平成10年度 高齢者の日常生活に関する意識調査結果について 概要版
平成10年度は、高齢者対策総合調査として、高齢者の日常生活全般に関する実態・意識を把握する意識調査を実施しました。その結果概要は以下のとおりです。
調査の概要
1 調査の目的
本格的な高齢社会を控え、人生の高齢期を充実したものとするため、安心して健康で生きがいのある生活を送ることのできる社会の構築が重要な課題となっている。
そのためには、高齢者の生活に関わる全ての面で、高齢者にとって生活しやすい条件づくりをすすめていくことが必要である。
このため、生活者としての高齢者の視点から日常生活の現状を把握するとともに満足度及びニーズを調査し、今後の高齢者に関する関係施策の推進に資することを目的とする。
2 調査方法等
- (1)調査対象
- 全国の60歳以上の男女
- (2)調査方法
- 調査員による面接聴取法
- (3)調査事項
- ア.調査対象者の基本属性に関する事項
イ.基本的生活に関する事項
ウ.衣類に関する事項
エ.食生活に関する事項
オ.住宅に関する事項
カ.日常生活の行動・意識に関する事項
キ.日常的楽しみに関する事項
ク.日常生活情報に関する事項
ケ.その他 - (4)調査実施期間
- 平成11年2月10日~2月21日
- (5)標本抽出方法
- 層化二段無作為抽出法
- (6)調査対象者数及び有効回収数
- ア.標本数 3,000人
イ.有効回収数(率) 2,284人(76.1%)
3 有効回答者の性別等
- (1)性別、年齢階級別構成
-
* 平成6年の調査対象者は、65歳以上の者 性別 年齢階級別 総数 男 女 60~64歳 65~69歳 70~74歳 75~79歳 80~84歳 85歳以上 平成11年 2,284人
100.0%1,054人
46.1%1,230人
53.9%556人
24.3%689人
30.2%549人
24.0%313人
13.7%130人
5.7%47人
2.1%平成11年
(65歳以上)1,728人
100.0%801人
46.4%927人
53.6%-
-689人
39.9%549人
31.8%313人
18.1%177人
10.2%平成6年 2,454人
100.0%1,121人
45.7%1,333人
54.3%*
*942人
38.4%720人
29.3%506人
20.6%286人
11.7%
- (2)家族形態
-
総数 単身世帯 夫婦二人
世帯本人と親
の世帯本人と子
の世帯本人と子と孫
の世帯その他 平成11年 2,284人
100.0%221人
9.7%803人
35.2%132人
5.8%501人
21.9%576人
25.2%51人
2.2%平成11年
(65歳以上)1,728人
100.0%178人
10.3%595人
34.4%56人
3.2%351人
20.3%503人
29.1%45人
2.6%平成6年 2,454人
100.0%220人
9.0%711人
29.0%*
*444人
18.1%885人
36.1%194人
7.9% - (3)健康状態
-
総数 良好 普通 不良 無回答 (計) 良い まあ良い (計) あまり
良くない良くない 平成11年 2,284人
100.0%1,199人
52.5%690人
30.2%509人
22.3%574人
25.1%511人
22.4%425人
18.6%86人
3.8%-
-平成11年
(65歳以上)1,728人
100.0%883人
51.1%475人
27.5%408人
23.6%447人
25.9%398人
23.0%334人
19.3%64人
3.7%-
-平成6年 2,454人
100.0%1,179人
48.0%584人
23.8%595人
24.2%652人
26.6%619人
25.2%512人
20.9%107人
4.4%4人
0.2% - (4)職業
-
総数 有職 無職 (計) 自営業者,家族従業者 被用者 (計) 農林漁業 商工サービス・自由業 (計) 常勤の被傭者 非常勤の被傭者 平成11年 2,284人
100.0%676人
29.6%417人
18.3%166人
7.3%251人
11.0%259人
11.3%136人
6.0%123人
5.4%1,608人
70.4%平成11年
(65歳以上)1,728人
100.0%426人
24.7%282人
16.3%126人
7.3%156人
9.0%144人
