松合小放課後子ども教室
~廃止になった学童保育を高齢者が中心になって実施~

団体名 まつあいしょうほうかごこどもきょうしつ
松合小放課後子ども教室
地域 熊本県宇城市
構成員 28名(65歳以上の者の占める割合:75%)
活動概要 地元の保育園の学童保育が廃止になったことを受け、地域の高齢者が中心となって放課後子ども教室を立ち上げた。高齢者の経験や知識をいかして、平日の放課後に習字やパソコン、さまざまな体験学習などを行っている。
表章の事例区分 教育、文化
キーワード 学童保育/世代交流/居場所づくり

(注)構成員等は、平成25年4月1日時点

活動のきっかけ

習字の基本練習

児童の放課後の安全安心な居場所をつくろう

 熊本県宇城市不知火町にある地元の保育園の学童保育は、平成19年で廃止されることとなりました。
 このことを受け、小学校低学児童の放課後の安全安心を確保するため、場所は小学校の空き教室を利用して、PTA会長をはじめとした保護者、当時の校長先生や地域の高齢者の協力を得て、放課後子ども教室を立ち上げました。高齢者のさまざまな経験と知識をいかして、長年地域に住み続け地域をこよなく愛する住民の地域力の現れです。

活動内容や現在の活動状況

昔遊びの様子


ビーズ玉工作の様子

生活目線で児童を育てる活動計画

 平成20年4月より、月曜日から金曜日の午後3時から午後5時まで、地域の協力員が当番制で、1日に少ないときで3人、多い時は6人で次のような活動を展開しています。
月曜日:「習字」…道具の並べ方から級習得を目標に基本練習をします。
火曜日:「パソコン」…ローマ字入力、文章作成、表計算、電子メールの技術を身に付けます。
水曜日:「そろばん」…指の使い方から級習得を目標に基本練習をします。希望者は低学年に限らず全学年を対象としています。
木曜日:「読み聞かせ」…大人や児童による読み聞かせを行います。また、紙芝居も行っています。
金曜日:「体験」…季節の体験、地域探訪、昔遊び、折り紙などを実施しています。
 年間約180日に及ぶ活動が展開されています(夏休み、冬休み、春休みの活動は休みです)。
 活動を通して作成した工作、千羽鶴などは、地域の福祉施設などに届けて高齢者との交流を深めるのに役立てています。また、東日本大震災時に は千羽鶴を宮城県東松山市に、九州北部豪雨の際には熊本県阿蘇市に児童一人ひとりのメッセージを添えて届けました。地域探訪では、「地元を知る」をテーマに町内にある味噌工場を初め天草大王飼育見学、不知火伝説の永尾神社見学、美術館「不知火ゆかりの芸術家たち」展見学などが実施されました。全校生徒数が50人以下という小規模であることから、部活動参加以外の児童が放課後子ども教室に参加しています。

ポイント、工夫している点

世代交流が生んだ地域の連携強化

 世代交流を活動の軸に据え、高齢者と小学低学年児童がともにさまざまな経験をすることを通して郷土を知り、郷土を愛するきっかけが育てられています。学んだ知識や創造力、作り上げた作品を地域に還元し、安心安全なまちづくりが世代交流を通して行われています。平成20年に立ち上げ、これまで5年間活動を行ったところ、保護者による協力も増え、学校、家庭、地域の連携強化にも寄与しています。

課題と今後の展開

学童と高齢者の居場所として

 現在28名のボランティア会員の構成は、65歳以上が21名で平均年齢は66歳です。会員の高齢化により、定期的な新規協力者の獲得が課題となっています。企画から運営全般は地域の協力員に負うところが大きいのです。
 子どもたちと高齢者が築き上げた居場所は、学校教育と併存する形でこれからも継続されていきます。

 〔不知火(しらぬひ)〕
 八代湾に面する不知火町では、海岸から数km離れた沖に、海面から14~15m程の高さで確認することができます。旧暦8月1日の風の弱い新月の夜に現れることが多く、引き潮が最大となる午前1時から4時に最もよく見ることができます。沖に浮かぶイカ釣り漁船の漁火が水面に漂う冷気によって屈折し、さまざまな形に変化してみえる現象といわれています。