2.調査結果の概要
(4)経済生活

(4)経済生活

ア 生活の収入源(Q19a)

「現在の生活費を何でまかなっているか」(すべての収入源)についてみると、日本、アメリカ及びドイツでは「公的な年金」(日本90.6%、アメリカ76.8%、ドイツ85.6%)の割合が最も高くなっている。一方、韓国では「子どもなどからの援助」の割合が60.7%で最も高く、フランスでは「私的な年金」(63.2%)及び「公的年金」(61.4%)がほぼ拮抗して高い割合となっている。

時系列でみると、日本では「公的な年金」が増加傾向にある。

収入源の平均個数(回答1から8までの累計)を比較してみると、アメリカ2.3個、ドイツ1.9個、フランス1.8個、日本1.7個、韓国1.7個となっている(表26)。

(表26)(複数回答)(%)
  日本 アメリカ 韓国 ドイツ フランス
第1回 第2回 第3回 第4回 第5回 第6回 第1回 第2回 第3回 第4回 第5回 第6回 第1回 第3回 第4回 第5回 第6回 第3回 第4回 第5回 第6回 第1回 第6回
1 仕事による収入 41.0 34.3 34.1 35.0 33.4 27.7 27.3 24.0 21.6 25.6 25.5 32.2 21.8 37.4 32.4 34.2 42.0 7.1 6.5 9.7 15.2 5.1 12.5
2 公的な年金 64.6 77.0 81.2 84.0 84.9 90.6 82.1 84.7 84.5 83.0 85.4 76.8 1.7 3.4 4.3 9.5 14.8 82.6 84.4 83.5 85.6 74.9 61.4
3 私的な年金 8.4 5.4 7.8 7.5 11.1 7.1 27.1 29.7 33.4 33.0 39.0 35.5 0.0 0.5 0.5 1.2 6.6 26.2 23.9 22.7 20.3 49.3 63.2
4 預貯金などの引き出し 11.4 16.6 22.7 21.4 22.1 23.8 22.0 24.0 24.0 23.7 25.6 45.0 3.5 6.0 11.0 21.7 31.1 14.4 20.7 36.2 45.1 6.9 28.3
5 財産からの収入 15.6 14.5 13.9 11.4 8.2 6.5 45.1 49.4 43.1 34.3 32.6 34.6 5.5 8.4 10.2 10.1 7.6 10.9 11.8 15.2 17.0 11.9 12.8
6 子供などからの援助 29.8 21.8 18.9 15.4 12.0 10.0 2.4 2.2 2.6 3.0 2.7 5.3 78.2 73.6 70.8 59.4 60.7 3.6 2.9 3.8 3.5 3.3 3.7
7 生活保護 1.7 1.4 1.4 0.7 1.0 0.5 3.3 3.2 3.0 1.9 1.9 1.0 2.0 3.2 5.0 6.1 5.7 1.3 1.1 3.6 2.2 4.3 1.5
8 その他 4.8 4.0 3.2 3.8 3.2 3.3 8.2 6.0 8.0 7.0 6.6 1.7 3.6 2.2 0.5 2.5 3.2 6.3 4.2 5.0 0.7 4.7 0.3
※1~8の累計平均回答個数(1~8の全回答数÷全回答者)           1.7           2.3         1.7       1.9   1.8

イ 生活の主な収入源(Q19b)

「現在の生活費を何でまかなっているか」(主な収入源)についてみると、韓国を除く4か国で「公的な年金」(日本73.9%、アメリカ54.7%、ドイツ76.9%、フランス49.3%)の割合が最も高く、韓国では「子どもなどからの援助」(37.3%)の割合が最も高くなっている。

時系列でみると、日本では「公的な年金」の割合が増加し、「仕事による収入」の割合が減少している。また、韓国では「子供などからの援助」の割合が減り、「仕事による収入」の割合が増加してきている(表27)。

