4 災害被害防止や虐待からの保護等による高齢者の安全確保への取組

高齢者台帳のデータ管理:住宅地図情報と連携した対策(茨城県・東海村)

 平成11年の臨界事故がきっかけとなり、防災対策として開始。65才以上の高齢者すべての人が対象。61名の民生委員からの協力を得て、担当地域を決め、住宅地図を活用しながら高齢者のお宅を一軒一軒まわってもらい、調査票に記入してもらう。5月から8月のお盆の頃までに役場へ提出をしてもらい、それを管理する。単身者には緊急連絡先を記入してもらう。住民の理解を得るために村の広報誌や回覧などで周知をはかっている。地域に根付いている民生委員が訪問することで信頼や安心感があり、住民からの評価は良好である。民生委員からの要望として、調査票内容の改善や、調査期間の改善などがあり、今後もいろいろ取り入れて、継続する予定である。

シェルターの設置、24時間電話相談:高齢者の安全を確保(東京都・葛飾区)

(シェルターの設置)

 緊急に保護を要する被虐待高齢者や自宅に戻れなくなった徘徊高齢者をシェルターに入所させ、高齢者の生命・身体の安全を確保することを目的としている。平成18年9月1日開設。シェルターの場所などは公表していない。これまで、被虐待高齢者については、要介護者は、やむを得ない事由による措置入所等を活用することにより緊急保護が可能である一方で、自立されている高齢者の逃げ場所はなかった。シェルターを設置することにより、迅速に保護できるようになった。徘徊高齢者の保護においては、委託ヘルパーが身辺の介護および見守りを行う。シェルターの利用期間は原則2週間で、場合によっては延長できる。平成19年3月現在、利用者は4名。現在1ヶ所の設置だが、今後状況を見ながら増設する予定。生活の費用等は区の費用だが、食費は利用者負担である。

(24時間電話相談)

 高齢者虐待に関する相談を24時間体制で受け付けることにより、未然に虐待を防ぐことを目的としている。対象者は高齢者虐待に関する相談をしたい区民(本人、家族、目撃した人、または親戚など)。開庁時は、区の専門職で対応し、閉庁時は委託事業所に転送し、専門のカウンセラーが相談を受ける。委託事業所が受けた相談内容は、区役所に直接引き継ぐ。相談者本人が継続した対応を求めるのであれば、高齢者支援課、地域包括支援センターが継続して相談・措置などの対応をする。相談した結果、緊急な対応が必要であれば、シェルターの利用を決定することもある。平成18年11月に開設。夜間の利用者が多い。

住宅防火診断、火災警報器取付けPR:高齢者を巡回して防火指導(新潟県・柏崎市)

 火災による被害の軽減を図ることを目的として、70歳以上の独居老人及び老人のみの世帯を対象に、平成4年から住宅防火診断を実施し、火災予防についての指導、意識の喚起を図っている。火災に際して高齢者や体の不自由な者が亡くなるケースが多いことから、高齢者を中心として巡回方式で始めたもので、その際本人の健康状態や連絡先を聞いて非常時などに備えている。また、平成18年6月から新築住宅に火災警報器等が義務付けられたことから、チラシを広報誌と一緒に全戸に配布したり、各地区を訪問して説明会を開催している。

音声告知器による情報提供:ケーブルテレビネットワークを利用した情報提供(岐阜県・恵那市)

 平成19年度から実施予定。全域に設置完了となるのは約2年後の予定。ケーブルテレビのネットワークを利用して、無料で音声告知器を付ける。防災のために全世帯に設置する。放送内容は、催しなど一般的なお知らせや、防災関連情報などの放送を行う。また、放送は市内一斉放送のほか、地域別の放送も予定している。内容によって高齢者へのお知らせも可能。個別識別番号がつけられていて、これらをグループ化することによって、高齢者だけに特定できる仕組みとなっている。全世帯で番号によって、高齢者など細かく分けてお知らせできる。住民票があれば、提供の対象者になれる。平成19年4月よりサービスの提供者は5,000世帯程度。

住宅のバリアフリー化の助成、住宅の整備(兵庫県・宝塚市)

 阪神大震災後から、住宅のバリアフリー化を取り入れた。それ以前は、バリアフリー化は普及されていなかったが、高齢者にとって、安全で快適な住まいづくり推進をするため、兵庫県が人生80年いきいき住宅助成事業(住宅改造資金助成制度)を立ち上げ、兵庫県からの通達やアドバイスを受け、開始。バリアフリー化に関心を持ってもらうことにより、民間への先駆者となっていくことを目的としている。市内には分譲マンションが多い状況も、バリアフリー化を勧めるひとつの理由となった。既存の市営住宅に入居していて、要介護、高齢者、病人、一人住まい、自立支援などを受けている人に移ってもらっている。65歳以上、要介護、高齢単身、高齢夫妻、自立支援など(福祉と連携されている)を受けている者を役所が選定する。市営シルバーハウジングは8棟139戸。毎日8棟の見回りをし、139戸全戸に、4名のスタッフで声かけをしている。緊急通報があれば、すぐにかけつける体制となっている。居室内のドアを引き戸にする助成制度も行っている。

緊急時用生活調査、サービスマップ配布、地域サロン(滋賀県・湖南市)

(高齢者ひとり暮らし緊急時用の生活調査)

 高齢者を取り巻く環境は大きく変化し、地域における人間関係が希薄になり、高齢者の地域での生活維持に様々な困難が生じている点を考慮し、高齢者が安心して暮らせるように、緊急時用の情報収集を実施。65歳以上の方を対象に民生委員が訪問をして、緊急時用の台帳(氏名、住所、親戚・知人の連絡先、かかりつけ医や身体状況など)を記入してもらい、市が保管。緊急時には、各担当民生委員、担当課が、台帳を基に速やかに対応する。各高齢者へ個人情報の取り扱いについては、目的外利用を行わないことの誓約を交わしている。

(サービスマップの配布)

 高齢者が少しでも暮らしやすい地域になることを目的に作成。65歳以上や転入者を対象に配布。医・食・住を主とし、商工会に加入している商店、医院などを中心としたサービスマップとなっている。

(地域サロンの実施)

 子育て中の保護者や高齢者を対象に実施。地域の住民が身近なところへ気軽に集まって地域の仲間とふれあえる場を提供。地域とのふれあいの場つくりを支援している。