浦 澄子さん
~消費者トラブル防止を実践するボランティア活動~

名前(年齢) うら すみこ
浦 澄子さん(77歳)
地域 石川県金沢市
活動概要 金融アドバイザーとして、地域で講演を行ったり消費者教室で講師を務めたりし、地域の消費者トラブルを防止する活動を行ってきた。平成21年には金沢生活学校を立ち上げ、社会問題を勉強し合う場を設けている。
表章の類型 地域社会の中で、地域住民のリーダーやコーディネーター的な役割を発揮し生き生きと生活している事例
キーワード 金融アドバイザー/草の根消費者教室/消費者トラブル防止

(注)年齢は、平成25年4月1日時点

活動のきっかけ

悪質商法「だまされない」について講演する浦さん
(写真右)

婦人会役員を引き受けたのが活動の始まり

 当番制で回ってくる地区婦人会役員に就任したことをきっかけに、校下63ある婦人会連絡協議会の経済委員長を13年間務めました。この委員会活動と並行して、石川県金融広報委員会アドバイザーに推薦され、金融アドバイザーとして地域の諸団体に講演を行っていたところ自信がつき、石川県消費者支援センターが行う草の根消費者教室の講師に応募しました。
 石川県の消費生活支援センターの事業は、平成21年度から市町による実施へと変更になり、消費生活支援センターで実施していた悪質商法や振り込め詐欺などの対処法を受け継ごうと考えました。そこで、婦人会会長経験者や現役の婦人会役員などに呼びかけて、平成21年(73歳)に「金沢生活学校」を立ち上げ、浦さんはその代表に就任し、活動を開始しました。

活動内容や現在の活動状況

DVについて学ぶ講義


父親の参加もあった米粉料理講習会

消費者トラブルを防止する講演活動

 活動の背景には、日頃から社会と行政サービスとの関係に興味や関心を持っていたことがありました。
 石川県、日本銀行、財務局と連携した研修を受けて認められた金融情報の専門家は「金融アドバイザー」と呼ばれています。平成8年(60歳)から平成17年まで、石川県金融広報委員会アドバイザーとして、中立・公正な立場から人々の暮らしを守るために、身近な金融に関する幅広い情報の提供や学習支援活動を、指導的立場で講演活動を行いました。例えば、「60歳からの人生とお金」、「貯蓄の基礎知識」、「豊かな人生を送るための年金・保険」「聞いて納得する年金」、「消費者トラブル・悪質商法から身を守ろう」などです。この経験は「草の根消費者教室」の講師にもいかされています。
 石川県では、県の消費者支援センターが実施している消費者生活講座を受講し、消費者問題の知識を十分身に付けた受講生が講師となり、出前授業を行う「草の根消費者教室」があります。婦人会連絡協議会経済委員長を務める関係で、浦さんも受講して講師認定を受け、平成15年(67歳)から平成21年まで講師として活動を行いました。社会福祉協議会や老人クラブからの要請を受けて、悪質商法や振り込め詐欺の被害に遭わないよう、石川県消費支援センターが作成したオリジナル教材や替え歌などを交えて和やかな雰囲気で講師を務めました。受講者と同じ年代の素人の主婦が講師を務めることで、受講者からは親しみをもたれ消費者トラブルなどをより身近に学ぶことができると好評でした。

ポイント、工夫している点

時の話題を学ぶ勉強会の開催

 平成21年に結成された金沢生活学校では、タイムリーな話題を勉強会のテーマとして「ごみの分別の変化」、「食の産地と偽装表示について」、「防災を考える」、「消費者トラブルの実態」を挙げるなど、生活目線を大切にして開催しています。
 食育と地産地消を推進する一環として、夏休み親子米粉(こめこ)料理教室を行っています。輸入に頼る小麦粉に代わり、国内生産の米粉を使った料理を普及させようと、米粉で手打ちうどんやクッキー、バウンドケーキ、シフォンケーキ、肉まんなどをつくっています。
 消費者トラブルの防止では、講師の経験をいかして自作のシナリオを編集し、ロールプレイを行いながらトラブル防止の理解を深めています。また、地域の敬老会開催時に消費者トラブルの防止についても講話を行っています。

その他の活動

地域の人との和を大切に

 平成22年から石川県生活学校連絡会役員に就任しています、絶えず社会と向き合い、旺盛な好奇心と学習意欲を持ち、高いボランティア精神とコーディネーター能力、パソコン操作能力も兼ね備え、趣味(フラダンス、俳句など)も楽しみ、多くの人と生き生きとした人生を謳歌しています。

 〔本人インタビュー〕
 いつも新聞やテレビの話題となるニュースに目を止めます。私たちの生活に直結する食糧自給率の向上やPM2.5に対する石川県の対応、地産地消の推進など、一人でも多くの人と問題を共有して、安心安全な社会になるよう努力したいですね。