日原手まり研究会
伝統的な手まりを手作りすることは、高齢者の生きがいをつくること。
団体名 | にちはら てまりけんきゅうかい 日原手まり研究会 |
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地域 | 島根県(鹿足郡津和野町) |
構成員 | 17名 [構成員数/65歳以上の者の占める割合:100%] |
活動概要 | 伝統産品の手まりの手作り・研究、販売を通じて高齢者の生きがいづくりと認知症予防等の健康増進に取り組んでいる。毎月の定例会での製作に加え、文化祭等の地域イベントでの展示、道の駅での販売など活動の幅を広げている。 |
(注)構成員等は、平成26年4月1日時点
伝統文化を伝承したい、という思いがきっかけ。
女性の高齢者たちは、様々な大きさや模様の手まりを作っていました。鮮やかな色の糸を通した針で、丁寧に縫っていきます。ある時は集中し、ある時は雑談しながら、手まり作りは進んでいきました。
手まりを作っているのは、「日原手まり研究会」の会員の方々。活動日に繰り広げられているいつもの光景です。
研究会が結成されたきっかけは、会長を務める吉松さんが手まりの伝統的な模様と技術に魅せられたこと。伝統的な技術を伝承したいとの思いから、老人クラブの活動として手まり教室を開いたのです。 当初は、日原町老人クラブ連合会の女性部文化部としての活動でした。しかし、地区内にとどまらず、町内全域から参加者を募りたいとの思いから、平成11年9月、新たなサークルとして「日原手まり研究会」を発足させることになったのです。
高齢者の生きがいづくりや認知症予防にも。
「日原手まり研究会」には現在、17名の会員がいます。毎月1回、日原中央公民館での定例活動に加え、3地域(滝元、須川、野地)で分会としての活動も行っています。
日常的に手まりを作るだけでなく、古い手まり技法の継承などにも取り組み、会員相互で技術の習得に励んでいます。また、地域振興活動に対する意識も高く、文化祭など地域イベントでの展示や道の駅での作品販売など活動の幅を広げています。
14年以上もの長きにわたり創作活動を続けているという実績は、様々なメリットをもたらしています。
「会員はみんな年齢を感じさせないくらい元気でしっかりしているんですね。手まりづくりは、会員の生きがいだけではなく、集中力を高め、認知症予防などにもつながっているのかもしれないと気づいたんです。手先を動かす細かい作業が多いですからね」と、吉松さんは話します。
手まりを作る人の確保も今後への課題の一つ。
伝統手まり、郷土の手まり、刺繍手まり…。手まりには様々な種類がありますが、いずれも製作にあたっては伝統の伝承と創造性が極めて重要になります。
会員の一人一人が自発的に伝統伝承のために研鑽し、活発に行動する姿勢は、会が結成されてから今日まで変わることがありません。それは、今後も変わることがないでしょう。
その一方で、現在は会員の高齢化が年々進んでいるという問題に直面しています。技術的には熟練しているのに、体力面の衰えから注文に対応できないケースも少なくありません。
今後は、特に若い世代への伝統伝承を視野に入れた活動を展開していくことが、大きな課題です。