6 スポーツ教室の開催や生活習慣病の予防などによる高齢者の健康づくりへの取組

メディコトリム事業:生活習慣の持続的な改善をはかり、被介護生活を予防する(埼玉県・小鹿野町)

 平成16年より、生活習慣病予防対策として主に重症化予防のため開始。高齢の方や50・60代の団塊の世代が寝たきりになり、被介護生活を予防する。対象は、軽度の生活習慣病の人や予備軍の人など、主に50代・60代。当町は保健・医療・福祉が一体となった地域包括ケアシステムを組んでおり、この事業の特徴としても各分野のスタッフ(主は医療:医師・事務 保健福祉:管理栄養士・健康運動指導士)が連携をして行っている。効果として、減量をすることで服薬を離脱できている人が増えてきている。例1)高血症(30%)→減薬17%、糖尿病(28%)→減薬15% 例2)服薬の抑制(このままいくと服薬になる人)を含めると高血圧30%、糖尿病42%、高脂血症43%である。また、参加者現在400人のうち、体重減少した人は80%である。今後持続効果等をみるためにさらに参加人数を増やし、継続的なデータ蓄積が必要である。

ワクワク健康づくりプロジェクト:プロサッカー選手との運動などを通じて多世代交流(千葉県・千葉市)

 40歳以上からの健康づくりの取組が重要となっていることから高齢者の健康づくりや介護予防の普及啓発を目的にサッカー専用球技場を活用して、プロのトレーナーから直接指導を受ける健康づくり教室(ストレッチ、ウォーキング、ジョギング、リズム体操の各教室)や、プロサッカー選手と一緒に運動等を行なう多世代交流イベントなどを平成18年から行なっている。健康づくり教室は、毎月2回実施し、運動の習慣化を目指し、この他、講義形式の指導教室や体力測定なども行い、健康へ対する意識の向上を図っている。多世代交流イベントでは、小中学生とその保護者、高齢者が一緒になって楽しめる健康づくりや練習試合の見学会が行なわれている。開始して間もないが住民からの評判はよく、市では、まだ試行段階であるが、他の地区へも広げて運動メニューや実施時間帯などの拡大を目指し、壮年期からの健康づくりを推進したいとしている。

ころばん、せらばん体操:高齢者自らが推進リーダーとなり、健康増進をはかる(東京都・荒川区)

 高齢者が寝たきりになる原因で、三番目に多い転倒を防止するためと健康保険、介護保険会計の財政負担軽減のため、区独自の転倒予防体操を開発しました。さらに、区民に定着させるための工夫として、転ばない体操から「ころばん体操」筋力体操を「せらばん体操」の愛称名と専用の音楽をつけるとともに推進リーダーに高齢者を起用する三位一体作戦で実行している。推進リーダーになるためには、首都大学東京荒川キャンパス内で実施される区主催の19日(回)の養成講座を受講することになっており、現在100名を超えた修了生の中には、現役で活躍する85歳の推進リーダーもいる。専用のTシャツを着用して、自転車で実践会場を駆け巡る推進リーダーの一人は「この体操に出会っていなければ、家でごろごろしていた」と語っている。平成19年度は、約4万人いる65歳以上区民の参加促進のための実践会場の確保と現行の参加者1,300名程の男女比2対8を少しでも解消するために男性参加者の増加を目標としている。

健康スポーツ教室、シニアスポーツフェスティバル、まなびあい出前講座(東京都・小金井市)

(いきいき健康スポーツ教室)

 日頃、運動不足に陥りがちな高齢者に対し、運動することを通して「体力維持」・「健康づくり」について、進んで取り組む意欲を高めてもらうこと、また、この教室を通して、参加者の親睦をはかり、仲間とともにいる喜びが、心身の健康の糧になることを知ってもらうことを目的として、平成2年より開始した。年々、高齢者が増加する中で、運動不足になりがちな高齢者(定年退職後)の体力維持と健康づくりのため実施。60歳以上の方が対象。仲間作りを支援。教室は9種類、9回。広報に参加者の呼びかけをしている。参加者同士の親睦と仲間づくりを支援していきたい。

(シニアスポーツフェスティバル)

 平成13年より、中高年齢層の健康増進のために実施。平成17年より、原則40歳以上のシニアスポーツフェスティバルとして、名称が変更。13~15種目の大会が開催されている。参加費は無料。参加者の増加のためにチラシを庁内に貼付し、市民への呼びかけをしている。

(まなびあい出前講座)

