山口市観光ボランティアガイドの会
~学んだことを還元して生きがいにする観光ボランティア

団体名 やまぐちしかんこうぼらんてぃあがいどのかい
山口市観光ボランティアガイドの会
地域 山口県山口市
構成員 74名(65歳以上の者の占める割合:94%)
活動概要 山口市内の自然や文化産業等に関する歴史を学び、習得した知識でボランティアによる観光ガイドを行っている。学習した成果を観光客に発揮することに生きがいを感じ、地域の活性化にも還元しようとしている。
表章の事例区分 教育、文化
キーワード 観光ガイドボランティア/地域おこし

(注)構成員等は、平成25年4月1日時点

活動のきっかけ

定点ガイドが行われる国宝瑠璃光寺五重塔

観光ボランテイア活動で地域の活性化に還元

 平成4年4月、大内文化探訪会(昭和57年結成)会員の有志によって、山口市の自然や文化産業などに関する歴史を学び、そこから習得した知識を観光ボランティア活動に活かして、全国から訪れる観光客に山口の歴史を正しく理解してもらい、地域づくりに還元しようとして結成されたのが「山口市観光ボランティアガイドの会」です。
 現在の山口市は、室町時代より約200年間、歴代大内氏当主は京都に似たまちづくりに意を用いてきました。文化・風俗・建築などは京都に次ぐ繁栄をもたらし、神社、仏閣、教会などの文化に秀でたまちです。明治維新の策源地として日本の夜明けの中心的役割を果たした建造物も残されており、中世から近代にいたる約200年間に築かれた歴史を学ぶことができます。

活動内容や現在の活動状況

名勝地を巡るガイド


ウォークガイドの様子

ガイドの資質・技術の向上を目指して

 観光客で賑わう3月から11月までは土日祝祭日、少し観光客が少なくなる12月から2月までは日祝祭日に半日交代でガイドを行っています。そのほか、観光客が希望する週日、土日祝祭日には、1週間前に電話かFAXで申し込むと個人でも団体でもガイドを依頼することができます。
 ガイドは、定点ガイド、名勝地を巡るガイド、ウォークガイドの3コースに分かれて行われています。
 定点ガイドは、市内中心部の山の麓に位置する国内の五重塔の中で10番目に古く、日本三大名塔の一つに数えられる国宝瑠璃光寺五重塔の境内の東屋を中心に行っています。
 名勝地を巡るガイドは、東アジアとの交易・交流を盛んに行ったことでも知られ、雪舟が明に渡り、帰国後、雪舟自らが造営したといわれる雪舟庭からスタートして、日本で最初にキリスト布教の許可を与え、最初の教会として残されているザビエル記念堂(大道寺を日本最初の教会として改築)とその周辺の公園、永正17年に大内義興が伊勢神宮から神霊を勧請して建立した山口大神宮、県政資料館、旧県会議事堂を回るコースです。
 ウォークガイドは、大内文化特定地域を約60分で巡るコースです。明治維新の遺構の一つに数えられるや山口市菜香亭をスタートして、明治維新の毛利元徳を配祀神とする野田神社、毛利元就を祀る豊栄神社、大内30代当主義興が建立した八幡宮、大内31代当主義隆の菩提寺龍福寺、大内24代当主弘世が京都から勧請した八坂神社、江戸時代からの民家建築であり明治維新の遺構の一つとして価値の高い十朋亭を巡ります。
 なお、ガイド会員になるには、毎年1月から2月に市の広報誌で募集が行われる新人養成講座を修了することが会則に規定されています。新人養成講座にとどまらず、会員に登録した後も市内の史跡や名称のガイドができるよう、会員一人ひとりの内容の充実や技術の向上を図る研修も随時自主的に開かれています。

ポイント、工夫している点

地元ボランティアならではの一味違う旅の演出

 「ガイドブックには載っていない生の情報や地元ならではの話が、ひと味違う山口の旅を演出する」をモットーに、グリーンのジャンパーに身を包み、どんなに雨が降ろうが、雪が降ろうが、灼熱の太陽の下でも活動しています。現在74名の会員が8班に分かれてガイドの役割を担っています。また、学んだ成果を遺憾なく発揮している出前講座もあります。

課題と今後の展開

感謝の言葉に生きがい

 平成24年には、結成20周年を迎えました。観光客の嬉しそうな笑顔と感謝の言葉を心のよりどころとして、自分自身が学習した成果が、他人様へ還元でき、かつ、生きがいにもつながっています。会員相互の友情の輪も広がり、楽しく人生が送れることに感謝しながら活動を続けていいます。更に、分かりやすいガイドができるよう、会員一人ひとりの技術の向上を図っています。

 〔会の構成〕
 年齢構成は、定年退職をした60歳以上の人が大半を占め、平均年齢は67歳です。男女の構成では、女性は少ないけれども、男性には見られない30歳代、40歳代、50歳代の人が活躍しているという特徴があります。