平成23年度 高齢社会対策

第1 平成23年度の高齢社会対策

1 高齢社会対策関係予算

高齢社会対策を、就業・所得、健康・福祉、学習・社会参加、生活環境、調査研究等の推進の各分野にわたり着実に実施する。

一般会計予算における平成23年度の高齢社会対策の関係予算は、18兆861億円であり、各分野別では、就業・所得10兆8,872億円、健康・福祉7兆1,645億円、学習・社会参加131億円、生活環境65億円、調査研究等の推進148億円となっている。

2 高齢社会対策の推進

平成23年度における主な施策は次のとおりである。


(1)総合的な推進のための取組

○社会保障改革の推進について

平成22年12月の閣議決定「社会保障改革の推進について」において、「社会保障の安定・強化のための具体的な制度改革案とその必要財源を明らかにするとともに、必要財源の安定的確保と財政健全化を同時に達成するための税制改革について一体的に検討を進め、その実現に向けた工程表とあわせ、23年半ばまでに成案を得」ることとされた。

平成23年2月に設置された「社会保障改革に関する集中検討会議」では、社会保障改革の考え方等の総論的事項や、医療・介護、子ども・子育て、年金、貧困・格差対策等個別分野に関する論点について、経済・労働団体や新聞各社、各分野の有識者等から幅広く意見を伺う公開ヒアリング等を実施し、インターネット中継による議事の公開等を通じて、議論の内容を国民の皆様に積極的に発信している。こうした公開ヒアリングの結果等を踏まえ、さらに議論を進め、同閣議決定にしたがって、6月末までに、社会保障・税一体改革の成案を得ることとしている。

また、社会保障・税に関わる番号制度については、同閣議決定において、「国民的な議論を経て、来秋以降、可能な限り早期に関連法案を国会に提出できるよう取り組む」こととされたことを踏まえ、平成23年6月には「社会保障・税番号大綱(仮称)」を取りまとめ、秋以降、可能な限り早期に「番号法(仮称)」案及び関係法律の改正法案を提出することとしている。


(2)就業・所得

○「今後の高年齢者雇用に関する研究会」の開催

平成22年11月より、今後の高年齢者の雇用・就業機会の確保のための総合的な対策を検討することを目的として「今後の高年齢者雇用に関する研究会」を開催し、<1>希望者全員の65歳までの雇用確保策、<2>年齢に関わりなく働ける環境の整備、を中心として調査・検討を行う。


○個人のライフスタイルの選択に中立的な公的年金制度の構築

年金制度改革については、年金制度を例外なく一元化し、すべての人が「所得が同じなら同じ保険料」を負担し、納めた保険料を基に受給額を計算する「所得比例年金」の創設などを骨格とする新たな年金制度について、国民的な議論を行って、平成25年の国会に所要の法案を提出することとしている。

今後、平成22年12月の閣議決定「社会保障改革の推進について」を踏まえ、23年半ばまでに具体的な制度改革案を明らかにするとともに必要財源の安定的確保と財政健全化を同時に達成するための税制改革の方針を示すこととしており、新たな年金制度についてもこの枠組みに沿って検討を進める。


○日本年金機構による適切な運営と年金記録問題への対応

年金記録問題への対応については、紙台帳検索システムによる紙台帳等とコンピュータ記録の突合せ、インターネットでの記録確認をより使いやすいものとした「ねんきんネット」サービスの充実、年金通帳に関する調査の実施などの取組を進める。


(3)健康・福祉

○「地域包括ケアシステム」の構築

平成22年11月30日にとりまとめられた社会保障審議会介護保険部会による「介護保険制度の見直しに関する意見」を踏まえ、平成24年度から始まる第5期介護保険事業計画に向けて、日常生活圏域において医療、介護、予防、住まい、生活支援サービスが切れ目なく、有機的かつ一体的に提供される「地域包括ケアシステム」の実現のためのさらなる取組を図ることを内容とした「介護サービスの基盤化のための介護保険法等の一部を改正する法律(案)」を第177回通常国会において提出したところである。また、平成24年の介護と医療の同時報酬改定に向けて、社会保障審議会介護給付費分科会において検討を行う。


○地域の支え合いによる生活支援の推進

地域福祉等推進特別支援事業において、高齢者等の地域社会における今日的課題の解決を目指す先駆的・試行的取組を行う自治体等への支援を行う。

また、高齢者も含む一人暮らし世帯等が地域において安心して暮らすことができるよう、見守り活動等への支援を行う安心生活創造事業を実施する。


○新たな高齢者医療制度の検討

後期高齢者医療制度に代わる新たな制度については、「高齢者のための新たな医療制度等について(最終とりまとめ)」(平成22年12月20日高齢者医療制度改革会議)を踏まえ、引き続き、幅広く関係者の意見を聞きながら、制度改革の実現に向けて取り組んでいくこととしている。


○地域における包括的かつ継続的な在宅医療の提供

在宅医療提供機関等を連携拠点として、地域の医師、歯科医師、看護師、薬剤師、社会福祉士などの多職種協働による在宅医療の支援体制を構築し、今後の在宅医療に関する政策立案や均てん化などに資することを目的とするとともに、地域における包括的かつ継続的な在宅医療の提供を目指していく。


