第2章 高齢社会対策の実施の状況 

(4)高齢者医療制度の改革

ア 高齢者医療制度の改革

 我が国では、原則としてすべての国民が、労働の形態、職種、職域等によって、いずれかの医療保険制度に加入する国民皆保険制度がとられている。
 国民皆保険制度は、被用者を対象とする政府管掌健康保険や組合管掌健康保険などの被用者保険制度と、自営業者や無職者等を対象とする国民健康保険制度の2本立ての体系を基本としているが、高齢者については、こうした体系を前提とした上で、医療と保健サービスを一体的に提供する仕組みとして市町村が運営する老人保健制度が設けられている(図2−3−24)。

 
図2−3−24 老人保健制度の構造

図2−3−24老人保健制度の構造

 医療保険制度については近年、急速な高齢化、経済の低迷、医療技術の進歩、国民の意識の変化など、医療制度を取り巻く環境が大きく変化する中で、将来にわたり、医療制度を持続可能な制度へと再構築していくために、その構造的な改革が求められていた。このため、政府・与党一体となって医療制度改革が議論され、第154回国会において、健康保険法等の一部を改正する法律(平成14年法律第102号)が成立した。
 高齢者医療制度についての改正の主な内容は以下のとおりであり、平成14年10月より施行されている。
1) 現役世代の負担との均衡を図る観点から、高齢者の患者負担について定率1割負担(一定以上の所得を有する者に関しては2割負担)を徹底すると共に、低所得者に特に十分な配慮を行いつつ、自己負担限度額等を見直した(表2−3−25)。

 
表2−3−25 自己負担限度額等の見直し(70歳以上の高齢者)(月額)

表2−3−25自己負担限度額等の見直し(70歳以上の高齢者)(月額)

2) 後期高齢者に施策を重点化する観点から、老人医療の対象年齢を70歳以上から75歳以上に引き上げると共に、老人医療費に係る公費負担の割合を3割から5割に5年間で段階的に引き上げることとした(図2−3−26)。

 
図2−3−26 老人医療の対象年齢及び公費負担割合の引上げ
〜拠出金の負担を軽減〜

図2−3−26老人医療の対象年齢及び公費負担割合の引上げ

 

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