.高齢社会の具体的イメージ
ソ.高齢期の心構え
タ.社会での子ども数について
チ.社会保障に要する費用負担について
- (5)調査実施期間
- 平成11年2月17日~末日
- (6)調査対象者数及び有効回収率
-
|
総数 |
小学生 |
中学生 |
高校生 |
調査対象者数 |
2,984人 |
976人 |
963人 |
1,045人 |
回収数 |
2,941人 |
961人 |
954人 |
1,026人 |
(回収率) |
(98.6%) |
(98.5%) |
(99.1%) |
(98.2%) |
有効回収数 |
2,940人 |
960人 |
954人 |
1,026人 |
(有効回収率) |
(98.5%) |
(98.4%) |
(99.1%) |
(98.2%) |
3 調査対象者の基本属性
- (1)性別構成比(問1)
-
|
総数 |
男性 |
女性 |
無回答 |
総数(人) |
2,940 |
1,220 |
1,718 |
2 |
構成比(%) |
100.0 |
41.5 |
58.4 |
0.1 |
小学生 |
960 |
472 |
487 |
1 |
100.0 |
49.2 |
50.7 |
0.1 |
中学生 |
954 |
434 |
520 |
- |
100.0 |
45.5 |
54.5 |
- |
高校生 |
1,026 |
314 |
711 |
1 |
100.0 |
30.6 |
69.3 |
0.1 |
- (2)同居家族(問2)
-
|
総数 |
祖父母 |
父 |
母 |
兄 |
姉 |
弟 |
妹 |
その他
の人 |
無回答 |
回答計 |
総数(人) |
2,940 |
1,205 |
2,689 |
2,877 |
895 |
792 |
900 |
842 |
111 |
2 |
10,313 |
構成比(%) |
100.0 |
41.0 |
91.5 |
97.9 |
30.4 |
26.9 |
30.6 |
28.6 |
3.8 |
0.1 |
350.8 |
小学生 |
960 |
355 |
893 |
950 |
339 |
288 |
259 |
290 |
48 |
1 |
3,423 |
100.0 |
37.0 |
93.0 |
99.0 |
35.3 |
30.0 |
27.0 |
30.2 |
5.0 |
0.1 |
356.6 |
中学生 |
954 |
426 |
886 |
932 |
299 |
270 |
304 |
243 |
31 |
- |
3,391 |
100.0 |
44.7 |
92.9 |
97.7 |
31.3 |
28.3 |
31.9 |
25.5 |
3.2 |
- |
355.5 |
高校生 |
1,026 |
424 |
910 |
995 |
257 |
234 |
337 |
309 |
32 |
1 |
3,499 |
100.0 |
41.3 |
88.7 |
97.0 |
25.0 |
22.8 |
32.8 |
30.1 |
3.1 |
0.1 |
341.0 |
- (3) 祖父母との居住形態(問3)
-
|
総数 |
同居 |
近居 |
別居 |
死亡 |
不明 |
総数(人) |
2,940 |
1,205 |
494 |
1,144 |
79 |
18 |
構成比(%) |
100.0 |
41.0 |
16.8 |
38.9 |
2.7 |
0.6 |
小学生 |
960 |
355 |
251 |
338 |
12 |
4 |
100.0 |
37.0 |
26.1 |
35.2 |
1.3 |
0.4 |
中学生 |
954 |
426 |
123 |
374 |
23 |
8 |
100.0 |
44.7 |
12.9 |
39.2 |
2.4 |
0.8 |
高校生 |
1,026 |
424 |
120 |
432 |
44 |
6 |
100.0 |
41.3 |
11.7 |
42.1 |
4.3 |
