長沼八幡宮太々神楽保存会
伝統芸能を伝承する活動そのものが、後継者の育成につながっている。

団体名 ながぬまはちまんぐう だいだいかぐら ほぞんかい
長沼八幡宮太々神楽保存会
地域栃木県(真岡市)
構成員17名 [構成員数/65歳以上の者の占める割合:53%]
活動概要学校と地域の連携を図りながら郷土の伝統芸能が継承できるよう、全員が一丸となってボランティアで継続的に生徒へ指導行っている。地元では、当保存会の活動が地域保存会の後継者作りに繋がっていると賞賛されている。

(注)構成員等は、平成26年4月1日時点

地元の中学校の協力で伝統芸能は伝承される。

長沼八幡宮太々神楽保存会1

 夜闇に包まれた長沼八幡宮の拝殿から、笛と太鼓の音色が響いてきます。指導者の合図で演奏が止まり、指示を受けて再び演奏がスタート。傍らには、踊りの練習をする生徒の姿もあります。太々神楽の練習に取り組んでいる生徒の顔は、真剣そのものでした。
 中学生たちに指導をしているのは、「長沼八幡宮 太々神楽保存会」の会員です。
 保存会は、1849(嘉永2)年から今日まで続く長沼八幡宮の太々神楽を伝承するために、昭和54年に神楽の装束が新調されたのを機に結成されました。
 昭和58年、長沼中学校は文部省(現文部科学省)から格技指導推進校の指定を受けました。その際に「発表会の昼休みのアトラクションとして太々神楽を披露したいので指導してほしい」という学校からの依頼により、「保存会」が一役買うことになったのです。
 格技指導推進校の発表会で生徒が披露して以来、太々神楽は学校祭の恒例行事となりました。さらに、県中学校文化連盟の発表会や、その他の様々な行事への参加発表により、生徒への指導育成活動の範囲が広まっていったのです。
 「学校の行事に地域の人々が参加し、これほど継続的な指導を行っているケースは極めて稀だと思います」と、会長代行の川又さんは話します。


学校祭での発表に向け、2か月間にわたり指導。

 秋の学校祭に向け、4月に学校が参加生徒を募り、7月に学校と保存会の役員が練習日程や演目を打合せ、8月に保存会の役員から会員への説明を経て指導協力が決定します。
 運動会が終わると、翌週から本格的な練習が始まります。約2か月間、毎週2回、午後8時から1時間程度。長沼八幡宮に集合し、笛、大太鼓、小太鼓、踊り手のパートに分かれて練習指導を行うのです。
 練習後は、毎回交代で参加する先生方と練習などの反省を行い、より質の高い演奏と踊りを目指します。


会の活動そのものが、後継者の育成に貢献。

長沼八幡宮太々神楽保存会2

 「現在18人の会員のうち、5人が中学生時代の経験者なんです。31年間続いている活動をさらに継続させて、新たな後継者の育成につなげていきたいですね」と、川又さんは語ります。
 「保存会」の活動は、地域の伝統芸能を伝承するとともに、学校と地域が連携した後継者の育成、地域の青少年の健全育成に役立っています。
 その一方で、学校の生徒数が年々少なくなってきているのも事実。参加希望者が少なくなった時に、特に習得が難しい笛や太鼓のレベルをいかに維持していくかが今後の課題です。