仙台市森林アドバイザーの会
~人工林との共生を目指して森林づくり~

団体名 せんだいししんりんあどばいざーのかい
仙台市森林アドバイザーの会
地域 宮城県仙台市
構成員 68名(65歳以上の者の占める割合:52%)
活動概要 「森林整備や自然観察などの森づくりの実践活動を通して、自然環境保全に寄与すること」を目的に平成16年に設立された。森林整備活動を毎月4回実施し、情報の共有を図るため、ブログを年間約150回発信している。
表章の事例区分 生活環境改善
キーワード 森林アドバイザー/自然観察会/クラフト制作/東日本大震災支援

(注)構成員等は、平成25年4月1日時点

活動のきっかけ

下草刈りをした後の植生調査

元気な森から元気がもらえる森林づくり

 仙台市が主催する森林アドバイザー養成講座の第1期及び第2期修了生を中心に、「仙台市森林アドバイザーの会」が平成16年に結成されました。
 目的は、<1>荒れた人工林や放置林の間伐を実施して森の元気を取り戻すこと、<2>水源涵養や土砂流出防止のため、間伐を実施し、林の中に光を入れ「木」と「林床」の健康を取り戻すこと、<3>健康な森から市民のみんなが元気を貰えるように森林づくり活動を続けていくことの3つで、これらに沿って森林整備への取組みを始め、活動を継続しています。

活動内容や現在の活動状況

地元の小学生と保護者の自然体験会


震災後の七ヶ浜での倒木とガレキの撤去作業

森林づくり体験を通して理解する

 昭和60年代の木材輸入自由化により日本国内の多くの杉林が放置されるようになりました。人工林は下草刈りや間伐、枝打ちなど日常的手入れが不可欠です。放っておくと病害虫の被害を受け、表土が流出して土砂崩れを招きます。人が寄り付かなければ粗大ごみが捨てられてしまう場となってしまいます。
 森林活動に取り組んでいる旗立山フィールド(「旗立三丁目緑地」と「箱倉山」)は約1.32haあり、粗大ごみの片付けと下草刈り、そして、どれくらいの木が生えているか「密度調査」からスタートしました。杉の人工林を市民に親しまれる林につくり変えようと、平成21年から間伐を開始し、会の結成から6年間の地道な活動の成果として、明るい林へと生まれ変わり、散策路やベンチも取り付けられました。地道な活動が評価され、第23回森林レクレーション地域美化コンクール会長賞を平成24年度に受賞することができました。
 森林整備定例活動は月4回と決め、企画・運営は隔月開催の役員会で協議して決定しています。参加の呼びかけは奇数月発行の会報「もりっと仙台つうしん」と偶数月発行の「はがき通信」で行っています。森林整備の他に自主活動として自然観察会やネイチャークラフト体験会を通じて健全な森づくりを実践しています。市主催の育樹祭で市民ボランティアへの作業指導、森林ボランティアの指導・育成を行うほか、他団体と連携して活動の輪を広げようとしています。
 東日本大震災の災害復旧活動として「菖蒲田浜杉林再生プロジェクト」を立ち上げ、地域的被害を被った海岸林の樹木、倒木、ガレキの処理と被害立木の伐採処理を会員延べ参加者156人で実施しました。

ポイント、工夫している点

リアルタイムの情報発信と情報の共有化を図る

 資金提供者や会員及び事業賛同者に対して、資金の使途や事業進捗状況をリアルタイムに発信して情報の共有化を図る必要性を痛感し、平成20年6月から会独自のホームページを立ち上げました。以来、週2回の記事更新を続け、ブログの発信数は平成25年3月15日までに672件記事更新されています。諸団体からの支援や連携した取組みのブログを日本財団ウエブサイトにアップすると、この取組に対し日本財団から「市民活動と企業の寄付の在り方を探るモデルプロジェクト」の指定を受けることとなりました。

課題と今後の展開

東日本大震災で被災した海岸防災林の復旧への取り組み

 災害復旧活動として、平成25年度に林野庁の「みどりのきずな」プロジェクトと締結し、海岸防災林復旧活動に取り組んでいますが、海岸防災林の植樹整備にも取り組もうとしています。
 後継者の人材育成が課題となっていますが、定例活動や各種イベント、行政との協働、他団体との協働などを取材して、リアルタイムに情報提供する「もりっと仙台森づくり」は継続していきます。

 〔みどりのきずな〕
 林野庁が東日本大震災で被災した約140kmの海岸防災林の再生について、NPO、企業などの民間団体の協力を得ながら植栽などを進める計画です。概ね10年で完了することを目標としています。