2 学習機会の提供による高齢者の生きがい、健康づくりへの取組

いさすみ楽園:学習機会を提供し、高齢者の生きがいを見出す(福島県・会津美里町)

 昭和49年4月より、当初は「高齢者教室」の名称で、会津高田町中央公民館において開設されていたが、『高齢者』という言葉に年齢的に抵抗を感じる人もいたため、平成16年に、「いさすみ楽園」という名称に変更した。「いさすみ」という名は、会津美里町高田町内の伊佐須美神社に由来している。受講生相互の話し合いや、様々な活動を通じて、町内在住の高齢者が自ら進んで生きがいを見出すとともに、今後のより良い生活を確立し、さらに社会貢献できる町民になることを目的としている。会津美里町内在住者で、60歳以上の方を対象とする。年会費は一人1,000円。学習内容は、歴史講座、健康講座、スポーツやゲームを通しての健康づくり、小学生との交流、趣味講座、選択講座(短歌、料理、コーラス、歴史、グラウンドゴルフ、俳句、きり絵より選択)自然の理解、研修旅行、クラブ活動等)など。昭和49年度の「高齢者教室」より、現在に至るまで、毎年文集を作成し、発行している。文集には、参加者からの感想、反省の作文のほか、参加者の俳句、俳画、短歌が掲載されている。平成8年度の加入者364名をピークに、毎年10名程度ずつ減少し、現在は162名の加入者となっている。減少している主な理由は、参加高齢者のさらなる高齢化(病身、介護等)、ならびに各個人の趣味の多様化、組織離れが挙げられる。参加者からの評価は良好である。参加者の応募は、年度初めの広報誌により募集している。

ふれあい大学:高齢者の学習機会を通じて心身の健康増進と社会参加へ(埼玉県・春日部市)

 60歳以上の高齢者に学習機会を提供し、心身の健康を培い社会参加により生きがいを高めることを目指したふれあい大学を昭和58年から開講している。大学を開講した5年後には、大学院も開講した。大学は19年度25期生として、3クラス計240名を募集しており、各コース80名で毎月2回のコース別の開講を予定している。大学では高齢者の生きがい・健康づくりなどについて外部専門講師を招いて学習している。また、クラス合同1泊による県外学習を実施したり、体力測定、そらまめ体操による健康づくりにも取り組んでいる。20期目になる大学院は、1クラス60名を募集する。大学院では、日本史や日本文学史を中心に学習している。受講生からは、定年後の第二の人生において、最も重要なことはいつでも気軽に語り合える仲間づくりと認知症にならないための知識の蓄積であるという意見が多く聞かれるところである。今後大学・大学院の卒業・修了生を中心に「地域リーダー養成講座」を開き、こうした高齢者の経験や知識を地域のボランティア活動などに活かすため、人材バンクの創設・活用などにより高齢者が社会参加できる仕組みの整備を図ることとしている。

あじさい大学:生きがい、仲間づくりの促進(神奈川県・相模原市)

 昭和56年より、高齢者大学を開設し、毎年学科を増設し、拡充を図り、学習活動の支援、仲間づくりに努めている。高齢者の方々が、心身ともに健康で生きがいと喜びに満ちた生活を送るため、学習活動を通じて仲間作りを図りつつ、知識と技能を習得できる。昭和56年開校当初は7学科定員228名の規模から、年次ごとに学科の増加を図り、平成18年度には37学科1200名と拡大するにいたった。大学の名称は市の花があじさいであることと、当初発足があじさい会館だったことから「あじさい大学」と名づけた。「あじさい大学」の組織は、市長が学長、副学長は教育長、その下に運営委員会を設置している。募集対象は60歳以上。現在37学科あるが、会場は市の施設、民間の施設、大学施設などを借用し、10数箇所に及んでいる。学科によっては募集人員が限定され、常時高倍率の状態であり、サービス提供者としての悩みがある。大学修了の要件は、受講24回中65%以上出席した者で、18年度平均修了率は93.5%と高い。

いこま寿大学の設置:高齢者の生涯学習支援(奈良県・生駒市)

 高齢者が社会の変化に対応し、自立心を養うとともに、一生涯学ぶ意欲をもち、地域社会の生涯学習推進者として活躍することを目的として昭和48年に発足。対象者は62歳以上の者。65歳~70歳が約3割を占める。昭和58年に4年制大学になり、全学年の学生数は約700名。一般教養学習を年5回、クラブ学習を年5回実施し、市の事業にも積極的に参加。また、学習成果発表の場として、毎年秋に寿大学祭も行っている(作品の展示、舞台発表等)。学生が自ら実行委員会を作り、参加者自身で行っている。入学後は親の介護、本人の体調以外はほとんど卒業している。毎年希望者が多く抽選を行っている。210名の定員数に280名の申し込みがある。入学後、家族の介護、体調不良などの理由により退学する者が約1割いるが、2年間の休学も設けている

プラチナパソコン教室:パソコンをやってみたいという高齢者の要望に対応(福岡県・太宰府市)

 60歳以上の高齢者を対象として、人生に生きがいを見つけ、介護予防にも役立たせるため、平成16年に事業を開始した。市が実施した高齢者からのアンケート調査で「今後やってみたいこと」として「パソコンとインターネット」が1位となったことも契機となった。ネーミングをプラチナとしたのは、シルバーよりももっと光り輝くといった意図によるものである。夏、秋の2回開催しており、初心者A、Bの2コース、各40人を定員としており、毎回定員を大きく上回る応募があり大好評となっている。参加者からは、パソコンの増設や授業内容のレベルに対する前向きの要望も出ている。この教室には、趣旨に賛同した高齢者のNPO団体からボランティアが講師として参画しており、高齢者が高齢者を指導し、教える側の生きがいにもつながっているというのが特徴となっている。