8.3%72人
4.2%72人
4.2%1,302人
75.3%平成6年 2,454人
100.0%721人
29.4%529人
21.6%252人
10.3%277人
11.3%192人
7.8%97人
4.0%95人
3.9%1,733人
6% - (5)住居形態
-
総数 持家
(計)持家
(一戸建て)持家
(分譲マンションなどの共同住宅)借家
(計)借家
(一戸建て)借家
(アパート、マンション、公営・公団の賃貸住宅)社宅、公務員住宅 その他 一戸建て
(計)集合住宅
(計)平成11年 2,284人
100.0%1,927人
84.4%1,879人
82.3%48人
2.1%357人
15.6%77人
3.4%271人
11.9%6人
0.3%3人
0.1%1,956人
85.6%325人
14.2%平成11年
(65歳以上)1,728人
100.0%1,456人
84.3%1,423人
82.3%33人
1.9%272人
15.7%61人
3.5%205人
11.9%4人
0.2%2人
0.1%1,484人
85.9%242人
14.0%平成6年 2,454人
100.0%2,188人
89.2%2,149人
87.6%39人
1.6%266人
10.8%111人
4.5%138人
5.6%4人
0.2%13人
0.5%2,260人
92.1%181人
7.4% - (6)経済的状況
-
総数 家計にゆとりがあり、まったく心配なく暮らしている 家計にあまりゆとりはないが、それほど心配なく暮らしている 家計にゆとりがなく、多少心配である 家計が苦しく、非常に心配である その他 わからない 平成11年 2,284人
100.0%460人
20.1%1,276人
55.9%447人
19.6%91人
4.0%-
-10人
0.4% - (7)社会参加活動の有無
-
総数 参加している 参加していない 無回答 平成11年 2,284人
100.0%830人
36.3%1,452人
63.6%2人
0.1% - (8)都市規模
-
総数 大都市 中都市 小都市 町村 平成11年 2,284人
100.0%413人
18.1%774人
33.9%478人
20.9%619人
27.1%平成11年
(65歳以上)1,728人
100.0%309人
17.9%586人
33.9%362人
20.9%471人
27.3%平成6年 2,454人
100.0%440人
17.9%766人
31.2%515人
21.0%733人
29.9%
報告書概要
【基本的生活】
1 日常生活全般について、満足と答えた者 85.6%
- 「まあ満足している」が58.5%、「満足している」は27.2%、「やや不満である」(11.7%)、「不満である」(2.5%)
- 平成6年の調査と比較すると、「満足(計)」:2.5ポイント低下、「満足している」:6.4ポイント低下
2 将来の日常生活に不安を感じる人は、63.6%
- 「多少不安を感じる」が52.8%、「不安は感じない」(36.4%)、「とても不安を感じる」(10.8%)
3 不安を感じる理由のトップは、「自分や配偶者の健康や病気のこと」が最も高い
- 「自分や配偶者の健康や病気のこと」が68.5%と最も高く、次いで「自分や配偶者が寝たきりや身体が不自由になり介護が必要な状態になること」が52.0%、「生活のための収入のこと」が26.3%、「頼れる人がいなくなり一人きりの暮らしになること」が20.3%
4 日常生活を営む上で不自由を感じるときがある人は、14.3%
- 「普通にできる」が85.6%、「普通だが少し不自由を感じるときがある」(8.2%)、「たびたび不自由を感じる」(4.0%)、「不自由である」(2.1%)
5 不自由を感じるときは、「外出するとき(つえ、カート、車椅子などを使用している場合は、使用した状態で)」が最も高い
- 「外出するとき(つえ、カート、車椅子などを使用している場合は、使用した状態で)」が61.6%、次いで「家の中を移動するとき(つえ、カート、車椅子などを使用している場合は、使用した状態で)」(29.0%)、「読んだり、聞いたり、人と会話をするとき」(22.9%)
6 日頃特に心がけていることは、「健康管理(睡眠、運動、健康診断、早期治療など)」、「食事(食べ物、回数、時間など)」が、半数を超える
