第2章 高齢社会対策の実施の状況(第3節2(2))

[目次]  [前へ]  [次へ]

第3節 分野別の施策の実施の状況

2 健康・福祉

(2)介護保険制度の着実な実施

介護保険制度については、平成12年4月に施行されてから10年を経過したところであるが、介護サービスの利用者数はスタート時の2倍を超えるなど、高齢期の暮らしを支える社会保障制度の中核として確実に機能しており、少子高齢社会の日本において必要不可欠な制度となっているといえる(表2-3-8)。

表2-3-8 介護サービス利用者と介護給付費の推移
  利用者数 介護給付費
平成12年4月 平成15年4月 平成18年4月 平成20年4月 平成21年4月 平成22年4月 平成12年4月 平成15年4月 平成18年4月 平成20年4月 平成21年4月 平成22年4月
居宅(介護予防)サービス 97万人 201万人 255万人 269万人 278万人 289万人 618億円 1,825億円 2,144億円 2,469億円 2,655億円 2,678億円
地域密着型(介護予防)サービス 14万人 21万人 23万人 25万人 283億円 401億円 445億円 460億円
施設サービス 52万人 72万人 79万人 83万人 83万人 84万人 1,571億円 2,140億円 1,985億円 2,079億円 2,141億円 2,047億円
合計 149万人 274万人 348万人 372万人 384万人 398万人 2,190億円 3,965億円 4,411億円 4,949億円 5,241億円 5,185億円
資料:厚生労働省「介護保険事業状況報告」
(注)端数処理の関係で、合計の数字と内訳数が一致しない場合がある。
地域密着型(介護予防)サービスは、平成17年の介護保険制度改正に伴って創設された。

17年に行われた介護保険制度の改正においては、予防重視型システムへの転換、施設入所者の居住費・食費の見直し、新たなサービス体系の確立、サービスの質の向上等を内容とした「介護保険法等の一部を改正する法律」(平成17年法律第77号)が18年4月から施行(一部を除く。)された。
また、一部の広域的な介護サービス事業者による悪質かつ組織的な不正事案が発生したことを受けて、このような不正事案を防止し、介護事業運営の適正化を図るため、介護サービス事業者に対する規制の在り方について見直すことを内容とした「介護保険法及び老人福祉法の一部を改正する法律」(平成20年法律第42号)が20年5月に成立し、21年5月から施行された。
さらに、近年の介護サービスを巡っては、介護従事者の離職率が高く、人材確保が困難であるといった状況にあるため、第169回国会で「介護従事者等の人材確保のための介護従事者の処遇改善に関する法律」(平成20年法律第44号)が成立したところである。こうした状況を踏まえ、21年4月にプラス3.0%の介護報酬改定を行い、さらに、21年度第一次補正予算において、介護職員(常勤換算)1人当たり平均月額1.5万円の賃金引き上げに相当する介護職員処遇改善交付金を創設した。平成22年度においても同交付金の活用等により引き続き介護従事者の処遇改善を図った。
22年11月30日には、社会保障審議会介護保険部会において、平成24年度から始まる第5期介護保険事業計画に向けて、「地域包括ケア」の確立を内容とした「介護保険制度の見直しに関する意見」がとりまとめられた。これらを踏まえ、高齢者が可能な限り住み慣れた地域でその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、定期巡回・随時対応型訪問介護看護等の新たなサービス類型の創設、保険料率の増加の抑制のための財政安定化基金の取崩し、介護福祉士等による喀痰吸引等の実施等の措置を講ずることを盛り込んだ「介護サービスの基盤強化のための介護保険法等の一部を改正する法律案」を平成23年3月11日に閣議決定し、4月5日に第177回国会に提出したところ。

[目次]  [前へ]  [次へ]