(4)学習・社会参加

○「新しい公共」推進会議

官だけでなく、市民、NPO、企業などが積極的に公共的な財・サービスの提供主体となり、身近な分野において、共助の精神で活動する「新しい公共」の推進について、「新しい公共」円卓会議からの提案に対する政府の対応をフォローアップし、結果を踏まえた提案を行うとともに、「新しい公共」と行政の関係の在り方などNPO等の活動基盤整備について検討を行う。


○地域活性化・雇用促進資金(社会貢献型事業関連)

地域活性化・雇用促進資金(社会貢献型事業関連)の活用により、ソーシャルビジネス事業者の資金調達ニーズに対しては、民間金融を補完しつつ、日本政策金融公庫を通じてソーシャルビジネス事業者に対する融資を実施することで資金調達の円滑化に向けた環境整備を進め、事業活動の促進を目指す。


(5)生活環境

○良質な民間賃貸住宅の供給促進

高齢者が安心して暮らすことができる住まいの確保に向け、平成23年4月に「高齢者の居住の安定確保に関する法律等の一部を改正する法律」が公布されたところであり、介護・医療と連携して、「サービス付き高齢者向け住宅」の登録制度を創設することとしている。このサービス付き高齢者向け住宅の供給促進のため、整備費に対する補助、税制の特例、住宅金融支援機構による融資を合わせて支援を行う。


○公共交通機関、建築物、道路等のバリアフリー化

「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」(平成18年法律第91号)に基づき、公共交通機関、建築物、道路等のバリアフリー化を実施している。


○振り込め詐欺や悪質商法による被害防止

あらゆる法令を活用するなどして、オレオレ詐欺に重点指向した取締活動を強化するとともに、高齢者等に焦点を絞った広報啓発活動、関係機関等と連携した官民一体となった予防活動を推進する。また、高齢者を狙う悪質商法等の取締り及び被害防止対策を推進する。なお、今回の東日本大震災に絡み、義援金等名目の詐欺が増加する恐れがあるため、注意を呼びかける。


○災害時等における要援護者への瞬時の文字情報伝達手法の開発

自然災害情報や国民保護情報といった緊急情報を瞬時に住民に伝達するシステム(J−ALERT)は現在は音声のみの伝達となっていることから、高齢者、聴覚障害者等の災害時要援護者向けに、瞬時に文字情報で伝達できるような新たな試験装置を開発し、実証実験を行う。


○東日本大震災への対応

厚生労働省では、被災した高齢者が適切な介護サービスを受けられるようにするため、都道府県・関係団体と一体となって、<1>被災地以外での施設での受入可能人数、被災地への介護職員等の派遣可能人数の情報収集、<2>被災地での施設受入及び介護職員等の派遣要請の集約、<3>両者のマッチングを進めている。

また、介護施設等において、<1>入所者の定員超過利用を認め、<2>その際の介護報酬の減額を行わないこと、<3>人員・設備・運営基準等について柔軟な取扱を可能とすることを周知し、近隣自治体への受入が円滑に進むよう関係自治体に要請している。

社会福祉施設の空きスペースなどを福祉避難所として提供するよう関係各団体に依頼をしている。

あわせて、応急仮設住宅地域における、総合相談、デイサービス等の居宅サービス、生活支援サービス、地域交流などの総合的な機能を有する「サポート拠点」の整備に係る予算を計上した。

さらに、介護保険の被保険者証を消失等により提示できない場合でも、氏名・住所・生年月日を申し出ることで被保険者証を提示したときと同様の介護サービスを受けることができるようにした。加えて、被災地域の住民で財産に著しい損害を受けた者等については、介護サービスの利用者負担や介護保険施設等の食費・居住費を減免することとし、介護保険料についても、市町村に対して減免及び徴収の猶予を働きかけた。これらの市町村が負担した減免分については、国による財政支援措置を行うこととしている。

年金に関しては、被災により、通帳、印鑑等を紛失した年金受給者であっても、本人確認のできるものを金融機関窓口へ持参すれば、年金の受給ができるようにするとともに、被災地の事業主への厚生年金保険料等の納付期限の延長を行う。

日本司法支援センター(法テラス)では、震災に起因する法的トラブルを抱え、経済的・精神的に不安定な状況に陥っている被災者を支援するため、生活再建に役立つ法制度等の情報提供を行う。また、被災地に弁護士を派遣して法律相談等を実施するほか、平成22年度から日本弁護士連合会や各地の弁護士会と共催で行っている弁護士による無料電話相談を引き続き実施するとともに、新たに、日本司法書士会連合会及び各地の司法書士会と共催で、司法書士による無料電話相談を実施する。


(6)調査研究等の推進

○課題解決型医療機器の開発・改良に向けた病院・企業間の連携支援

<1>医療現場からのニーズが高く、課題解決に資する研究課題の選定、<2>地域の特色あるものづくり技術(切削、精密加工、コーティング等)を有する中小企業等と、それらの課題を有する医療機関や研究機関等とが連携した「医工連携」による医療機器の開発・改良、<3>臨床評価、実用化までの一貫した取組、を行い、我が国における医療の質の向上と、ものづくり産業の持続的発展を実現する。


○脳の仕組みを活かした技術開発の推進

脳の仕組みを活かし、日常生活における行動・コミュニケーション支援において必要となる簡単な動作や方向、感情などを「強く念じる」ことでロボット及びコミュニケーション支援機器等に伝えることを日常的に可能とする技術の研究開発を推進する。


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