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コラム2 シニアのICT(情報通信技術)利用促進の取組

総務省が実施している「通信利用動向調査」(平成22(2010)年)によると、インターネットを利用している高齢者は増加傾向にあるものの、利用率は70歳代で約4割、80歳以上では約2割に留まっている。こうした状況のなか、インターネットをはじめとしたICT(Information and Communication Technology)の利用促進により、地域の活性化等を目指す取組が生まれている。

佐賀県は、平成20(2008)年5月に「さがICTビジョン2008」を策定し、「ICTに支えられた豊かなくらし」の実現に向けた取組を行っている。21(2009)年には、この取組の一環として、大手IT企業や県内の市民団体と協力し、「地域活性化協働プログラム」を実施した。この中で、パソコンやインターネットの便利さや快適さを伝える「ICTセミナー」、パソコン教室等の講師を養成する「ICTリーダー養成講座」等が実施され、リーダー養成講座を受講したシニアによるシニア向けのパソコン教室も開かれた。受講者からは、「これからの暮らしが楽しくなるようで、わくわくした」、「子供の家族と、テレビ電話をぜひ楽しんでみたい」、「シニアから教わる方がわかりやすい、学習しやすい」という感想が寄せられたという。また、佐賀県は、有効な情報発信手段を持たない自治会や市民団体等の活動を、ICT活用により活性化させるため、県内の50団体の関係者を集めて、会議運営ノウハウやPR文書のつくり方、ICT利活用のための講座等も開催した。この講座が交流の場ともなり、これまでになかった新しいつながりを生み出している。

また、ICT利用促進の取組は、東日本大震災の被災地でも行われている。特定非営利活動法人「NPO事業サポートセンター」は、平成23(2011)年4月上旬から文部科学省と連携し、岩手県の沿岸部にボランティアを派遣してきた。ここで、情報発信手段をもたない地域で支援が遅れていたり、設置されているIT機器が十分に活用されていない避難所等があることがわかり、同センターでは、民間企業や財団法人高度映像情報センターが運営する「霞が関ナレッジスクエア」等の協力を得て学生や社会人の「復興支援ITボランティア」を派遣し、ICTを利用した被災地の情報発信や情報収集を支援してきた。また、ICTは仮設住宅に住む高齢者の孤立防止や生きがいづくりにも役立つと期待されており、震災前からシニア向けのパソコン教室を開いていた地元の市民団体の活動再開を支援する動きもある。現在、インターネットにつながるネットワーク環境や仮設住宅等でICT機器を管理する体制を整えることが課題となっており、今後も被災地において、情報発信や情報収集手段を確保するといった「情報」面での継続的な支援が求められている。

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