熱海史談会
重要な遺産、古文書、文化財など、熱海の伝統文化の魅力を伝えたい。

町内の歴史を研究する15人の同好会からスタート

林道雑草刈り払い作業

 開湯800年の歴史を持つ温泉地、郡山市熱海町にある「熱海史談会」。結成のきっかけは、昭和38年の春に町内にある国道の新設工事で発見された縄文土器でした。昭和39年に、その調査状況を熱海公民館の会報で、町民にわかりやすく報告を行ったことがきっかけとなり、町内の歴史を研究する同好会が会員15名で設立されました。活動休止時期がありましたが、会員同士の呼びかけで、昭和61年に活動を再開し、現在は、熱海町の文化団体で最多会員数の60名で活動しています。
 主な活動は、町内にある歴史遺産の発掘調査、古文書の解読、文化財の保存・伝承、そしてそれらを活用した地域振興を図るための活動です。職業も経歴も異なる様々な会員が協力し合い、自分たちの足で町内を歩き、重要な遺産の保護を市に働きかけるなど、これらの活動は目に見える形となり、地元に還元されています。

あふれる郷土愛が、熱海の伝統文化を守っていく

新しい地域資源のために環境整備

 例えば、町内に散在する歴史遺産の発掘・研究、戊辰戦争の舞台となった楊枝峠などの歴史的な場所の環境整備活動、また福島県指定天然記念物の石筵のしだれ栗の保護活動や町内文化祭への出展など、精力的・継続的に活動を行っています。「郷土の伝統や文化を次世代に伝えていきたい」という深い郷土愛が、これらの活動のパワーの源となっています。
 「熱海史談会」の会長の岡部軍美さん自らも子供たちに町の歴史を語る出前講座や歴史的な場所の現地案内、楊枝峠やしだれ栗の県境整備などボランティア活動を行っています。
 毎月会合を開き、活動計画を話し合い、会報は年1回発行、会員間の交流紙「史談会だより」は、年6回発行しています。これまでの会報は40号を超え、それらをまとめた記念誌は、創立の節目に発行され、熱海町の貴重な歴史文献にもなっています。

安積疎水や旧中山宿駅など、愛される名所の環境整備

 平成27年4月から6月まで開催された大規模な観光キャンペーン「ふくしまデスティネーションキャンペーン」では観光素材として大きな役割を担いました。また、平成26年には熱海町の近代化産業遺産であり郡山市発展の礎でもある安積疏水の沼上発電所周辺の環境整備も会員総出で行い、高齢の会員たちが力を合わせて直径50cm を超える大木を切り倒し、運び出しました。さらに、福島県内では唯一のスイッチバックがあった貴重な近代遺産、旧中山宿駅の環境整備も行いました。その熱意はJR東日本も動かし、現在は、その整備計画が進行中です。
 「『熱海史談会』の活動は、町の観光振興や地域興しにも及んでいます。今後も新しい熱海の魅力を創出し、新たな活動を呼び起こし、地域の牽引役となるよう会員一同で頑張っていきたい」と代表の岡部さんは語ります。