- 「健康管理(睡眠、運動、健康診断、早期治療など)」が最も高く56.7%、次いで「食事(食べ物、回数、時間など)」(53.1%)、「近隣、友人、仲間とのつきあい」(24.0%)、「家族・親戚とのつきあい」(17.8%)
【衣類】
7 衣類全般について、満足と答えた者が9割以上
- 「まあ満足している」:50.9%、「満足している」:42.8%
8 市販衣類に関する意見では、「値段が高い」、「体型に合うものが少ない」が1割を超える
- 「値段が高い」が11.0%、「体型に合うものが少ない」(10.7%)、「衣料品を売る店が近くにない」、「好みの衣料品が近くの店では買えない」(6.0%)、「特に不満はない」は70.8%
9 おしゃれをしたい人は、52.9%で過半数
- 「ある程度はおしゃれをしたい」が45.5%、「積極的におしゃれをしたい」は7.4%
- 平成6年の調査と比較すると、「おしゃれしたい(計)」が2.5ポイント上昇
10 関心あるおしゃれは、「外出着」が最も高く過半数を超える
- 「外出着」が54.1%で最も高く、次いで「身だしなみ(コーディネーション、全体の調和)」(42.7%)、「整髪、髪型、髪の色、かつら」(34.1%)、「普段着」(24.1%)、「清潔、顔色、皮膚のつや」(22.8%)
- 男性より女性で高いもの:「整髪、髪型、髪の色、かつら」「化粧、香水」
- 女性より男性で高いもの:「礼儀・マナー」「趣味・スポーツなどの服装」「靴」
【食生活】
11 食生活について、満足と答えた者が9割以上
- 「まあ満足している」が47.7%、「満足している」は46.8%
12 家族との食事の状況は、「ほとんどいつも家族の誰かと一緒に食べている」が4人に3人を占める
- 「ほとんどいつも家族の誰かと一緒に食べている」が77.0%、「家族とは一緒に食べていない」(11.7%)、「毎日少なくとも1回は家族の誰かと一緒に食べている」(9.1%)、「時々家族の誰かと一緒に食べている」(2.3%)
- 平成6年の調査と比較すると、「ほとんどいつも家族の誰かと一緒に食べている」が3.3ポイント上昇
13 一緒に食事をする家族は、「配偶者のみ」が、最も高い
- 「配偶者(夫または妻)」が81.3%に達し最も高く、次いで「子または子の配偶者」が45.4%、「孫」が26.8%
- 一緒に食事をする家族の組み合わせは、「配偶者のみ」が49.2%、次いで「子・孫(配偶者を含む)」が45.5%
14 外食・弁当・給食サービスの利用状況は、「まったくない」が半数
- 「まったくない」が50.8%と半数を占め、次いで「月に1~3回」(20.2%)、「年に1、2回」(13.7%)、「2、3か月に1回」(9.8%)
15 いざというとき、利用したい食事サービスは、「公的な配食サービス」が最も高い
- 「公的な配食サービス」が37.3%と最も高く、次いで「ホームヘルパーや家政婦による食事の用意」(20.2%)、「食材の宅配サービス」(13.6%)、「民間による多様な配食サービス」(12.7%)となっており、「特にない」は36.6%
【住宅】
16 現在住んでいる住宅に対する不満は、「住宅が古くなったりいたんだりしている」が最も高い
- 「住宅が古くなったりいたんだりしている」が13.4%、次いで「住宅が狭い」(6.5%)、「住宅の構造や設備が使いにくい」(5.6%)となっており、「特に不満はない」は73.6%
17 住宅の構造・設備での支障は、「浴室が使いにくい(狭い、寒い、暗い、手すりがなく入浴しづらいなど)」が最も高い
- 「浴室が使いにくい(狭い、寒い、暗い、手すりがなく入浴しづらいなど)」が6.1%、次いで「階段があり、昇り降りしにくい」(5.3%)、「玄関などに段差があり、昇り降りしにくい」(5.0%)、「トイレが使いにくい(遠い、狭い、寒い、暗い、手すりがないなど)」(4.9%)、「部屋、浴室、トイレの入り口などに段差がある」(4.8%)
【日常生活の行動・意識】
18 毎日行う家事は、「炊事」、「掃除」、「洗濯」が半数近い
- 「炊事」が48.1%、「掃除」が46.0%、「洗濯」が45.7%と高く、次いで「食品・日用品の買物」(22.8%)、「留守番」(18.3%)
- 女性は、「炊事」・「掃除」・「洗濯」いずれも7割台に対し、男性は、それぞれ1割前後
19 家事は、4人に3人が主に妻がすべき