0.6 |
注)父方の祖父母及び母方の祖父母のいずれかとの居住形態
- (4) 地域
-
|
総数 |
北海道
・東北 |
関東 |
中部 |
近畿 |
中国・
四国 |
九州・
沖縄 |
総数(人) |
2,940 |
370 |
946 |
561 |
458 |
272 |
333 |
構成比(%) |
100.0 |
12.6 |
32.2 |
19.1 |
15.6 |
9.3 |
11.3 |
小学生 |
960 |
119 |
301 |
179 |
152 |
98 |
111 |
100.0 |
12.4 |
31.4 |
18.6 |
15.8 |
10.2 |
11.6 |
中学生 |
954 |
125 |
320 |
174 |
158 |
79 |
98 |
100.0 |
13.1 |
33.5 |
18.2 |
16.6 |
8.3 |
10.3 |
高校生 |
1,026 |
126 |
325 |
208 |
148 |
95 |
124 |
100.0 |
12.3 |
31.7 |
20.3 |
14.4 |
9.3 |
12.1 |
注)「中部」は新潟、富山、石川、福井、山梨、長野、岐阜、静岡、愛知、三重の10県。
- (5)都市規模
-
|
総数 |
大都市 |
中都市 |
小都市 |
町村 |
総数(人) |
2,940 |
667 |
709 |
404 |
1,160 |
構成比(%) |
100.0 |
22.7 |
24.1 |
13.7 |
39.5 |
小学生 |
960 |
150 |
321 |
129 |
360 |
100.0 |
15.6 |
33.4 |
13.4 |
37.5 |
中学生 |
954 |
251 |
97 |
199 |
407 |
100.0 |
26.3 |
10.2 |
20.9 |
42.7 |
高校生 |
1,026 |
266 |
291 |
76 |
393 |
100.0 |
25.9 |
28.4 |
7.4 |
38.3 |
注1 都市規模は調査対象校の所在地による。
注2「大都市」とは東京都区部と政令指定都市、
「中都市」とは人口10万人以上の市(大都市を除く)、
「小都市」とは人口10万人未満の市をいう。
報告書:調査結果の概要
<留意点>
調査対象校については、福祉教育推進事業において指定されたボランティア協力校の中から推薦された学校の児童・生徒を調査対象としていることから、全国の各学年の男女構成に比較して本調査においては、女性の割合が高くなっている。
(注)調査対象者について、小学校5年は「小学生」、中学2年は「中学生」、高校2年は「高校生」という。
1 祖父母との接触頻度は、小・中・高校生とも「ほとんど毎日会う」が最も高い
○小学生 |
「ほとんど毎日会う」 | 35.5% |
「月に1~2回会う」 | 20.7% |
「年に数回会う」 | 16.4% |
○中学生 |
「ほとんど毎日会う」 | 33.8% |
「年に数回会う」 | 27.3% |
「月に1~2回会う」 | 20.8% |
○高校生 |
「ほとんど毎日会う」 | 30.5% |
「年に数回会う」 | 29.4% |
「月に1~2回会う」 | 15.7% |
2 祖父母との同居意向は、小学生では「暮らしたい」、中・高校生では「どちらでもよい」の割合が最も高い
○小学生 |
「暮らしたい」 | 47.8% |
「どちらでもよい」 | 40.8% |
○中学生 |
「どちらでもよい」 | 47.4% |
「暮らしたい」 | 29.5% |
○高校生 |
「どちらでもよい」 | 49.3% |
「暮らしたい」 | 21.0% |
3 高齢者とは、小・中・高校生とも「60歳くらいから」、「70歳くらいから」の割合が高い
○小学生 |
「60歳くらいから」 | 46.7% |
「70歳くらいから」 | 30.2% |
○中学生 |
「60歳くらいから」 | 48.1% |
「70歳くらいから」 | 32.8% |
