湯田地区老人クラブ連合会
~通学路の安全確保に努めるパトロール隊~

団体名 ゆだちくろうじんくらぶれんごうかい
湯田地区老人クラブ連合会
地域 山梨県甲府市
構成員 150名(65歳以上の者の占める割合:100%)
活動概要 児童の下校時の安全パトロールのモデル事業がPTAや交番からの要請を受けて、地区内13単位老人クラブからボランティアを募り、独自のパト ロール隊を結成して活動を継続している。
表章の事例区分 支え合い活動
キーワード 見守りパトロール

(注)構成員等は、平成25年4月1日時点

活動のきっかけ

パトロール隊員に挨拶を交わしながら下校する光景

モデル事業が転じて実働部隊に

 平成17年に警察庁から「安心安全パトロール事業」のモデル地区に指定され、1年間活動を行ったことが活動を開始するきっかけとなりました。翌年、モデル事業の成果が高く評価され、甲府市立湯田小学校のPTA及び地元交番からの要望により、「安全安心パトロール隊」を結成し、児童の下校時のパトロールを本格的に始めることになりました。
 子どもに対する犯罪が多発する中で、犯罪の防止、青少年健全育成及び子どもの安全確保を目的に、通学路の警戒を実施しようとしたのです。

活動内容や現在の活動状況

お礼の会で隊員へ感謝の手紙が手渡される光景


昔の話に耳を傾ける児童

世代間交流にも寄与

 湯田小学校は、かつて2千人以上の児童を有する県下最大級のマンモス校でしたが、平成25年度には173名の小規模校になってしまいました。「だからこそ地域の宝物を守ろう」を目標に掲げ、湯田地区に13ある単位老人クラブが、それぞれクラブ員に呼びかけ、無償で自発的に活動へ参加して貰えるパトロール隊員を募集し、平成17年から始めた見守りパトロールを老人クラブ連合会で継続実施しようと決定したのです。
 学年ごとの下校時間予定表を小学校から受け取り、それを基にパトロールコースとパトロール隊員の当番表を作成します。
 4月1日から翌年の3月31日まで、夏休みや冬休み及び春休みも含む1年間365日、毎日児童の帰宅経路を当番制で見守っています。平成24年度の実績は、パトロール隊員延べ1,772人が参加し、毎日最終の児童が自宅に帰り着くまで、輪番制によりバトンリレー形式で見守り活動を行っています。
 寒暖に関わらず1年を通して活動を行うことは、老人クラブ会員にとって体力的に負担が大きいものです。しかし、毎年湯田小学校1・2年生が主体となって学年末に開催される「お礼の会」に招待されることが、老人クラブ連合会会員にとって大きな励みとなっています。児童の合唱や遊戯で、慰労や感謝の気持ちを表わされ、隊員一人ひとりへ児童からお礼の手紙が手渡されます。児童の感謝の気持ちが表現されていることを知り、改めて次年度への活動の原動力となっています。
 平成21年から「ふるさと湯田たんけんたい」が、3年生の国語教科の一環として始まりました。3年生27名が6グループに分かれて、「子どものころ、よく遊んだ遊びは何ですか」、「空襲の時の様子を教えてください」、「今と昔の湯田地区の様子の違いを教えてください」、「昔はどんなものを食べていましたか」などの質問に老人クラブ連合会の代表が答えるものです。甲府市老人クラブ連合会の事業目標「子どもたちとのふれあい」に呼応して湯田地区老人クラブ連合会の年間事業計画に加えられるようになりました。

ポイント、工夫している点

世代を超えた地域の連帯感が防犯予防

 児童の下校時を365日見守ることは、地域の防犯にも役立っています。さらには、活動を行っている隊員自身にも「気持ちの若返りを感じる」や「長生きの種となるような充実感を味わっている」などの声を聞くことができます。また、「独居会員の閉じこもり防止」「見守り活動として屋外を歩くことによる体力向上」といった相乗効果が現われています。
 見守り隊が路上に立ってあいさつを交わすようになって、児童の親世代とも積極的に挨拶を交わすようになり、世代を超えた親密な関係づくりや地域の連帯感にも良い影響を与えています。

課題と今後の展開

地域の期待に応えて活動を継続

 隊員が年々高齢化して、児童との体力差が顕著に表れるようになっており、見守りパトロール中に、足の速い児童に追い越されてしまうという事態が起こっています。しかし、児童やPTAからの期待は変わらず高く、それに応えるためにも若年層に老人クラブ連合会への入会を勧め、隊員の増加を図り、今後も安定した活動を継続していこうとしています。