音声訳あそカナリアの会
~録音テープに心をこめて情報の提供をするボランティア~
団体名 | おんせいやくあそかなりあのかい 音声訳あそカナリアの会 |
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地域 | 熊本県阿蘇市 |
構成員 | 12名(65歳以上の者の占める割合:59%) |
活動概要 | 視覚障害者の情報提供に携わる社会奉仕グループ。14年間の活動実績があり、現在では視力に自信のない高齢者の方にも喜ばれる存在となっている。毎月対象者へ手製の巾着袋に入れて手渡しで届けている。 |
表章の事例区分 | 福祉、保健 |
キーワード | 音声訳ボランティア |
(注)構成員等は、平成25年4月1日時点
活動のきっかけ
視力障害の方々の情報不足を解消しよう
平成11年11月、視覚障害の方々への情報の不足を少しでも解消できないかと思い、社会福祉協議会へ音声訳ボランティア養成講座開講を要望したところ、開講が実現しました。受講後、学んだ知識を役に立てようと決意し「音声訳あそカナリアの会」を結成しました。
音声訳には、日常的な情報としての新聞、広報紙などの録音と書籍など出版物の録音とがありますが、音声訳あそカナリアの会では、主に市の広報紙を録音して届けるボランティア活動をしています。
活動内容や現在の活動状況
市の広報紙を中心に録音テープによる情報提供
平成12年1月、全員が初めて体験するという緊張感の中での録音は、間違いもあり、相当の時間がかかりました。わかりやすい声で、正確に録音して、迅速に届けることがボランティア活動に求められます。初めてのテープを届ける前は、これで大丈夫だろうかと心配していましたが、聴いてくださった方々から感謝のことばを聞きくことができ、その声に励まされ現在まで継続することができています。
活動当初は市の広報紙のみを音訳していましたが、奇数月に発行される社協だより、3か月ごとに発行される市議会だより、阿蘇中央病院だよりと音訳する対象は広がっています。
毎月第1水曜日に話し合いの時間を持ち、原稿の振り分け→読み込み→第1土曜日に録音→配布→回収を毎月2日間で完了するようにしています。それぞれの作業に半日から1日近くかかります。また、デジタル化に伴い、今では120分テープを入手することが困難となり、回収したテープの消音作業に費やす時間が、活動に含まれるようになっています。現在、視覚障害に限らず、視力に自信のない人でも利用できるように、市立図書館でも無料貸し出しを行っています。市の広報紙の場合、毎月120分テープに録音して、15本をダビングするようにしています。病院だよりは年に4回で録音するようにしています。多い月には30本を超えるテープの量となります。劣化したテープの取替えもあり、毎年赤い羽根共同募金配分助成により購入しています。
ポイント、工夫している点
14年間根気強く継続して市民の高い評価と賛同を得る
当初、1本1本録音テープをダビングする作業時間は大変でした。しかし、根気よく続けた結果が功を奏し、市民からダビング機材の寄贈を受けることができ、作業効率がよくなりました。出来上がったテープを会員手づくりの布巾着袋に入れて、手渡しでお届けする献身的活動も市民からの高い評価につながっています。
平成24年7月12日の集中豪雨災害で被災された対象者の安否確認活動のため、避難所を訪問し、気遣う支援など音声訳ボランティアにとどまらず、友愛活動も行っています。
課題と今後の展開
他団体との連携協力体制の確立
今後も従来どおりの活動を継続してきます。会員の出入りはありますが、参加は強制ではなく、時間のある人が参加するようにしています。テープ購入に助成を受けている赤い羽根共同募金事業の街頭募金にも参加し、また、他団体と連携して、協力関係を結んで活動を展開しようとしています。
課題は、デジタル化により録音テープが入手困難になっていることです。仮に録音をデジタル化した場合、対象者がデジタル機器に対応できないというミスマッチが懸念されます。
〔音声訳ボランティア〕
音訳とは、音声訳の略称です。視覚からの情報を得ることが困難、または、その他の理由で情報の収集が困難な方のために、本、雑誌、新聞、その他の文章情報を音声に換えて提供する活動です。音訳は朗読とは違い、アナウンサーが読むように正しく伝えることです。主観を入れずに、書いてあることを忠実に音声に換えることを原則としています。下調べをしっかりして、読み方(人の名前や住所など)やアクセントなどの確認を前もって行うことが求められます。