大田 和子さん
~本を読んでまとめ、発表できる力を養う読書活動42年~
名前(年齢) | おおた かずこ 大田 和子さん(82歳) |
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地域 | 山口県防府市 |
活動概要 | 防府市読書グループ連絡協議会の代表として「本を読む市民のつどい」の開催などに取り組んでいる。子どもが絵本に親しむ活動として読み聞かせサークルを立ち上げるなど、地域の子どもたちの読書の普及に努めている。 |
表章の類型 | 自らの努力、習練等により、優れた体力・気力等を維持し活躍している事例 |
キーワード | 読み聞かせ/子育て支援 |
(注)年齢は、平成25年4月1日時点
活動のきっかけ
家庭でも本が読める環境づくりを提唱
昭和46年(41歳)、読書会活動を行う団体同士の横のつながりが必要であると提案し、「防府市読書グループ連絡協議会」の発足に関わりました。現在では会員200名の代表に就任しています。
読書を推進する目的を達成するために、家庭でも本を読む環境づくりを提唱しています。読書の魅力は、読んだ本をまとめる力が自然と身に付くことにあると考えています。
情報過多の時代を迎え、子どもが絵本に親しむような子育て支援の必要性を痛感したことが、おはなし会や絵本読み聞かせ活動などを始めるきっかけとなりました。
活動内容や現在の活動状況
ゼロ歳から読書を通して健全育成を目指そう
防府市読書グループ連絡協議会の活動に「本を読む市民のつどい」があります。本を読む楽しさを広め、深めようという趣旨で毎月開いています。前半は推薦図書についての参加者による読書感想会、後半は専門講師による講演会の2部構成となっています。本を読んで感じたこと、考えたことを話し合うことを特徴としています。
昭和62年、核家族化とテレビゲームやコンピューターゲームなどの普及によって家庭において読書をする機会が減少していることに危機感を抱き、ゼロ歳から読書を通して子どもたちの健全育成を目指そうと、おはなし会「かすが文庫」を結成し、地元公民館を活動拠点に、公民館の児童育成活動と連携しておはなし会を開催することとしました。おはなし会の内容は、絵本の読み聞かせ、紙芝居、パネルシアター、伝承遊び、指遊び、わらべ歌などで組み立てられています。絵本の読み聞かせの普及とボランティアの育成にも力を注ごうとしました。そして現在、月に1回、「なかよしくらぶ」として防府図書館でもおはなし会を開催しています。
平成17年には、読み聞かせボランティアの育成を目指して、防府図書館で読み聞かせボランティア養成講座を開催し、第1回修了生で7月に読み聞かせサークル「おはなしでんしゃ」を発足させました。現在、メンバーと共に月2回図書館で子どもへの絵本の読み聞かせを行い、同時にボランティアの育成も行っています。
ポイント、工夫している点
与えるよりも自ら獲得する体験をしよう
豊かさの中で生活する若い両親や子どもたちに郷土の歴史を通して学ぶ機会が必要だと考えています。このことは、読書の普及に努める動機でもあります。何でも与えられることよりも、自ら獲得する体験をすることを重視しています。そのために、新聞紙をちぎって遊ぶ行為から始めて遊びを創り、その楽しさを味わってもらいたいと考えています。
現在、地域の歴史を学ぶというテーマで、昔の人たちの生活を実際に体験することを2つの小学校で展開しています。一例は、田植えから始まり、昔の農機具を使って脱穀し、籾摺りをし、足踏みの臼で精米をし、かまどで炊いたご飯を食べるというものです。幸い、この地域には、昔の農機具も残されているので高齢者の協力を得て体験学習ができます。読書も与えられるものではなく、自分でリクエストして読みたいものを読むものです。ここに選択する力、読み取る力、聞く力、物を把握する力が養われて生きる力につながると考えています。
その他の活動
委員会活動でも読書の大切さを提言
平成11年から、防府図書館まつりの実行委員会の代表として企画・運営に携わっています。平成22年度に防府市が策定した「防府市子ども読書推進計画」では策定委員として参画し、平成23年度から開催されるようになった「子ども読書フェスティバル」には、「おはなしでんしゃ」ほか、他団体から複数グループも参加し、読書グループ連絡協議会が目指す横のつながりができてきました。健康に留意しながら、共に学ぶことを大切に、読書の普及活動を続けていこうとしています。