せたがや創作紙芝居
オリジナルの紙芝居の上演を通じ、感動以上の思いを共有したい。

団体名 せたがや そうさくかみしばい
せたがや創作紙芝居
地域東京都(世田谷区)
構成員25名 [構成員数/65歳以上の者の占める割合:60%]
活動概要高齢者のほか、精神障害者や、小学生のメンバーがおり、創作紙芝居の運営・上演を行っている。劇団は、地域福祉を推進する団体として、平成20年度から7 年間連続して世田谷区社会福祉協議会の助成団体となっている。

(注)構成員等は、平成26年4月1日時点

若い頃に抱いた夢を高齢者となった現在へ。

せたがや創作紙芝居1

 紙芝居が終わると、その日いちばんの歓声が室内に響きました。劇団員に混ざって演じていた女性は、高齢者施設の利用者です。その表情は、充実感にあふれていました。
 ある日、「せたがや創作紙芝居」が高齢者施設で紙芝居を上演した時の一コマです。
 劇団が誕生したきっかけは、代表を務める小川さんの創作への熱い思いからでした。定年退職後、かつて小説を執筆していた頃に抱いた物語をつくる楽しさを思い出し、紙芝居のシナリオづくりを始めることに。日本ならではの表現手法である紙芝居は、通常、一人で上演します。しかし当劇団は、何よりもオリジナリティを大切にし、物語、絵画、配役ごとのナレーション、作曲と演奏を専属の劇団員が手がけてひとつの作品にまとめる「日本独自の小さな総合芸術」を目指しています。その作品の評価は高く、「せりふを聞きながら絵を見ていると、あたかも動いているように見える」と海外の著名な団体から権利を買い取りたいとのオファーがきたこともあるほどです。
 現在、劇団のメンバーは25名。15名が65歳以上の高齢者で、かつての演劇経験者や声優志望者も。小川さんと同様に、若い頃の夢を現在の情熱へとつなげています。また、小学生6名、精神障害者3名のメンバーも、声優や作画を行っています。


高齢者の方と思いを共有できるのがうれしい。

せたがや創作紙芝居2

 劇団が活動するのは、主に世田谷区の高齢者福祉施設や小学校、イベントなど。上演回数は年間15〜20回で、延べ約600人が観覧します。最近では、世田谷区の下北沢1番街商店街オープンイノベーション事業の一つとして、2か月に1回の定期上演会を行ったほか、区から上演の依頼も。劇団は、地域福祉を推進する団体として、平成20年度から7年間連続して世田谷区社会福祉協議会の助成団体となっています。
 上演時間は1時間程度ということが多く、5、6篇の紙芝居を上演。人気のあった作品を会場の参加者を交えて再上演することもあり、冒頭のエピソードはこの時のものです。また、上演後におもしろクイズを出題することも。紙芝居の内容をクイズにすることで、物語に引き込むとともにエンターテインメント性を高めるよう工夫しています。
 「紙芝居を上演する醍醐味は、見てくださる方と思いを共有できることなんです。高齢者施設で上演する場合、自分の人生と重ね合わせて見る方がいらっしゃるんですね。そんな時には、感動以上の思いを共有できていると実感します」と、小川さん。
 「当劇団は、紙芝居の上演を通じて社会と関わってきました。劇団のメンバーは、楽しそうに生き生きと人生を送っています。かつて抱いた夢を追いながら地域の福祉に役立つ、というのは一つのあり方だと思います」と、話しています。