えがおの会
紡績工場が廃棄する端布を譲り受け、1歳餅踏みで使う草履に再生。

団体名 えがおのかい
えがおの会
地域熊本県(荒尾市)
構成員28名 [構成員数/65歳以上の者の占める割合:82%]
活動概要1歳の餅踏みに使ってもらうための草履等を編んで寄贈。また、小学校や高校で地元の伝統食品のおしきだ味噌の作り方の指導を実施。会員が楽しみながら、伝統文化と郷土文化の伝承や循環型社会の形成に貢献している。

(注)構成員等は、平成26年4月1日時点

ゴミになるはずの端布を自分たちの宝の端布へ。

えがおの会1

 高齢者のグループが談笑しながら草履を編んでいます。手にしているのは、「エコヤーン」と呼ばれる端布。廃棄ゴミになるはずだった端布が、草履に生まれ変わっていきます。
 集まっているのは「えがおの会」の会員たち。草履は、子供の1歳の誕生日を祝う餅踏み用に配るためのものです。
 「えがおの会」の前身は、同じ地区の住人が集まって編み物や料理などをする趣味のグループでした。平成15年に地区以外の人も参加できるように、「ゆとりの会」を結成。そして平成23年、みんなが笑顔で楽しく暮らせるようにとの理念に基づいて「えがおの会」と改名し、多彩な活動を行っています。その活動の中でも特にユニークなのが、廃棄ゴミを利用したグッズ製作です。
 「草履を作ろうとした時、季節が悪く藁を調達できませんでした。それなら布でと思っていた矢先に、紡績工場に廃棄ゴミにする端布があることを知ったんです」と、代表の髙尾さんは振り返ります。
 ゴミになるはずの端布を、「自分たちの宝の端布」として「エコヤーン」(「環境にやさしい糸」の意)と名付け、それを利用してクッションや玄関マットに再生する活動が始まったのです。平成15年4月のことでした。端布がタダで手に入る上に、紡績工場の廃棄物がゼロになるのですから、循環型社会の形成に貢献しています。


餅踏み用の草履を作り、新生児のいる御家庭へ。

 赤ちゃんの1歳の誕生日を祝う、「餅踏み」という風習があります。赤ちゃんに草鞋を履かせて餅を踏ませるというものです。
 「えがおの会」では、平成22年8月からエコヤーンを活用して餅踏みに使う草履を作り、保健センターでの7か月健診の対象者に贈る活動を行っています。その際には、祝状と、端布で作った赤ちゃんのための座布団も一緒に贈ります。毎年約500組の草履を配布する活動は、大変喜ばれています。平成26年から2か月健診のみになったので、今では贈る時期が早まっています。
 1歳餅踏みの草履を贈る活動は、喜ばれるとともに伝統文化の継承にもつながっています。


郷土文化の継承もまた、「えがおの会」の活動。

えがおの会2

 「えがおの会」ではさらに、地元の伝統食品「おしきだ味噌(麦味噌)」を作るとともに、市内の小学校と高校で作り方も指導しています。このほかにも、編み物教室、郷土料理教室、健康体操と活動は多彩です。
 会員が楽しみながら伝統文化を受け継ぐ活動は、たくさんの人に喜ばれています。「えがおの会」の活動は、地域の人々に笑顔の輪を広げる活動でもあるのです。