忌部助け合いセンター「輪の会」
「困ったときはお互いさま」精神で、住民同士が助け合って生きていくために。

南北に長い忌部地区では出張料金が負担に

草刈りの作業

 忌部地区は南北に長い地形のため、例えば南部の山間地域に暮らす人が軽微な作業(電球の取り換えや蛇ロの故障など)を市街地の一般業者に依頼した場合、出張料金を支払わなければなりません。それは、年金暮らしの高齢者や障害者世帯にとって大きな負担となることがあります。
 平成19年に「輪の会」の支援者の一人、現会員の山田安郎さんが民生児童委員として町内を見回るなかで、一人暮らし高齢者や障害者の生活上の課題を見聞きし、生活上のちょっとした困りごとを個人的に手助けしたことがきっかけで、この助け合いの活動が始まりました。

地域内で孤独になりがちな高齢者の見守り活動へ

一人暮らしのお年寄りの家で電球の交換

 その後、要望される高齢者が徐々に増加し、依頼者からお礼をしたいという声も出るようになってきたこともあり、地区社協でボランティア組織を立ち上げました。地区内に広く活動者を募集し18名の活動者が集まり、平成19年10月に「輪の会」が発足しました。
 「輪の会」は、地域住民が主体となって「向こう三軒両隣」「困ったときはお互いさま」の思いから立ち上げられた組織です。
 その活動は単なる困りごとの解決だけではなく、地域の中で孤立しがちな高齢者や障害者の見守り活動として、また、地域のつながりづくりとしても大切な役割を担っています。
 また、来年度からの介護保険法の改正により、地域包括ケアの必要性が唱えられ、「輪の会」の支援は、今後ますます期待されていくことと思われます。
 活動者として支援する側の「輪の会」の高齢者にとっても、この活動が社会参加の機会であり、自身の介護予防の一つにもなっています。

草刈り、家屋修理、墓掃除、除雪、障子張り替えなど

 活動を開始してから7年が経過し、現在は19名体制になりました。
 高齢者の増加に伴い依頼件数も増加し、特に家屋周辺の草刈り、庭木の伐採、家屋修理、障子やふすまの張り替えの依頼が多く、冬季は除雪、お盆にはお墓の清掃の依頼が多く入ります。
 「今後は在宅介護に関わる支援のための介護の基本知識も必要となることも予想されるので、活動者の勉強会を開催したい」と意欲を見せる代表の福島清利さん。
 活動回数は、年間約60回。忌部公民館に設置した「輪の会」の事務局への直接の申込みのほか、活動者に依頼の連絡が入るケースもあり、「困ったときはお互いさま」の精神が地区内の住民に浸透した忌部地区ならではの温かい雰囲気と地域のつながりの強さが感じられます。