平成23年度 高齢社会対策(第2 2(2))

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第2 分野別の高齢社会対策

2 健康・福祉

(2)介護保険制度の着実な実施

一部の広域的な介護サービス事業者による悪質かつ組織的な不正事案が発生したため、このような不正事案を防止し、介護事業運営の適正化を図るため、介護サービス事業者に対する規制の在り方について見直すことを内容とした「介護保険法及び老人福祉法の一部を改正する法律」(平成20年法律第42号)が20年5月に成立し、21年5月から施行されており、引き続き、その円滑な施行を図る。
さらに、近年の介護サービスを巡っては、介護従事者の離職率が高く、人材確保が困難であるといった状況にあるため、第169回国会で「介護従事者等の人材確保のための介護従事者の処遇改善に関する法律」(平成20年法律第44号)が成立したところ。こうした状況を踏まえ、21年4月にプラス3.0%の介護報酬改定を行い、さらに、21年度第一次補正予算において、介護職員(常勤換算)1人当たり平均月額1.5万円の賃金引き上げに相当する介護職員処遇改善交付金を創設したところである。引き続き、これらの取組を着実に実施し、介護従事者の処遇改善を図る。
22年11月30日にとりまとめられた社会保障審議会介護保険部会による「介護保険制度の見直しに関する意見」において、要介護度が重くなっても、介護を必要とする高齢者が住みなれた地域で自立して生活できるよう、日常生活圏域において、医療、介護、予防、住まい、生活支援サービスが切れ目なく、有機的かつ一体的に提供される「地域包括ケアシステム」の構築を目指す必要があるとされた。これを踏まえ、24年度から始まる第5期介護保険事業計画に向けて、「地域包括ケアシステム」の実現のためのさらなる取組を図ることを内容とした「介護サービスの基盤化のための介護保険法等の一部を改正する法律(案)」を第177回通常国会において提出したところである。また、24年の介護と医療の同時報酬改定に向けて、社会保障審議会介護給付費分科会において検討を行う。

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