(表27)(Q19aで2つ以上あげた方に)(%)
  日本 アメリカ 韓国 ドイツ フランス
第1回 第2回 第3回 第4回 第5回 第6回 第1回 第2回 第3回 第4回 第5回 第6回 第1回 第3回 第4回 第5回 第6回 第3回 第4回 第5回 第6回 第1回 第6回
1 仕事による収入 31.3 24.5 23.8 21.6 20.8 17.7 15.2 14.1 10.7 15.5 13.9 19.8 16.2 31.9 26.6 28.1 35.4 5.3 4.6 7.1 10.2 3.5 9.5
2 公的な年金 34.9 53.4 54.3 57.1 67.5 73.9 53.9 53.0 55.2 55.5 56.6 54.7 0.8 2.5 2.9 5.9 4.5 76.6 77.0 75.8 76.9 64.6 49.3
3 私的な年金 3.8 1.9 1.9 1.7 1.6 1.0 10.0 10.4 13.6 13.3 16.4 10.1 0.0 0.3 0.5 0.6 2.2 10.9 10.1 9.1 4.0 17.8 34.2
4 預貯金などの引き出し 2.1 2.2 2.0 2.4 1.6 1.0 1.7 1.8 1.8 1.5 0.9 2.8 2.2 1.9 4.9 9.6 10.8 0.6 1.6 1.3 0.8 1.9 2.7
5 財産からの収入 5.3 5.6 4.0 2.5 2.3 1.9 14.5 17.4 11.0 8.5 7.0 9.8 3.3 4.6 4.5 5.6 3.4 1.4 2.0 1.9 2.2 3.6 2.9
6 子供などからの援助 15.6 9.0 5.7 4.2 3.4 2.5 0.3 0.2 0.7 0.0 0.1 0.5 72.4 54.8 56.3 43.2 37.3 0.6 0.2 0.2 0.4 1.0 0.7
7 生活保護 1.2 1.1 0.9 0.3 0.9 0.5 0.7 0.4 1.4 0.3 0.5 0.4 1.2 2.2 3.7 5.0 4.3 0.3 0.6 1.5 1.5 1.2 0.6
8 その他 3.1 1.9 1.8 2.4 1.7 1.5 3.5 2.4 2.7 1.6 3.1 1.0 3.2 1.6 0.3 2.2 2.1 2.6 1.7 3.1 0.7 3.3 0.0

ウ 日々の暮らしに困ることがあるか(Q20)

「経済的に日々の暮らしに困ることがあるか」について、「困っている」と「少し困っている」の割合を合計した数値をみると、韓国が49.6%で最も高く、次いで、フランス(40.0%)、ドイツ(29.9%)アメリカ(27.6%)となり、日本は14.5%と最も低くなっている(表28)。

(表28)(全員の方に)(%)
  日本 アメリカ 韓国 ドイツ フランス
第1回 第2回 第3回 第4回 第5回 第6回 第1回 第2回 第3回 第4回 第5回 第6回 第1回 第3回 第4回 第5回 第6回 第3回 第4回 第5回 第6回 第1回 第6回
1 困っている 3.5 4.0 3.4 3.8 6.0 3.1 9.9 4.8 3.9 4.5 6.7 3.9 36.3 28.0 15.8 23.0 18.1 1.5 1.8 3.2 6.2 22.8 6.1
2 少し困っている 10.2 11.8 15.6 15.9 17.6 11.4 18.4 13.0 16.3 24.8 24.8 23.7 25.5 31.7 32.8 38.6 31.5 5.7 6.3 16.2 23.7 47.3 33.9
3 あまり困っていない 26.0 31.0 41.8 38.5 38.0 28.3 23.8 21.1 23.9 25.7 27.9 36.1 30.4 33.7 44.1 31.8 39.0 24.8 28.2 46.6 36.8 24.4 41.7
4 困っていない 59.1 52.7 38.4 41.5 38.3 57.1 47.3 60.6 55.1 44.3 39.7 36.1 7.4 6.5 7.1 6.6 11.4 67.9 63.0 34.1 33.3 5.1 18.3

エ 老後の生活費に対する備え(Q21)

「50歳代までに、老後の経済生活に備えて特に何かしていたか」についてみると、各国とも「預貯金」(アメリカ64.7%、ドイツ58.8%、日本55.5%、フランス46.8%、韓国33.6%)の割合が最も高くなっている。アメリカでは、「個人年金への加入」(39.8%)及び「債券・株式の保有、投資信託」(39.6%)なども高い割合となっている。フランスでは「個人年金への加入」が31.4%と高い割合となっている。

