第1章 第2節 6 (5)高齢者の日常生活
第2節 高齢者の姿と取り巻く環境の現状と動向
6 高齢者の生活環境
(5)高齢者の日常生活
ア 生きがいを感じている人は約8割
60歳以上の高齢者が生きがいをどの程度感じているかについて見てみると、「十分に感じている」と「多少感じている」を合わせて8割を超えている。男女別には、「十分に感じている」人の割合は女性(42.4%)に比べて男性(34.8%)が低くなっている(図1-2-6-12)。
イ 今後、毎日の生活を充実させて楽しむことに力を入れたい人が増加
内閣府「国民生活に関する世論調査」(平成23年)によると、今後の生活で「貯蓄や投資など将来に備えること」よりも「毎日の生活を充実させて楽しむこと」に力を入れたい人の割合は、60~69歳は78.1%、70歳以上は84.8%であり、59歳以下の各層が平成14(2002)年以降、概ね横ばいまたは減少傾向であるのに対して、60歳以上の各層は増加傾向にある(図1-2-6-13)。
ウ 一人暮らしの男性に、人との交流が少ない人や頼れる人がいない人が多い
60歳以上の高齢者の会話の頻度(電話やEメールを含む)をみてみると、全体では毎日会話をしている者が9割を超えるものの、一人暮らし世帯については、「2~3日に1回」以下の者も多く、男性の単身世帯で28.8%、女性の単身世帯で22.0%を占める(図1-2-6-14)。
近所づきあいの程度は、全体では「親しくつきあっている」が51.0%で最も多く、「あいさつをする程度」は43.9%、「つきあいがほとんどない」は5.1%となっている。性・世帯構成別に見ると、一人暮らしの男性は「つきあいがほとんどない」が17.4%と高く、逆に一人暮らしの女性は「親しくつきあっている」が60.9%と最も高くなっている(図1-2-6-15)。
また、病気のときや、一人ではできない日常生活に必要な作業(電球の交換や庭の手入れなど)の手伝いについて、「頼れる人がいない」者の割合は、全体では2.4%であるが、一人暮らしの男性では20.0%にのぼる(図1-2-6-16)。
エ 孤立死と考えられる事例が多数発生している
誰にも看取られることなく息を引き取り、その後、相当期間放置されるような「孤立死(孤独死)」の事例が報道されているが、死因不明の急性死や事故で亡くなった人の検案、解剖を行っている東京都監察医務院が公表しているデータによると、東京23区内における一人暮らしで65歳以上の人の自宅での死亡者数は、平成22(2010)年に2,913人となっている(図1-2-6-17)。
また、(独)都市再生機構が運営管理する賃貸住宅約76万戸において、単身の居住者で死亡から相当期間経過後(1週間を超えて)に発見された件数(自殺や他殺などを除く)は、平成22(2010)年度に184件、65歳以上に限ると132件となり、20(2008)年度に比べ全体で約2割、65歳以上では約5割の増加となっている(図1-2-6-18)。
オ 孤立死(孤独死)を身近な問題と感じる人は4割を超える
誰にも看取られることなく、亡くなったあとに発見されるような孤立死(孤独死)を身近な問題だと感じる(「非常に感じる」と「まあまあ感じる」の合計)人の割合は、60歳以上の高齢者の4割を超え、単身世帯では6割を超えている(図1-2-6-19)。