 市内に在住、在勤、在学している10人以上の団体またはグループが対象。平成15年7月より事業開始。初年度実績は、年間13回開催、参加者439名。平成16年度は、年間30回開催、参加者854名。平成17年度は、年間29回開催、参加者787名。講座は「市政」「保健福祉」「環境」「まちづくり」「安全・防災」「教育・コミュニケーション」「歴史」「生活」「レクリエーション」「警察署」「消防署」などが用意されている。最近は「健康関係」「介護関係」「子育て」「郷土の歴史」といった講座に人気がある。

さわやか健康づくり事業:体操や健康指導などで自立した生活を支援(新潟県・新潟市)

 平成10年度より、新潟市でさわやか健康づくり事業を行っている。生涯を通じて「寝たきりにならず」「健康」で「生きがい」をもち、住み慣れた地域で生活ができるよう、老化防止などの体操や健康指導を実施し、高齢者の自立した生活を支援するために開始。60歳以上の市民が対象。募集は広報誌で行う。主治医より運動することが好ましくないと指示のある人は対象外としている。平成16年度には9会場、参加人員242人だったが、市町村合併により、平成17年度は23会場、685人に増加した。平成18年度は23会場、参加人員589人であった。途中で不参加となる人もあり、より多くの人が終了まで継続できるための配慮が必要。終了後は活動を続けたいという希望者も多く、既存の自主グループへの参加や新たな自主グループを立ち上げるなど、住民を主体とした活動へ展開されている。今後は、運動普及推進委員などの活用・連携をはかり、地域ぐるみの健康づくりに発展させていくことが望まれる。

たっしゃで100事業:100歳を目標に健康増進をはかる(新潟県・十日町市)

 高齢者の方が健康寿命を延ばし、一層地域社会で活躍することや毎日を楽しく過ごすこと、医療費の抑制を目的に実施。旧十日町市で平成15年9月~平成17年3月まで実施していた事業で、市町村合併後、平成18年度新たに事業を再開した。

 対象者は60歳以上の者で、健康・生きがいづくりなどの事業に参加した場合、1回につき1ポイント付与し、20ポイントになると、指定施設での1回無料入浴券となる。健康・生きがいづくりなどの事業とは、各地域ごとに対象となる事業があり、全市共通として「老人クラブ連合会が認めた事業」、また、各地域ごとに「健康教室(ゲートボール教室)」、「がん予防講習会」、「血液さらさら教室」、「調理講習会」、「水中運動教室」、「転倒予防教室」、「生活習慣病予防教室」など、70以上の事業が対象とされている。事業に参加された方からは、好評である。住民からの要望は、市の主催、協賛する事業だけでなく、住民主体のサークルなども対象事業としてほしい、といったことが挙げられる。

医療費、マッサージ助成・オリジナル体操(大阪府・大東市)

(医療費の助成・マッサージ助成)

 医療費の保険のきかない鍼・マッサージ施術費を助成することにより高齢者の健康保持に寄与し、福祉の増進をはかる。65歳以上の住民、住民税非課税者を対象に、年2回~6回、費用の助成を実施(施術費の3分の1を助成)。住民税非課税者が対象であるので、全体の期待は大きい。

(オリジナル体操(「元気でまっせ体操」)

 高齢者向けの健康体操のビデオを見ながら、地域住民が気軽に集って体操ができるシステム。保健師、セラピストが地域に出向く。週1回以上、10人以上の地域グループへは、専門職を4回派遣し、ビデオを1本無料で渡す。サポーターを200人養成。半年に1回、体力測定を行い、体力の向上を自覚する機会をつくり、モチベーションの維持をはかる。
 体操は一人では続かないが、皆ですると続く傾向が見られる。現在44ヶ所887名が参加。毎日参加する人もいる。体操の効果が体力測定結果で、ひとりひとり目に見えてわかる。参加者が増え、今ではどこの会場も満杯である。週1回、仲間が顔を合わせたり、サポーターと話すことで、精神的にも元気になる。
 参加者の中には、上がらなかった腕が上がるようになった等の事例もある。身体が良くなった喜びがサポーターにはね返り、サポーターの喜びにつながり、皆が元気になり、介護費も抑制されている。テレビ、雑誌に取り上げられたということも、地域のライバル意識につながっている。
 また、市長賞も設置され、頑張る意識も上がる。サポーターへの支援、新しい体操の紹介、参加者からサポーターが感謝されるようにしていくことが重要。この支援策を他の市区町村へ広めて、出前講座などを実施した実績がある。簡単でお金がかからない。ビデオのダビング代も障害者の作業所の収益になっている。
 閉じこもりがちで虚弱な高齢者は、市が運営する、ハイリスク高齢者向け介護予防教室に参加するように市が勧めても出席してこないが、地域のサポーターの誘いがあれば参加する者もいる。