桶川ITネット
~学んだIT技術を地域に還元して高齢者の社会参加促進~

団体名 おけがわあいてぃーねっと
桶川ITネット
地域 埼玉県桶川市
構成員 36名(65歳以上の者の占める割合:72%)
活動概要 パソコン指導者養成講座の修了生有志により結成。市教育委員会からの委託を受けて、指導や企画を含むパソコン講座の運営全般を担っている。老人福祉施設でも指導を行い、高齢者の地域活動参加にも取り組んでいる。
表章の事例区分 教育、文化
キーワード パソコン講習/ホームページ作成支援/ネットワーク構築支援/障害者支援

(注)構成員等は、平成25年4月1日時点

活動のきっかけ

パソコン指導班による指導の様子

情報格差の解消に務めよう

 平成13年、桶川市教育委員会主催のパソコン指導者養成講座終了後、受講者の中から有志によって自主企画講座として桶川ITネットが結成されました。
 平成14年度から市教育委員会主催のパソコン講習会指導の委託を受けることとなりました。これを受けて、会員を5班に編成して、それぞれ役割分担を決め、パソコン講習会での指導から講習会終了後のフォローまでを行うことにしました。自分たちの過去の経験を踏まえ、パソコンを使える人と使えない人の情報格差を解消し、高齢者のインターネット利用を促進し、また、高齢者の地域活動参加を促し、市民間のコミュニケーションの場を拡大することを目的と定めました。

活動内容や現在の活動状況

施設訪問班による老人福祉施設での指導風景


年賀状作成講習会の様子

チームワークで初心者から応用編まで対応

 5班の構成は、<1>IT講習班、<2>自主企画班、<3>勉強会班、<4>施設訪問班、<5>障害支援班となっています。
 <1>IT講習班は、年間4回から6回開催されるパソコン講習会でのメイン講師と助手役を務めるサブ講師の選任と調整を担当しています。これに加え、毎週金曜日に設定されているサポートセンターも担当しています。
 <2>自主企画班は、受講者や会員からの要望を聞いて、講習会の企画をたてます。これまでに開講された講座は、「ブログ講座」、「デジカメ講座」、「家計簿講座」、「ワード作品講座」などです。
 <3>勉強会班は、パソコン講習会開催準備に向けた担当講師の勉強会を主としています。この勉強会で自主制作の講習会用テキストを毎年更新することと、指導法の勉強会を担当します。
 <4>施設訪問班は、過去10年間の実績のある高齢者福祉施設でのパソコン指導を行っています。受講者の要望や体調を気づかいながら、文字入力の練習、毎月のカレンダー作成、年賀状作成、お絵描き、自分史の作成などです。平成24年度の指導実績は、指導回数42回、受講者延人数81名、講師延人数78名でした。
 <5>障害支援班は、新しい事業として平成25年度から設けられました。桶川市協働まちづくり支援事業に応募して認可を受けて視覚障害のある方にパソコンに関する困りごと、悩みごとの相談に応じています。毎月第2、第4水曜日の午前中に地域福祉活動センターで開催しています。

ポイント、工夫している点

進取的に学ぶ姿勢を大切に

 IT環境は日進月歩で変化しています。この状況に的確に対応すべく、会員自らが新しい技術を学ぶ勉強会も定期的に開いています。また、その成果として、パソコン指導者養成講座も担当するようになりました。親切丁寧な指導を心がけており、気軽に相談できることは受講者の満足度を高くしています。後継者獲得にも一役買っています。

課題と今後の展開

障害のある人々へもIT操作の普及を目指して

 現在の会員数は36名で、平均年齢が73歳、内65歳以上が26名となっています。
 高齢者間の情報格差は以前より縮まったとはいえ、団塊の世代が会員となることを予測して、スマートフォンやタブレット、パソコンを活用する時代の中で、ソーシャル・ネットサービスの有効活用に貢献することが求められていると認識しています。こうした社会状況に対応した新しい講座内容を企画することが求められています。また、体の不自由な方へのパソコンの使い方の普及などをこれからの課題として積極的に行っていこうとしています。

 〔情報格差〕
 情報技術を使いこなせる人と使いこなせない人との間に生じている格差のことをいいます。<1>国家間もしくは地域間における情報技術力、普及率の格差、<2>学歴、所得など処遇面で生じる経済格差によって情報端末、機器を入手ないし操作する機会の格差、<3>加齢や障害の有無など個人間の格差に区分することもできます。