また、「特になし」の割合は、韓国が54.7%と最も高く、次いで、日本(34.9%)、フランス(32.1%)、ドイツ(26.5%)、アメリカ(19.5%)となっている。

前回調査と比較すると、日本では「個人年金への加入」(27.6%→19.0%)、「老後に働いて収入が得られるように職業能力を高める」(14.7%→6.9%)が減少し、「何もしていない」(26.4%→34.9%)が増加している。

備えの平均個数(回答1から7までの累計)でみると、アメリカ1.8個、ドイツ1.2個、フランス1.1個、日本1.0個、韓国0.7個となっている(表29)。

(表29)(複数回答)(%)
  日本 アメリカ 韓国 ドイツ フランス
第1回 第2回 第3回 第4回 第5回 第6回 第1回 第2回 第3回 第4回 第5回 第6回 第1回 第3回 第4回 第5回 第6回 第3回 第4回 第5回 第6回 第1回 第6回
1 預貯金         57.9 55.5         66.4 64.7       29.9 33.6     49.4 58.8   46.8
2 個人年金への加入         27.6 19.0         46.4 39.8       8.9 10.3     7.3 14.7   31.4
3 債券・株式の保有、投資信託         6.2 6.8         35.5 39.6       0.6 0.7     10.0 12.8   9.7
4 不動産取得(賃貸収入を得るための不動産の取得等)         7.9 5.2         20.0 19.9       11.7 9.8     10.1 19.5   15.0
5 貴金属の保有(金、宝石等)         0.2 0.1         3.3 3.0       0.6 1.1     0.4 0.7   0.9
6 老後も働いて収入が得られるように職業能力を高める         14.7 6.9         12.3 8.8       4.0 9.7     5.2 6.5   2.7
7 その他         1.9 1.9         1.9 1.3       0.0 2.0     2.7 3.1   0.6
8 特に何もしていない         26.4 34.9         16.7 19.5       59.9 54.7     38.1 26.5   32.1
※1~7の累計平均個数(1~7まで全回答数÷全回答者)           1.0           1.8         0.7       1.2   1.1

オ 老後の備えとしての現在の貯蓄や資産の充足度(Q22)

「現在の貯蓄や資産は老後の備えとして十分か」についてみると、「社会保障で基本的な生活は満たされているので、資産保有の必要性がない」の割合は、ドイツでは11.1%となっているが、他の4か国(日本1.8%、アメリカ3.7%、韓国0.3%、フランス5.3%)は低い割合となっている。

「十分だと思う」の割合は、アメリカ28.1%、ドイツ22.6%、フランス12.9%、日本12.6%、韓国7.4%の順となっている。前回調査と比較すると、日本では「十分だと思う」(7.2%→12.6%)が約5ポイント増加している。

一方、「やや足りないと思う」と「まったく足りないと思う」を合わせた割合をみると、韓国が65.8%で最も高く、次いで、日本が45.3%と、アジア2か国は、欧米3か国(アメリカ25.6%、ドイツ26.0%、フランス28.1%)と比較して、足りないと思う割合が高くなっている(表30)。

(表30) (%)
  日本 アメリカ 韓国 ドイツ フランス
第1回 第2回 第3回 第4回 第5回 第6回 第1回 第2回 第3回 第4回 第5回 第6回 第1回 第3回 第4回 第5回 第6回 第3回 第4回 第5回 第6回 第1回 第6回
1 資産保有の必要性がない         2.8 1.8         7.4 3.7       0.7 0.3     22.3 11.1   5.3
2 十分だと思う         7.2 12.6         25.2 28.1       6.3 7.4     18.6 22.6   12.9
3 まあ十分だと思う         30.7 32.2         32.6 38.4       19.8 21.0     29.4 34.3   46.3
4 やや足りないと思う         32.0 30.3         14.7 16.6       30.7 33.7     15.0 17.5   13.5
5 まったく足りないと思う         17.1 15.0         15.0 9.0       36.7 32.1     10.1 8.5   14.6
6 わからない         10.2 8.2         4.0 4.0       5.8 5.5     4.5 5.6   7.4