第1章 高齢化の状況(第2節2(2))
第2節 高齢者の姿と取り巻く環境の現状と動向
2 高齢者の経済状況
(2)高齢者世帯間の所得格差は大きいが、社会保障給付などの再分配により改善
高齢者世帯(65歳以上の者のみで構成するか、又はこれに18歳未満の未婚の者が加わった世帯)の年間所得(平成17(2005)年の平均所得)は301.9万円となっており、全世帯平均(563.8万円)の半分強であるが、世帯人員一人当たりでみると、高齢者世帯の平均世帯人員が少ないことから、189.0万円となり、全世帯平均(205.9万円)との間に大きな差はみられなくなる。
また、高齢者世帯の所得を種類別にみると、「公的年金・恩給」が211.9万円(総所得の70.2%)で最も多く、次いで「稼働所得」54.5万円(同18.0%)となっている。
なお、高齢者世帯の世帯人員一人当たりの平均所得金額の推移をみると、平成8(1996)年は206.6万円であったものが12(2000)年には203.6万円、17(2005)年には189.0万円と若干減少している(表1-2-14)。
区分 | 平均所得金額 | |||
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一世帯当たり | 世帯人員一人当たり(平均世帯人員) | |||
高齢者世帯 | 総所得 | 301.9万円 | 189.0万円(1.60人) | |
稼働所得 | 54.5万円 | (18.0%) | ||
公的年金・恩給 | 211.9万円 | (70.2%) | ||
財産所得 | 15.7万円 | (5.2%) | ||
年金以外の社会保障給付金 | 2.5万円 | (0.8%) | ||
仕送り・その他の所得 | 17.2万円 | (5.7%) | ||
全世帯 | 総所得 | 563.8万円 | 205.9万円(2.74人) | |
資料:厚生労働省「国民生活基礎調査」(平成18年)(同調査における平成17年1年間の所得) | ||||
(注1)高齢者世帯とは、65歳以上の者のみで構成するか、又はこれに18歳未満の未婚の者が加わった世帯をいう。 | ||||
(注2)財産所得とは以下のものをいう。 | ||||
ア 家賃・地代の所得 | ||||
世帯員の所有する土地・家屋を貸すことによって生じた収入(現物給付を含む。)から必要経費を差し引いた金額 | ||||
イ 利子・配当金 | ||||
世帯員の所有する預貯金、公社債、株式などによって生じた利子・配当金から必要経費を差し引いた金額(源泉分離課税分を含む。) |
高齢者世帯の年間所得の分布をみると、「100~200万円未満」が27.1%で最も多く、次いで、「200~300万円未満」が18.5%、「300~400万円未満」が16.9%、「100万円未満」が15.7%と続いている。年間所得「300万円未満」の世帯の割合は、全世帯では約3割であるのに対し、高齢者世帯では約6割を占めており、所得の低い世帯の割合が高くなっている(図1-2-15)。
図1-2-15 高齢者世帯の年間所得の分布
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また、生活保護を受けている者のうち65歳以上の者は39.8%を占めており、その中で65歳以上の単身世帯が28.5%、65歳以上の女性の単身世帯は16.8%を占めている(表1-2-16)。
平成18年 | 平成17年 | ||||||
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総数 | 65歳以上 | うち単身世帯 | 総数 | 65歳以上 | うち単身世帯 | ||
人員(人) | 総数 | 1,474,737 | 587,252 | 420,092 | 1,433,227 | 555,096 | 394,513 |
男 | 683,759 | 245,901 | 171,602 | 664,495 | 230,540 | 158,939 | |
女 | 790,978 | 341,351 | 248,490 | 768,732 | 324,556 | 235,574 | |
割合(%) | 総数 | 100.0 | 39.8 | 28.5 | 100.0 | 38.7 | 27.5 |
男 | 46.4 | 16.7 | 11.6 | 46.4 | 16.1 | 11.1 | |
女 | 53.6 | 23.1 | 16.8 | 53.6 | 22.6 | 16.4 | |
資料:厚生労働省「被保護者全国一斉調査(基礎調査)」 |
また、65歳以上の人口に占める生活保護者の割合をみると増加傾向にある(図1-2-17)。
図1-2-17 65歳以上人口に占める生活保護者の割合
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高齢者の所得格差の状況をジニ係数でみると、平成17(2005)年の調査において一般世帯では当初所得のジニ係数が0.4252であるのに対して、高齢者世帯では0.8223となっており、高齢者間の所得格差が大きいことがわかる。再分配所得のジニ係数でみると、一般世帯が0.3618であるのに対して高齢者世帯は0.4129となっており、社会保障給付などの所得再分配の影響で格差は小さくなるものの、一般世帯と比べて格差が大きくなっている(表1-2-18)。
一般世帯 | 高齢者世帯 | ||
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当初所得(万円) | 578.2 | 84.8 | |
可処分所得(万円) | 536.8 | 261.3 | |
再分配所得(万円) | 605.8 | 370.7 | |
ジニ係数 | 当初所得 | 0.4252 | 0.8223 |
再分配所得 | 0.3618 | 0.4129 | |
ジニ係数の改善度 | |||
再分配による改善度 | |||
社会保障による改善度 | 税による改善度 | ||
平成5年 | 17.0 | 12.7 | 5.0 |
平成8年 | 18.3 | 15.2 | 3.6 |
平成11年 | 19.2 | 16.8 | 2.9 |
平成14年 | 23.5 | 20.8 | 3.4 |
平成17年 | 26.4 | 24.0 | 3.2 |
(注1)ジニ係数とは、分布の集中度あるいは不平等度を示す係数で、0に近づくほど平等で、1に近づくほど不平等となる。 | |||
(注2)「再分配所得」とは、当初所得から税金、社会保険料を控除し、社会保障給付(現物、現金)を加えたもの。 | |||
資料:厚生労働省「所得再分配調査」(平成17年) |
社会保障給付などの所得再分配によるジニ係数の改善度は、平成5年以降調査ごとに大きくなっている。