小林 竹春さん
~「からくりおもちゃ」づくりを老後の生きがいに~

名前(年齢) こばやし たけはる
小林 竹春さん(88歳)
地域 北海道標津郡中標津町
活動概要 70歳で「からくりおもちゃ」と出会い、これを老後の生きがいにしようと試行錯誤の結果、130点を超える作品をつくり、「からくりおもちゃ館ラビッツ」に展示している。さらに200点の作品づくりを目指している。
表章の類型 過去に培った知識や経験をいかして、それを高齢期の生活で社会に還元し活躍している事例
キーワード からくりおもちゃ/教育支援活動

(注)年齢は、平成25年4月1日時点

活動のきっかけ

中標津シルバー人材センターに開設された
「からくりおもちゃ館ラビッツ」の光景

からくりの仕組み・メカニズムに魅せられて

 70歳(平成7年)で大工をやめた後、毎日時間が過ぎるのを遅く感じ、退屈な日々を送っていました。たまたま旅先で「からくりおもちゃ」と出会い、その仕組みに驚き、興味を持ち、老後の生きがいにしようと決意しました。
 からくりおもちゃの魅力は、木のにおい、手ざわり、素材さ、あたたかさ、ハンドルひとつで5か所から最大7か所が動く歯車の仕組みに、見る人、動かす人に驚きと感動を与えることです。
 からくりおもちゃは、子どもたちが遊んで壊れることもあります。木づくりおもちゃの達人である小林さんは、「壊れたら修理すればいい」と考え、ものづくりを生きがいとしています。

活動内容や現在の活動状況

「ウサギの餅つき」のからくりおもちゃ


室蘭市こども科学館に展示されている 「釧路湿原を走るSL」

「失敗は成功の母」夢の実現

 からくりおもちゃの仕組みを見て驚いた小林さんは、簡単なからくりを作ってみると、動いたことが嬉しくなり、少し難しいからくりを考えました。しかし失敗することが続きました。そのたびに、何度も考え、何度も作図し、何度も工作するという繰り返しが続きました。新しい作品をイメージして完成させるまでには、苦労と失敗の連続でした。それだけに成功した時の喜びは大きなもので、またいいものを作ろうと意欲が湧いてくるのです。
 特に、からくりおもちゃの動きに夢中になってハンドルを回し、ビー玉の転がる音の高低の変化に喜ぶ子どもたちの歓声を上げる姿を見るとき、これからもっともっと楽しく遊んでもらえるようからくりおもちゃの新作をつくりを続けよう、生きがいにしてよかった、とものづくりへの挑戦意欲が湧いてきます。
 これまでに制作したからくりおもちゃは、130点を超えています。目標を200点と定め、仕組みを作図し、制作活動に励んでいます。作品は町内にとどまらず、斜里町、標津町のこどもまつりにも貸し出され、高く評価されています。中には「釧路湿原を走るSL」など、制作に1か月以上かけた自慢の大作もあります。この作品は、平成25年から室蘭市こども科学館に展示されています。近い内に空港ロビーにも展示コーナーが設けられ観光にも一役果たそうとしています。

ポイント、工夫している点

シルバー人材センターと連携して高齢者のさらなる生きがいづくりのモデルに

 平成22年(85歳)に中標津シルバー人材センター会員になると同時に、小林さんの「からくりおもちゃ」と出会った職員さんは、からくりに凝縮された知恵と技と創造力に感動し、全ての作品をシルバー人材センター内に「からくりおもちゃ館ラビッツ」として展示することを提案し実現しました。町内の高齢者の生きがいとしている趣味的作品を掘り起こし、それを公開し、高齢者のさらなる生きがいにつなげ、まちおこしにもつなげようとする中心的役割を小林さんに見つけたのです。これらの取組をNHKが2回にわたり放映したこともあり、全道各地から見学者が多数訪れるようになりました。シルバー人材センターは、「からくりおもちゃ館ラビッツ」を教育支援活動の一環として、町内保・幼・小学校、老人施設などで巡回展示を行い、さらに全道内での無料貸し出しも行っています。

制作中の小林さん

 〔本人インタビュー〕
 「からくりおもちゃ」で楽しく遊ぶ子どもたちの喜ぶ顔が何よりの生きがいです。生きている限り、からくりの高度な仕組みを追求し続け、子どもたちを驚かせ、喜ばせてやろうと思っています。
 趣味は特にありませんが、時間があるとカラオケを楽しむくらいです。
 なお、作品は、中標津シルバー人材センターのホームページに掲載されています。
中標津町シルバー人材センターホームページ
http://nakashibetsu-sc.jp/