開催挨拶 柿崎審議官「高齢社会フォーラム・イン東京」

柿崎 猛
内閣府大臣官房審議官

姉崎内閣府大臣官房審議官

フォーラムの開催にあたりまして、ひと言ご挨拶を申し上げます。

このフォーラムは例年7月に内閣府と高連協の共催で開催させていただいています。これまでは平日に開催してきましたが、今回はじめて休日に開催させていただきました。休日にもかかわらず、また大変お忙しいところを多くの皆様方にお集まりいただきまして、大変ありがとうございます。心から御礼を申し上げます。

皆様もご承知のように、来年になると、いよいよ昭和22年生まれの団塊の世代の皆様が65歳になる年が来るわけです。昨年、国勢調査が行われ、先月の末に総務省から調査結果の速報が発表になりました。それによると、日本の高齢化率(人口に占める65歳以上の割合)は23.1%になります。5年前の国勢調査に引き続いて、世界で最も高い水準になっているのです。

これから3年間、団塊の世代の人たちが65歳になるので、毎年毎年、100万人以上、65歳の方が増えていくことになります。特に都市部における高齢化と、一人暮らしの高齢者の増加が進んでいくことが見込まれています。

こういうときに最近、注目すべき報告が2つありました。1つは、7月1日に閣議報告をされた、「社会保障と税の一体改革」についてです。
今年2月に社会保障改革についての集中検討会議が政府に設置されて、与謝野大臣を中心に検討されていました。高連協の共同代表の堀田先生も検討会の場に参画されていました。この報告書の中では、社会保障改革の基本的な考え方として、中規模・高機能な社会保障制度を目指すということが書いてあります。改革にあたって自助・共助・公助の最適なバランスに留意し、個人の尊厳の保持、自立・自助を国民相互の共助・連帯の仕組みを通じて支援していくということが書いてあります。皆様も読まれたかもしれませんが、さわやか福祉財団で発行されている『さぁ、言おう』という月刊誌の7月号を見ていただくと、検討の経緯が堀田先生のご発言を中心に掲載されています。

もう1つの報告は、6月25日に東日本大震災復興構想会議から出された「復興への提言」です。
これは「悲惨のなかの希望」という副題がついているのですが、この提言のキーワードは「つなぐ」です。地域と地域をつなぐ、人と人をつなぐ。そういう「つなぐ」という行為を重ね合うことによって復興への光がさしてくる、希望が生まれるのだということが書かれています。要は積極的な支え合いとつながりが大事だということが書かれています。

この2つの報告に共通しているのは、自助を基本にしつつも、これからは共助が大事だということではないかと思っています。そうした共助の実践を日々なさっているのが、本日お集まりの皆様方ではないかと思っています。のちほど紹介をさせていただく今年度の「高齢社会白書」では、地域における高齢者の「出番」「活躍」をテーマにしています。元気な高齢者の「出番」「活躍」をまさに実践されているのも皆様方であると思っています。これからの本格的な高齢社会を活力あるものにしていくために皆様方の活動が不可欠であって、皆様方の今後いっそうの活躍を期待しているところです。

開催挨拶の様子

先ほど詳しくご紹介がありましたが、今回のフォーラムは「シニアの社会参加活動の促進」が大きなテーマになっています。基調講演については、例年、堀田先生と樋口先生に交互に行っていただくことになっています。今年は堀田先生がミニ講演で、基調講演は樋口先生という順番になっています。「震災を超えて生きる高齢者と支援」ということで、樋口先生からご講演いただくことになっています。

今回の震災もそうですが、高齢者は災害弱者という位置づけをされることが多く、政府の中の施策でもそれが前提となっています。しかし、同じ高齢者であっても、助ける側の活動をしている元気な高齢者の方もたくさんいるわけです。本日はそうしたこともご紹介いただけるのでないかと思って楽しみにしています。

午後からの分科会は3つありますが、大変興味深いテーマとなっています。本日ご参加の皆様には、出席されるそれぞれの分科会で、日常のご経験などを踏まえて活発なご議論をしていただければと思っています。

皆様方の積極的なご参加によって本日のフォーラムが有意義なものになることを祈念いたしまして、開会にあたってのご挨拶とさせていただきます。
本日はよろしくお願いいたします。