- 「妻がするものだが、夫も手伝うべきだ」が39.1%で最も高く、次いで「妻がすべきだ」(37.9%)、「夫婦共同ですべきだ」(20.5%)、「夫がするものだが、妻も手伝うべきだ」(0.4%)、となり、「夫がすべきだ」と回答した人はいなかった
- 「妻がすべきだ」「妻がするものだが、夫も手伝うべきだ」はわずかの差で男性より女性で高い
- 「夫婦共同ですべきだ」 女性より男性でやや高い
20 日常の外出状況は、「自分から積極的に外出する方である」が約6割
- 「自分から積極的に外出する方である」が59.4%を占め、次いで「家族や他の人から誘われたり、仲間がいれば外出する方である」が21.8%
- 平成6年の調査と比較すると、「自分から積極的に外出する方である」が5.3ポイント低下、「家族や他の人から誘われたり、仲間がいれば外出する方である」が3.5ポイント上昇
21 自分一人で利用できる外出手段は、「バス・電車」が最も高い
- 「バス・電車」が52.8%、次いで「家の近くの歩行(つえ、シルバーカーなどの利用を含む。)」(45.1%)、「自動車、バイク・スクーター(いずれも自ら運転するもの。身体障害者等が運転できるよう特別に装備されているものを含む。)」(38.6%)、「自転車(電動アシスト付き自転車を含む。)」(38.2%)、「おおよそ15分以上の歩行(つえ、シルバーカーなどの利用を含む。)」(35.6%)
22 外出するにあたって障害となるものは、「道路に階段、段差、傾斜があったり、歩道が狭い」が最も高い
- 「道路に階段、段差、傾斜があったり、歩道が狭い」が14.5%、次いで「交通事故が多く不安」(11.3%)、「バスや電車等公共の交通機関が利用しにくい」(10.9%)、「道路に違法駐車、放置自転車、荷物の放置などがある」(10.0%)、「特にない」は61.6%
- 平成6年の調査と比較すると、「特にない」が7.1ポイント低下
【日常的楽しみ】
23 普段の生活で楽しみにしていることは、「テレビ、ラジオ」が約8割
- 「テレビ、ラジオ」が79.7%で最も高く、次いで「新聞、雑誌」(43.9%)、「仲間と集まったり、おしゃべりをすることや親しい友人、同じ趣味の人との交際」(34.3%)、「旅行」(31.7%)、「家族との団らん、孫と遊ぶ」(29.0%)
【日常生活情報】
24 日常生活に関する情報の満足度は、9割を超える
- 「まあ満足している」が59.0%、「満足している」は32.6%
- 平成6年の調査と比較すると「満足している」が3.4ポイント上昇、「まあ満足している」が5.5ポイント低下
25 日常生活の情報源は、「テレビ」が8割近い
- 「テレビ」が79.6%と最も高く、次いで「新聞(タウン紙を含む)」(57.3%)、「友人、隣人」(38.2%)、「家族」(34.1%)
- 平成6年の調査と比較すると、「チラシ、折り込み、ダイレクトメールなど」が4.2ポイント、「ラジオ」が2.4ポイント上昇
26 日常生活に関する情報に対する不満は、「字が小さくて読めない」が最も高い
- 「字が小さくて読めない」が14.5%、次いで「どの情報が信頼できるかわからない」(8.2%)、「情報量が多すぎる」(7.6%)、一方、「特に不満はない」は58.9%、「情報収集に関心がない」は8.5%
27 もっと欲しい日常生活情報は、「健康づくり」が最も高い
- 「健康づくり」が18.5%、次いで「医療」(15.9%)、「年金」(11.3%)、「在宅ケア、介護サービス、家事援助など生活上の世話」(9.8%)となり、「特にない」は55.6%
【その他】
28 高齢者とは、「70歳以上」が最も高い
- 「70歳以上」が48.3%、次いで「65歳以上」(18.3%)、「75歳以上」(14.7%)
- 「自分の年齢階級より上の年齢階級」を答えた者は52.7%と半数を上回り、「自分の年齢階級と同じ年齢階級」は23.6%、「自分の年齢階級より下の年齢階級」は19.7%
29 社会として重点を置くべき高齢社会対策は、「老後を安心して生活できるような収入の保障」が最も高い
- 「老後を安心して生活できるような収入の保障」が48.6%、次いで「介護サービスが必要な時に利用できる体制の整備」(42.6%)、「高齢者の体が不自由になっても生活できる住宅の整備」(27.2%)、「高齢者の外出・利用に配慮した移動手段・公共交通の整備を含む高齢者に配慮した街づくりの推進」(23.9%)、「高齢者の各種相談について身近に対応してくれる相談体制の整備」(22.5%)