第1章 高齢化の状況(第3節 1(1))

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第3節 人口減少社会における高齢者の能力発揮

1 企業における就業

(1)「団塊の世代」の退職の影響

企業調査によると、「団塊の世代」の退職による生産、販売等の企業活動への影響については「特に影響はない」が43.8%と最も多く、次いで「多少ある」が39.8%、「かなりある」が9.2%となっており、49.0%の企業が何らかの影響があるとみている(図1-3-1)。

図1-3-1 「団塊の世代」の退職の企業活動への影響の有無

より具体的な影響についてみると、まず「労務コストの軽減効果」については「多少ある」と「かなりある」が合わせて67.5%を占める。

「年齢構成の若返りの影響」は「どちらかといえば、組織が活性化する」とポジティブな評価が44.6%を占め、「どちらかといえば、企業活力が低下する」というネガティブな評価(8.9%)を上回っている。

「管理・指導者層の確保への懸念」、「専門・技術者層の確保への懸念」については、「多少ある」、「かなりある」がそれぞれ56.1%、55.5%と過半数を占め、「特に懸念はない」が4割弱となっている。

「技術・技能の伝承」については、「特に変化はない」が48.4%と最も多いが、それとほぼ拮抗して「多少困難化する」と「かなり困難化する」が合わせて46.1%を占めている。

以上のように、「団塊の世代」の退職が与える企業活動への影響については、多くの企業は、コスト軽減や組織の活性化という面では肯定的にとらえており、その背景としては、「団塊の世代」層の人員数の多さに加え、年功的な賃金・処遇システムの存在があると考えられる。

一方で、管理・指導者層の確保、専門・技術者層の確保、技術・技能の伝承といった面では懸念を抱いている企業も多い。その背景としては、近年の経済環境の下で、採用が抑制され、後世代への円滑な継承を意識した人員配置や能力開発が必ずしも計画的に行われなかったことが考えられ、より若い世代への円滑な技術・技能の継承の移転等は大きな課題といえる(図1-3-2)。

図1-3-2 「団塊の世代」の退職による影響(具体的内容)

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