○高校生 |
「60歳くらいから」 | 47.8% |
「70歳くらいから」 | 38.2% |
4 高齢期に大切なものは、中・高校生とも「健康」が最も高く、次いで「家族」、「趣味」の順
○中学生 |
「健康」 | 89.0% |
「家族」 | 73.1% |
「趣味」 | 48.1% |
○高校生 |
「健康」 | 85.3% |
「家族」 | 65.2% |
「趣味」 | 62.1% |
5 高齢者との交流経験は、小学生では「その他にも、お年寄りと一緒にしたことがある」、中・高校生では「電車やバスで、お年寄りに席をゆずったり、街でお年寄りの手を引いたり、荷物をもってあげたことがある」が最も高い
○小学生 |
「その他にも、お年寄りと一緒にしたことがある」 | 52.0% |
「老人ホームに行ったり、学校にお年寄りに来てもらったりしたことがある」 | 45.1% |
○中学生 |
「電車やバスで、お年寄りに席をゆずったり、 街でお年寄りの手を引いたり、荷物をもってあげたことがある」 | 51.6% |
「老人ホームに行ったり、学校にお年寄りに来てもらったりしたことがある」 | 37.6% |
○高校生 |
「電車やバスで、お年寄りに席をゆずったり、 街でお年寄りの手を引いたり、荷物をもってあげたことがある」 | 53.8% |
「老人ホームに行ったり、学校にお年寄りに来てもらったりしたことがある」 | 52.0% |
6 高齢者との交流経験による意識の変化は、小・中・高校生とも「お年寄りのことが前に比べてよくわかるようになった」が最も高い
○小学生 |
「お年寄りのことが前に比べてよくわかるようになった」 | 48.8% |
「お年寄りと何かをしたり、してあげることが楽しくなった」 | 37.7% |
○中学生 |
「お年寄りのことが前に比べてよくわかるようになった」 | 41.7% |
「お年寄りについての気持ちは、前と変わらない」 | 24.7% |
○高校生 |
「お年寄りのことが前に比べてよくわかるようになった」 | 41.3% |
「お年寄りについての気持ちは、前と変わらない」 | 25.0% |
7 高齢者との交流への参加意識は、小・中・高校生とも「できる限り参加したい」の割合が最も高い
○小学生 |
「できる限り参加したい」 | 67.7% |
「積極的に参加したい」 | 14.0% |
○中学生 |
「できる限り参加したい」 | 52.8% |
「あまり参加したくない」 | 31.8% |
○高校生 |
「できる限り参加したい」 | 53.4% |
「あまり参加したくない」 | 33.5% |
8 参加したい高齢者との交流の内容は、中・高校生とも「お年寄りと一緒に楽しめる活動をする」の割合が最も高い
○中学生 |
「お年寄りと一緒に楽しめる活動をする」 | 69.5% |
「地域の伝統・文化をお年寄りに教えてもらう」 | 41.3% |
○高校生 |
「お年寄りと一緒に楽しめる活動をする」 | 72.0% |
「お年寄りの特技を習う」、「地域の伝統・文化をお年寄りに教えてもらう」 | 35.8% |
9 高齢者との交流の阻害要因は、中学生では「お年寄りとは話が合わないと思うから」、高校生では「勉強や部活動、遊び等が忙しく、暇がないから」が最も高い
○中学生 |
「お年寄りとは話が合わないと思うから」 | 43.1% |
「お年寄りとは活動のペースが合わないと思うから」 | 38.4% |
○高校生 |
「勉強や部活動、遊び等が忙しく、暇がないから」 | 36.7% |
「お年寄りとは話が合わないと思うから」 | 31.5% |
10 高齢者との交流を促進するための必要条件は、中・高校生とも「交流の機会をつくる」が最も高く、次いで「お年寄りが参加しやすくするために、お年寄りに配慮した交通機関の整備」
○中学生 |
「交流の機会をつくる」 | 66.1% |
「お年寄りが参加しやすくするために、お年寄りに配慮した交通機関の整備」 | 46.9% |
