平成22年度 高齢社会対策(第2 1(2))
第2 分野別の高齢社会対策
1 就業・所得
(2)勤労者の生涯を通じた能力の発揮
ア 勤労者の職業生活の全期間を通じた能力の開発
「職業能力開発促進法」(昭和44年法律第64号)及び同法に基づく「職業能力開発基本計画」の策定により、経済社会の活力の維持・向上の観点等から、雇用労働者のみならず、ニート状態にある者、出産・育児等により職業キャリアを中断している者、職業生活からの引退過程にある高齢者等、職業キャリアの準備期、発展期及び円熟期の各段階に応じた職業キャリア形成支援政策を引き続き進めていく。
イ ゆとりある職業生活の実現等
仕事と生活の調和の実現のため、長時間労働の抑制、年次有給休暇の取得促進に取り組むなど、社会全体で働き方の改革を進めている。
今後の景気の回復期においても長時間労働を抑制し、また、休暇取得促進を図る観点から、中小企業事業主に対する助成措置を拡充するなど、これらの取組を自主的に進める企業等に対する支援の充実を図る。
ウ 雇用・就業における女性の能力発揮
男女雇用機会均等の更なる推進を図るため、「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」(昭和47年法律第113号)に沿った男女均等取扱いが徹底されるよう指導等を行うとともに、事業主と労働者の間に紛争が生じた場合には円滑かつ迅速な解決が図られるよう援助を行う。また、企業における実質的な男女均等取扱いを確保するため、男女労働者間に事実上生じている格差を解消するための企業の自主的かつ積極的取組(ポジティブ・アクション)を促進する。
また、「食料・農業・農村基本計画」(平成22年3月閣議決定)等を踏まえ、女性が対等なパートナーとして、男性と共に農林水産業経営及びそれに関連する活動に参画していくことのできる社会の実現に向けた施策を実施する。
エ 職業生活と家庭生活との両立支援対策の推進
(ア)改正育児・介護休業法の円滑な施行
子育て期の短時間勤務制度の義務化等を内容とする改正育児・介護休業法が、平成22年6月30日から本格施行されることを踏まえ、その円滑な施行に万全を期す。
(イ)職業生活と家庭生活との両立支援事業
職業生活と家庭生活との両立支援事業として、育児休業・介護休業を取得しやすく職場復帰しやすい環境の整備、育児や介護を行う労働者が働き続けやすい環境の整備を行う。
オ 多様な勤務形態の環境整備
(ア)多様な働き方を選択できる環境の整備
パートタイム労働者がその能力を一層有効に発揮することができる雇用環境を整備するため、「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律」(平成5年法律第76号)に基づき、事業主への相談・支援や行政指導等を実施するとともに、パートタイム労働者の均衡待遇の確保等に取り組む事業主等に対して助成金を支給する等、通常の労働者との均衡のとれた待遇の確保のための取組を推進する。
また、育児・介護や地域活動など個々人のライフスタイルやライフステージに応じた働き方を実現させるものとして期待される「短時間正社員制度」については、制度を導入した事業主に対して助成金を支給するほか、企業の人事担当者等を対象に制度の導入・運用を支援するセミナーの実施等により、その導入促進及び定着を図る。
(イ)情報通信を活用した遠隔型勤務形態の開発・普及
テレワークは、高齢者の就業機会の拡大及び高齢者の積極的な社会への参画を促進する有効な働き方と期待されている。
平成22年までにテレワーカーを就業者人口の2割とする目標の実現に向けて策定した、「テレワーク人口倍増アクションプラン」(平成19年5月テレワーク推進に関する関係省庁連絡会議決定、IT戦略本部了承)の着実・迅速な実施のため、産学官からなる「テレワーク推進フォーラム」と連携し、セミナーの開催等によるテレワークの普及活動を行う。
また、テレワーク人口実態調査の実施により、アクションプランの目標達成状況やテレワーカーの働き方の実態等を把握するとともに、テレワーク推進に資する施策の検討を行い、テレワークの普及を一層促進する。
また、機器や場所の制約なく、中小企業等がテレワークを容易に導入できるテレワークシステムの検証、テレワークによる環境負荷低減効果の検証の実施、テレワーク導入のために設置される電気通信設備に係る課税標準の特例措置による支援等に取り組む。
さらに、在宅勤務ガイドラインの周知・啓発、テレワーク相談センターでの相談活動や、事業主・労働者等を対象とした「テレワーク・セミナー」の開催等により、引き続き適正な労働条件の下でのテレワークの普及を図ることとしている。
また、総務省など複数の省庁で、国家公務員テレワークの一層の推進を図る。