三貫清水の会
~雑木林・湧水・川が一体となった自然保全活動20年~

団体名 さんがんしみずのかい
三貫清水の会
地域 埼玉県さいたま市
構成員 70名(65歳以上の者の占める割合:72%)
活動概要 地域に残された三貫清水緑地及び周辺の自然を保全し、昭和30年~40年頃まであった豊かな生態系を取り戻し、都市化の中に残された貴重な水と緑の塊を次代に残すべく毎月自然保全活動を行っている。
表章の事例区分 生活環境改善
キーワード 自然保全活動/環境美化/不法投棄パトロール/自然観察会/世代間交流

(注)構成員等は、平成25年4月1日時点

活動のきっかけ

自然観察会の光景

昔の自然へ帰そう

 三貫清水の斜面林一帯は、豊な自然が広がり、そばを流れる鴨川では魚とりや水泳もできたほどでした。かつて鴨川の近くの水路や田んぼには平家ホタルが飛び交っていましたが、昭和30年代の開発によりだんだんと見られなくなりました。
 平成4年「雑木林や湧水などがある貴重な自然を残したい」という地域住民の訴えに応え、大宮市が一帯の土地を買い取って公園化する方針を決定したのを受けて、住民有志で「三貫清水ホタルの里公園(仮称)守る会」を結成し、翌5年5月から月例清掃活動、環境美化、ゴミ不法投棄パトロール、自然観察会などを続けてきました。

活動内容や現在の活動状況

夏のボランティア体験学習会


自然保全活動中の様子

多様な生物が共生する自然保護活動

 平成14年、公園の名称が「三貫清水緑地」に決定したことから、会の名称を「三貫清水の会」に変更をしました。
 定例の清掃活動は雨の日も雪の日も実施しています。参加者は30名程で、夏休み(8月)には社会福祉協議会と協力して「ボランティア体験学習会」を開催し、親子連れ、友達連れ、研究テーマのために訪れる大学生とバラエティーに富んだ参加者を受け入れています。また、以前から主催していた「ならせどの里山で遊ぼう会」は、毎年8月第一日曜日に、子ども会とタイアップして毎年実施される行事です。常緑樹も少なくなり自然観察や草取りが主な内容になっていますが、平家ホタルも徐々に復活し、絶滅危惧種に指定されているキンランが蘇生するなど、昭和30年頃の豊かな生態系を取り戻しつつあり、地道な活動による効果が少しずつ現われています。
 また、大宮市の協賛を受けて、自然の中で年配者たちが子どもたちに昔懐かしい遊びを伝授し交流する「世代間ふれあい事業」を実施しています。

ポイント、工夫している点

雑木林と湧水と川とが一体となった特色を生かした保全活動

 月例清掃の呼びかけは社会福祉協議会の機関誌と毎月発行される会の「お知らせ」を地域に回覧するとともに、近隣自治会の掲示板などにポスターを掲示して行っています。「会費なし」、「いつでも誰でも気軽に」をモットーに、各人の特技、個性、持ち味を自然観察やホタル復活、焼き芋つくり、里山保全などにいかしています。また、雑木林と湧水が作り出す自然の魅力や保護の大切さを紙芝居で伝える活動も行っています。

課題と今後の展開

地域の憩いの場となることを願って

 社会福祉協議会と連携しながら活動は、年間計画に沿って行われています。活動が功を奏して、平家ホタルの自然発生やキンランの蘇生が見られるようになった一方で、周辺の緑の激減の影響で散歩者が三貫清水緑地に入り込むことによって、池周辺の保水力が失われつつあり、豊かな生態系の復活には、継続した活動と周辺住民の方々などの自然の大切さへの理解が必要と感じています。観察会や体験会など、楽しみながら自然と関わる場を提供し、それが自然への理解の一助となるよう、さらに活動を広く行っていく計画です。

水質検査の様子

 〔三貫清水の由来〕
 三貫清水という地名は、ここに湧き出る清水に由来しています。江戸城を築いたことで有名な太田道灌が、このあたりに狩りに来たとき、村人たちが湧水でお茶を点ててだしました。すると、道灌は「この湧水はとてもうまい」と大喜びされ、褒美として三貫文の銭を授けました。これ以来、この湧水を「三貫清水」と呼ぶようになったと、伝えられています。