○高校生 |
「交流の機会をつくる」 | 68.5% |
「お年寄りが参加しやすくするために、お年寄りに配慮した交通機関の整備」 | 47.1% |
11 ボランティア活動を表彰したり、入学試験などの評価の一つとすることについての意識は、中・高校生とも「大変よい」が最も高い
○中学生 |
「大変よい」 | 50.9% |
「簡単な表彰くらいでよい」 | 21.8% |
○高校生 |
「大変よい」 | 44.8% |
「簡単な表彰くらいでよい」 | 19.4% |
12 家族の介護方法に関する意識は、小・中学生では「祖父母の世話は、家で家族がするのが良い」、高校生では「家で、福祉サービスをする人たちなどと家族が、一緒に祖父母の世話をするのが良い」の割合が最も高い
○小学生 |
「祖父母の世話は、家で家族がするのが良い」 | 67.6% |
「家で、福祉サービスをする人たちなどと家族が、 一緒に祖父母の世話をするのが良い」 | 21.3% |
○中学生 |
「祖父母の世話は、家で家族がするのが良い」 | 45.4% |
「家で、福祉サービスをする人たちなどと家族が、 一緒に祖父母の世話をするのが良い」 | 39.5% |
○高校生 |
「家で、福祉サービスをする人たちなどと家族が、 一緒に祖父母の世話をするのが良い」 | 49.5% |
「祖父母の世話は、家で家族がするのが良い」 | 36.5% |
13 高齢社会に関する見聴きは、小・中・高校生とも「テレビ・ラジオで見たり、聴いたりしたことがある」の割合が最も高い
○小学生 |
「テレビ・ラジオで見たり、聴いたりしたことがある」 | 57.7% |
「両親等の家族から話を聴いたことがある」 | 35.6% |
○中学生 |
「テレビ・ラジオで見たり、聴いたりしたことがある」 | 75.3% |
「学校の先生から話を聴いたことがある」 | 40.5% |
○高校生 |
「テレビ・ラジオで見たり、聴いたりしたことがある」 | 77.1% |
「学校の先生から話を聴いたことがある」 | 72.7% |
14 高齢社会の具体的イメージは、中・高校生とも「保健・医療・福祉サービスが充実される」、「生涯にわたる健康づくりが推進される」と思う割合が高く、一方、そう思わない割合が最も高いのは、「経済的に豊かで、社会が活力に満ちている」
○中学生 |
「保健・医療・福祉サービスが充実される」 | 72.4% |
「生涯にわたる健康づくりが推進される」 | 60.1% |
「安心できる、ゆとりのある住居が確保される」 | 44.4% |
○高校生 |
「保健・医療・福祉サービスが充実される」 | 72.0% |
「生涯にわたる健康づくりが推進される」 | 61.8% |
「お年寄りの学習・社会参加が促進される」 | 43.9% |
15 高齢期の心構えは、「若い時の気持ちを忘れないで暮らす」が4割を超え最も高く、次いで「できるだけ自分の考えどおりに暮らす」の順
○ |
「若い時の気持ちを忘れないで暮らす」 | 40.9% |
「できるだけ自分の考えどおりに暮らす」 | 29.2% |
「お年寄りらしくおとなしく暮らす」 | 11.6% |
16 社会での子供の数は、「今よりも子供は増えた方が良い」が6割以上
○ |
「今よりも子供は増えた方が良い」 | 64.1% |
「わからない」 | 16.9% |
「子供の数は変わらない方が良い」 | 16.3% |
○ |
性別にみると、女性の方が、「今よりも子供は増えた方が良い」の割合が高い |
17 社会保障に要する費用負担は、「税金、保険料、利用者の自己負担は現状程度に止め、年金など支給内容を見直して対応すべきである」が最も高い
○ |
「税金、保険料、利用者の自己負担は現状程度に止め、 年金など支給内容を見直して対応すべきである」 | 31.4% |
「わからない」 | 31.3% |
「税金や保険料は増えても止むを得ないが、利用者の自己負担を現状程度とする」 | 14.7% |