西村 勇さん
~放送記者から念願の江戸芸の大道芸人に~
名前(年齢) | にしむら いさむ 西村 勇さん(75歳) |
---|---|
地域 | 長崎県長崎市 |
活動概要 | 東京勤務中の9年間、江戸大道芸を修業。放送記者の仕事を定年退職すると同時に地元長崎に戻り、江戸の大道芸人に転身し、老人福祉施設を中心にこれまで14年間で約700ステージを披露し、好評を博している。 |
表章の類型 | 中高年から一念発起して、物事を成し遂げた事例 |
キーワード | 江戸大道芸/老人福祉施設訪問/論語素読会 |
(注)年齢は、平成25年4月1日時点
活動のきっかけ
芸人になりたい夢の実現
放送記者であった現役時代に東京転勤となり、この機会に退職後の楽しみと生きがいに、以前からの念願であった江戸の大道芸を演じられる芸人になりたいという夢の実現に向けて準備を進めました。幸い奥様が日本舞踊を習っておられたこともあり、夫婦で稽古に通うことができました。東京在住9年間に江戸大道芸のかっぽれ、南京玉すだれ、講談、物売りの師匠の門をたたいて修業し、努力の甲斐あって、それぞれの師範免許を取得することができました。
平成10年3月に退職の日を迎え、4月に長崎へ帰り、早速、老人保健施設で初めて芸を披露しました。ボランティア活動の第1号として記念に残るものでした。
活動内容や現在の活動状況
「長崎江戸芸を楽しむ会」で大活躍
長崎に帰郷した西村さんは、「長崎江戸芸を楽しむ会」を立ち上げ、「江戸の大道芸」の芸名でボランティア活動や講演を開始しました。
平成10年9月から総合カルチャーサークルで江戸芸の指導も始め、平成11年4月頃から弟子たち20人と老人福祉施設訪問ボランティアや市内で開催されるイベントに参加しています。老人福祉施設訪問が大半で月に4回から5回、一般市民を対象に総合カルチャーサークルや公民館での指導は月に7回行っています。
老人福祉施設訪問の際、かっぽれ踊りを披露すると、瞳が空を見ていた認知症の方が一緒に歌いだす一幕もありました。大道芸でご詠歌を歌うと、両手を合わせて念仏を唱えるおばあさんたちがいたこともありました。一方、市内で催されるイベントで小学生が南京玉すだれの体験をすると、大人の10倍の速さでマスターする場面もありました。
放送記者から念願の江戸芸の大道芸人に転身して14年が経過しました。この間にステージに立った回数は約700回に達し、内、ボランティア活動は350回を超えています。観客は延べ4万人に達しています。
ポイント、工夫している点
健康管理はボランティアの流儀
西村さんは、舞台に立って拍手喝さいを浴びても、芸人の端くれだという謙虚さを忘れません。会場に足を運んでくれたお客さんを失望させないよう、健康管理に日々注意して、舞台に穴を開けないように心がけています。風邪は万病のもとといわれますが、風邪だけは引かないように十分な睡眠と規則正しい食事をとるように気を配っています。そのため、ここ7~8年風邪をひいたことがありません。健康管理はボランティアとしての流儀であることがうかがわれます。
その他の活動
得意な話し方をいかした活動
平成14年9月から平成16年12月まで長崎人権教育懇談会委員、平成18年12月から平成20年11月まで長崎市男女共同審議会委員、そして現在は長崎市地域振興サポーターといった公職にも就かれており、地域での重要な活動も行っています。特に、中学校での人権講話は、日頃聞けない外部講師の話として好評で、授業の一環として継続して行われております。
また、「新老人の会」長崎支部の世話人をしている関係で、放送記者の経験をいかし、月1回論語の素読会の指導も行っています。