第2章 高齢社会対策の実施の状況(第2節 2(1))

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第2節 高齢社会対策の動き

2 高齢社会対策の総合的な推進のための政策研究

(2)「第6回 高齢者の生活と意識に関する国際比較調査」

ア 目的

第1章でみたように、少子・高齢化が急速に進行し、さらに総人口も減少に転ずるなど、高齢社会を取り巻く環境は急速に変化している。

このような中で、これからの高齢社会対策の在り方に係る検討に資するため、国内の高齢者のみならず、諸外国の高齢者について、その生活と意識に関する調査を実施した。

イ 調査概要

本調査は、昭和55年に第1回を実施して以来5年毎に調査を行っており、今回が第6回目の調査である。今回の調査対象国は日本、アメリカ、韓国、ドイツ、フランスの5か国で、60歳以上の男女(施設入所者を除く。)を調査対象として、平成17年12月~18年1月に実施した。

ウ 調査結果

(ア)生活費のうち主な収入源

生活費のうち主な収入源についてみると、日本では「公的な年金」を挙げる者が昭和55年度には34.9%と「仕事による収入」(31.3%)と同程度であったが、この割合は上昇を続け、平成17年度では7割を超えた(73.9%)。

一方、「仕事による収入」を挙げる者は減少を続け、平成17年度では17.7%となっている(図2-2-10)。

図2-2-10 生活費のうち主な収入源(日本)

これを各国と比較すると、今回調査では、日本はドイツと同様の状況となっている。一方、韓国では「仕事による収入」を挙げる者が35.4%、「子どもなどからの援助」を挙げる者が37.3%と、ともに3割を超えるのが特徴的である(図2-2-11)。

図2-2-11 生活費のうち主な収入源(国際比較)

(イ)「老後の生活」における生活費の賄い方

日本についてみると、「働けるうちに準備」が47.6%、「社会保障など公的な援助」が43.6%で、同程度となっている。また、過去の調査結果と比較すると「社会保障など公的な援助」が上昇傾向にあり、「働けるうちに準備」が低下傾向にある(図2-2-12)。

図2-2-12 「老後の生活」における生活費の賄い方(日本)

また、各国と比較すると、日本とアメリカでは、「働けるうちに準備」と「社会保障など公的な援助」が同程度となっている一方、韓国、ドイツ、フランスでは、「社会保障などの公的な援助」が5割を超えている(図2-2-13)。

図2-2-13 「老後の生活」における生活費の賄い方(国際比較)

(ウ)子どもや孫との付き合い方、家族・親族の中での高齢者の役割

子や孫との付き合い方について時系列でみると、子どもや孫とは「いつも一緒に生活できるのがよい」の割合が低下する一方で、「ときどき会って食事や会話をするのがよい」の割合が上昇し、平成18年において両者の割合が逆転するなど、以前に比べると、より密度の薄い付き合い方でもよいと考える高齢者が増えていることがうかがえる(前掲図1-2-9)。

一方で、各国と比較すると、より密度の濃い付き合い方を望む者の割合が日本や韓国では相対的に高くなっている(図2-2-14)。

図2-2-14 子どもや孫との付き合い方(国際比較)

家族や親族の中での高齢者の役割についてみると、男性の場合、「家計の支え手」(41.2%)、「家族や親族関係の中の長」(38.9%)としての役割を持つ者が多く、女性の場合、「家事を担っている」(74.1%)とする者が多い(前掲図1-2-10)。

(エ)ボランティア活動等の社会活動への参加状況

福祉や環境を改善することなどを目的としたボランティア活動その他の社会活動への参加状況についてみると、参加経験があると回答した者(「現在、何らかの活動に参加」と「以前参加、今は不参加」の計)は、日本は46.6%で、調査対象の5か国の中では、アメリカ、ドイツに次いで3番目となっている(図2-2-15)。

図2-2-15 社会参加活動への参加状況

社会活動不参加者における不参加の理由としては、日本では、「健康上の理由、体力に自信がない」(33.9%)が最も高く、次いで「時間的・精神的ゆとりがない」(22.4%)、「やりたい活動がみつからない」(11.1%)などとなっている。一方、「関心がない」は18.3%で、調査対象の5か国の中で最も低い(図2-2-16)。

図2-2-16 社会参加活動への不参加理由

(オ)政策全般における高齢者や若い世代に対する対応

今後の政策全般における高齢者や若い世代に対する対応については、日本は、「高齢者をもっと重視すべき」が40.7%、「若い世代をもっと重視すべき」が26.1%となっている。各国と比較した場合、フランスと並んで、相対的に「高齢者をもっと重視すべき」とする割合が低く、「若い世代をもっと重視すべき」とする割合が高い結果となっている(図2-2-17)。

図2-2-17 政策全般における高齢者や若い世代に対する対応

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