南方団地高齢者クラブ
~仮設住宅で高齢者の閉じこもり防止に取り組む高齢者クラブ~

団体名 みなみかただんちこうれいしゃくらぶ
南方団地高齢者クラブ
地域 宮城県登米市
構成員 91名(65歳以上の者の占める割合:85%)
活動概要 東日本大震災後の仮設住宅に住む住民の閉じこもりや生活不活発病を防止するため、自治会や地域包括支援センターと連携して高齢者クラブを結成し、ラジオ体操、グラウンドゴルフ、お茶飲み会などを実施している。
表章の事例区分 その他(東日本大震災の復興支援)
キーワード 生活不活発病の防止/ラジオ体操/グラウンドゴルフ/お茶飲み会

(注)構成員等は、平成25年4月1日時点

活動のきっかけ

毎朝ラジオ体操で閉じこもり防止

高齢者の閉じこもりをなくしたい

 南三陸町は、東日本大震災により地域のコミュニティが崩壊するなど環境が激変しました。その結果、特に高齢者の間では、外出が減り座りっぱなしになるなど生活が不活発になって、全身の機能が低下する生活不活発病のリスクが高まり、復興の大きな課題として残されています。
 南方仮設住宅は、300戸を超える戸数で、高齢化率が40%を超えておりました。仮設住宅は、コミュニティが形成されておらず、日中は何もすることがなく閉じこもりがちな高齢者は不安が募っていました。クラブの代表を務める古澤孝夫さんは、早期に高齢者クラブの立ち上げや自治会の機能強化が重要であると考え、自治会と連携しながら平成24年7月に南方団地高齢者クラブを結成するに至ったのです。

活動内容や現在の活動状況

毎日グラウンドゴルフを楽しむ住民


お茶飲み会・チョイ飲み会

生きがいと楽しみを実感できる活動

 高齢者の閉じこもりや生活不発病は町の課題でもあることと聞き、被災者が自立して取り組むことが復興に歩みだす第一歩につながると確信し、高齢者クラブ結成の重要性を呼びかけたところ、91人の登録がありました。平均年齢は73.8歳となっています。
 クラブ結成以来、役員会を中心に年間事業計画を検討し、活動を実践しています。生活不活発病を防止するため、何よりも生きがいと楽しみ、人と人との出会いを通して顔と顔の見える関係を大切にしようと、毎朝8時30分から45分までラジオ体操を行っています。雨天時も集会所の室内で行っており、50名から60名が参加しています。
 毎月第3土曜日午後3時からは「お茶飲み会・チョイ飲み会」(参加費200円)を開催しており、50名から60名の参加があります。一人でも多くの参加があるように各棟担当役員が案内状を手渡しし、一声かけて勧奨しています。
 また、自治会とともに要望し設置してもらった仮設住宅近くの「交流広場」では、毎日グラウンドゴルフができるようになりました。福祉仮設住宅入居者、認知症の方を自然にサポートするとともにみんなで楽しく練習しています。当初、登録者は20名ほどでしたが、現在では43名が登録しています。毎日の練習には、20名から25名が参加しています。南三陸町包括支援センター主催で「輝き杯争奪大会」を春と秋の2回実施されており、仮設団地高齢者クラブ主催の「輝き杯争奪大会」は毎月第2日曜日に実施しています。毎日の練習でホールインワンを出した人は100円を拠出することとし、これを大会運営費に充てる工夫も行っています。
 グラウンドゴルフを通じ、仮設住宅入居者以外の被災者との交流の機会や演芸大会の企画等、自治会とともに、楽しみながら地域づくりに貢献しており、震災後、高齢者の機能低下や心の問題が大きくなっている中で、活動している高齢者がいきいきとしている姿勢は模範的です。

ポイント、工夫している点

自主・自立を目指した活動

 さまざまな催しの企画・運営、参加呼びかけ、準備などをクラブ役員が担い、自治会と地域包括支援センターと連携しながら実施しています。震災直後はボランティアによる支援状態であったけれども、これからは自分たちで関係者を招待して演芸大会を企画・開催しようとしています。
 震災直後に集団避難先としていち早く受け入れていただいた鳴子温泉への一泊旅行も企画されました。震災直後には旅行を楽しむ余裕もなかった高齢者をゆっくり保養し、親睦を深める旅行です。震災直後の恩義を忘れない感謝の返礼の旅でもあります。

課題と今後の展開

絆を大切にした活動

 今後の展望は、グラウンドゴルフを通じて、南三陸町内居住者と他市の仮説住宅入居者との交流会を移動研修会として開催することです。そして、現在のラジオ体操、グラウンドゴルフ大会、お茶飲み会・チョイ飲み会に参加者が増えるように継続することです。
 活動が活発になり、参加者も増える反面、住宅再建も進み転出者も徐々に出てきています。仮設住宅で築かれた絆が崩れはしないかとの不安を抱えている人も多くいます。新天地でもここで経験したこと、話し合ったこと、励まし合ったことを通して築かれた絆は、新しい歩みの源となることを願って活動を継続します。