高齢社会対策を、就業・所得、健康・福祉、学習・社会参加、生活環境、調査研究等の推進の各分野にわたり着実に実施する。
一般会計予算における平成14年度の高齢社会対策の関係予算は、11兆7,387億円であり、各分野別では、就業・所得5兆6,387億円、健康・福祉5兆9,131億円、学習・社会参加355億円、生活環境263億円、調査研究等の推進1,251億円となっている。
平成14年度の主な新規施策を各分野別に挙げれば、次のとおりである。
高年齢者職業相談室を市区町村の庁舎施設内等に設置し、地域の高齢者福祉政策との密接な連携を図りつつ、職業相談等を行う。
女性や高齢者の雇用及び多様な産業の創出を図るため、女性や高齢者が中心となった市民活動等のビジネス化を後押しするためのモデル事業を開始する。
将来にわたって持続可能で安心できる年金制度を確立するため、平成16年までに行うこととなっている次期財政再計算に向けて、制度全般にわたる検討を進める。
基礎年金の国庫負担割合の2分の1への引上げについて、安定した財源確保のための具体的方策と一体として検討を行う。
老後の所得確保の充実を図るため、平成13年10月に施行された確定拠出年金及び14年4月から施行される確定給付企業年金の普及を図る。
介護予防・生活支援事業において、近隣者、ボランティア等による痴呆性高齢者の見守りや話し相手のための訪問を行う事業等を、新たに補助対象として追加する。
介護保険制度については、引き続き着実な実施を図るとともに、平成15年4月からの第2期事業期間に向け、地方公共団体の介護保険事業計画の見直しの支援を行うとともに、介護報酬の見直しについて検討を進める。
介護支援専門員の支援体制の強化を図るとともに、訪問介護員の質的向上及び人材確保を図る。
特別養護老人ホームにおける質の高いサービスを提供していくため、全室個室・ユニットケアを特徴とする新型の特別養護老人ホームの整備を推進する。
高齢者医療制度の改革を推進する。
子育て支援施策として、商店街の空き店舗を活用した保育施設設置・運営に対する支援を行う。
小・中学校においてボランティア活動や高齢者との交流を行うこととした新学習指導要領の円滑な実施に努めるとともに、学校内外を通じた奉仕活動・体験活動の機会の充実を図る。
高齢者教育などの課題について、地域社会全体で解決に取り組むことができるよう、行政とNPO(非営利活動団体)を始めとする民間団体との連携による地域学習活動に対し補助を行うとともに、放課後や週末における子供の活動支援や高齢者等の幅広い世代とのふれあい交流支援など、都道府県における地域の教育力活性化に向けた総合的な取組を推進する。
交通安全施設等整備事業において採択基準を改正し、歩行空間のバリアフリー化に資する施設整備への補助を充実する。
高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律について、一定の用途及び規模の特定建築物についてバリアフリー対応の義務付けの創設及び努力義務の対象の拡大等を内容とする改正法案の成立後は、その周知及び円滑な施行を図る。
高齢農業者等が効果的にIT(情報通信技術)を習得するためのカリキュラム・教材等の開発・実証等を行う。
高齢期にかかりやすい疾患について、基礎研究の成果を臨床に応用していくための研究を推進する。
ゲノム情報を活用した効率的な創薬の実現を目指すプロジェクトを開始するほか、テーラーメイド医療(個人に合った副作用のない医療)を実現するための基盤整備を行う。
高齢者に特有の疾病等の克服に関する研究の発展に資する生物遺伝資源の戦略的な収集、開発、保存、提供体制を整備する。